局所排気装置とは何かを、有機溶剤中毒予防規則・特定化学物質障害予防規則・粉じん障害防止規則とその告示の条文で整理。フード・ダクト・排風機・排気口の構成、囲い式と外付け式の制御風速の数値(有機則 0.4・0.5・1.0 m/s ほか)、抑制濃度との違い、1年以内ごとの定期自主検査、第一種衛生管理者の公表試験問題での扱いを表で確認できます。
目次
結論:局所排気装置は、有害物質の発散源の近くで捕捉して吸引し、ダクトで外へ排出する設備です。有機溶剤中毒予防規則(有機則)第16条第1項の表は、制御風速を、囲い式フード0.4メートル毎秒、外付け式フード(側方吸引型0.5、下方吸引型0.5、上方吸引型1.0メートル毎秒)と定めています(表の制御風速は、すべてのフードを開放した場合の風速で、第16条第2項に例外があります)。特定化学物質や粉じんの局所排気装置は、告示が物や発生源の種類ごとに制御風速または抑制濃度を定めており、有機則とは数値が異なります。定期自主検査は、有機則・特化則・粉じん則・鉛則・石綿則のいずれも、各規則が定める局所排気装置について1年以内ごとに1回です(1年を超えて使用しない装置の、その使用しない期間を除く)。
この記事の条文は、e-Gov 法令検索の有機溶剤中毒予防規則・特定化学物質障害予防規則・粉じん障害防止規則・鉛中毒予防規則・石綿障害予防規則です(2026-10-09 に取得した現行条文)。記事で引いた条・項・号の文言は、e-Gov 法令検索の時点指定で比べた2026年1月1日時点の条文と同じです(2026-10-09 時点で照合。2026年10月1日施行の改正も、記事で引いた条を変えていません)。告示とその表は、厚生労働省の関係機関である安全衛生情報センター(JAISH)の掲載文(昭和50年労働省告示第75号・昭和54年労働省告示第67号・特化則第8条の要件(平成15年厚生労働省告示第378号)・粉じん則第12条の要件(平成10年労働省告示第31号))です。この記事は一般的な制度の解説で、個別の現場や体調についての助言ではありません。現場の設備や法令の適用に関する相談は、各都道府県の労働局・労働基準監督署の窓口(厚生労働省)に問い合わせてください。
衛生管理者の受験を考えている方には、第一種衛生管理者の公表試験問題で局所排気装置が取り上げられた実例があります。後半の「衛生管理者の試験とのつながり」で、公表年月・科目・問番号を示します。
局所排気装置とは:構成と条文上の要件
局所排気装置は、一般に、フード、ダクト、空気清浄装置(除じん装置・排ガス処理装置など)、排風機(ファン)、排気口で構成されます(当サイトの説明で、法令上の定義ではありません)。有機則は、第14条から第15条の2で、各部分の要件を定めています。
| 部分 | 有機則の要件(条文の要点) | 条 |
|---|---|---|
| フード | 有機溶剤の蒸気の発散源ごとに設ける。外付け式のフードは、発散源にできるだけ近い位置に設ける。作業方法、蒸気の発散状況、蒸気の比重等からみて、吸引するのに適した型式と大きさのものとする | 第14条第1項 |
| ダクト | 長さができるだけ短く、ベンドの数ができるだけ少ないものとする | 第14条第2項 |
| 排風機 | 空気清浄装置が設けられているときは、清浄後の空気が通る位置に設ける。ただし、吸引された有機溶剤の蒸気等による爆発のおそれがなく、かつファンの腐食のおそれがないときは、この限りでない | 第15条第1項 |
| 排気口 | 直接外気に向かって開放する。空気清浄装置を設けていない局所排気装置(屋内作業場に設けるものに限る)の排気口の高さは、屋根から1.5メートル以上とする。ただし、排気口から排出される有機溶剤の濃度が厚生労働大臣が定める濃度に満たない場合は、この限りでない | 第15条の2第1項・第2項 |
特定化学物質障害予防規則(特化則)第7条第1項は、第3条、第4条第4項または第5条第1項の規定により設ける局所排気装置(第3条第1項ただし書の局所排気装置を含む)について、次の5つを定めています。
1. フードは、第一類物質または第二類物質のガス、蒸気または粉じんの発散源ごとに設け、外付け式またはレシーバー式のフードは、発散源にできるだけ近い位置に設ける(第1号)。
