登録販売者は国家資格なのか、国家資格になるのか。薬機法36条の8の条文、試験と登録を行う都道府県知事、国の関与を定めた実施要領、総務省の国の資格制度一覧、薬剤師との条文の違いを、一次資料で確かめて整理します。
目次
結論:「国家資格」という言葉は、薬機法(医薬品医療機器等法)には出てきません。登録販売者は、薬機法36条の8に基づき、都道府県知事が試験を行い、合格した人が都道府県知事の登録を受ける制度です。試験と登録を行うのは国ではなく都道府県知事ですが、国は実施要領で出題範囲・問題数・試験時間・合格基準の考え方を定めて関与しています。総務省の「国の資格制度一覧」(平成22年7月1日現在)には、登録販売者が載っています。「国家資格か」は定義次第で、法令に答えが書いてあるわけではありません。
当サイトの合格ナビの登録販売者の問題360問のうち、問題文・選択肢に「都道府県知事」を含むのは17問(第4章16問・第5章1問)、「販売従事登録」を含むのは3問(第4章の問25・55・62)です(2026-10-02に本番データを再出力し、2026-10-03に集計)。当サイトの自作問題の中で、その語を含む問題の数で、本試験の出題頻度ではありません。
| 確かめたいこと | 一次資料で確認できること | 出典 |
|---|---|---|
| 法律の根拠 | 薬機法36条の8(試験と登録)、36条の9(販売できる者) | e-Gov法令検索 |
| 試験を行う人 | 都道府県知事(36条の8第1項) | e-Gov法令検索 |
| 登録を行う人 | 都道府県知事(36条の8第2項) | e-Gov法令検索 |
| 国の関与 | 実施要領で出題範囲・問題数・試験時間・合格基準の考え方を定める | 厚生労働省 実施要領 |
| 「国家資格」の定義 | 薬機法には「国家資格」「公的資格」「国家試験」の語がない | e-Gov法令検索 |
| 国の資格制度の一覧 | 総務省の一覧(平成22年7月1日現在・313制度)に登録販売者(実施機関:都道府県)が載っている | 総務省 |
法令の版:医薬品医療機器等法は、2026-10-04 時点の版(施行日2026-05-21)です。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov法令検索 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律。
登録販売者は国家資格か:法令に「国家資格」の定義はない
結論から言うと、「登録販売者は国家資格です(または国家資格ではありません)」と法令だけで言い切ることはできません。理由は2つあります。
- 薬機法の本則・附則を検索したところ、「国家資格」「公的資格」「国家試験」の語は1件もありませんでした(2026-10-04に e-Gov 法令API v2 の条文データで確認)
- 「国家資格」の範囲を定める法律は、この記事では扱いません
ですから、「国家資格」と呼ぶかどうかは、次のどの使い方をするかで変わります(当サイトの整理で、法令上の分類ではありません)。
| 「国家資格」の使い方 | 登録販売者に当てはまるか |
|---|---|
| 国が試験を行う資格だけを指す | 当てはまらない(試験は都道府県知事が行う) |
| 国の法律に基づいて、試験や登録で資格が与えられる資格を指す | 当てはまり得る(薬機法36条の8に基づく) |
検索で「登録販売者 国家資格じゃない」と言われる理由の多くは、前者の使い方(国が試験を行わない)にあると考えられます。一方、後者の使い方では国の法律に基づく資格として扱えます。どちらの言い方も、条文の内容を誤って伝えているわけではありません。
法律の根拠は、薬機法36条の8
登録販売者の根拠は、医薬品医療機器等法(薬機法)36条の8です。条文は次のとおりです(2026-10-04時点の現行条文)。
- 第1項:「都道府県知事は、一般用医薬品の販売又は授与に従事しようとする者がそれに必要な資質を有することを確認するために、厚生労働省令で定めるところにより試験を行う。」
- 第2項:「前項の試験に合格した者又は第二類医薬品及び第三類医薬品の販売若しくは授与に従事するために必要な資質を有する者として政令で定める基準に該当する者であつて、医薬品の販売又は授与に従事しようとするものは、都道府県知事の登録を受けなければならない。」
