第一種電工

電気工事士1種の実務経験は3年認められる工事・証明書・申請先

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

第一種電気工事士の免状に必要な実務経験を、電気工事士法4条3項と電気技術者試験センター・都道府県の案内で整理。3年以上への短縮時期、経験に入る工事と入らない工事、ビルメンや施工管理の扱い、実務経験なしでできること、証明書と申請先まで表で確認できます。

目次
  1. 第一種の免状を受ける3つのルート(比較表)
  2. 第一種電気工事士の実務経験は何年?(3年以上)
  3. 実務経験に入る工事・入らない工事(一覧表)
  4. ビルメン・保守点検・施工管理は実務経験に入る?
  5. 実務経験がない・足りないときにできること
  6. 実務経験の数え方(通算・合格前の期間)
  7. 実務経験証明書は誰が書く?(証明者と書き方の注意)
  8. 免状の申請先と、交付後の講習
  9. 電気主任技術者の免状から第一種を取る場合(実務経験5年)
  10. まとめ
結論:第一種電気工事士の免状は、試験に合格し、かつ電気工事の実務経験がある人でなければ交付されません(電気工事士法4条3項1号)。必要な期間は3年以上で、令和3年4月1日に5年以上から短縮されました。試験に合格する前の経験も数えられ、別々の会社での期間も通算できます。軽微な工事・特殊電気工事・5万V以上の架空電線路・保安通信設備の工事は経験に入りません。免状の申請先は住所地の都道府県知事です。

合格ナビの第一種電気工事士の問題261問のうち、「電気工事士法」または「電気工事業の業務の適正化に関する法律」を名指しで問う過去問は3問です(令和6〜7年度の学科試験・2026-10-02 集計)。実務経験の要件そのものは学科試験の問題になっていないため、この記事は法令と、免状を交付する側の案内をもとに書いています。

条文の出典は e-Gov 法令検索です(電気工事士法。2026-09-13 取得の現行条文)。

第一種の免状を受ける3つのルート(比較表)

電気工事士法4条3項は、第一種電気工事士免状を受けられる人を2つの号で定めています。1号が「第一種電気工事士試験に合格し、かつ、経済産業省令で定める電気に関する工事に関し経済産業省令で定める実務の経験を有する者」、2号が「前号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有していると都道府県知事が認定した者」です。具体的な組合せは、電気技術者試験センターの電気工事士の免状交付のページが次のように案内しています。

ルート前提必要な実務経験
試験合格(法4条3項1号)第一種電気工事士試験に合格対象の電気工事に3年以上(合格前の経験も可)
認定(法4条3項2号)電気主任技術者免状の取得免状取得後、電気工作物の工事・維持・運用の実務に5年以上
認定(法4条3項2号)昭和62年以前に実施された高圧電気工事技術者試験に合格合格後、対象の電気工事に3年以上

法4条3項にあるのはこの2つの号だけで、試験に合格した人の実務経験を免除する定めはありません。第一種の試験を受けて免状を目指す人が使うのは、1つ目の「試験合格」ルートです。この記事も、特に断らない限りこのルートの話をします。

第一種電気工事士の実務経験は何年?(3年以上)

試験合格ルートで必要な期間は3年以上です。

第一種電気工事士免状に必要な実務経験の期間・試験合格者:3年以上。最終確認日:2026-10-02。出典:電気技術者試験センター 電気工事士の免状交付。

この期間は短縮されています。茨城県は「令和3年4月1日から第一種電気工事士免状の取得に必要な実務経験年数が5年以上から3年以上に短縮されました。」と案内しています(茨城県 第一種電気工事士免状取得に必要な実務経験年数の短縮について)。それより前に書かれた本や記事には「5年」とあるものがあるので、年数は必ず現在の案内で確認してください。

期間を定めているのは法律ではなく経済産業省令です(法4条3項1号の「経済産業省令で定める実務の経験」)。茨城県の第一種電気工事士免状取得の要件は、その根拠を「規第2条の4第1項・2項」と示し、2項の実務経験を「3年以上の従事」と説明しています。

実務経験に入る工事・入らない工事(一覧表)

センターの案内は、実務経験の対象を「次の(a)に掲げるものを除く電気工事」としています。茨城県の案内(同上)が示す、経験に「入る」とされる工事とあわせて表にします。

