問題
次の文章は,配電線路に用いられる柱上変圧器に関する記述である。 柱上に設置される変圧器としては,容量 (ア) のものが多く使用されている。 鉄心には,けい素鋼板が多く使用されているが, (イ) のために鉄心にアモルファス金属材料を用いた変圧器も使用されている。 また,変圧器保護のために, (ウ) を柱上変圧器に内蔵したものも使用されている。 三相3線式200Vに供給するときの結線には,Δ結線とV結線がある。V結線は単相変圧器2台によって構成できるため,Δ結線よりも変圧器の電柱への設置が簡素化できるが,同一容量の単相変圧器2台を使用して三相平衡負荷に供給している場合,同一容量の単相変圧器3台を使用したΔ結線と比較して,出力は (エ) 倍となる。 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
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答え合わせ
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- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
柱上変圧器の容量・鉄心材料・保護装置と、V結線の出力を問う穴埋め問題です(令和4年度上期 問12)。
柱上変圧器は数軒〜十数軒程度に供給するもので、容量は10〜100kV・Aが中心です(MV・A級は変電所の変圧器)。アモルファス鉄心は鉄損を減らす「低損失化」のため、内蔵する保護機器は雷から守る「避雷器」です。
単相変圧器1台の容量をSとすると、Δ結線3台の出力は3S、V結線2台の出力は√3Sなので、比は√3S/3S=1/√3倍です。正答は(4)です。
【柱上変圧器の仕様とV結線・Δ結線の出力比】(令和4年度上期 問12)
(ア) 柱上変圧器は高圧6.6kVを低圧100V/200Vに下げて近くの需要家に供給する変圧器で、容量は10〜100kV・A程度のものが多い。10〜30MV・Aは配電用変電所の主変圧器の規模であり、柱上には当たらない。
(イ) アモルファス金属は結晶構造を持たない合金で、けい素鋼板よりヒステリシス損が小さく、薄い帯状で渦電流損も小さい。このため鉄損(無負荷損)が小さくなる。目的は「低損失化」である。アモルファス鉄心は飽和磁束密度が低く鉄心が大きくなりがちなので、「小型化」は当てはまらない。
(ウ) 配電線は雷サージを受けやすいため、避雷器を内蔵した柱上変圧器が使われている。漏電遮断器は低圧の需要家側で地絡を検出して遮断する機器で、柱上変圧器の保護用に内蔵するものではない。
(エ) 単相変圧器1台の定格容量をS[kV・A]とする。
・Δ結線(3台):各変圧器が定格の線間電圧V・定格電流Iを受け持ち、出力は3VI=3S。
・V結線(2台):線電流は変圧器の巻線電流と等しく、定格電流Iまで流せるので、出力は√3VI=√3S。
・比:√3S/3S=1/√3(≒0.577)。
以上より、(ア)10〜100kV・A、(イ)低損失化、(ウ)避雷器、(エ)1/√3 の(4)が正答です。
【V結線の「出力比」と「利用率」】(令和4年度上期 問12)
選択肢の(エ)には 1/√3 と √3/2 の2つが用意されています。どちらもV結線でよく出てくる数値なので、何と何の比なのかを区別する必要があります。
・出力比=V結線の出力/同じ変圧器3台のΔ結線の出力=√3S/3S=1/√3≒0.577
・利用率=V結線の出力/V結線に使った2台の容量の合計=√3S/2S=√3/2≒0.866
本問は「同一容量の単相変圧器3台を使用したΔ結線と比較して」と書いているので出力比であり、1/√3 になります。
V結線で出力が√3Sにとどまる理由は電流の流れ方にあります。Δ結線では線電流が巻線電流の√3倍になるため、巻線に定格電流Iを流すと線電流は√3Iとなり、出力は√3×V×√3I=3VIです。V結線では線電流がそのまま巻線を流れるため、線電流は巻線の定格電流Iまでしか流せず、出力は√3VIとなります。また、V結線の各変圧器では巻線電圧と巻線電流の位相が30°ずれるため、平衡負荷の力率が1でも各変圧器の力率は cos30°=√3/2 となり、容量の一部が有効に使われません。これが利用率 √3/2 の意味です。
V結線は変圧器2台で三相を供給できるので、電柱への取付けが簡単になり、Δ結線の1台が故障したときの応急運転にも使われます。三相負荷が小さい箇所ではV結線、大きい箇所ではΔ結線という使い分けになります。
(イ)の誤肢「小型化」は、アモルファス合金が飽和磁束密度の低い材料で、同じ容量では鉄心断面積が大きくなる点から外れています。採用の理由は、常時電圧がかかって24時間発生する無負荷損を減らせることです。(ウ)の誤肢「漏電遮断器」は低圧側の地絡保護機器で、雷の多い配電線で変圧器の絶縁破壊を防ぐ避雷器とは役割が違います。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