また、4条5項1号は「登録販売者」を「第三十六条の八第二項の登録を受けた者」と定めています。つまり、法律上の登録販売者は、「試験に合格した人」ではなく、「合格したうえで都道府県知事の登録を受けた人」です。この違いは、合格と登録の違いを整理した記事と販売従事登録の手続きの記事で詳しく扱っています。
第2項の「政令で定める基準に該当する者」は、試験の合格とは別の経路の人を指す部分で、この記事では扱いません。
登録を受けた登録販売者が販売できるのは、36条の9に定められた区分です。
- 第一類医薬品:薬剤師
- 第二類医薬品・第三類医薬品:薬剤師または登録販売者
この論点の問題を解く
試験は都道府県が行うが、国が実施要領で枠を定めている
「国家資格でない」と言われる最も大きな理由は、試験を行うのが都道府県知事であることです。実際、試験は都道府県ごとに実施されています。令和7年度の実施状況は、厚生労働省が都道府県別(関西広域連合を含む)に公表しています。
ただし、都道府県が自由に試験を設計しているわけではありません。厚生労働省の「登録販売者試験実施要領」は、趣旨を次のように説明しています。
- 平成18年6月に公布された薬事法の一部を改正する法律に基づき、都道府県が登録販売者試験を実施することとされた
- 国会(参議院厚生労働委員会)の審議で、試験について「国の関与の下に、都道府県によって難易度等に格差が生じないようにするとともに、その内容についても一定の水準が保たれるよう指導を行うこと」との附帯決議が付された
- このため、試験の実施方法、試験問題数、試験時間、合格基準等について実施要領を定める
実施要領が定めている主な内容は、次のとおりです。
| 項目 | 内容(実施要領) |
|---|---|
| 試験項目 | 5項目(医薬品に共通する特性と基本的な知識/人体の働きと医薬品/主な医薬品とその作用/薬事関連法規・制度/医薬品の適正使用・安全対策) |
| 出題範囲 | 厚生労働省の「試験問題作成の手引き」から出題 |
| 問題数・時間 | 120問・240分 |
| 合格の考え方 | 総出題数に対して7割程度の正答で、かつ各試験項目ごとに都道府県知事が定める一定割合以上の正答 |
| 実施回数 | 少なくとも年1回以上、定期的に実施 |
令和7年度の実施状況:令和7年度登録販売者試験は、年度計で受験者数58,996人、合格者数24,004人、合格率40.7%(令和8年3月31日現在。同一人が複数の試験を受験する場合があるため延べ人数)。最終確認日:2026-10-04。出典:厚生労働省 令和7年度登録販売者試験実施状況。
つまり、登録販売者試験は「都道府県が行う試験を、国が実施要領で枠づけている」制度です。試験の問題や日程、受験手数料は都道府県ごとに異なる部分があるため、受験する都道府県の受験案内で確認してください(受験手数料は都道府県の条例等で定められます。通知1(3))。
登録販売者試験の実施方法:試験は都道府県知事が行い、120問・240分。実施要領は、都道府県間で難易度等に格差が生じないよう国が関与するための枠組み。最終確認日:2026-10-04。出典:厚生労働省 登録販売者試験実施要領。
試験の中身と制度の枠を知りたい人は、登録販売者 合格ガイドも参照してください。
総務省の「国の資格制度一覧」に載っている
「国家資格」の定義が法令にない代わりに、総務省は「国の資格制度」を次のように説明し、一覧にしています。
- 総務省「国の資格制度一覧(313制度)」の注記:「国が法令、告示、通達等に基づき、一定の業務に従事する上で必要とされる専門的知識、技能等に関する基準を設け、国、地方公共団体等がその基準を満たしていると判定する者について、当該業務への従事、法令で定める管理監督者等への就任若しくは一定の称号の使用を認める制度又は専門的知識、技能等を有する旨を単に証明する制度」
- 同一覧は「平成22年7月1日現在」の313制度
- 登録販売者の行は、所管府省名が厚生労働省、実施機関・団体名が「都道府県」、根拠法令が当時の薬事法(昭和35年法律第145号)
同じ表には、都道府県が実施機関になっている制度として、介護支援専門員も載っています。一方で、看護師などは実施機関が「厚生労働省」と載っています。
この一覧は、平成22年(2010年)時点の古い資料で、現在の一覧ではありません。また、「国家資格」という区分名を使った定義は、この資料にはありません。ですから、「国の資格制度に分類されている」ことの根拠として使うものであり、「国家資格である」と断定する根拠にはなりません。
