鉛中毒予防規則(鉛則)の要点を、e-Gov の条文と労働安全衛生法施行令で整理。鉛業務の範囲、作業主任者・作業環境測定・健康診断で対象の号が違うこと、局所排気装置の自主検査、鉛による健康障害(公的資料の範囲)、第一種衛生管理者の公表試験問題(令和8年4月掲載・10月掲載)での扱いを表で確認できます。
目次
結論:鉛中毒予防規則(鉛則)は、鉛業務に労働者を従事させる事業者に、設備、管理、作業環境測定、健康管理、保護具などの措置を義務づける厚生労働省令です。数字は、局所排気装置などの定期自主検査が1年以内ごとに1回(1年を超えて使用しない期間を除く。記録は3年間保存)、作業環境測定が1年以内ごとに1回(記録は3年間保存)、定期の健康診断が6月以内ごとに1回(令別表第四第17号などの業務は1年。第53条第4項に緩和がある。健康診断個人票は5年間保存)です。同じ「鉛業務」でも、作業主任者・作業環境測定・健康診断で対象になる号が違います。第一種衛生管理者の公表試験問題には、令和8年4月掲載分と令和8年10月掲載分に、鉛に触れる問が合わせて6問あります。
この記事は、「鉛中毒」「鉛中毒予防規則」を調べている方に向けて、まず規則の全体像を条文で整理し、そのあとで衛生管理者の公表試験問題での扱いを確かめます。鉛による健康障害の説明は、条文と厚生労働省の資料に書かれている範囲にとどめます。個別の症状や検査値の相談には答えられません。気になる症状がある場合は医師に、事業場での措置については所轄の労働基準監督署(都道府県労働局・労働基準監督署の所在地一覧(厚生労働省))に相談してください。
この記事の条文は、e-Gov 法令検索の鉛中毒予防規則・労働安全衛生法施行令・労働安全衛生規則です(2026-10-09 に取得した現行条文)。鉛則は、2026年4月1日時点の版と2026年10月1日施行の版を比べると、第23条の3、第52条の3の2、第52条の3の4(と附則)の文言が違い、この記事で引いたほかの条は同文です。労働安全衛生法施行令の第6条・第21条・第22条・別表第四と、労働安全衛生規則第36条も、2つの版で同文です。後で取り上げる公表試験問題(令和7年7月〜令和8年6月に実施。令和8年1月1日以降に施行された法令には対応していない)の基準に当たる 2025-12-31 時点の版と比べると、鉛則は第45条・第46条・第51条・第52条の3・第58条で「鉛業務に従事した者」「作業に従事する者」などの語が「作業従事者」に改められた(2026-04-01 施行)ほかは、この記事で引いた条の内容に違いはありません(労働安全衛生規則第36条の改正は、鉛と関係のない号だけです)。
衛生管理者試験の有害業務の科目:第一種は労働衛生(有害業務に係るもの)10問(80点)、関係法令(有害業務に係るもの)10問(80点)を含む。第二種は労働衛生・関係法令とも有害業務に係るものを除く。最終確認日:2026-10-09。出典:安全衛生技術試験協会 第一種・第二種衛生管理者の紹介。
鉛則の対象:鉛等と鉛業務の定義
鉛則第1条は、用語を次のように定めています。
| 用語 | 内容(条文の要点) | 条 |
|---|---|---|
| 鉛等 | 鉛、鉛合金及び鉛化合物並びにこれらと他との混合物(焼結鉱、煙灰、電解スライム及び鉱さいを除く) | 第1条第1号 |
| 焼結鉱等 | 鉛の製錬又は精錬を行なう工程において生ずる焼結鉱、煙灰、電解スライム及び鉱さい並びに銅又は亜鉛の製錬又は精錬を行なう工程において生ずる煙灰及び電解スライム | 第1条第2号 |
| 鉛合金 | 鉛と鉛以外の金属との合金で、鉛を当該合金の重量の10パーセント以上含有するもの | 第1条第3号 |
| 鉛化合物 | 令別表第四第6号の鉛化合物(同号は「酸化鉛、水酸化鉛その他の厚生労働大臣が指定する物に限る」とする) | 第1条第4号 |
| 鉛業務 | 第1条第5号のイからワまでに掲げる業務並びに令別表第四第8号から第11号まで及び第17号に掲げる業務 | 第1条第5号 |
鉛則は、鉛業務ごとに、設備の要件を条を分けて定めています(第5条から第19条)。たとえば、第7条は鉛蓄電池の製造等(第1条第5号ハ)、第16条は自然換気が不十分な場所でのはんだ付け(同号リ)の設備を定めています。
適用除外
