登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問19|漢方・カッコン含有処方と証・体質適応

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

漢方処方製剤の「証」(体質・病態への適応)と含有生薬に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はウです。

葛根湯の構成生薬はカッコン・マオウ・タイソウ・ケイヒ・シャクヤク・カンゾウ・ショウキョウの7種で(手引きはマオウ・カンゾウを含むことを記載)、体力中程度以上の人のかぜ初期(特に悪寒・発熱・肩こり・頭痛が強い段階)に用います。pilotのch3_03でマオウの関連(高血圧等禁忌)を扱いましたが、本問はカッコン含有と「証」の適切な組合せを問います。

アは誤りで、桂枝茯苓丸は「比較的体力あり」向きですが「著しく虚弱」でなければ使用可能です。イは誤りで、八味地黄丸は高齢者・泌尿器症状のある人に適します。エは誤りで、防風通聖散はダイオウを含み便秘傾向の人にも用いられます。オは誤りで、当帰芍薬散は虚証(体力虚弱)向けです。

頻出漢方処方の証・適応・禁忌一覧(pilotのマオウ/カンゾウ以外の視点):

処方名証主な適応重要含有生薬注意
葛根湯実証(体力中以上)かぜ初期・肩こり・鼻炎カッコン・マオウ・カンゾウ等高血圧・心疾患注意(マオウ)
桂枝茯苓丸中間〜実証婦人の月経不順・冷えのぼせ・皮膚炎ケイシ・ブクリョウ・ボタンピ等虚弱者注意
八味地黄丸虚証(体力低下)高齢者の泌尿器症状・腰痛・足腰の冷えジオウ・ブシ等ブシ含有→心毒性
防風通聖散実証(体力充実)肥満・便秘・高血圧ダイオウ・カンゾウ等妊婦は相談・他の瀉下薬と併用しない(ダイオウ)
当帰芍薬散虚証(体力虚弱)虚弱女性の月経不順・冷え・貧血トウキ・センキュウ等虚証向け(実証には不適)
加味逍遙散中間〜虚証更年期・月経前症候群・いらいらカンゾウ等カンゾウ過剰注意

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 桂枝茯苓丸は「比較的体力があり、のぼせて足が冷えやすい人」に適するとされています。しかし「著しく虚弱な体質の人」への使用は禁忌となっていることがあるものの、「体力が並以上の人のみ」という厳密な制限ではなく、中間程度の体力の人にも適用される場合があります。選択肢の「体力が並以上の人のみが使用できる」という断定は過剰な限定で誤りです。
  • イ(誤): 八味地黄丸(附子・地黄等含有)は、体力の低下した人(虚証)・高齢者・冷え・夜間尿(夜間頻尿)・残尿感・下肢の冷え・腰痛等のある人に適します。「高齢者に適さない」は正反対で誤りです。ブシ(附子)を含むため、心毒性・しびれ等の副作用に注意が必要です。
  • ウ(正): 葛根湯の構成生薬:カッコン・マオウ・タイソウ・ケイヒ・シャクヤク・カンゾウ・ショウキョウ(7種)。体力中程度以上の人のかぜ初期(悪寒・発熱・頭痛・肩こり・首筋のこわばり)に用います。発汗が始まった段階や体力が虚弱な人には不適とされています。
  • エ(誤): 防風通聖散はダイオウ(大黄)を含みます。ダイオウのセンノシドによる刺激性瀉下作用が肥満の解消(便秘改善・代謝促進)に寄与します。「ダイオウを含まず」は誤りです。また便秘傾向の人の肥満にも用いられます(ダイオウによる便通改善効果)。ダイオウを含むため、妊婦は使用前に相談が必要で、他の瀉下薬との併用は避けます。
  • オ(誤): 当帰芍薬散は「虚証」(体力が虚弱)の人向けの婦人薬です。冷え・貧血・月経不順はあっていますが、「体力充実の女性」や「実証」への適応は誤りです。実証・体力充実の女性の月経不順・冷えのぼせには桂枝茯苓丸等が適します。

【漢方医学の「証」の概念と現代医学的な解釈】

「証(しょう)」は漢方医学における患者の体質・病態・反応性を表す概念で、治療方針(どの漢方処方が適するか)を決定するための診断指標です。

主要な軸:

