問題
一般用かぜ薬・解熱鎮痛薬に含まれる成分の使用上の注意に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイです。
イブプロフェンで妊婦が「してはいけないこと」とされるのは「出産予定日12週以内」の時期です。それ以外の時期の妊婦は「相談すること」です。この表現の違い(してはいけないこと vs 相談すること)は試験頻出の区別です。
アは誤りで、アセトアミノフェンが配合されたかぜ薬・解熱鎮痛薬は、妊婦については「相談すること」に記載されており、「してはいけないこと」ではありません。ウは誤りで、イブプロフェンは一般用医薬品では15歳未満の小児に対して、いかなる場合も使用してはならないとされています。エは誤りで、抗コリン成分は副交感神経を「遮断」して分泌を「減少」させます。オは誤りで、アスピリンは15歳未満の小児に対して、いかなる場合も一般用医薬品として使用してはならないとされています(ライ症候群)。
解熱鎮痛成分の妊婦・小児への使用可否(重要区別):
| 成分 | 妊婦 | 小児 |
|---|---|---|
| アセトアミノフェン | 相談すること(かぜ薬・解熱鎮痛薬) | 専ら小児の解熱に用いる坐薬もある |
| イブプロフェン | 出産予定日12週以内→してはいけないこと。他の時期→相談すること | 15歳未満→してはいけないこと(一般用医薬品では小児向けの製品はない) |
| アスピリン | 出産予定日12週以内→してはいけないこと。他の時期→相談すること | 15歳未満→してはいけないこと(ライ症候群) |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 使用上の注意の「相談すること」の「妊婦又は妊娠していると思われる人」に、アスピリン・イブプロフェン等とともに「アセトアミノフェンが配合されたかぜ薬、解熱鎮痛薬」が挙げられています。理由は、妊娠末期のラットに投与した実験で胎児に弱い動脈管の収縮がみられたとの報告があるためです。「してはいけないこと」に記載されているわけではないので誤りです。
- イ(正): 使用上の注意の「してはいけないこと」の「出産予定日12週以内の妊婦」に、アスピリン・アスピリンアルミニウムとともにイブプロフェンが挙げられています。理由は、妊娠期間の延長、胎児の動脈管の収縮・早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加のおそれがあるためです。それ以外の時期の妊婦は「相談すること」とされています。
- ウ(誤): イブプロフェンは、一般用医薬品においては、15歳未満の小児に対しては、いかなる場合も使用してはならないとされています(一般用医薬品では小児向けの製品はない)。「15歳未満にも使用できる」は誤りです。
- エ(誤): 抗コリン成分(ベラドンナ総アルカロイド・スコポラミン等)はムスカリン受容体(副交感神経受容体)を遮断することで副交感神経の作用を抑制します。鼻腺・気管腺の分泌は副交感神経支配であるため、遮断すると分泌が「減少」します(鼻汁・痰の分泌抑制)。副交感神経を「刺激」して分泌を「増加」させるという記述は正反対で誤りです。
- オ(誤): サリチル酸系解熱鎮痛成分ではライ症候群の発生が示唆されており、アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む。)は、15歳未満の小児に対しては、いかなる場合も一般用医薬品として使用してはならないとされています(「してはいけないこと」)。「小児への使用制限はない」は誤りです。
【イブプロフェンの動脈管収縮機序と「出産予定日12週以内」の根拠】
胎児循環と動脈管(ductus arteriosus)の役割:
- 胎児は肺呼吸をしないため、肺動脈→大動脈をつなぐ「動脈管」(バイパス)で肺を迂回して全身に血液を送ります
- 動脈管はプロスタグランジンE₂(PGE₂)によって拡張・開存が維持されています
- 出生後は肺呼吸開始→PGE₂低下→動脈管が自然閉鎖(通常数日〜2週間)
NSAIDs(イブプロフェン等)でPG合成が阻害されると:
- PGE₂低下→動脈管が早期収縮・閉鎖
- 胎児の肺動脈→大動脈バイパスが塞がれる→右心室の後負荷急増→肺高血圧・右心不全
- 出生後、正常閉鎖機序が乱れる可能性
手引きが示す「出産予定日12週以内の妊婦」を「してはいけないこと」とする理由(アスピリン、アスピリンアルミニウム、イブプロフェン):
- 妊娠期間の延長
- 胎児の動脈管の収縮・早期閉鎖
- 子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加
それ以外の時期の妊婦については、妊娠末期のラットに投与した実験において胎児に弱い動脈管の収縮がみられたとの報告があるため、「相談すること」とされています(アセトアミノフェンが配合されたかぜ薬・解熱鎮痛薬も同じ項目に入ります)。
【ライ症候群と15歳未満の年齢制限】
ライ症候群は、主として小児が水痘(水疱瘡)やインフルエンザ等のウイルス性疾患に罹っているときに、激しい嘔吐や意識障害、痙攣等の急性脳症の症状を呈する症候群で、その発生はまれであるが死亡率が高く、生存の場合も脳に重い障害を残す等、予後は不良とされています。
サリチル酸系解熱鎮痛成分の扱い(手引き):
- アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む。)、サザピリン、サリチル酸ナトリウム → 15歳未満の小児には、いかなる場合も一般用医薬品として使用してはならない
- エテンザミド、サリチルアミド → 水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児には使用を避ける
イブプロフェンも15歳未満の小児には使用してはならない成分ですが、理由はライ症候群ではなく「一般用医薬品では、小児向けの製品はないため」とされています。理由の違いもあわせて押さえましょう。
【NSAIDsのCOX選択性と消化管障害の予防】
OTCで使用できる主なNSAIDs:
| 成分 | COX選択性 | 消化管障害リスク | 特記 |
|---|---|---|---|
| アスピリン | COX-1強く阻害(非可逆的) | 高い(血小板抑制も強い) | 15歳未満は使用してはならない |
| イブプロフェン | COX-1/COX-2非選択的 | 中程度 | 15歳未満は使用してはならない |
| アセトアミノフェン | COX阻害弱い(中枢優位) | 低い | 小児の解熱用の坐薬もある・肝障害注意 |
消化管障害の軽減策:
- 食後服用(空腹時は避ける)
- プロトンポンプ阻害薬(PPI)・胃粘膜保護薬の併用(医療用)
- ミソプロストール(PGE₁誘導体)による粘膜保護
OTCかぜ薬では「空腹時は避けて服用する」という指示をしっかり購入者に伝えることが重要です。
【抗コリン成分(ベラドンナ):副交感神経遮断の混同を防ぐ覚え方】
抗コリン=「副交感神経を遮断=副交感神経の作用の逆」という関係を整理:
副交感神経の作用(優位=休息・消化・分泌)→抗コリンで遮断→逆の反応:
- 外分泌腺(唾液・涙・鼻汁・気管分泌)増加→減少(口渇・ドライアイ・鼻汁減少)
- 腸管蠕動促進→蠕動抑制(便秘)
- 膀胱収縮(排尿)→弛緩(排尿困難・尿閉)
- 眼の毛様体収縮(近視)→弛緩(遠視・散瞳→眼圧上昇)
- 心拍数減少→増加(頻脈)
「抗コリン=副交感遮断=副交感作用の裏返し」という図式を覚えることで、副作用プロファイルを全て導き出せます。試験では「抗コリン作用を持つ成分の副作用はどれか」という問いに、この法則で対応可能です。
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-1「かぜ薬」・Ⅰ-2「解熱鎮痛薬」
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-1「かぜ薬」・Ⅰ-2「解熱鎮痛薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