第3条は、次の4つのいずれかに当たる鉛業務に労働者を従事させる場合は、この省令の大部分を適用しないと定めています(適用が残る規定は、第3条のかっこ書に列挙されています)。
| 号 | 適用されない鉛業務(条文の要点) |
|---|---|
| 第1号 | 鉛又は鉛合金を溶融するかま、るつぼ等の容量の合計が50リットルを超えない作業場における、450度以下の温度による鉛又は鉛合金の溶融又は鋳造の業務 |
| 第2号 | 臨時に行う第1条第5号リからヲまでの業務、又はこれらの業務を行う作業場所における清掃の業務 |
| 第3号 | 遠隔操作によって行う隔離室における業務 |
| 第4号 | 第2条に規定する業務(筆又はスタンプによる絵付けの業務で、所轄労働基準監督署長が健康障害のおそれが少ないと認定したもの、又は第24条・第25条・第28条第1項・第29条・第30条の構造と性能を持つ局所排気装置若しくは排気筒が設けられている焼成窯による焼成の業務) |
第3条の2は、化学物質管理専門家の配置など6つの要件に当たると都道府県労働局長が認定した事業場について、令別表第四第1号から第8号まで、第10号及び第16号の鉛業務(第3条により適用されないものを除く)に、この省令(第39条、第46条、第6章及び第7章の規定を除く)を適用しないと定めています。認定は3年ごとに更新を受けなければ効力を失います(第4項)。
同じ鉛業務でも、対象の号が違う:作業主任者・測定・健康診断
鉛則は、作業主任者、作業環境測定、特殊健康診断の対象を、労働安全衛生法施行令(令)の別表第四の号で決めています。3つとも、対象は同じではありません。
| 措置 | 令の条 | 対象(令別表第四の号。いずれも、遠隔操作によって行う隔離室におけるものを除く) | 鉛則の条 |
|---|---|---|---|
| 鉛作業主任者の選任 | 第6条第19号 | 第1号から第10号までの鉛業務に係る作業 | 第33条 |
| 作業環境測定 | 第21条第8号 | 第1号から第8号まで、第10号又は第16号の鉛業務を行う屋内作業場 | 第52条 |
| 特殊健康診断 | 第22条第1項第4号 | 別表第四に掲げる鉛業務 | 第53条 |
この3つの条文から、令別表第四の号ごとに、どれが対象になるかを並べると、次のとおりです(当サイトの整理で、法令の表ではありません)。別表第四は第1号から第18号まであり、第1号〜第8号は3つとも対象、第12号・第14号・第15号・第18号は特殊健康診断だけが対象です。下の表は、3つの扱いが分かれる号と、代表として第7号を並べたものです(第13号〜第16号は、別表第四の号の中で臨時に行う業務が除かれています)。
| 令別表第四の号(要約) | 作業主任者 | 作業環境測定 | 特殊健康診断 |
|---|---|---|---|
| 第7号 鉛ライニングの業務 | 対象 | 対象 | 対象 |
| 第9号 鉛装置の内部における業務 | 対象 | 対象外(第9号は測定の号に入っていない) | 対象 |
| 第10号 鉛装置の破砕、溶接、溶断又は切断の業務 | 対象 | 対象 | 対象 |
| 第11号 転写紙を製造する工程における鉛等の粉まき又は粉払いの業務 | 対象外 | 対象外 | 対象 |
| 第13号 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務 | 対象外 | 対象外 | 対象 |
| 第16号 溶融した鉛を用いて行なう金属の焼入れ・焼戻し・サンドバスの業務 | 対象外 | 対象 | 対象 |
| 第17号 動力を用いて印刷する工程における活字の文選、植字又は解版の業務 | 対象外 | 対象外 | 対象 |
令の附則に、第6条第19号・第21条第8号・第22条第1項第4号の鉛業務に係る経過措置は残っていません(令の附則で「鉛」を含む規定は、別表の施行期日に関するものだけです)。鉛則の附則に「当分の間」の特例はなく、様式の用紙に関する規定だけです。
設備と局所排気装置:性能・自主検査
鉛業務の設備は、鉛則の第2章(第5条〜第23条の3)と第3章(第24条〜第32条)に定められています。局所排気装置の一般的な構成や制御風速は、局所排気装置の記事にまとめています。鉛則で押さえる数字と要件は次のとおりです。
| 項目 | 条文の内容 | 条 |
|---|---|---|
