電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和4年度上期 電力 問14|電気材料・絶縁

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

我が国の電力用設備に使用されるSF₆ガスに関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

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答え合わせ

正解は 4
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

電力用設備で使われるSF₆(六ふっ化硫黄)ガスの性質に関する正誤問題です(令和4年度上期 問14)。

誤っているのは(4)です。遮断器で電流を切ると、接点が離れる瞬間に電極間には必ずアークが発生します。SF₆ガスはアークの発生を防ぐのではなく、発生したアークから電子を奪い、熱を運び去って素早く消す力(消弧能力)が大きいため、ガス遮断器の消弧媒体に使われています。「アークを発生させない」が誤りです。

そのほかの、温暖化への影響が大きい(1)、空気より絶縁破壊強度が高い(2)、誘電損が小さい(3)、GISなどで変電所を小型化した(5)は正しい記述です。正答は(4)です。

【SF₆ガスの絶縁・消弧特性】(令和4年度上期 問14)

「誤っているもの」を選ぶ問題なので、各選択肢を確かめます。

(1) 正。SF₆は塩素や臭素を含まないため、オゾン層を破壊する作用は無視できる。一方で地球温暖化係数がきわめて大きく、京都議定書で削減対象の温室効果ガスに指定されている。電力設備では漏えい防止と点検・撤去時の回収が求められる。

(2) 正。SF₆は電子を捕らえやすい性質(電気的負性)をもち、放電のもとになる電子なだれが起きにくい。気体の絶縁破壊強度は圧力を上げるほど高くなり、同じ圧力の空気と比べるとSF₆のほうが絶縁破壊強度が高い。

(3) 正。気体は液体・固体に比べて誘電率も誘電正接(tanδ)も小さい。誘電損は ωCV²tanδ に比例するので、SF₆ガスを絶縁に使うと誘電損は小さい。

(4) 誤(正答)。遮断器で電流を遮断すると、接点の開離時に電極間にアークが発生することは避けられない。SF₆ガスはアーク中の電子を捕らえ、アークの熱を効果的に奪うことで、電流零点でアークを消し、極間の絶縁を速やかに回復させる。消弧能力に優れる理由は「発生したアークを消す力が大きい」ことであり、「アークを発生させない」は誤り。

(5) 正。SF₆ガスの高い絶縁性能により、機器の絶縁距離を短くできる。ガス絶縁開閉装置(GIS)やガス絶縁変圧器に使われ、変電所の縮小化・屋内化に貢献している。

よって正答は(4)です。

【遮断の仕組みから見た(4)の誤り】(令和4年度上期 問14)

本問は、SF₆ガスの「絶縁媒体」としての性質((2)(3)(5))、「消弧媒体」としての性質((4))、「環境への影響」((1))を一通り並べ、(4)だけ因果関係を入れ替えて誤りにしています。

交流の遮断器では、接点が開いた瞬間も回路のインダクタンスが電流を流し続けようとするため、接点間の気体が電離してアークになります。アークが続いている間は電流が流れ続け、交流電流が零を横切る瞬間にアークがいったん消えます。その直後に極間には過渡回復電圧が加わり、極間の絶縁回復がこの電圧の上昇に負ければアークは再発弧します。したがって遮断性能とは「アークを出さないこと」ではなく、「電流零点の前後でアーク空間を冷やし、電子を取り除き、絶縁を回復させる速さ」で決まります。

SF₆がこの点で優れているのは、

・電気的負性ガスで、アーク空間に残った自由電子を捕らえて負イオンにし、導電性を急速に失わせる

・アークの高温域で分子が解離・再結合するため、アークから熱を運び出す作用が大きい

・アークで分解しても、遮断後に大部分がSF₆に再結合する

という性質によります。ガス遮断器では、可動部の動きでガスを圧縮してアークに吹き付けるパッファ形が代表的です。

(2)のような絶縁破壊強度の性質は、GIS((5))でガスを大気圧より高い圧力で封入して使う理由になります。(3)の誘電損の小ささは、気体絶縁全般の特徴で、油や固体絶縁と比べたときの利点です。

(1)の環境面については、SF₆は化学的に安定で大気中で分解されにくく、温室効果がきわめて大きいため、電力設備では機器の密閉管理、点検・撤去時の回収と再利用が行われています。正誤問題では「オゾン層への影響」と「温暖化への影響」を入れ替えた誤肢も作られるので、両者を区別して覚えておくことが大切です。

この問題の根拠出典:令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。