2. ダクトは、長さができるだけ短く、ベンドの数ができるだけ少なく、適当な箇所に掃除口が設けられている等掃除しやすい構造とする(第2号)。
3. 除じん装置または排ガス処理装置を付設する局所排気装置のファンは、処理後の空気が通る位置に設ける(爆発のおそれがなく、かつファンの腐食のおそれがないときは除く)(第3号)。
4. 排気口は屋外に設ける(第4号)。
5. 厚生労働大臣が定める性能を有するものとする(第5号)。
粉じん障害防止規則(粉じん則)第11条第1項も、第4条または第27条第1項ただし書の規定により設ける局所排気装置について、似た形で5つを定めています(違いは、第1号で発生源にできるだけ近い位置に設けるのが外付け式フードであること、第3号の例外が「吸引された粉じんによる爆発のおそれがなく、かつ、ファンの腐食又は摩耗のおそれがないとき」であること、第5号が「厚生労働大臣が定める要件を具備していること」であること)。粉じん則の排出口は、屋外に設けるのが原則です。ただし、移動式の局所排気装置、および別表第二第7号の特定粉じん発生源に設ける局所排気装置のうちろ過除じん方式または電気除じん方式の除じん装置を付設したものは、この限りでないとされています(第4号ただし書)。
フードの型式:囲い式・外付け式・レシーバー式
制御風速の数値は、フードの型式で変わります。有機則・粉じん則の表は、囲い式フードと、外付け式フード(側方吸引型・下方吸引型・上方吸引型)に分けています。特化則の性能告示は、囲い式フードとブース式フード、外付け式フードとレシーバー式フードをそれぞれ並べています。
有機則・特化則・粉じん則の条文と告示には、各フードの形状の定義の記載がありません(2026-10-09 時点)。型式の分類の根拠になるのは、制御風速を測る位置の書き方です。
| 型式 | 制御風速の測り方(告示・有機則の備考) |
|---|---|
| 囲い式フード、ブース式フード | フードの開口面における最小風速 |
| 外付け式フード、レシーバー式フード | フードにより有害物質を吸引しようとする範囲内における、フードの開口面から最も離れた作業位置の風速 |
局所排気装置の定期自主検査指針(安全衛生情報センター掲載)は、検査で風速を測る位置を示す図の中で、フードを次のように分類しています。
| 分類 | 指針の図に示されている型式 |
|---|---|
| 囲い式フード | カバー型、グローブボックス型、一側面開放の建築ブース型、二側面開放の建築ブース型 |
| 外付け式フード | 側方吸引型、上方吸引型、下方吸引型、スロット型(指針の別の図にはルーバー型、グリッド型、円形型も示されている) |
| レシーバ式フード | キャノピー型、グラインダ型 |
指針の図は、図に示す型式以外のフードについて、図に準ずるとしています。この表は指針に図示された型式の整理で、フードの型式の完全な一覧ではありません。指針の図では、建築ブース型が囲い式、スロット型が外付け式に含まれています。
制御風速の数値(有機則・特化則の告示・粉じん則の告示)
有機則第16条(有機溶剤)
有機則第16条第1項は、局所排気装置は、次の表の型式に応じた制御風速を出し得る能力を有するものでなければならないと定めています。
| 型式 | 制御風速(メートル/秒) |
|---|---|
| 囲い式フード | 0.4 |
| 外付け式フード:側方吸引型 | 0.5 |
| 外付け式フード:下方吸引型 | 0.5 |
| 外付け式フード:上方吸引型 | 1.0 |
表の備考は、制御風速は局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の制御風速をいうこと、囲い式フードではフードの開口面における最小風速、外付け式フードではフードにより有機溶剤の蒸気を吸引しようとする範囲内における、フードの開口面から最も離れた作業位置の風速をいうことを定めています。
事業者は、局所排気装置を設けたときは、労働者が有機溶剤業務に従事する間、この表の制御風速以上の制御風速で稼働させなければなりません(第18条第1項)。第18条第1項の規定「にかかわらず」とする例外が3つあります。