| フード | 発散源ごとに設ける。外付け式またはレシーバー式は、発散源にできるだけ近い位置に設ける | 第24条第1号・第3号 |
| ダクト | 長さができるだけ短く、ベンドの数ができるだけ少ないものとする。接続部の内面に突起物がない | 第25条第1号・第2号 |
| 除じん装置 | 第26条の表に掲げる鉛業務について設ける同表の設備には、ろ過除じん方式の除じん装置又はこれと同等以上の性能を有するものを設ける。第27条の例外あり(容量50リットル以下の作業場など) | 第26条・第27条 |
| ファン | 除じん装置がある局所排気装置は、除じんした後の空気が通る位置に設ける | 第28条第1項 |
| 排気口 | 屋外に設ける | 第29条 |
| 局所排気装置・排気筒の性能 | フードの外側における鉛の濃度を、空気1立方メートル当たり0.05ミリグラムを超えないものとする能力 | 第30条 |
| 全体換気装置の性能 | 第1条第5号リの鉛業務(はんだ付け)に従事する労働者1人について、100立方メートル毎時以上の換気能力 | 第31条第1項 |
| 定期自主検査 | 第2条に規定する局所排気装置、第5条から第20条までの規定で設ける局所排気装置・プッシュプル型換気装置、第26条の規定で設ける除じん装置(第35条第1項)について、1年以内ごとに1回、定期に。ただし、1年を超える期間使用しない装置の、その使用しない期間は除く。使用を再び開始する際にも検査 | 第35条第2項・第3項 |
| 自主検査の記録 | 検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査を実施した者の氏名、補修等の措置の内容を、3年間保存 | 第36条 |
第23条は、5つの場合(たとえば、労働者が常時立ち入る必要がない屋内作業場の内部の業務、出張して行ない又は臨時に行なう作業の期間が短い業務、側面の面積の半分以上が開放されている屋内作業場での鉛等又は焼結鉱等の溶融・鋳造の業務)に、第5条から第20条までの規定にかかわらず、局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び全体換気装置を設けないことができると定めています。第26条の除じん装置を設けないことができる例外は、第27条で別に定められています(第1号は鉛・鉛合金を溶融するかま等の容量の合計が50リットルを超えない作業場、第2号は設備の内部で排気される鉛の濃度が1立方メートルあたり0.15ミリグラムを超えないとき)。
鉛作業主任者と点検:第33条・第34条
鉛則第33条は、令第6条第19号の作業について、「鉛作業主任者技能講習を修了した者のうちから鉛作業主任者を選任しなければならない」と定めています。選任する資格は、免許ではなく技能講習の修了です。
附則第4条には、「昭和四十九年九月三十日までの間は、衛生管理者の免許を受けた者のうちから鉛作業主任者を選任することができる」という経過措置があります。期限は1974年9月30日で、現在は過ぎています(鉛則の現行条文の附則)。
第34条は、事業者が鉛作業主任者に行わせる事項を5つ定めています。
| 号 | 職務(条文の要点) |
|---|---|
| 第1号 | 鉛業務に従事する労働者の身体ができるだけ鉛等又は焼結鉱等により汚染されないように労働者を指揮する |
| 第2号 | 労働者の身体が鉛等又は焼結鉱等によって著しく汚染されたことを発見したときは、速やかに、汚染を除去させる |
| 第3号 | 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、全体換気装置、排気筒及び除じん装置を毎週1回以上点検する |
| 第4号 | 労働衛生保護具等の使用状況を監視する |
| 第5号 | 令別表第四第9号の鉛業務に労働者が従事するときは、第42条第1項各号に定める措置が講じられていることを確認する |
毎週1回以上の点検(第34条第3号)と、1年以内ごとの定期自主検査(第35条第2項)は、頻度が違います。鉛作業主任者技能講習の科目は、第60条第2項が、健康障害及びその予防措置に関する知識、作業環境の改善方法に関する知識、保護具に関する知識、関係法令の4つと定めています。
作業環境測定と評価:第52条〜第52条の4
