サリドマイド事件で何が起きたかを、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月一部改訂)の説明で整理します。スモン・HIV・CJD・C型肝炎の4訴訟との比較表、薬害から生まれた制度、PMDAの相談窓口の案内、登録販売者試験第1章での使われ方もまとめました。
目次
結論:サリドマイド事件は、催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を、妊婦又は妊娠していると思われる女性が使用したことで、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生した事件です。手引き(令和8年4月一部改訂)によると、損害賠償訴訟は1963年6月に提訴され、1974年10月に和解が成立しました。登録販売者試験の手引き第1章Ⅳ「薬害の歴史」は、サリドマイド・スモン・HIV・CJD・C型肝炎の5つの訴訟を順に説明しています。この記事は、手引きとPMDAのページにある事実の整理で、個別の健康被害や賠償についての相談には答えられません。相談先は、後半の「健康被害について相談したいとき」にまとめました。
| 訴訟 | 原因となった医薬品等(手引き) | 被害(手引き) |
|---|---|---|
| サリドマイド | サリドマイド製剤(催眠鎮静剤等として販売。サリドマイドは胃腸薬にも配合) | 出生児の四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症) |
| スモン | キノホルム製剤(整腸剤) | 亜急性脊髄視神経症(スモン) |
| HIV | HIVが混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤 | 血友病患者のHIV感染 |
| CJD | ヒト乾燥硬膜 | クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD) |
| C型肝炎 | 特定のフィブリノゲン製剤、血液凝固第Ⅸ因子製剤 | C型肝炎ウイルスへの感染 |
出典:厚生労働省 登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月一部改訂)第1章Ⅳ(17〜20頁)。
手引きの版:令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます。受験する年度の手引きの版は、受験する都道府県の公示で確かめます。最終確認日:2026-10-09。出典:厚生労働省 登録販売者試験問題の作成に関する手引き。
第1章を含む章ごとの進め方は問題演習の使い方にあります。この記事は、薬害の歴史(第1章Ⅳ)だけを、手引きの説明に絞って整理します。
サリドマイド事件とは:手引きの説明
手引きは、サリドマイド訴訟を次のように説明しています。
- 催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を、妊婦又は妊娠していると思われる女性が使用したことで、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟である
- 1963年6月に製薬企業を被告として提訴され、さらに翌年12月には国及び製薬企業を被告として提訴された(「翌年12月」は、当サイトの計算では1964年12月です)
- 1974年10月に和解が成立した
- サリドマイドは催眠鎮静成分として承認された(その鎮静作用を目的として、胃腸薬にも配合された)
手引きは、第1章Ⅳの冒頭で、医薬品は人体にとって本来異物であり、治療上の効能・効果とともに何らかの有害な作用(副作用)等が生じることは避けがたいと書いています。医薬品が「両刃の剣」であることを踏まえ、医薬品の販売に従事する専門家を含め、関係者が医薬品の安全性の確保に最善の努力を重ねていくことが重要、という流れで、5つの訴訟の説明に入ります。
なぜ先天異常が起きたのか:血管新生とS体・R体
手引きは、サリドマイドによる先天異常の仕組みを、次の順で説明しています。
| 段階 | 手引きの説明 |
|---|---|
| 副作用 | サリドマイドには、血管新生(既に存在する血管から新しい血管が形成されること)を妨げる作用もあった |
| 胎児への移行 | 妊婦又は妊娠していると思われる女性が摂取した場合、サリドマイドは血液-胎盤関門を通過して胎児に移行する |
| 胎児の成長 | 胎児は、諸器官の形成のため細胞分裂が活発に行われる。血管新生が妨げられると細胞分裂が正常に行われず、器官が十分に成長しない |
| 結果 | 四肢欠損、視聴覚等の感覚器や心肺機能の障害等の先天異常が発生する |