- 第18条第2項(第16条第2項):第6条第1項の規定により局所排気装置を設けた場合、および第8条第2項・第9条第1項・第11条の規定に該当して全体換気装置を設けることで密閉設備・局所排気装置が不要とされる場合に局所排気装置を設けたときは、局所排気装置の能力は、換気量を発散する有機溶剤等の区分に応じた全体換気装置の換気量(第17条)に等しくなるまで下げた場合の制御風速を出し得るもので足り(第16条第2項。同条第1項の規定にかかわらず)、その制御風速以上で稼働させれば足りる(第18条第2項)。
- 第18条の2:過去1年6月間、作業場の測定と評価が行われ、その間第1管理区分が継続した場合であって、第18条の3第1項の許可を受けるために有機溶剤の濃度の測定を行うときは、確認者の選任と確認、労働者への送気マスク・有機ガス用防毒マスク等の使用、請負人への周知の措置を講じた上で、第16条第1項の表の制御風速未満の制御風速で稼働させることができる。
- 第18条の3:第18条の2により制御風速未満で稼働させた場合の濃度の測定結果を評価して第1管理区分となったときは、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、その制御風速(特例制御風速)で稼働させることができる。
公表試験問題の有機則の問(後半の表の問5・問6)には、有機則の適用除外と設備の特例がないものとするという前提が置かれています。この前提のもとで読むのが、第16条第1項の表です。
特化則の性能告示(昭和50年労働省告示第75号)
特化則第7条第1項第5号の「厚生労働大臣が定める性能」は、性能告示が定めます。性能告示は、物の種類によって2つに分けています。
| 号 | 基準 | 内容 |
|---|---|---|
| 第1号 | 抑制濃度 | 告示が列挙する物のガス、蒸気または粉じんが発散する作業場に設ける局所排気装置は、フードの外側における当該物の濃度が、表の物の種類に応じた値を超えないものとする |
| 第2号 | 制御風速 | 告示が列挙する別の物のガス、蒸気または粉じんが発散する作業場に設ける局所排気装置は、表の物の状態に応じた制御風速を出し得る |
第2号の制御風速は、物の状態が「ガス状」のとき0.5メートル/秒、「粒子状」のとき1.0メートル/秒です。備考は、制御風速は局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の風速をいうこと、囲い式フードまたはブース式フードではフードの開口面における最小風速、外付け式フードまたはレシーバー式フードでは、第一類物質または第二類物質のガス、蒸気または粉じんを吸引しようとする範囲内における、フードの開口面から最も離れた作業位置の風速をいうことを定めています。
第1号の抑制濃度は、物ごとに値が定められています。表の値は、リフラクトリーセラミックファイバー以外の物については、温度25度、1気圧の空気1立方メートル当たりに占める当該物の重量または容積です(備考。リフラクトリーセラミックファイバーは、1気圧の空気1立方センチメートル当たりに占める5マイクロメートル以上の繊維の数)。表から4つを抜粋します。
| 物の種類(告示第1号の表の抜粋) | 抑制濃度の値 |
|---|---|
| 塩化ビニル | 2立方センチメートル |
| ベンゼン | 1立方センチメートル |
| 弗化水素 | 0.5立方センチメートル |
| カドミウム及びその化合物 | カドミウムとして0.05ミリグラム |
稼働させるときの要件は、特化則第8条第1項に基づく要件告示(平成15年厚生労働省告示第378号)が定めます。性能告示第1号の局所排気装置はフードの外側の濃度を表の値以下に常態として抑えるように、第2号の局所排気装置は表の制御風速以上の制御風速で稼働させます。
粉じん則の告示(昭和54年労働省告示第67号)
粉じん則第11条第1項第5号の要件は、昭和54年労働省告示第67号が定めます。稼働の要件(粉じん則第12条第1項)は、平成10年労働省告示第31号が定め、告示第67号の表の制御風速以上で稼働させるものとしています。告示第67号は、局所排気装置の種類を3つに分けて制御風速を定めています。