鉛則第52条第1項は、令第21条第8号の屋内作業場について、1年以内ごとに1回、定期に、空気中における鉛の濃度を測定すると定めています。測定の記録(測定日時、測定方法、測定箇所、測定条件、測定結果、測定を実施した者の氏名、測定結果に基づいて鉛中毒の予防措置を講じたときはその概要)は、3年間保存します(第2項)。
測定のあとは、第52条の2が、厚生労働大臣の定める作業環境評価基準に従って、第1管理区分、第2管理区分、第3管理区分に区分して評価すると定めています。評価の記録(評価日時、評価箇所、評価結果、評価を実施した者の氏名)も3年間保存します。
| 管理区分 | 事業者の措置(条文の要点) | 条 |
|---|---|---|
| 第3管理区分 | 直ちに、施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づく改善などの必要な措置を講じ、第1管理区分又は第2管理区分となるようにする。措置を講じたときは、効果を確認するため鉛の濃度を測定し評価する。労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるほか、健康診断の実施その他の必要な措置を講じ、評価の記録などを労働者に周知させる | 第52条の3第1項〜第3項 |
| 第2管理区分 | 施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づく改善などの措置を講ずるよう努めなければならない(努力義務)。評価の記録などを労働者に周知させる | 第52条の4 |
測定の頻度は、粉じんや有機溶剤などは6月以内ごと、鉛は1年以内ごとです。ほかの有害業務の測定の頻度は、作業環境測定の記事の表で比べられます。なお、第3管理区分で改善できない場合の個人サンプリング測定等(第52条の3の2)などは、2026年10月1日施行の改正で文言が変わっています(この記事では表に取り上げていません)。
健康診断・診断・就業禁止:第53条〜第57条
鉛則第53条第1項は、令第22条第1項第4号の鉛業務に常時従事する労働者に、雇入れの際、その業務への配置替えの際、その後6月以内ごとに1回、定期に、医師による健康診断を行うと定めています。令別表第四第17号及び第1条第5号リからルまでの鉛業務、またはこれらの業務を行う作業場所における清掃の業務に従事する労働者は、「6月」が「1年」になります。
| 項目 | 内容(条文の要点) | 条 |
|---|---|---|
| 第1項の検査項目 | 業務の経歴の調査、作業条件の簡易な調査、鉛による自覚症状及び他覚症状の既往歴の有無の検査(第5号・第6号の既往の検査結果の調査を含む)、鉛による自覚症状又は他覚症状と通常認められる症状の有無の検査、血液中の鉛の量の検査、尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査 | 第53条第1項第1号〜第6号 |
| 定期の項目の省略 | 前回の健康診断で血液中の鉛の量・尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査を受けた者は、医師が必要でないと認めるときは、定期の健康診断でこの2項目を省略できる | 第53条第2項 |
| 医師が必要と認める場合の追加項目 | 作業条件の調査、貧血検査、赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査、神経学的検査の全部又は一部 | 第53条第3項 |
| 1年に1回で足りる場合 | 令別表第四第17号とリからルまでの業務、これらの清掃を除く鉛業務が行われる場所について、作業環境測定の評価が連続3回第1管理区分(第3条の2により評価の規定が適用されない場合は、過去1年6月の間、第1管理区分に相当する水準)であり、かつ、直近の健康診断のあとに軽微でない作業方法の変更をしていないときは、直近の連続した3回の健康診断で新たに鉛による異常所見がなかった労働者の定期の健康診断を、1年以内ごとに1回とできる | 第53条第4項 |
| 個人票 | 鉛健康診断個人票(様式第2号)を作成し、5年間保存 | 第54条 |
| 医師からの意見聴取 | 健康診断が行われた日から3月以内に行い、聴取した医師の意見を個人票に記載 | 第54条の2第1項 |