出典:手引き第1章Ⅳ(17頁)。
次に、鏡像異性体(光学異性体)の話が出てきます。手引きの説明は次のとおりです。
- 血管新生を妨げる作用は、サリドマイドの鏡像異性体のうち、一方の異性体(S体)のみが有する作用で、もう一方の異性体(R体)にはない
- 鎮静作用はR体のみが有するとされている
- サリドマイドが摂取されると、R体とS体は体内で相互に転換するため、R体のサリドマイドを分離して製剤化しても催奇形性は避けられない
- 脚注:サリドマイド製剤は、R体とS体が分離されていない混合体(ラセミ体)を用いて製造されており、当時は、鏡像異性体の違いによって有効性や安全性に差が生じることは明確でなかった。その後、新たな有効成分を含む医薬品の承認にあたっては、鏡像異性体の有無や有効性、安全性等への影響についても確認、評価がなされるようになった
出典:手引き第1章Ⅳ(17頁)。
「R体とS体は体内で相互に転換する」という点が、「R体だけを分けて薬にすれば安全」とは言えない理由として、手引きに書かれています。
日本の対応と世界への影響:サリドマイドの年表
手引きの記載を、年の順に並べます。
| 時期 | できごと(手引き) |
|---|---|
| 1957年 | 西ドイツ(当時)でサリドマイド製剤の販売が開始された |
| 1958年1月 | 日本でも販売が始まった |
| 1961年11月 | 西ドイツのレンツ博士がサリドマイド製剤の催奇形性について警告を発し、西ドイツでは製品が回収されるに至った |
| 1961年12月 | 日本には、同年12月に西ドイツ企業から勧告が届いていた |
| 1962年5月 | 出荷停止が行われた |
| 1962年9月 | 販売停止及び回収措置が行われた |
| 1963年6月 | 製薬企業を被告として提訴された |
| 1964年12月(当サイトの計算) | 国及び製薬企業を被告として提訴された(手引きは「翌年12月」と書く) |
| 1974年10月 | 和解が成立した |
手引きは、日本の対応について、同年12月に西ドイツ企業から勧告が届いており、かつ翌年になってからもその企業から警告が発せられていたにもかかわらず、出荷停止は1962年5月まで行われず、販売停止及び回収措置は同年9月であるなど、対応の遅さが問題視されたと書いています。
世界への影響については、第1章Ⅳに「サリドマイドによる薬害事件は、日本のみならず世界的にも問題となったため、WHO加盟国を中心に市販後の副作用情報の収集の重要性が改めて認識され、各国における副作用情報の収集体制の整備が図られることとなった」とあります。第5章(392頁)にも、1961年に起こったサリドマイド薬害事件を契機として、1968年、WHO加盟各国を中心に、各国自らが医薬品の副作用情報を収集、評価する体制(WHO国際医薬品モニタリング制度)を確立することにつながった、と書かれています。
出典:手引き第1章Ⅳ(17〜18頁)、第5章(392頁)。
サリドマイド以外の4つ:スモン・HIV・CJD・C型肝炎
手引きが「医薬品による副作用等にかかる主な訴訟」として挙げる5つを、提訴と解決の時期で並べます。
| 訴訟 | 提訴(手引き) | 解決(手引き) |
|---|---|---|
| サリドマイド | 1963年6月(製薬企業)、翌年12月(国及び製薬企業) | 1974年10月に和解が成立 |
| スモン | 1971年5月、国及び製薬企業を被告として提訴 | 1977年10月に東京地裁で和解が成立して以来、各地の地裁及び高裁で和解が勧められ、1979年9月に全面和解が成立 |
| HIV | 国及び製薬企業を被告として、1989年5月に大阪地裁、同年10月に東京地裁で提訴 | 大阪地裁が1995年10月、東京地裁が1996年3月にそれぞれ和解勧告を行い、1996年3月に両地裁で和解が成立 |
| CJD | 国、輸入販売業者及び製造業者を被告として、1996年11月に大津地裁、1997年9月に東京地裁で提訴 | 2001年11月に和解勧告、2002年3月に両地裁で和解が成立 |
| C型肝炎 | 国及び製薬企業を被告として、2002年から2007年にかけて5つの地裁で提訴 | 2006年から2007年にかけての5つの判決は、国及び製薬企業が責任を負うべき期間等について判断が分かれていた。2008年1月に、特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法(平成20年法律第2号)が制定、施行された。手引きは、国ではこの法律に基づく給付金の支給の仕組みに沿って、現在、和解を進めていると書く |
出典:手引き第1章Ⅳ(17〜20頁)。
訴訟ごとの手引きの説明を、被害の中身で補足します。