第2号(粉じん則第27条第1項ただし書の規定により設ける局所排気装置。研削盤、ドラムサンダー等の回転体を有する機械に係る粉じん発生源に設けるものを除く)は、フードの型式ごとに次の値です。
| フードの型式 | 制御風速(メートル/秒) |
|---|---|
| 囲い式フード | 0.7 |
| 外付け式フード:側方吸引型 | 1.0 |
| 外付け式フード:下方吸引型 | 1.0 |
| 外付け式フード:上方吸引型 | 1.2 |
第3号(研削盤、ドラムサンダー等の回転体を有する機械に係る粉じん発生源に設ける局所排気装置)は、フードの設置方法ごとに次の値です。
| フードの設置方法 | 制御風速(メートル/秒) |
|---|---|
| 回転体を有する機械全体を囲う方法 | 0.5 |
| 回転体の回転により生ずる粉じんの飛散方向をフードの開口面で覆う方法 | 5.0 |
| 回転体のみを囲う方法 | 5.0 |
第3号の備考は、制御風速を、回転体を停止した状態におけるフードの開口面での最小風速と定めています。
第1号ロ(粉じん則第4条の規定により設ける局所排気装置。回転体を有する機械に係る粉じん発生源に設けるものを除く)は、粉じん則別表第二の特定粉じん発生源の区分ごとに、フードの型式別の値が定められています。あわせて第1号イは、一部の特定粉じん発生源について、表に掲げる型式「以外のフード」を有するものであることを求めています(例:別表第二第6号の箇所は外付け式フード、第5号のうち裁断する箇所は上方吸引型の外付け式フードを使えない)。区分ごとの値は次のとおりです(「-」の欄は告示の表でも「-」で、いずれも第1号イがその発生源で使えないとしているフードの型式に当たります。区分の説明は当サイトの要約で、正確な文言は別表第二と告示の表です)。
| 特定粉じん発生源(別表第二) | 囲い式 | 外付け式:側方吸引型 | 外付け式:下方吸引型 | 外付け式:上方吸引型 |
|---|---|---|---|---|
| 第5号:屋内で、岩石または鉱物を裁断する箇所 | 0.7 | 1.0 | 1.0 | - |
| 第5号:屋内で、岩石または鉱物を彫り、または仕上げする箇所 | 0.7 | 1.0 | 1.0 | 1.2 |
| 第6号:屋内で、研磨材の吹き付けにより研磨し、または岩石・鉱物を彫る箇所 | 1.0 | - | - | - |
| 第7号、第9号から第12号まで、第15号に掲げる箇所 | 0.7 | 1.0 | 1.0 | 1.2 |
| 第8号:鉱物等・炭素原料・アルミニウムはくを破砕し、または粉砕する箇所 | 0.7 | 1.0 | - | 1.2 |
| 第8号:鉱物等・炭素原料・アルミニウムはくをふるいわける箇所 | 0.7 | - | - | - |
| 第13号:圧縮空気を用いてちりを払う箇所 | 0.7 | 1.0 | 1.0 | - |
| 第13号:圧縮空気を用いてちりを払う箇所以外の箇所 | 0.7 | 1.0 | 1.0 | 1.2 |
| 第14号:砂型をこわし、または砂落しする箇所 | 0.7 | 1.3 | 1.3 | - |
| 第14号:砂を再生する箇所 | 0.7 | - | - | - |
| 第14号:砂を混練する箇所 | 0.7 | 1.0 | 1.0 | 1.2 |
この表の備考は、制御風速は同時に使用することのある局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の制御風速をいうこと、囲い式フードではフードの開口面における最小風速、外付け式フードでは、特定粉じん発生源に係る作業位置のうち発散する粉じんをフードにより吸引しようとする範囲内における、フードの開口面から最も離れた作業位置の風速をいうことを定めています。
まとめると、同じ囲い式フードでも、有機則は0.4メートル毎秒、粉じん則の告示は多くの区分で0.7メートル毎秒(第6号は1.0メートル毎秒)、特化則の性能告示第2号はガス状0.5・粒子状1.0メートル毎秒と、規則ごとに数値が異なります。数値を覚えるときは、どの規則・告示の値かを必ず対にしておきます。
