電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和4年度下期 電力 問8|送電(架空送電線路)

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

架空送電線路の構成要素に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

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答え合わせ

正解は 2
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

架空送電線路の構成要素についての正誤問題(令和4年度下期 問8)。誤っているものは(2)です。

トーショナルダンパは、電線のねじれ(トーショナル)振動を抑えることで、氷雪が非対称に付着した電線に風が当たって起きるギャロッピング(大振幅・低周波の振動)を防止するための装置です。選択肢2は「着雪防止が目的」「着雪を防止し」としていますが、トーショナルダンパ自体は着雪(電線に雪が付くこと)を防ぐ装置ではなく、着雪後に生じる振動を抑える装置なので誤りです。他の選択肢(アークホーン、アーマロッド、相間スペーサ、埋設地線)はすべて正しい記述です。

ギャロッピングとは、送電線の電線に氷や雪が非対称な形で付着し、その断面が翼のような形になった状態に風が当たることで、電線が上下方向に大きく振れる低周波・大振幅の振動現象です。放置すると電線相互の接近・短絡事故や、電線・金具の疲労破損につながります。

トーショナルダンパは、電線に取り付けて電線のねじれ振動を抑え、ねじれと上下の揺れが組み合わさって成長するギャロッピングを防止する装置です。あくまで「振動を抑える」ことが目的であり、電線に雪や氷が付着すること自体を防ぐわけではありません。選択肢2は「着雪防止が目的で電線に取り付ける。風による振動エネルギーで着雪を防止し,ギャロッピングによる電線間の短絡事故などを防止する」としていますが、トーショナルダンパの目的は着雪防止ではなくギャロッピングの振動そのものを抑えることであり、「着雪を防止する」という部分が誤りです(着雪を防ぐ対策としては、電線にらせん状のリングを取り付ける難着雪リングなどの別の装置が使われます)。

他の選択肢を確認すると、選択肢1(アークホーンはがいし両端の金属電極で、雷サージによるフラッシオーバのアークを電極間に誘導してがいし破損を防止)、選択肢3(アーマロッドは電線の振動疲労やアークスポットによる電線溶断を防ぐためクランプ付近に同材質の金属を巻き付ける)、選択肢4(相間スペーサは強風時の電線相互の接近・衝突を防ぐため間隔を保持する)、選択肢5(埋設地線は塔脚の接地抵抗を小さくし逆フラッシオーバを抑止する)はいずれも標準的で正しい記述です。

ギャロッピング対策を正しく理解するには、「振動が起きる原因」と「対策装置がどの段階に効くか」を分けて考える必要があります。氷雪が電線に非対称に付着すると、電線の断面が飛行機の翼のような形になり、風が当たることで揚力(風向きに対して垂直方向の力)が発生します。この揚力が電線の振動を励起し、電線の重量・張力・径間長で決まる固有振動数と共振すると、振幅の大きい低周波振動(ギャロッピング)が持続します。

これに対する対策は大きく2段階に分けられます。一つは着雪・着氷そのものを防ぐ対策(電線表面の形状を変えて雪が付きにくくする難着雪リングなど)、もう一つは既に非対称な氷雪が付いてしまった後の振動を抑える対策(トーショナルダンパのように、電線のねじれ振動を抑えてギャロッピングへの成長を防ぐ)です。トーショナルダンパは後者に属し、着雪そのものには関与しません。

この問題のように、架空送電線路の付属品(アークホーン・ダンパ・アーマロッド・スペーサ・地線)は、それぞれ「雷害対策」「振動対策」「機械的保護」「相間短絡防止」「接地・逆フラッシオーバ対策」という異なる目的のために設置されており、見た目や設置場所が似ていても目的を混同しないことが重要です。選択肢の中に正しい名称と誤った目的・原理を組み合わせたものを混ぜる、というのがこの分野の典型的な出題パターンです。

電線の振動対策は原因となる風速域によっても種類が分かれます。微風振動はおだやかで一様な風で電線の後方に渦(カルマン渦)が発生して起きる上下振動で、ダンパ(防振装置)で吸収します。ギャロッピングは氷雪付着時の強風で起きる大振幅・低周波の振動で、トーショナルダンパが対応します。多導体(複数本の電線を束ねた構成)では素導体間でサブスパン振動という別の振動現象も起きるため、相間スペーサとは異なるスペーサ(素導体間隔保持材)で抑制します。このように風速・氷雪の有無・電線の構成によって、起きる振動の種類と対策装置が細かく分かれている点が、送電線の振動対策を学ぶ際のポイントです。

この問題の根拠出典:令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。