総務省の国の資格制度一覧:平成22年7月1日現在、313制度。登録販売者は所管が厚生労働省、実施機関は都道府県。最終確認日:2026-10-04。出典:総務省 国の資格制度一覧(313制度)。現在の一覧ではなく、当時の数字・分類です。
薬剤師と、条文でどう違うか
「国家資格」の話で、薬剤師と比べられることが多くあります。条文を並べると、違いは次の点にあります。
| 比べる点 | 薬剤師(薬剤師法) | 登録販売者(薬機法) |
|---|---|---|
| 与えられるもの | 免許(2条・3条) | 登録(36条の8第2項) |
| 誰が与えるか | 厚生労働大臣(2条) | 都道府県知事(36条の8第2項) |
| 試験 | 薬剤師国家試験。毎年少なくとも一回、厚生労働大臣が行う(3条・12条1項) | 都道府県知事が行う試験(36条の8第1項) |
| 販売できる一般用医薬品 | 全区分(36条の9) | 第二類・第三類(36条の9第2号) |
薬剤師法には、「薬剤師国家試験」の名称が条文に書かれています(3条)。一方、登録販売者の試験は、薬機法の条文では「試験」とだけ書かれ、国家試験とは呼ばれていません。この違いも、「国家資格ではない」と言われる理由のひとつと考えられます(当サイトの見方です)。
薬剤師になるための受験資格や、薬剤師と登録販売者の業務の範囲の違いは、登録販売者から薬剤師になるにはにまとめています。
資格の効力:登録した都道府県以外でも従事できる
「県が行う試験だと、その県でしか使えないのでは」と心配する人もいます。厚生労働省の通知「登録販売者制度の取扱い等について」は、次のように定めています(1(5))。
- 販売従事登録の申請先は、医薬品の販売または授与に従事する薬局または店舗の所在地の都道府県知事
- 他の都道府県で試験に合格した者は、その都道府県に問い合わせて確認する
- 二つ以上の都道府県で登録を申請した者は、そのうちいずれか一つの都道府県知事の登録しか受けられない
- 販売従事登録を行った都道府県以外の都道府県においても、一般用医薬品の販売等に従事して差し支えない
受験についても、受験を希望する人は、受験しようとする場所の都道府県知事に申請書を提出します(通知1(3))。また、受験資格としてこれまで求めてきた実務経験等は今後不要とされ、学歴や実務経験に関する書類の提出は必要ありません。
登録販売者名簿には、「登録販売者試験に合格した年月及び試験施行地都道府県名」が記載される事項に含まれます(通知1(6)①ウ)。つまり、どの都道府県で合格したかは記録に残りますが、そのことで業務ができる地域が限られる扱いではありません。
登録後の従事地域:販売従事登録を行った都道府県以外の都道府県においても、一般用医薬品の販売等に従事して差し支えない。最終確認日:2026-10-04。出典:厚生労働省 通知「登録販売者制度の取扱い等について」(令和5年3月31日薬生発0331第16号。令和8年6月26日医薬発0626第9号で一部改正・令和8年10月1日適用。改正後全文)(1(5)④)。
「国家資格になる」予定はあるのか
検索では「登録販売者 国家資格になる」という言い方も見られますが、次の一次資料には、国家資格化に当たる内容は含まれていません。対象とした資料は次のとおりです。
- 薬機法の本則・附則(2026-10-04時点の現行条文):試験を国が行う旨の定めはない
- 登録販売者試験実施要領:試験は都道府県が行い、国は実施要領で関与する
- 通知「登録販売者制度の取扱い等について」(令和8年6月26日最終改正):改正点は、栄養士法施行規則等の改正に伴い、本籍地都道府県の記載に国籍等を加える表記の変更が中心で、試験の実施主体を変える内容ではない
ただし、施行規則・政令・厚生労働省のほかの資料は、この記事の対象に含めていません。報道や予備校の見通しは、一次資料ではないため、この記事では使っていません。変更があるかどうかは、厚生労働省と受験する都道府県の公式発表で確認してください。
登録販売者試験の難易度は、国家資格と比べて高いか
「国家資格 難易度」で調べる人は、難しさの目安を知りたいと考えています。公的に確認できる数字は、合格率です。令和7年度の年度計は40.7%(受験者58,996人、合格者24,004人、延べ人数)でした(上の「令和7年度の実施状況」の囲みと同じ数字です)。