定期自主検査と点検
局所排気装置の定期自主検査は、規則ごとに条が分かれていますが、頻度は共通です。対象になるのは、各規則が定める局所排気装置です(例:有機則は第5条または第6条の規定により設ける局所排気装置(第20条第1項)、粉じん則は第4条および第27条第1項ただし書の規定により設ける局所排気装置(第17条第1項)、特化則は第29条各号に掲げる装置)。
| 規則 | 条 | 頻度 | 検査事項の例(局所排気装置) |
|---|---|---|---|
| 有機溶剤中毒予防規則 | 第20条第2項 | 1年以内ごとに1回、定期に | フード、ダクト、ファンの摩耗・腐食・くぼみその他の損傷の有無と程度。ダクトと排風機のじんあいのたい積状態。排風機の注油状態。ダクト接続部の緩み。電動機とファンを連結するベルトの作動状態。吸気と排気の能力。そのほか性能を保持するため必要な事項 |
| 特定化学物質障害予防規則 | 第30条第1項 | 同上 | フード、ダクト、ファンの損傷。ダクトと排風機のじんあいのたい積。ダクト接続部の緩み。ベルトの作動状態。吸気と排気の能力。そのほか必要な事項 |
| 粉じん障害防止規則 | 第17条第2項 | 同上 | フード、ダクト、ファンの損傷。ダクトと排風機の粉じんの堆積。ダクト接続部の緩み。ベルトの作動状態。吸気と排気の能力。そのほか必要な事項 |
| 鉛中毒予防規則 | 第35条第2項 | 同上 | フード、ダクト、ファンの損傷。ダクトと排風機のじんあいのたい積。ダクト接続部の緩み。ベルトの作動状態。吸気と排気の能力。そのほか必要な事項 |
| 石綿障害予防規則 | 第22条第1項 | 同上 | フード、ダクト、ファンの損傷。ダクトと排風機のじんあいのたい積。ダクト接続部の緩み。ベルトの作動状態。吸気と排気の能力。そのほか必要な事項 |
いずれも、1年を超える期間使用しない装置は、その使用しない期間は検査を省けます。そのかわり、使用を再び開始する際に、検査事項について自主検査を行います(有機則第20条第3項ほか)。検査の記録は、有機則第21条、特化則第32条、粉じん則第18条、鉛則第36条、石綿則第23条のいずれも、検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査を実施した者の氏名、検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときはその内容を記録して、3年間保存すると定めています。有機則の自主検査と作業主任者の月1回点検の違いは、有機溶剤の資格とはの表でも確認できます。
あわせて、有機則第22条は、局所排気装置をはじめて使用するとき、または分解して改造もしくは修理を行ったときに、ダクトと排風機のじんあいのたい積状態、ダクト接続部の緩み、吸気と排気の能力などの点検を行うと定めています。有機溶剤作業主任者は、局所排気装置などを1月を超えない期間ごとに点検します(有機則第19条の2第2号)。
局所排気装置の定期自主検査指針は、検査項目、検査方法、判定基準を定めています。制御風速に係る局所排気装置(有機則第5条・第6条の局所排気装置、特化則の性能告示第2号の局所排気装置、粉じん則第4条・第27条第1項ただし書の局所排気装置)の判定基準は、制御風速が有機則第16条、特化則告示第2号、または昭和54年告示第67号に定める値以上であることです。抑制濃度に係る局所排気装置(鉛則の局所排気装置、特化則告示第1号の局所排気装置など)の判定基準は、空気中の有害物質の濃度が、鉛則第30条、特化則告示第1号の表、または石綿則告示に定める値を超えないことです。検査方法として、スモークテスターで煙の流れ方を調べること、熱線風速計などで吸い込み気流の速度を測ることなどが示されています。
局所排気装置などの設備を設けない(設けられない)場合に、有機溶剤業務で呼吸用保護具を使わせる場面は、防毒マスクとは?で整理しています。作業環境測定の頻度と管理区分は、作業環境測定をわかりやすくで扱っています。
衛生管理者の試験とのつながり(公表試験問題)