- スモン:整腸剤として販売されていたキノホルム製剤の使用で、亜急性脊髄視神経症(Subacute Myelo-Optico-Neuropathyの頭文字をとってスモン)にかかったことに対する訴訟です。症状は、初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢、次第に下半身の痺れや脱力、歩行困難等で、麻痺は上半身にも拡がる場合があり、ときに視覚障害から失明に至ることもある、と書かれています。キノホルム製剤は1924年から整腸剤として販売され、1958年頃から消化器症状を伴う特異な神経症状が報告されるようになり、米国では1960年にアメーバ赤痢への使用に限ることが勧告されました。日本では1970年8月にスモンの原因はキノホルムであるとの説が発表され、同年9月に販売が停止されました
- HIV:血友病患者が、HIVが混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受け、HIVに感染したことに対する訴訟です。手引きによると、和解確認書で国(厚生大臣(当時))は、「サリドマイド、キノホルムの医薬品副作用被害に関する訴訟の和解による解決に当たり、前後2回にわたり、薬害の再発を防止するため最善の努力をすることを確約したにもかかわらず、再び本件のような医薬品による悲惨な被害を発生させるに至ったことを深く反省し」と述べています。1999年8月24日には「誓いの碑」の竣工式が行われ、碑文には「サリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう」と刻まれている、と手引きは書いています
- CJD:脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介してCJDにかかったことに対する訴訟です。CJDは、細菌でもウイルスでもないタンパク質の一種であるプリオンが原因とされ、プリオンが脳の組織に感染し、次第に認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病と説明されています。ヒト乾燥硬膜の原料が採取された段階でプリオンに汚染されている場合があり、プリオン不活化のための十分な化学的処理が行われないまま製品として流通し、脳外科手術で移植された患者にCJDが発生した、と書かれています
- C型肝炎:出産や手術の際に特定のフィブリノゲン製剤や血液凝固第Ⅸ因子製剤の投与を受け、C型肝炎ウイルスに感染したことに対する訴訟です
出典:手引き第1章Ⅳ(18〜20頁)。
薬害から生まれた制度:手引きの説明を表で
手引きは、薬害事件とその後の制度のつながりを、次のように書いています。第5章Ⅱ「医薬品の安全対策」の冒頭(392頁)は、市販後の副作用等の情報を収集する制度、収集された安全性情報を評価し適切な措置を講じる体制、医薬品を適正に使用したにもかかわらず生じた健康被害に対する救済制度等について、「これらは、これまでの薬害事件が和解により集結した後、その経験や教訓を踏まえて、拡充されてきたものである」と書いています。
| 手引きの書き方(どの薬害との関係か) | 制度の変化(手引き) | 頁 |
|---|---|---|
| 1961年に起こったサリドマイド薬害事件を契機として | 1968年、WHO加盟各国を中心に、各国自らが医薬品の副作用情報を収集、評価する体制(WHO国際医薬品モニタリング制度)を確立することにつながった | 第5章 392 |
| サリドマイド事件、スモン事件等を踏まえ | 1979年に薬事法が改正され、再審査・再評価制度の創設、副作用等報告制度の整備、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための緊急命令、廃棄・回収命令に関する法整備等がなされた。それらと併せて、医薬品副作用被害救済基金法(現在の独立行政法人医薬品医療機器総合機構法)による救済制度が創設された | 第5章 395〜396 |
| サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として | 1980年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設された(第5章は、1980年5月より運営が開始されたと書く) | 第1章 18、第5章 396 |
| HIV訴訟の項:HIV感染者に対する恒久対策のほか、健康被害の再発防止に向けた取り組みとして | 承認審査体制の充実、製薬企業に対し従来の副作用報告に加えて感染症報告の義務づけ、「緊急輸入」制度の創設等を内容とする改正薬事法が1996年に成立し、翌年4月に施行された | 第1章 19 |
