電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和5年度上期 電力 問1|発電(水力発電)

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

次の文章は,水車の比速度に関する記述である。 比速度とは,任意の水車の形(幾何学的形状)と運転状態(水車内の流れの状態)とを (ア) 変えたとき, (イ) で単位出力(1 kW)を発生させる仮想水車の回転速度のことである。 水車では,ランナの形や特性を表すものとしてこの比速度が用いられ,水車の (ウ) ごとに適切な比速度の範囲が存在する。 水車の回転速度をn [min⁻¹],有効落差をH [m],ランナ1個当たり又はノズル1個当たりの出力をP [kW]とすれば,この水車の比速度nₛは,次の式で表される。 nₛ=n・P^(1/2)/H^(5/4) 通常,ペルトン水車の比速度は,フランシス水車の比速度より (エ) 。 比速度の大きな水車を大きな落差で使用し,吸出し管を用いると,放水速度が大きくなって, (オ) やすくなる。そのため,各水車には,その比速度に適した有効落差が決められている。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

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正解は 4
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解説

水車の比速度についての空欄補充問題(令和5年度上期 問1)。正答は(4)です。

比速度とは、ある水車と相似な形を保ったまま大きさを変えて(ア)、単位落差(1 m)(イ)で単位出力(1 kW)を出すようにしたときの回転速度のことです。水車の種類ごとに適した比速度の範囲があり(ウ)、ペルトン水車の比速度はフランシス水車より小さく(エ)なります。比速度が大きな水車を大きな落差で使うと放水速度が増し、キャビテーションが生じやすくなります(オ)。したがって(ア)相似に保って大きさを、(イ)単位落差(1 m)、(ウ)種類、(エ)小さい、(オ)キャビテーションが生じ、となり正答は(4)です。

比速度(ns)は、同じ形(相似形)を保ったまま水車の大きさだけを変えたとき(ア)、単位落差(1 m)(イ)で単位出力(1 kW)を発生させるように縮小・拡大した仮想水車の回転速度として定義されます。式ではns=n・P^(1/2)/H^(5/4)(nは回転速度[min⁻¹]、Pは出力[kW]、Hは有効落差[m])と表され、この値はランナの形や特性、つまり水車の種類(ウ)によって適した範囲が決まっています。

衝動水車であるペルトン水車は高落差・小流量に向いており比速度が小さく、反動水車であるフランシス水車・カプラン水車は中〜低落差・大流量に向いており比速度が大きくなります。したがってペルトン水車の比速度はフランシス水車より小さい(エ)のが一般的です。

比速度の大きな(低落差向けの)水車を、本来より大きな落差で無理に使うと、ランナ内の流速や放水速度が増し、水圧が局所的に下がることで気泡が生じて壊食を起こすキャビテーションが生じやすく(オ)なります。これを避けるため、各水車にはその比速度に適した有効落差の範囲が定められています。

以上から(ア)相似に保って大きさを・(イ)単位落差(1 m)・(ウ)種類・(エ)小さい・(オ)キャビテーションが生じ、の組合せとなり正答は(4)です。選択肢2は(イ)(ウ)(オ)が正しいものの、(ア)を「一定に保って有効落差を」として比速度の定義(相似形のまま大きさを変える)を取り違え、(エ)を「大きい」としてペルトン・フランシスの大小関係を逆にしています。選択肢1・3・5は(イ)を「単位流量(1 m³/s)」、(ウ)を「出力」、(オ)を「高い効率を得」としており、定義の基準量(落差)と、高落差で使ったときの不具合(キャビテーション)をそれぞれ取り違えています。

比速度の式ns=n・P^(1/2)/H^(5/4)は、「落差が低いほど、同じ出力・回転速度でも比速度が大きくなる」という関係を表しています。Hが分母にあり指数が5/4と大きいため、落差が小さいほどnsは急激に大きくなります。これは物理的に、低落差では水の圧力エネルギーが小さいぶん、大量の水を速い流速で処理する必要があり、そのためにランナの形状が「大流量をゆったり受け止める」カプラン型(可動翼・大きな流路)に近づくことに対応しています。逆に高落差ではわずかな流量で大きな圧力エネルギーを使えるため、ノズルから噴出する水の運動エネルギーだけをバケットで受け止めるペルトン型(小さなランナ・少ない流量)が向いており、比速度は小さくなります。

「相似に保って大きさを変える」という定義の部分は、比速度が水車の絶対的な大きさに依らない、形状だけで決まる指標であることを意味します。実機の水車を設計するときは、まず模型水車(相似形の小型水車)で比速度・効率を実験的に求め、その結果を実機サイズにスケールアップして設計します。この「相似則」の考え方が、比速度という指標そのものの出発点になっています。

キャビテーションは、比速度の大きな水車(低落差向け)を無理に高落差で使ったときだけでなく、吸出し管(反動水車で水を排出する管)の設置高さが高すぎる場合にも生じやすくなります。いずれも「局所的に水圧が下がり、水が気化・再凝縮する際の衝撃でランナ表面を壊食する」という同じ現象で、水力発電の設備保全上重要な論点です。

比速度の式は、相似則から次のように導けます。相似な水車では、ランナの直径をDとすると、流速は√Hに比例するので回転速度はn∝√H/D、流量はQ∝D²√H、出力はP∝QH∝D²H^(3/2)となります。出力の式からD∝√P/H^(3/4)とし、これを回転速度の式に代入するとn∝√H×H^(3/4)/√P=H^(5/4)/√Pです。つまりn・P^(1/2)/H^(5/4)は相似な水車どうしで一定の値になり、この値が比速度nₛです。(ア)の「相似に保って大きさを変える」と(イ)の「単位落差(1 m)・単位出力(1 kW)」は、この導き方そのものを言葉で表したものです。

この問題の根拠出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。