第一種衛生管理者免許試験の科目には、「関係法令(有害業務に係るもの)」と「労働衛生(有害業務に係るもの)」があります。第二種衛生管理者の科目は、どちらも有害業務に係るものを除く範囲です。
衛生管理者試験の有害業務の科目:第一種は労働衛生(有害業務に係るもの)10問(80点)、関係法令(有害業務に係るもの)10問(80点)を含む。第二種は労働衛生・関係法令とも有害業務に係るものを除く。最終確認日:2026-10-09。出典:安全衛生技術試験協会 第一種・第二種衛生管理者の紹介。
安全衛生技術試験協会は、労働安全衛生法に基づく免許試験の公表試験問題のページで、第一種・第二種の衛生管理者の試験問題を、令和8年4月掲載分と令和8年10月掲載分の2回分ずつ公表しています。この4つの公表試験問題で、局所排気装置を扱っている問は次のとおりです。
衛生管理者の公表試験問題の掲載:令和8年10月掲載分は令和8年1月から6月までに実施した試験問題、令和8年4月掲載分は令和7年7月から12月までに実施した試験問題。令和8年1月1日以降に施行された法令には対応していない。最終確認日:2026-10-09。出典:安全衛生技術試験協会 公表試験問題(労働安全衛生法に基づく免許試験)。
| 公表年月 | 試験 | 科目 | 問番号 | 扱われている論点(当サイトの要約。問題文は転載していません) | 関連する条文・告示 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和8年4月掲載 | 第一種 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 問3 | 定期自主検査の頻度が1年以内ごとに1回とされていない設備を選ぶ問。選択肢に、局所排気装置に設けた除じん装置、プッシュプル型換気装置、特定化学設備、排ガス処理装置、鉛の溶融を行う場所の局所排気装置が含まれる | 有機則第20条の2、特化則第30条・第31条、鉛則第35条、粉じん則第17条 |
| 令和8年4月掲載 | 第一種 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 問5 | 第二種有機溶剤等を使う洗浄作業の措置の誤りを選ぶ問。下方吸引型外付け式フードの制御風速、表示の色分け、濃度測定、健康診断などを含む | 有機則第16条第1項の表 ほか |
| 令和8年10月掲載 | 第一種 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 問6 | 同じ形の問。囲い式フードの制御風速、表示の色分け、濃度測定、健康診断、プッシュプル型換気装置の自主検査を含む | 有機則第16条第1項の表 ほか |
| 令和8年4月掲載 | 第一種 | 労働衛生(有害業務に係るもの) | 問18 | 局所排気装置に関する記述の誤りを選ぶ問。フードの分類(建築ブース型)、外付け式と囲い式の比較、フランジ、ダクトの断面積と圧力損失、排風機の設置位置を含む | 有機則第14条・第15条、定期自主検査指針 |
| 令和8年10月掲載 | 第一種 | 労働衛生(有害業務に係るもの) | 問18 | 局所排気装置に関する記述の正しいものを選ぶ問。ダクトの断面積と圧力損失、フランジの有無と排風量、スロット型・建築ブース型・ドラフトチェンバ型フードの分類を含む | 定期自主検査指針 ほか |
これら以外に、局所排気装置の語は次の問にも出てきます(局所排気装置そのものを主題とする問ではありません)。令和8年4月掲載分の第一種「関係法令(有害業務に係るもの)」問4(第一類物質)の選択肢に外付け式フードの局所排気装置に触れる記述、令和8年10月掲載分の同科目 問3(特別管理物質の事業廃止時の記録)の選択肢の記録の1つに局所排気装置の定期自主検査の記録、令和8年4月掲載分・令和8年10月掲載分の第一種「労働衛生(有害業務に係るもの)」問12(化学物質のリスク低減措置)の選択肢に局所排気装置の設置があります。
安全衛生技術試験協会の第二種衛生管理者の公表試験問題(令和8年4月掲載分・令和8年10月掲載分)には、局所排気装置の記載がありません(2026-10-09 時点)。