区分工事・業務根拠として示されているもの
入る電気工作物に該当する電気的設備を設置し、又は変更する工事(自ら施工する工事に伴う設計・検査を含む)茨城県の案内(通達7資公部第409号)
入る第二種電気工事士の養成施設で教員として担当する実習茨城県の案内(同上)
入らない軽微な工事(例:600V以下で使う差込み接続器やスイッチにコードをつなぐ、600V以下の電力量計やヒューズを付け外しする、電線を支える柱や腕木を設ける、地中電線用の管を設ける)センターの案内、茨城県の案内(電気工事士法施行令1条)
入らない特殊電気工事(最大電力500kW未満の需要設備のネオン工事・非常用予備発電装置工事)センターの案内
入らない5万V以上で使用する架空電線路の工事センターの案内
入らない保安通信設備の工事センターの案内
入らないキュービクル・変圧器などの据付けに伴う土木工事、電気機器の製造茨城県の案内(通達7資公部第409号)

試験合格者の実務経験の典型例

茨城県の案内は、試験合格者の実務経験のケースとして次の3つを挙げています。

  • ① 第二種電気工事士の資格で、一般用電気工作物の電気工事の作業に従事する(電気工事士法3条2項)
  • ② 電気主任技術者の監督の下で、事業用電気工作物の電気工事の作業に従事する(電気事業法43条5項)
  • ③ 認定電気工事従事者の認定を受けて、簡易電気工事の作業に従事する(電気工事士法3条4項)

②の事業用電気工作物について、茨城県の実務経験証明書の記載は「自家用電気工作物のうち需要設備にあっては最大電力500kW未満を除く」と括弧書きを付けています。なお、自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)の電気工事の作業は、電気工事士法3条1項により、原則として第一種電気工事士でなければ従事できません(簡易電気工事・特殊電気工事は3条3項・4項の別の定め)。

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ビルメン・保守点検・施工管理は実務経験に入る?

電気工事士法2条3項は、「電気工事」を「一般用電気工作物等又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事」と定めています。点検や運転管理のように設置・変更を伴わない業務は、この定義の電気工事にあたりません。

東京都の電気工事士免状申請窓口(センターの都道府県庁免状窓口で、東京都の申請窓口として案内されているヒューマンアカデミー株式会社)の資料「実務経験に加算できる工事と年数」は、試験合格ルートについて次のように書いています。

  • 「第一種電気工事士試験合格での申請における保安、点検、維持運用の実務。施工管理、現場監督等も実務の年数には含まれません。」
  • 「電気工事士の資格をもたない者が電気工事に従事することは法令違反であり、実務経験にはなりません。」

ビル管理の仕事でも、資格を持って電気設備の設置・変更工事に従事した期間は数えられる可能性がありますが、巡視・点検・運転管理だけの期間は試験合格ルートの経験になりません。電気主任技術者の免状がある人は、前の表の「認定」ルートで維持・運用の実務が数えられます。扱いは窓口ごとに確認が必要なので、申請先の都道府県に事前に相談してください。

実務経験がない・足りないときにできること

  • 試験は先に受けられます。センターは「受験資格に実務経験は不要で、誰でも受験可能です」としています(電気工事士の資格概要)
  • 第一種の試験に合格していれば、各地域の産業保安監督部長に申請して認定電気工事従事者認定証を受け、「簡易電気工事(電圧600V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事)」に従事できます(同ページ。電気工事士法3条4項)
  • 第二種電気工事士免状は試験に合格すれば受けられ(電気工事士法4条4項1号)、実務経験は要りません。第二種で一般用電気工作物の電気工事に従事した期間は、第一種の実務経験として数えられます(前の章の①)

つまり、実務経験がない人は「第一種の試験合格」と「経験を積む」を並行して進められます。合格の時期と経験の時期の前後は問われません。第一種と第二種の違いは電気工事士1種と2種の違い、試験の全体像は第一種電気工事士 完全合格ガイドにまとめています。

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実務経験の数え方(通算・合格前の期間)

  • 合格前の期間も数える:センターは「試験合格以前の実務経験も対象になります」とし、「合格時にすでに第二種電気工事士として上記の実務経験を満たしていれば、すぐにでも都道府県知事に申請することができます」と案内しています
  • 会社が変わっても通算する:茨城県の実務経験証明書の記載は、「A社で2年の経験を積み、その後ブランク期間を経て、B社で1年の経験を積んでいれば、通算3年の経験を有していることになります(ただし、この場合A・B双方からの証明が必要となります)」と例を示しています
  • 主任電気工事士の選任で証明できる場合がある:同じページは、登録電気工事業者などの主任電気工事士に選任されている場合、登録証などの写しで「3年間の実務経験が証明されます」としています

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実務経験証明書は誰が書く?(証明者と書き方の注意)

実務経験は、申請者が自分で書くのではなく、証明者に事実を証明してもらう書類で示します。茨城県の実務経験証明書の記載は、有効な証明書として次のものを挙げています(通達7資公部第409号)。