| 結果の通知 | 受けた労働者に、遅滞なく通知 | 第54条の3 |
| 労働基準監督署長への報告 | 第53条第1項又は第3項の健康診断(定期のものに限る)を行ったときは、遅滞なく、鉛健康診断結果報告書(様式第3号)を提出 | 第55条 |
第55条の条文には、使用する労働者の人数による条件の記載がありません(2026-04-01 時点の版・2026年10月1日施行の版のどちらも)。
第56条は、鉛業務に従事させている期間、又は従事させなくなってから4週間以内に、「腹部の疝痛、四肢の伸筋麻痺若しくは知覚異常、蒼白、関節痛若しくは筋肉痛が認められ、又はこれらの病状を訴える労働者に、速やかに、医師による診断を受けさせなければならない」と定めています。第57条は、鉛中毒にかかっている労働者と、健康診断又は第56条の診断の結果、鉛業務に従事することが健康の保持のために適当でないと医師が認めた労働者を、医師が必要と認める期間、鉛業務に従事させてはならないと定めています。
保護具と清潔の保持:第45条〜第51条の2・第58条・第59条
| 項目 | 条文の内容(要点) | 条 |
|---|---|---|
| 休憩室 | 鉛業務を行う作業場以外の場所に設ける。入口に足部の鉛等を除去する設備(水を流し、又は十分湿らせたマットなど)と衣服用ブラシを備え、床は真空掃除機又は水洗で容易に掃除できる構造とする | 第45条第1項・第2項 |
| 洗身設備 | 粉状の鉛等又は焼結鉱等に係る鉛業務(第1条第5号リからワまで及び令別表第四第17号の業務を除く)に労働者を従事させるときは、洗身のための設備を設ける | 第47条第1項 |
| そうじ | 鉛業務を行う屋内作業場、休憩室及び食堂の床等を、毎日1回以上、真空そうじ機を用いて又は水洗によってそうじする | 第48条 |
| 手洗い | 硝酸水溶液その他の手洗い用溶液、爪ブラシ、石けん及びうがい液を作業場ごとに備え、作業終了後及び必要に応じて使用させる | 第49条第1項 |
| 喫煙・飲食 | 鉛業務を行う屋内の作業場所における作業従事者の喫煙又は飲食を禁止する(表示などの方法) | 第51条第1項 |
| 掲示 | 鉛業務を行う作業場である旨、鉛により生ずるおそれのある疾病の種類及びその症状、鉛等の取扱い上の注意事項、保護具等が必要な場所の保護具などを見やすい箇所に掲示 | 第51条の2 |
| 呼吸用保護具・保護衣類 | 令別表第四第9号の鉛業務には、有効な呼吸用保護具及び労働衛生保護衣類を使用させる。それ以外でも、第58条第3項の6つの場合(第1条第5号イ・ロ・ヘの業務とこれらの作業場所の清掃、湿式以外による含鉛塗料のかき落とし、サンドバスの砂のかき上げ・取替え、乾燥室の内部、ろ過集じん方式の集じん装置のろ材の取替え、発散防止抑制措置に係る鉛業務)は有効な呼吸用保護具を使用させる。第5項の3つの場合(屋内作業場以外での鉛等の破砕・溶接・溶断・溶着・溶射、第23条第1号〜第3号の鉛業務、自然換気が不十分な場所での鉛業務)も同じ(有効な局所排気装置等を設けて稼動させるときを除く) | 第58条第1項・第3項・第5項 |
| 作業衣 | 粉状の鉛等を取り扱う鉛業務(第1条第5号ワ及び令別表第四第9号の業務を除く)には、作業衣を着用させる(労働衛生保護衣類を着用させるときを除く) | 第59条第1項 |
鉛による健康障害:条文と公的資料に書かれている範囲
鉛による疾病の症状は、鉛則自身が次のように扱っています。
- 掲示(第51条の2第2号):鉛により生ずるおそれのある疾病の種類及びその症状を、作業場に掲示する。条文は、症状の一覧を示していません
- 診断(第56条):腹部の疝痛、四肢の伸筋麻痺若しくは知覚異常、蒼白、関節痛若しくは筋肉痛のいずれかが認められる、またはこれらを訴える労働者に、医師の診断を受けさせる
- 健康診断(第53条):血液中の鉛の量の検査と尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査が定期の健康診断の項目。貧血検査、赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査、神経学的検査は、医師が必要と認める場合の項目