この表から言えるのは、次の2点です。
- 関係法令(有害業務)の問は有機則の第16条第1項の表(制御風速)を、労働衛生(有害業務)の問は局所排気装置の構造(フードの分類・ダクト・フランジ・排風機)を、それぞれ扱っています。同じ装置が、2つの科目で別の角度から扱われています。
- 公表された4つの公表試験問題の中身から、今後の試験の内容を決めることはできません。
当サイトの衛生管理者の問題は、過去の出題論点をもとにした自作問題です。有機則の局所排気装置などの関係法令は関係法令(有害業務)の論点別問題、局所排気装置の構造や換気などは労働衛生(有害業務)の論点別問題で解けます。第一種と第二種の試験範囲の違いは、衛生管理者 第一種と第二種の違いで整理しています。
間違えやすいポイント
| 取り違え | 条文・告示での正しい区別 |
|---|---|
| 外付け式フードの制御風速を、型式によらず同じ値とする | 有機則第16条の表は、側方吸引型0.5、下方吸引型0.5、上方吸引型1.0メートル毎秒。上方吸引型だけ値が大きい |
| 囲い式フードの制御風速を、どの規則でも0.4とする | 0.4は有機則の値。粉じん則の告示第67号は、第1号ロの表では第6号の区分だけ1.0でほかは0.7、第2号の表では0.7 |
| 制御風速を、フードのどこで測るかを区別しない | 囲い式は開口面の最小風速、外付け式はフードにより吸引しようとする範囲内のフードの開口面から最も離れた作業位置の風速(有機則第16条の備考) |
| 制御風速は、一部のフードを閉じた状態の風速でよいとする | 表の制御風速は、局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の制御風速(有機則第16条の備考) |
| 特化則の局所排気装置は、すべて制御風速で性能を決めるとする | 性能告示は、第1号で抑制濃度(フード外側の濃度)、第2号で制御風速(ガス状0.5・粒子状1.0)を、物ごとに分けている |
| 制御風速と抑制濃度を同じものとする | 制御風速は吸い込み気流の速さ(メートル毎秒)、抑制濃度は有害物質の濃度(ミリグラム・立方センチメートル毎立方メートル) |
| 定期自主検査の頻度を、規則ごとに異なる年数とする | 有機則・特化則・粉じん則・鉛則・石綿則が定める局所排気装置は、いずれも1年以内ごとに1回(1年を超えて使用しない期間を除く)。特定化学設備の自主検査は2年以内ごと(特化則第31条) |
| 自主検査の記録を5年や30年とする | 有機則第21条・特化則第32条・粉じん則第18条・鉛則第36条・石綿則第23条の記録は、いずれも3年間保存 |
| 排風機は、空気清浄装置の手前に置くとする | 空気清浄装置を設けるときは、清浄後の空気が通る位置に排風機を設ける(有機則第15条第1項。爆発や腐食のおそれがないときを除く) |
まとめ
- 局所排気装置は、フード・ダクト・空気清浄装置・排風機・排気口で構成され、発散源の近くで有害物質を捕捉して外へ排出する設備。フードは発散源ごとに設け、ダクトは短く、ベンドを少なくする(有機則第14条)。
- 有機則第16条第1項の制御風速は、囲い式0.4、外付け式の側方吸引型0.5・下方吸引型0.5・上方吸引型1.0メートル毎秒。すべてのフードを開放した場合の値で、第16条第2項などに例外がある。
- 特化則の性能告示は、物ごとに抑制濃度(第1号)または制御風速(第2号:ガス状0.5・粒子状1.0)を定める。粉じん則の告示第67号は、囲い式0.7、外付け式の側方1.0・下方1.0・上方1.2(第2号の表)など、発生源の区分ごとに定める。
- 定期自主検査は、有機則・特化則・粉じん則・鉛則・石綿則のいずれも、各規則が定める局所排気装置について1年以内ごとに1回(1年を超えて使用しない期間を除く)。記録はいずれも3年間保存。
- 第一種衛生管理者の公表試験問題では、令和8年4月掲載分の関係法令(有害業務)問3・問5と労働衛生(有害業務)問18、令和8年10月掲載分の関係法令(有害業務)問6と労働衛生(有害業務)問18が局所排気装置を扱う。第二種の公表試験問題には記載がない。
よくある質問
Q局所排気装置とは何ですか?
