電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和4年度下期 電力 問7|変電(変圧器・変電所・保護)

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

次の文章は,変圧器の結線方式に関する記述である。 変圧器の一次側,二次側の結線にY結線及びΔ結線を用いる方式は,結線の組合せにより四つのパターンがある。このうち, (ア) 結線はひずみ波の原因となる励磁電流の第3高調波が環流し,吸収される効果が得られるが,一方で中性点の接地が必要となる場合は適さない。 (イ) 結線は一次側,二次側とも中性点接地が可能という特徴を有する。 (ウ) 結線及び (エ) 結線は第3高調波の環流回路があり,一次側若しくは二次側の中性点接地が可能である。 (ウ) 結線は昇圧用に, (エ) 結線は降圧用に用いられることが多い。 特別高圧系統では変圧器中性点を各種の方法で接地することから, (イ) 結線の変圧器が用いられるが,第3高調波の環流の効果を得る狙いから (オ) 結線を用いた三次巻線を採用していることが多い。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,(ア)~(エ)の左側は一次側,右側は二次側の結線を表す。

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正解は 2
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解説

変圧器の結線方式についての空欄補充問題(令和4年度下期 問7)。正答は(2)です。

Δ-Δ結線(ア)は励磁電流の第3高調波がΔ巻線内を環流して吸収されますが、中性点接地が必要な場合には適しません。Y-Y結線(イ)は一次・二次とも中性点接地が可能です。Δ-Y結線(ウ)は昇圧用、Y-Δ結線(エ)は降圧用に使われ、どちらも第3高調波の環流路があり中性点接地も可能です。特別高圧系統ではY-Y結線が使われますが、第3高調波吸収のためΔ結線(オ)の三次巻線を持つことが多いです。したがって(ア)Δ-Δ・(イ)Y-Y・(ウ)Δ-Y・(エ)Y-Δ・(オ)Δとなり、正答は(2)です。

変圧器の一次側・二次側の結線にY結線とΔ結線を用いる方式には、Δ-Δ、Y-Y、Δ-Y、Y-Δの4パターンがあります。

Δ-Δ結線(ア)は、励磁電流に含まれる第3高調波がΔ巻線の中だけを循環する電流(環流電流)として流れるため、外部の相電圧をひずませずに吸収できます。ただし、中性点そのものが存在しないため、中性点接地が必要な用途には適しません。

Y-Y結線(イ)は、一次側・二次側のどちらにも中性点があるため、両側で中性点接地が可能という特徴があります。しかし第3高調波を循環させる閉路(Δのような環流路)がないため、第3高調波が相電圧に重畳してひずみ波を生じやすいという欠点があります。

Δ-Y結線(ウ)・Y-Δ結線(エ)は、どちらも片側にΔ巻線があるため第3高調波の環流回路を持ちつつ、もう片側のY巻線側では中性点接地が可能という、両方の利点を兼ね備えた結線です。Δ-Y結線は低圧側(発電機側など)をΔ、高圧側をYとすることで高圧側の中性点接地と昇圧がしやすいため昇圧用に、Y-Δ結線は逆に高圧側をY、低圧側をΔとすることで降圧用に、それぞれ多く用いられます。

特別高圧系統では、変圧器中性点を各種の方法で接地する必要があるため、両側で接地可能なY-Y結線(イ)の変圧器が使われます。しかしY-Y結線だけでは第3高調波の問題が残るため、第3高調波を環流させる三次巻線としてΔ結線(オ)を追加し、Y-Y-Δの3巻線変圧器として使うことが多くあります。

以上から(ア)Δ-Δ・(イ)Y-Y・(ウ)Δ-Y・(エ)Y-Δ・(オ)Δの組合せとなり、正答は(2)です。選択肢1は(ア)(イ)を入れ替えており、Y-Yには第3高調波の環流路がなく、Δ-Δは中性点接地ができません。選択肢3は(ウ)(エ)を逆にしており、昇圧用(一次=低圧側がΔ、二次=高圧側がY)と降圧用の対応が反対です。選択肢4は(ア)〜(エ)がすべて性質と合わず、(オ)もYです。選択肢5は(ア)〜(エ)は正しいものの、(オ)をYとしており、Y結線の三次巻線では第3高調波を環流させられません。

この問題の核心は「中性点接地の可否」と「第3高調波の環流路の有無」という2つの性質が、Δ結線・Y結線のどちらにあるかを正確に対応させることです。Δ結線は巻線が三角形に閉じているため、各相の起磁力に含まれる第3高調波成分が互いに打ち消し合わず、むしろΔの閉回路の中を循環する電流として吸収されます。この循環電流はΔの外側(線間)には現れないため、外部の電圧波形は正弦波に近く保たれます。一方Y結線は中性点があるために接地が可能ですが、閉じた巻線経路がないため、第3高調波を内部で吸収する仕組みを持ちません。

Δ-Y・Y-Δ結線は、片側をΔにすることで第3高調波の環流路を確保し、もう片側をYにすることで必要な中性点接地を確保する、いわば「両方の利点を取る」設計です。Δ-Yが昇圧用、Y-Δが降圧用に使われることが多いのは、発電所の昇圧変圧器では、発電機につながる低圧側の巻線をΔ、送電系統につながる高圧側の巻線をYとして中性点を接地するためΔ-Yが、逆に送電系統から需要地(低圧側はΔ結線にすることが多い)へ降圧する変電所の変圧器にはY-Δが、それぞれ自然に対応するためです。

特別高圧の変電所でY-Y-Δの3巻線変圧器が使われるのは、一次・二次ともY結線で中性点接地の要件を満たしながら、第3高調波対策として三次巻線にΔを追加する、という2つの要求を同時に満たす構成だからです。この三次巻線は、調相設備(電力用コンデンサなど)の接続点として使われることもあります。結線の問題は、この「接地の必要性」と「高調波対策」という2つの観点を分けて各選択肢を評価すると、確実に正答を選べます。

なお、Δ-ΔとY-Yは一次・二次間に位相のずれ(角変位)を生じませんが、Δ-YとY-Δは一次・二次間に30°の角変位を生じます。並行運転の可否を問う問題では、この角変位が等しい組合せかどうかで判断します。

Y-Y結線で第3高調波の環流路がないと何が起こるかも押さえておきましょう。変圧器の鉄心を正弦波の磁束で励磁するには、励磁電流に第3高調波成分が流れる必要があります。Y-Y結線ではこの第3高調波電流の通り道がないため、磁束がひずみ、相電圧に第3高調波電圧が含まれてひずみ波となります。中性点を接地すると第3高調波電流が中性点から大地を通って流れ、近くの通信線に電磁誘導障害を与えることもあります。Δ結線の三次巻線を設けると、第3高調波電流がΔ巻線の中を環流するため磁束が正弦波に近く保たれ、これらの問題を避けられます。本問の(オ)が「Δ」になるのはこのためです。

この問題の根拠出典:令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。