厚生労働省の審議会資料(URLの年月は2006年6月)の「鉛の毒性に関する知見について」は、鉛が体に入る経路と、毒性の項目を次のように示しています(厚生労働省 鉛の毒性に関する知見について(PDF)。この資料は、労働者の鉛業務に限った資料ではなく、幼児・小児や食事中の鉛にも触れています)。
| 項目 | 資料の記述 |
|---|---|
| 吸収 | 「ヒト及び動物においては、鉛は吸入あるいは経口摂取により吸収され、ヒトにおける経皮吸収はほとんどない。」 |
| 血液毒性 | 「造血組織に対する鉛の影響はヘモグロビン合成を減少させる。」 |
| 毒性の項目 | 急性毒性、血液毒性、知能/行動学的影響、神経毒性、腎毒性、生殖発生毒性、発がん性が見出しとして並ぶ |
資料が挙げる吸収の経路(吸入・経口摂取)と、鉛則が定める呼吸用保護具(第58条)や、休憩室・手洗い・喫煙と飲食の禁止(第45条・第49条・第51条)の関係は、当サイトの読みです(資料と条文が、互いを引用しているわけではありません)。鉛中毒の症状を医学的に詳しく説明する資料は、この記事では取り上げていません。
衛生管理者の試験とのつながり(公表試験問題)
安全衛生技術試験協会は、労働安全衛生法に基づく免許試験の公表試験問題のページで、第一種・第二種の衛生管理者の試験問題を、令和8年4月掲載分と令和8年10月掲載分の2回分ずつ公表しています。この4つの公表試験問題で、「鉛」の語が出る問は次のとおりです(鉛筆の語を除く)。
衛生管理者の公表試験問題の掲載:令和8年10月掲載分は令和8年1月から6月までに実施した試験問題、令和8年4月掲載分は令和7年7月から12月までに実施した試験問題。令和8年1月1日以降に施行された法令には対応していない。最終確認日:2026-10-09。出典:安全衛生技術試験協会 公表試験問題(労働安全衛生法に基づく免許試験)。
| 公表年月 | 試験 | 科目 | 問番号 | 鉛の位置づけ(当サイトの要約。問題文は転載していません) | 関連する条文 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和8年4月掲載 | 第一種 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 問3 | 定期自主検査の頻度を問う問の選択肢の1つに、鉛化合物の製造における鉛等の溶融を行う屋内の作業場所の局所排気装置がある(正答は別の選択肢) | 鉛則第35条第2項 |
| 令和8年4月掲載 | 第一種 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 問7 | 労働安全衛生法に基づく免許を受けることで取得できる資格に「該当しないもの」を選ぶ問。鉛作業主任者が選択肢の1つで、これが正答 | 鉛則第33条 |
| 令和8年4月掲載 | 第一種 | 労働衛生(有害業務に係るもの) | 問20 | 有害化学物質と尿中の代謝物等の組合せの問(誤っているものを選ぶ)。鉛と尿中デルタアミノレブリン酸の組合せは選択肢の1つで、誤りではない(正答は別の選択肢) | 鉛則第53条第1項第6号 |
| 令和8年10月掲載 | 第一種 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 問2 | 特別教育を行わなければならない業務に「該当しないもの」を選ぶ問。鉛ライニングの業務が選択肢の1つで、これが正答 | 労働安全衛生規則第36条 |
| 令和8年10月掲載 | 第一種 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 問4 | 措置の結果を所轄労働基準監督署長に報告することが義務付けられているものを選ぶ問。50人に満たない少人数の労働者に対する定期の鉛健康診断が選択肢の1つで、これが正答 | 鉛則第55条 |
| 令和8年10月掲載 | 第一種 | 労働衛生(有害業務に係るもの) | 問20 | 令和8年4月掲載の問20と同じ形の問で、鉛と尿中デルタアミノレブリン酸の組合せは選択肢の1つで、誤りではない(正答は別の選択肢) | 鉛則第53条第1項第6号 |
第二種衛生管理者の公表試験問題(令和8年4月掲載分・令和8年10月掲載分)には、鉛に関する記載がありません(2026-10-09 時点)。
条文との対応で確かめられる点は、次の3つです。