| CJD訴訟の項:和解に際して、国(厚生労働大臣)が、生物由来の医薬品等によるHIVやCJDの感染被害が多発したことにかんがみ、規制の強化と救済制度の早期創設に努めることを誓約 | 2002年に行われた薬事法改正に伴い、生物由来製品の安全対策強化、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設等がなされた。第5章によると、2004年4月1日以降に生物由来製品を適正に使用したにもかかわらず、それを介して生じた感染等による疾病、障害又は死亡が対象 | 第1章 20、第5章 396 |
| C型肝炎訴訟の項:「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」(平成22年4月28日、薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会)を受け | 医師、薬剤師、法律家、薬害被害者などの委員により構成される医薬品等行政評価・監視委員会が設置された | 第1章 20 |
出典:手引き第1章Ⅳ(18〜20頁)、第5章(392・395〜396頁)。
副作用被害救済制度の対象外の医薬品や、販売時のミスとの関係は、登録販売者の接客ミスと責任で扱っています。この記事では、制度が薬害のあとにできた、という流れだけを押さえます。
手引きは、第5章の「医薬品の副作用等による健康被害の救済」の中で、PMDAが、関係製薬企業又は国からの委託を受けて、裁判上の和解が成立したスモン患者に対して健康管理手当や介護費用の支払業務を行い、(公財)友愛福祉財団からの委託を受けて、血液製剤によるHIV感染者・発症者に対する健康管理費用の支給等を行っている、とも書いています(396〜397頁)。
健康被害について相談したいとき:公式の窓口
この記事は、個別の事案について、救済の対象になるか、賠償が受けられるかを判断することはできません。相談先として、PMDAのページには次の窓口が案内されています。
- 救済制度相談窓口(PMDA):医薬品副作用被害救済制度など、救済制度に関する相談の窓口として、電話とメールの連絡先が案内されています
- 患者・一般の方からのくすり・医療機器の相談窓口(PMDA):くすりの効能効果、飲みあわせ、飲み方・使い方などの相談の窓口です。このページは、自身のくすりについて心配なことがある場合は、かかりつけの医師や薬局・薬剤師に相談するよう案内しています
- PMDAの健康被害救済業務の一覧には、スモン患者に対する健康管理手当等の受託・貸付業務、HIV感染者、エイズ発症者に対する健康管理費用等の受託給付業務、C型肝炎特別措置法の給付金支給業務が並んでいます
PMDAのページ(医薬品副作用被害救済制度に関する業務)は、医薬品副作用被害救済制度を、医薬品等を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害を受けた方に対して、医療費等の給付を行い、被害を受けた方の迅速な救済を図ることを目的として、1980年に創設された制度で、医薬品医療機器総合機構法に基づく公的な制度、と説明しています。給付の請求は、健康被害を受けた本人(または遺族)等が、請求書、その他請求に必要な書類(診断書等)をPMDAに送付して行う、とも書かれています。給付の種類に応じて、請求の期限や請求に必要な書類等が定められています。
PMDAの救済制度の案内:PMDAのページの案内です。請求の期限、必要な書類、窓口の連絡先は変わることがあるため、請求を考える場合は、必ずPMDAの最新のページで確かめます。最終確認日:2026-10-09。出典:PMDA 医薬品副作用被害救済制度に関する業務。
試験での使われ方:5つの訴訟を取り違えない
手引きの第5章(392頁)には、「契機となった薬害事件に関する出題については、第1章 Ⅳ(薬害の歴史)を参照して作成のこと」という一文があります。第5章の安全対策の出題で、その契機となった薬害事件を扱うときは、第1章Ⅳの記載を参照して作る、という書き方です。
手引きの記載のうち、5つの訴訟の間で取り違えやすい点を、当サイトで3つに分けると次のとおりです。
- 医薬品と被害の組合せ(キノホルム製剤とスモン、ヒト乾燥硬膜とCJD、など)
- サリドマイドの作用の説明(血管新生、S体・R体、鎮静作用)
- 提訴や和解の時期、ならびに薬害のあとにできた制度の組合せ
当サイトの作例です(手引きの言葉だけで答えが出る形にしています)。
1. 血管新生を妨げる作用を持つのは、サリドマイドの鏡像異性体のうち、どちらですか。→ S体のみです(R体にはありません)
2. 整腸剤として販売されていたキノホルム製剤の使用で起きた訴訟は何ですか。→ スモン訴訟です