証明する人・書類補足
雇用主(現在・過去)電気工事業者等に雇用されている、または雇用されていた場合。委任状があれば営業所長・支店長等でもよい
発電所・需要設備の設置者、所属する公益法人の代表者電気保安の委託契約の相手方として認められている(いた)場合
電気工事工業組合などの代表者、2以上の電気工事業者等茨城県の案内で有効とされている証明者
登録簿の謄本など主任電気工事士に選任されている場合など

書き方で注意したいのは、記載が不十分だと受け付けてもらえないことです。東京都の申請窓口は「記載内容が不十分であったり、不正確であったりするなど、そのままでは受付できない事例も見受けられます」として、下書きの段階での事前確認を求めています(実務経験証明書について)。大阪府も「事前に、担当者と実務経験証明書の確認・調整を終えておくことが必要」としています(大阪府 電気工事士免状交付申請等について)。様式と記載例は都道府県ごとに公開されているので、申請先の窓口のものを使ってください。

免状の申請先と、交付後の講習

免状を交付するのは都道府県知事です(電気工事士法4条2項)。センターは「居住されている都道府県知事が交付することになっています」と案内しています。

第一種電気工事士免状の申請窓口:住所地の都道府県の免状窓口(東京都はヒューマンアカデミー株式会社、神奈川県は神奈川県電気工事工業組合など、申請窓口を別に案内している都県がある)。最終確認日:2026-10-02。出典:電気技術者試験センター 都道府県庁免状窓口。

免状を受けた後も義務があります。電気工事士法4条の3により、第一種電気工事士は「第一種電気工事士免状の交付を受けた日から五年以内に」、経済産業大臣の指定する者が行う自家用電気工作物の保安に関する講習を受けなければならず、「当該講習を受けた日以降についても、同様」です。

電気主任技術者の免状から第一種を取る場合(実務経験5年)

電気主任技術者(電験)の免状を持つ人は、試験を受けずに第一種電気工事士免状を受ける道があります。センターの案内では「電気主任技術者免状の取得者で、免状取得後5年以上電気工作物の工事、維持または運用に関する実務に従事していた方」が対象です。数えられるのは免状を取った後の実務です。茨城県の案内は、この「工事、維持又は運用」に保安の監督と、自ら行う工事・維持・運用を含めています。

一方、試験合格ルートでは必要な期間は3年ですが、点検や運転管理だけの期間は数えられません(前の章)。電験を持っていて保守の経験が長い人は認定ルート、工事の経験がある人は試験合格ルート、と自分の経験の中身で選びます。

まとめ

  • 第一種の免状には「試験合格+実務経験」が必要(電気工事士法4条3項1号)。期間は3年以上で、令和3年4月1日に5年以上から短縮
  • 対象は電気工作物の設置・変更の工事。軽微な工事・特殊電気工事・5万V以上の架空電線路・保安通信設備の工事は入らない
  • 試験合格ルートでは、保安・点検・維持運用、施工管理・現場監督の期間は数えない(東京都の申請窓口の資料)。資格がないまま行った工事も数えない
  • 合格前の経験も、複数の会社での期間も通算できる。証明は雇用主などが行い、事前確認を求める窓口がある
  • 申請先は住所地の都道府県。交付後は5年以内ごとの講習がある

よくある質問

Q第一種の試験に合格すれば、実務経験がなくても免状はもらえますか?

もらえません。電気工事士法4条3項1号は、第一種電気工事士免状を受けられる人を「第一種電気工事士試験に合格し、かつ、…実務の経験を有する者」としています。ただし電気技術者試験センターによると、試験に合格していれば、産業保安監督部長に申請して認定電気工事従事者認定証を受け、自家用電気工作物の低圧部分(600V以下)の簡易電気工事には従事できます。

Q実務経験の3年は、試験に合格した後から数えるのですか?

いいえ。電気技術者試験センターは「試験合格以前の実務経験も対象になります」としています。第二種電気工事士として対象の電気工事に3年以上従事していれば、第一種の合格後すぐに免状を申請できます。

Q前の会社に実務経験を証明してもらえないときはどうすればいいですか?

茨城県の案内では、雇用主の証明のほかに、電気工事工業組合などの代表者が証明する書類や、2以上の電気工事業者等が証明する書類も有効とされています。どの書類で証明するかは、申請する都道府県の窓口に事前に相談してください。

Q第一種の免状を受けた後に必要なことはありますか?

電気工事士法4条の3により、第一種電気工事士は免状の交付を受けた日から5年以内に、経済産業大臣の指定する者が行う自家用電気工作物の保安に関する講習を受けなければならず、その後も同様です(やむを得ない事由がある場合を除く)。

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