ほかの国家試験の合格率と並べて、「高い」「低い」と言うことはしません。受験資格、受験者層、試験の範囲、集計の方法がそれぞれ異なり、単純に比べられないためです。登録販売者は、実務経験などを受験資格として求めない点も、数字の読み方に影響します(通知1(3))。
都道府県ごとの合格率は大きく異なります。令和7年度の公表値では、都道府県によって20%台から50%台までの幅があります。受験する都道府県の数字は、登録販売者 都道府県別の合格率で確認できます。勉強時間の見積もりは勉強時間と3ヶ月の週次スケジュールに当サイトの目安をまとめています。
まとめ
- 「国家資格」の語は薬機法に出てこない。「国家資格か」は定義次第で、法令上の答えはない
- 根拠は薬機法36条の8。試験も登録も都道府県知事が行う(国が試験を行う資格ではない)
- 国は実施要領で、出題範囲・問題数・試験時間・合格基準の考え方を定め、都道府県間の格差を防ぐ関与をしている
- 総務省の国の資格制度一覧(平成22年7月1日現在)には、登録販売者が載っている。ただし古い資料
- 登録した都道府県以外でも、一般用医薬品の販売等に従事して差し支えない(通知)
- 「国家資格になる」予定は、上に挙げた資料に含まれていない(すべての資料を対象にしたものではない)
一次ソース
- e-Gov法令検索 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(4条5項1号・36条の8・36条の9)
- e-Gov法令検索 薬剤師法(2条・3条・12条1項)
- 厚生労働省 登録販売者試験実施要領(1・2(2)〜(4)・3)
- 厚生労働省 通知「登録販売者制度の取扱い等について」(1(1)・1(3)・1(5)・1(6))
- 厚生労働省 令和7年度登録販売者試験実施状況
- 総務省 国の資格制度一覧(313制度)
条文は e-Gov 法令検索で確認(2026-10-04 時点の現行条文)。
関連記事
よくある質問
Q登録販売者は、結局、国家資格ですか?
「国家資格」という言葉は、薬機法には出てきません(2026-10-04に本則と附則を検索して確認)。登録販売者は、薬機法36条の8に基づき、都道府県知事が行う試験に合格し、都道府県知事の登録を受けた人です。国の法律に基づく資格という点では国の制度ですが、試験と登録を行うのは国ではなく都道府県知事です。「国が試験を行う資格だけを国家資格と呼ぶ」という使い方なら該当せず、「国の法律に基づく資格を国家資格と呼ぶ」という使い方なら該当し得ます。どちらで呼ぶかは使う人の定義次第で、法令上の決まりはありません。
Q登録販売者の試験は、全国共通の試験ですか?
全国一律の1回の試験ではなく、都道府県(令和7年度は関西広域連合を含む)ごとに実施されます。ただし、出題範囲、問題数、試験時間、合格基準の考え方は、厚生労働省の「登録販売者試験実施要領」で定められています(120問・240分、総出題数の7割程度の正答と、項目ごとに都道府県知事が定める一定割合以上の正答で合格)。
Qある県で合格した資格は、ほかの県でも使えますか?
厚生労働省の通知では、販売従事登録を行った都道府県以外の都道府県でも、一般用医薬品の販売等に従事して差し支えないとされています(「登録販売者制度の取扱い等について」1(5)④)。ただし、登録の申請先は、販売に従事する薬局や店舗の所在地の都道府県知事です。詳しい手続きは、合格後の手続きの記事で整理しています。
Q登録販売者が国家資格になる予定はありますか?
薬機法の本則・附則、実施要領、令和8年6月26日付の通知には、試験を国が行うようにする旨の内容は含まれていません。ただし、施行規則・政令・厚生労働省のそのほかの資料には触れていないため、「予定がない」とは言い切れません。見通しは、厚生労働省と受験する都道府県の公式発表で確認してください。
Q登録販売者の合格率は、ほかの国家資格と比べて高いですか、低いですか?
令和7年度の登録販売者試験の合格率は、年度計で40.7%です(延べ人数での集計。厚生労働省)。ほかの試験の合格率と並べて「高い・低い」と言えるかは、受験資格や受験者層、集計の方法が異なるため、当サイトでは断定しません。受験する都道府県ごとの数字は、都道府県別の合格率の記事で確認できます。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