3. 脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介して罹患したことに対する訴訟は何ですか。→ CJD訴訟です
4. 2008年1月に給付金の支給に関する特別措置法が制定、施行されたことが書かれているのは、どの訴訟の項ですか。→ C型肝炎訴訟です
5. R体のサリドマイドだけを分離して製剤化すれば、催奇形性は避けられますか。→ 避けられません。R体とS体は体内で相互に転換する、と手引きは書いています
間違えやすいポイント
- 血管新生を妨げるのはS体、鎮静作用はR体。 手引きは、血管新生を妨げる作用はS体のみ、鎮静作用はR体のみ、と書いています。ただし、R体とS体は体内で相互に転換するので、R体だけにしても催奇形性は避けられません
- サリドマイドは、胃腸薬にも配合された。 催眠鎮静成分として承認され、その鎮静作用を目的として胃腸薬にも配合された、と手引きに書かれています
- 薬と病名の組合せを入れ替えない。 キノホルム製剤はスモン、ヒト乾燥硬膜はCJD、HIVが混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤はHIV、特定のフィブリノゲン製剤や血液凝固第Ⅸ因子製剤はC型肝炎です
- サリドマイド製剤・キノホルム製剤は、過去に一般用医薬品として販売されていた。 手引きは、この2つを名指しして、一般用医薬品の販売等に従事する専門家は、薬害事件の歴史を十分に理解し、「医薬品の副作用等による健康被害の拡大防止に関して、製薬企業や国だけでなく、医薬品の情報提供、副作用報告等を通じて、その責務の一端を担っていることを肝に銘じておく必要がある」と書いています
- 年や月は、訴訟ごとに別の数字。 提訴と和解の年月を混ぜないよう、前掲の比較表で、訴訟ごとにそろえて覚えます
- 救済制度の創設の契機は、サリドマイド訴訟とスモン訴訟。 手引きは、「サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1980年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設された」と書いています。生物由来製品感染等被害救済制度は、2002年の薬事法改正で創設された、別の制度です
まとめ
- サリドマイド事件は、サリドマイド製剤を妊婦等が使用し、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生した事件。1963年6月に提訴、1974年10月に和解(手引き)
- 血管新生を妨げる作用はS体のみ、鎮静作用はR体のみ。R体とS体は体内で相互に転換するため、R体を分けても催奇形性は避けられない
- 日本では、1962年5月に出荷停止、同年9月に販売停止及び回収措置。対応の遅さが問題視された
- 手引き第1章Ⅳの5つの訴訟は、サリドマイド・スモン(キノホルム製剤)・HIV(血液凝固因子製剤)・CJD(ヒト乾燥硬膜)・C型肝炎(フィブリノゲン製剤等)
- 薬害のあとに、WHO国際医薬品モニタリング制度(1968年)、1979年の薬事法改正、医薬品副作用被害救済制度(1980年創設)などが整えられた
- 個別の健康被害は、PMDAの相談窓口に確認する
よくある質問
Q手引きには、「薬害」の定義が書かれていますか?
手引き(令和8年4月一部改訂)の第1章Ⅳ「薬害の歴史」には、「薬害」という語の定義の記載がありません(2026-10-09 時点)。手引きは「医薬品による副作用等にかかる主な訴訟」として、サリドマイド・スモン・HIV・CJD・C型肝炎の5つを順に説明しています。
Qサリドマイド製剤やキノホルム製剤は、一般用医薬品だったのですか?
手引きは、サリドマイド製剤、キノホルム製剤について「過去に一般用医薬品として販売されていたこともあり」と書いています。サリドマイドは、催眠鎮静成分として承認され、その鎮静作用を目的として胃腸薬にも配合された、とも書かれています。
Q「薬害エイズ」と「HIV訴訟」は同じことですか?
手引きの見出しは「HIV訴訟」です。手引きは、HIV訴訟の項で、1999年8月24日に竣工式が行われた「誓いの碑」に「千数百名もの感染者を出した『薬害エイズ』事件」と刻まれていると書いています。手引きの説明するHIV訴訟は、血友病患者が、HIVが混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受け、HIVに感染したことに対する損害賠償訴訟です。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月9日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

