登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問54|かぜの漢方・葛根湯と麻黄湯の証の区別

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

葛根湯(かっこんとう)および麻黄湯(まおうとう)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はオ(正しいもの)です。

葛根湯はカンゾウ(甘草)を含む処方です。カンゾウの主成分グリチルリチン酸を含む漢方を大量・長期に服用すると、偽アルドステロン症(むくみ・血圧上昇・低カリウム血症)が起きるおそれがあります。

語呂で覚えるなら「葛根(かっこん)=肩こり・首筋のこり」。体力が中程度以上(実証寄り)で、首筋・肩がこって発汗しにくい風邪の初期に向きます。一方、麻黄湯は体力が充実した実証の人に向き、マオウを含む処方です。アはどちらも虚証でなく実証寄り、イはマオウ含有、エは実証寄り、ウはダイオウを含みません。

葛根湯と麻黄湯の証・組成比較:

項目葛根湯麻黄湯
体力の目安(証)中程度以上(実証寄り)・発汗なし比較的体力充実した実証・発汗なし
主な症状首筋・肩のこり・頭痛・発熱・悪寒発熱・悪寒・身体の節々の痛み(関節痛)・咳・喘息
カンゾウ含有あり(甘草)あり(甘草)
マオウ含有あり(麻黄)あり(麻黄)※麻黄湯の核心生薬
ダイオウ含有なしなし
代表的な使用場面感冒初期・肩こり・五十肩・乳腺炎感冒初期(強い悪寒・関節痛)・気管支喘息

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 葛根湯は体力が「中程度以上」つまり実証寄りに用いる。体力が虚弱な人(虚証)・胃腸が弱い人・発汗傾向の人には適さない。
  • イ(誤): 麻黄湯はマオウを含む代表的な処方。「麻黄」の名がそのまま含まれている。マオウが含まれないのは桂枝湯や半夏厚朴湯など他の処方。
  • オ(正): 葛根湯はカンゾウを含む。グリチルリチン酸を1日40mg以上(カンゾウとして1日1g以上)摂取すると偽アルドステロン症等の副作用に特に注意が必要とされ、複数漢方の併用・長期服用でこの量を超えやすくリスクが高まる。
  • エ(誤): 麻黄湯は体力が充実した実証の人向け。体力が中等度以下・胃腸が弱い人には不向きであり第一選択にはならない。
  • ウ(誤): 葛根湯・麻黄湯にはダイオウが含まれない。母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避けるとされるダイオウ・センナ等の瀉下成分は含まれていない。

【葛根湯・麻黄湯の構成生薬と各成分の薬理作用】

葛根湯の組成(7生薬): カッコン・マオウ・タイソウ・ケイヒ・シャクヤク・カンゾウ・ショウキョウ

麻黄湯の組成(4生薬): マオウ・ケイヒ・キョウニン・カンゾウ

両処方のキー生薬であるマオウ(麻黄)の薬理:

  • 主成分: エフェドリン(交感神経刺激・アドレナリン作動成分)・プソイドエフェドリン
  • 発汗・解熱・気管支拡張・血圧上昇・心拍数増加
  • 注意が必要な基礎疾患: 心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺機能障害・前立腺肥大(排尿困難の悪化)

【カンゾウの偽アルドステロン症の機序:深掘り】

カンゾウの主成分グリチルリチン酸(GL)は11β-HSD2(11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素2型)を阻害します。

正常な経路:

コルチゾール → 11β-HSD2 → コルチゾン(不活性体)→ 腎臓のミネラルコルチコイド受容体に作用しない

GL阻害時の経路:

コルチゾール → 11β-HSD2が阻害されコルチゾールが分解されない → コルチゾールがアルドステロン受容体(MR)に結合 → Na+貯留・K+排泄促進 → 体液貯留(浮腫)・血圧上昇・低K血症

初期症状: 手足のだるさ・四肢のこわばり・筋力低下・のぼせ・血圧上昇・むくみ

重症例: 低カリウム血症性ミオパチー(横紋筋融解症に進展する場合もある)

グリチルリチン酸(GL)の1日摂取量の目安: 一般にGLとして1日40mg以上、またはカンゾウとして1日1g以上を含有する製剤では、偽アルドステロン症等の副作用に特に注意するとされる(医薬品・医療機器等安全性情報等)。葛根湯はカンゾウを含むため、製品により1日量のGL量は異なる(製品の添付文書で確認すること)。

複数のカンゾウ含有漢方・グリチルリチン酸含有医薬品を併用している患者では容易にこの目安量を超える。登録販売者が行うべき確認:

1. 他に漢方薬・外用消炎剤(グリチルリチン酸含有)を使用していないか

2. 利尿薬・降圧薬を服用していないか(相乗的にK+を低下させる)

3. 手足のだるさ・むくみ・血圧上昇などの初期症状がないか

【葛根湯vs麻黄湯:「証」で使い分けるポイント】

手引きが示す「しばり(証)」の表現例:

  • 葛根湯: 「体力中程度以上のものの感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛みに適すとされる」
  • 麻黄湯: 「体力充実して、かぜのひきはじめで、寒気がして発熱、頭痛があり、咳が出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまりに適すとされる」

両者に共通する注意事項:

  • 体力が虚弱・胃腸が弱い・発汗している場合は不向き
  • マオウを含むため: 心臓病・高血圧・腎臓病・甲状腺機能障害・糖尿病の人は相談
  • カンゾウを含むため: 偽アルドステロン症のリスク(長期・重複服用で増大)
  • 症状が改善しない場合は受診勧奨

上位資格(薬剤師国家試験・漢方専門医)への接続: 葛根湯は現代医学的に見ると「筋肉の緊張を緩和するシャクヤク・カンゾウ(芍薬甘草湯成分)+交感神経刺激・解熱のマオウ・ケイヒ・カッコン」が複合的に働き、肩こり解消・発汗誘導に有効とされる。漢方の「気・血・水(津液)」の観点では「葛根湯は体表(衛分)の熱邪を発散させ、経絡の通りを改善する」と説明される。登録販売者は「証に合った処方選択」の案内役を担い、証が合わないと効果不十分・副作用増大のリスクを認識して受診勧奨に活かすことが重要。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-1「かぜ薬」(漢方処方成分)・ⅩⅣ-1「漢方処方製剤」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-1「かぜ薬」(漢方処方成分)・ⅩⅣ-1「漢方処方製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。