電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和5年度上期 電力 問3|発電(火力発電)

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

次の文章は,火力発電所に関する記述である。 火力発電所において,ボイラから煙道に出ていく燃焼ガスの余熱を回収するために,煙道に多数の管を配置し,これにボイラへの (ア) を通過させて加熱する装置が (イ) である。同じく煙道に出ていく燃焼ガスの余熱をボイラへの (ウ) 空気に回収する装置が, (エ) である。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

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答え合わせ

正解は 5
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

火力発電所の排熱回収装置についての空欄補充問題(令和5年度上期 問3)。正答は(5)です。

ボイラから煙道に出ていく燃焼ガスの余熱を使って、ボイラに入る前の給水(ア)を温める装置が節炭器(イ)です。同じ排熱を燃焼用(ウ)の空気の予熱に使う装置が空気予熱器(エ)です。どちらも排ガスの余熱を回収して熱効率を上げる省エネ装置で、空気予熱器の方が煙道のより下流(温度が低い側)に置かれます。したがって(ア)給水・(イ)節炭器・(ウ)燃焼用・(エ)空気予熱器となり、正答は(5)です。

汽力発電所のボイラでは、燃料を燃やした後の排ガス(燃焼ガス)がまだ高温のまま煙道に出ていきます。この余熱を使い切らずに煙突から捨ててしまうと熱効率が下がるため、煙道に排熱回収装置を設けます。

一つは節炭器(エコノマイザ)で、ボイラ本体に入る前の給水(ア)を、煙道に配置した多数の管に通して予熱します(イ)。給水をあらかじめ温めておくことで、ボイラで蒸気にするまでに必要な熱量が減り、燃料消費を節約できます(「節炭器」の名はここから来ています)。

もう一つは空気予熱器で、同じ排ガスの余熱を、燃焼用(ウ)の空気を予熱するために使います(エ)。燃焼用空気を事前に温めておくと燃焼が良くなり、ボイラ効率が上がります。

排ガスの流れの順序としては、ボイラ本体→過熱器→(必要なら再熱器)→節炭器→空気予熱器→煙突、という順に温度が下がっていくのが一般的です。節炭器と空気予熱器はどちらも「排熱の再利用」という点で共通しますが、温める対象が「水(給水)」か「空気(燃焼用空気)」かで区別します。

以上から(ア)給水・(イ)節炭器・(ウ)燃焼用・(エ)空気予熱器の組合せとなり、正答は(5)です。他の選択肢は、(イ)を「再熱器」(これは高圧タービンを出た蒸気をボイラで再加熱する装置で、給水の予熱とは無関係)としたり、(ア)を「蒸気」(節炭器が温めるのは蒸気ではなく給水)としたり、(エ)を「過熱器」(ボイラで発生した飽和蒸気をさらに加熱する装置で、空気は温めない)としたりする誤りを含んでいます。(ウ)の「加熱用」空気という用語も、ボイラで燃料を燃やすための「燃焼用」空気とは異なります。

節炭器と空気予熱器はどちらも「ボイラから出ていく排ガスの熱を、ボイラに入ってくる物(水または空気)に移す」熱交換器ですが、置かれる場所と温める対象が異なります。節炭器は給水を温めるため、ボイラ本体に近い(排ガス温度がまだ高い)位置に置かれ、空気予熱器はその後段、排ガス温度がさらに下がった位置に置かれるのが一般的です。これは、給水は給水加熱器ですでに加熱されていて温度が高いのに対し、燃焼用空気はほぼ外気温度で入ってくるためです。最も温度の低い空気を煙道の最後段に置くことで、排ガスをより低い温度まで冷やして余熱を回収できます。

この排熱回収の仕組みは、ランキンサイクルの熱効率を上げる工夫の一つです。ボイラに入る給水の温度が高いほど、ボイラで追加しなければならない熱量(蒸気にするまでの熱量)が減り、同じ燃料でより多くの蒸気を作れます。同様に、燃焼用空気を予熱すると、空気を外気温度から温めるために使われていた燃料の熱の一部を排ガスの余熱でまかなえるため、ボイラ効率が上がり、燃焼も安定します。

過熱器・再熱器と節炭器・空気予熱器を混同しないことも重要です。過熱器・再熱器は「蒸気の温度を上げる」装置で、タービンに送る蒸気や、高圧タービンを出てボイラに戻ってきた蒸気を加熱します。これに対し節炭器・空気予熱器は「ボイラに入る前の給水・空気を予熱する」装置で、どちらも排ガスの余熱を使うという点が共通しますが、温める対象(蒸気か、給水・空気か)が全く異なります。この区別を理解しておくと、本問のような空欄補充問題で選択肢を機械的に判別できます。

本問の文章にある「煙道に多数の管を配置し,これにボイラへの給水を通過させて加熱する」は、節炭器の構造そのものです。管の内側を給水が、外側を燃焼ガスが流れる熱交換器になっています。空気予熱器には、伝熱管を使う方式のほか、回転する蓄熱体を燃焼ガス側と空気側に交互に通して熱を移す再生式もあります。また空気予熱器は煙道の最後段にあるため、排ガス温度を下げすぎると、燃料中の硫黄分から生じた酸が結露して機器を腐食させる低温腐食が起こります。そのため排ガスの余熱回収には限度があり、排ガス温度はある程度以上に保たれます。

この問題の根拠出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。