問題
配電線路の開閉器類に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
配電線路の開閉器類についての正誤問題(令和5年度上期 問6)。誤っているものは(4)です。
高圧カットアウト(PC)は柱上変圧器の一次側に取り付けられ、内部の高圧ヒューズが変圧器の過負荷時や内部短絡故障時に溶断して保護します。しかし雷サージのような短時間の大電流に対しては、わざと溶断しないように時間‐電流特性を持たせています。瞬間的な過電流で毎回溶断してしまうと、雷が多い地域で停電が頻発してしまうためです。選択肢4は「雷サージなどの短時間大電流の通過時に直ちに溶断する」としており、この点が誤りです。他の選択肢(開閉器の目的、柱上開閉器の種類、ループ方式の特徴、パッドマウント変圧器)はすべて正しい記述です。
配電線路の開閉器のうち、柱上変圧器の一次側に取り付けられる高圧カットアウト(PC)には高圧ヒューズが内蔵されています。このヒューズの役割は、変圧器の過負荷や内部短絡事故のような持続的な過電流が流れたときに溶断して変圧器と配電線路を保護することです。一方、雷サージによる短時間の大電流に対しては、ヒューズが溶断しないように時間‐電流特性(反限時特性)が設計されています。もし雷サージのたびに瞬時溶断してしまうと、落雷の多い季節・地域で不要な停電(ヒューズ交換までの停電)が多発し、保護装置としての実用性を失います。選択肢4は「雷サージなどの短時間大電流の通過時に直ちに溶断する」と述べており、この「直ちに溶断する」が実際の設計思想と矛盾するため誤りです。
他の選択肢を確認すると、選択肢1(開閉器は事故時・作業時の区間切り離しに使う)、選択肢2(柱上開閉器には気中形・真空形・ガス形があり手動・自動操作がある)、選択肢3(ループ方式は結合開閉器で構成し建設費は高いが信頼度が高く負荷密度の高い地域に向く)、選択肢5(パッドマウント変圧器は変圧器と開閉器を一体で収納する)はいずれも配電用開閉器・変圧器に関する標準的な記述で誤りはありません。
高圧カットアウトの溶断特性を正しく理解するには、ヒューズが「電流の大きさ」だけでなく「電流が流れる時間」も見て溶断するという点が鍵になります。反限時特性(時間‐電流特性)を持つヒューズは、電流が大きいほど短時間で、電流が小さいほど長時間かけて溶断します。雷サージは振幅こそ大きいものの持続時間が極めて短い(マイクロ秒~ミリ秒)ため、ヒューズの溶断に必要な熱量(I²t)に達せず、溶断しません。これに対し、変圧器の過負荷や内部短絡は電流が持続的に流れ続けるため、短時間で溶断に必要な熱量に達し、確実に保護動作します。
この「持続時間で区別する」という考え方は、配電系統の他の保護機器にも共通します。例えばOCGR(地絡過電流継電器)やDGR(地絡方向継電器)も、瞬時的なサージやノイズで誤動作しないよう整定時限を持たせています。電験三種の配電分野では、この問題のように「正しそうに見える記述に、動作条件の一部(持続時間・方向性・設置位置など)を取り違えた誤りを一つだけ混ぜる」パターンが頻出します。選択肢を読むときは、機器の目的だけでなく「どういう条件で動作し、どういう条件では動作しないか」まで照合することが、この種の問題を確実に解く近道です。
高圧カットアウトを点検・交換する際にも、この時間‐電流特性の考え方が実務上重要になります。ヒューズが切れた原因が一時的な雷サージによるものではなく、持続的な過負荷や内部短絡である場合、同じ定格のヒューズに交換しただけでは再び溶断するため、まず過負荷や短絡の原因を取り除いてから交換する、という手順が求められます。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