- 鉛作業主任者は、免許ではなく技能講習の修了者から選任する(鉛則第33条)。関係法令(有害業務)問7(令和8年4月掲載)と対応する
- 労働安全衛生規則第36条の各号に、鉛業務(令別表第四)を挙げる号はありません(四アルキル鉛等業務(令別表第五)の号はあります。2026-04-01 の版・2026-10-01 の版とも)。関係法令(有害業務)問2(令和8年10月掲載)の正答と対応する
- 鉛則第55条は、定期の鉛健康診断を行ったときの報告を定め、条文に労働者の人数による条件の記載がありません。関係法令(有害業務)問4(令和8年10月掲載)の、少人数の労働者に対する定期の鉛健康診断が報告の対象である、という正答と対応する
公表された4つの公表試験問題の中身から、今後の試験の内容を決めることはできません。当サイトの衛生管理者の問題は、過去の出題論点をもとにした自作問題です。関係法令は関係法令(有害業務)の論点別問題、鉛の生物学的モニタリングなどの労働衛生は労働衛生(有害業務)の論点別問題で解けます。
間違えやすいポイント
| 取り違え | 条文での正しい区別 |
|---|---|
| 鉛作業主任者を、衛生管理者の免許で選任できるとする | 鉛則第33条は、鉛作業主任者技能講習を修了した者から選任する。附則第4条の衛生管理者免許者の特例は「昭和四十九年九月三十日までの間」で、期限が過ぎている |
| 作業主任者・作業環境測定・健康診断の対象を、同じ号とする | 作業主任者は令別表第四第1〜10号、測定は第1〜8号・第10号・第16号の屋内作業場、健康診断は別表第四の全部(いずれも遠隔操作の隔離室を除く) |
| 鉛の作業環境測定を、6月以内ごととする | 鉛則第52条第1項は1年以内ごとに1回。粉じんや有機溶剤などは6月以内ごと |
| 鉛の定期健康診断を、すべて1年以内ごととする | 原則は6月以内ごと(第53条第1項)。令別表第四第17号とリからルまでの業務、これらの清掃は1年。第4項の緩和は、評価・作業方法・異常所見の条件を満たす場合 |
| 鉛の定期自主検査を、2年以内ごととする | 局所排気装置・プッシュプル型換気装置・除じん装置は1年以内ごと(第35条第2項)。2年以内ごとは特定化学設備(特化則)の自主検査 |
| 自主検査と測定の記録を、5年保存とする | 自主検査の記録(第36条)・測定の記録(第52条第2項)・評価の記録(第52条の2第2項)は3年。5年は健康診断個人票(第54条) |
| 鉛作業主任者の点検頻度を、年1回とする | 作業主任者は、局所排気装置などを毎週1回以上点検する(第34条第3号)。年1回は定期自主検査 |
| 鉛の特殊健康診断の報告を、人数で決まるとする | 第55条は、定期のものを行ったとき遅滞なく報告すると定め、人数の条件の記載がない |
| 鉛業務は特別教育の対象とする | 労働安全衛生規則第36条に、令別表第四の鉛業務を挙げる号はない(四アルキル鉛等業務はある) |
まとめ
- 鉛則は、鉛等・鉛業務(第1条第5号と令別表第四の第8〜11号・第17号)に労働者を従事させる事業者の措置を定める省令。第3条・第3条の2に適用除外がある。
- 作業主任者(令別表第四第1〜10号)、作業環境測定(第1〜8号・第10号・第16号の屋内作業場)、特殊健康診断(別表第四の全部)は、対象の号が違う。鉛作業主任者は技能講習の修了者から選任する(第33条)。
- 数字:定期自主検査は1年以内ごと(記録3年)、作業環境測定は1年以内ごと(記録3年)、定期の健康診断は6月以内ごと(一部は1年、第53条第4項の緩和あり。個人票5年)、作業主任者の点検は毎週1回以上、そうじは毎日1回以上。
- 健康診断の項目は、血液中の鉛の量と尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査が定期の項目。症状の診断は、第56条の症状(腹部の疝痛、四肢の伸筋麻痺・知覚異常、蒼白、関節痛・筋肉痛)で、医師の診断を受けさせる。
- 第一種衛生管理者の公表試験問題では、令和8年4月掲載の関係法令(有害業務)問3・問7と労働衛生(有害業務)問20、令和8年10月掲載の関係法令(有害業務)問2・問4と労働衛生(有害業務)問20に、鉛が出る。第二種の公表試験問題には記載がない。
よくある質問
Q鉛中毒予防規則(鉛則)とは何ですか?