1. 実証(じっしょう)〜虚証(きょしょう): 体力・抵抗力の指標

- 実証: 体力充実・抵抗力あり・声大きい・顔色良い→体力を消耗させる処方(発汗・瀉下等)が有効

- 虚証: 体力虚弱・疲れやすい・声小さい・冷え→補養・温補の処方が必要

2. 寒証〜熱証: 体温・エネルギー状態

- 寒証: 冷え・寒がり・青白い顔→温める生薬(ブシ・ショウキョウ・ケイヒ)

- 熱証: のぼせ・顔赤い・口渇・好冷→冷やす生薬(ダイオウ・ボタンピ)

3. 気・血・水の異常: 漢方における機能的単位の不均衡

- 気滞(気の滞り): いらいら・胸部圧迫感→気の流れを改善

- 瘀血(おけつ)(血の滞り): 月経不順・色素沈着・肩こり→駆瘀血薬(桂枝茯苓丸・桃核承気湯等)

- 水滞(すいたい): 浮腫・胃内停水→水の代謝を改善

登録販売者試験では証の詳細な理論より「この処方は虚証向けか実証向けか」「この処方に○○は向くか」という実践的な適応判断が求められます。

【葛根湯のカッコン(葛根)の薬理】

カッコン(クズ(Pueraria lobata)の根)の主要活性成分はプエラリン・ダイジン等のイソフラボン類です。薬理作用:

1. 発汗促進: 汗腺への作用で発汗を適度に促進→熱の放散(解表)

2. 項背部(首・背中)の筋弛緩: 筋緊張を緩和→肩こり・首筋のこわばりを改善

3. 血糖降下作用: プエラリンがα-グルコシダーゼ阻害・インスリン感受性改善(研究レベル)

4. 血管拡張: ダイジン等のイソフラボンが血管平滑筋弛緩→末梢循環改善

かぜ初期の悪寒・発熱・肩こりに葛根湯が有効な理由は、マオウによる発汗・体温調節+カッコンによる筋緊張緩和・発汗促進の相乗効果です。ただし発汗が始まった段階(汗をかいている状態=表証の汗あり)では葛根湯は適さず、桂枝湯等に切り替えるという漢方の概念もあります。

【防風通聖散の複合的な作用と肥満への機序】

防風通聖散(ボウフウ・レンギョウ・オウゴン・サンシシ・カッセキ・ボウイ・ダイオウ・マオウ・ショウキョウ・ハッカ・センキュウ・トウキ・シャクヤク・ケイガイ・チョウセンゴミシ・カンゾウ・ビャクジュツを含む大処方)の肥満への作用:

1. ダイオウ: 刺激性瀉下→腸管通過時間短縮→食物からのカロリー吸収抑制+排便増加

2. マオウ(エフェドリン): 交感神経刺激→熱産生増加(体熱産生・発汗)・脂肪燃焼促進

3. カンゾウ: 抗炎症・副腎皮質ホルモン様→代謝関与(複雑)

4. 利水生薬: 体内余分な水分の排出→浮腫型肥満に

「体力充実した実証の人の肥満・高血圧」という適応は、エフェドリン(マオウ)によって虚証(体力低下)の人には過剰刺激になるリスクがあるからです。便秘を伴う肥満には特に有効です(ダイオウの瀉下効果)。

【処方ごとの適応「証」暗記の実践的方法】

登録販売者試験での漢方暗記のコツ:

分類代表処方覚え方
実証(体力充実)防風通聖散・麻黄湯・大柴胡湯体力ある→強い処方(発汗・瀉下が激しい)
虚証(体力虚弱)当帰芍薬散・六君子湯・補中益気湯・加味逍遙散弱い人→補う処方(温補・補血)
中間(どちらでも)葛根湯・小青竜湯・柴胡桂枝湯幅が広い(中程度以上)
高齢者向け八味地黄丸・牛車腎気丸腎虚(老化)→補腎(ジオウ・ブシ系)
婦人科系当帰芍薬散(虚)・桂枝茯苓丸(中実)・加味逍遙散(虚〜中)冷え虚弱→当帰芍薬散、のぼせ→桂枝茯苓丸

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章ⅩⅣ「漢方処方製剤・生薬製剤」ほか

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-1「かぜ薬」、Ⅴ-2「その他の泌尿器用薬」、Ⅵ「婦人薬」、ⅩⅣ「漢方処方製剤・生薬製剤」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-1「かぜ薬」、Ⅴ-2「その他の泌尿器用薬」、Ⅵ「婦人薬」、ⅩⅣ「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。