労働安全衛生法に基づく厚生労働省令(昭和47年労働省令第37号)で、鉛業務に労働者を従事させる事業者が講じる措置を定めています。設備と換気装置(第2章・第3章)、鉛作業主任者や定期自主検査などの管理(第4章)、作業環境測定(第5章)、健康管理(第6章)、保護具等(第7章)、鉛作業主任者技能講習(第8章)の順に並んでいます。条文は e-Gov 法令検索で読めます。
Q鉛業務とは、どのような業務ですか?
鉛則第1条第5号は、イからワまでの業務(鉛の製錬・精錬、鉛蓄電池の製造・修理・解体、電線・ケーブルの製造における鉛の溶融、鉛合金や鉛製品の製造、鉛化合物の製造、鉛ライニング、自然換気が不十分な場所でのはんだ付け、施釉、絵付け、溶融した鉛を用いた金属の焼入れなど)と、労働安全衛生法施行令別表第四の第8号から第11号まで及び第17号に掲げる業務を、鉛業務と定めています。第3条には適用除外があります(本文の表を参照)。
Q鉛の健康診断は、何か月ごとに受けますか?
鉛則第53条第1項は、鉛業務に常時従事する労働者に、雇入れの際、その業務への配置替えの際、その後6月以内ごとに1回、医師による健康診断を行うと定めています。令別表第四第17号と鉛則第1条第5号リからルまでの業務、及びこれらの業務を行う作業場所の清掃の業務に従事する労働者は、6月ではなく1年以内ごとです。第53条第4項は、6月以内ごとの業務が行われる場所について、①作業環境測定の評価が直近を含めて連続3回第1管理区分であり、②直近の健康診断のあとに作業方法を変更(軽微なものを除く)していないときは、直近の連続した3回の健康診断で新たに鉛による異常所見がなかった労働者の定期の健康診断を、1年以内ごとに1回で足りるとしています。健康診断個人票は5年間保存します(第54条)。
Q鉛作業主任者は、衛生管理者の免許があれば選任できますか?
鉛則第33条は、令第6条第19号の作業について、「鉛作業主任者技能講習を修了した者のうちから鉛作業主任者を選任しなければならない」と定めています。労働安全衛生規則第16条第1項と別表第一も、この作業の作業主任者の資格を「鉛作業主任者技能講習を修了した者」としています。衛生管理者の免許を受けた者から選任できるとする規定は、この省令の附則第4条にありますが、「昭和四十九年九月三十日までの間」の経過措置で、期限が過ぎています。令和8年4月掲載の第一種衛生管理者の公表試験問題には、労働安全衛生法に基づく免許を受けて取得できる資格に鉛作業主任者が当たらないことを問う問(関係法令(有害業務)問7)があります。
Q第二種衛生管理者の試験にも、鉛中毒予防規則は関係しますか?
安全衛生技術試験協会の紹介ページでは、第二種衛生管理者の労働衛生・関係法令は「有害業務に係るものを除く」とされています。協会が公表している第二種の公表試験問題(令和8年4月掲載分・令和8年10月掲載分)には、鉛に関する記載がありません(2026-10-09 時点)。第一種の公表試験問題には、鉛に触れる問が両方の掲載分にあります(後半の表を参照)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月10日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