有害物質の発散源の近くで、ガス・蒸気・粉じんを捕捉して吸引し、ダクトで運んで外へ排出する換気設備です。有機溶剤中毒予防規則(有機則)は、局所排気装置のフード、ダクト、排風機(ファン)、排気口の要件を定めています(第14条、第15条、第15条の2)。発散源ごとにフードを設け、ダクトはできるだけ短くベンドを少なくすること、排気口は直接外気に向かって開放することなどが条文に書かれています。
Q有機則の制御風速は、フードの型式ごとに何メートル毎秒ですか?
有機則第16条第1項の表は、囲い式フードが0.4メートル毎秒、外付け式フードが側方吸引型0.5、下方吸引型0.5、上方吸引型1.0メートル毎秒と定めています。表の制御風速は、局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の制御風速です。第16条第2項は、第6条第1項の規定により局所排気装置を設けた場合と、第8条第2項・第9条第1項・第11条に該当して全体換気装置を設けることで足りるとされる場合に局所排気装置を設けたときは、換気量を全体換気装置の換気量(第17条)に等しくなるまで下げた場合の制御風速を出し得る能力があれば足りるという例外を定めています。稼働させるときの例外は、第18条第2項、第18条の2、第18条の3にあります。
Q制御風速と抑制濃度は、どう違いますか?
制御風速は吸い込み気流の速さ(メートル毎秒)で、囲い式フードではフードの開口面における最小風速、外付け式フードではフードにより吸引しようとする範囲内でフードの開口面から最も離れた作業位置の風速です。局所排気装置には、表の値以上の制御風速を出し得る能力が求められます。抑制濃度は、フードの外側における有害物質の濃度で、表の値を超えないことを求める基準です。特定化学物質障害予防規則の性能告示(昭和50年労働省告示第75号)は、第1号で抑制濃度、第2号で制御風速を、物の種類ごとに定めています。局所排気装置の定期自主検査指針(安全衛生情報センター掲載)は、抑制濃度を「発生源付近における有害物質の濃度をその値以下に抑えることによって、作業者のばく露濃度を安全水準に保つよう意図して定めた濃度」と説明しています。
Q局所排気装置の定期自主検査は、どのくらいの頻度で行いますか?
有機則第20条第2項、特定化学物質障害予防規則第30条第1項、粉じん障害防止規則第17条第2項、鉛中毒予防規則第35条第2項、石綿障害予防規則第22条第1項は、いずれも、各規則が定める局所排気装置について、1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行うと定めています(1年を超える期間使用しない装置の、その使用しない期間は除き、使用を再び開始する際に自主検査を行います)。検査の記録は、有機則第21条、特化則第32条、粉じん則第18条、鉛則第36条、石綿則第23条のいずれも3年間保存です。
Q局所排気装置の問題は、第二種衛生管理者の試験にも出ますか?
安全衛生技術試験協会が公表している第二種衛生管理者の公表試験問題(令和8年4月掲載分・令和8年10月掲載分)には、局所排気装置の記載がありません(2026-10-09 時点)。協会の紹介ページでは、第二種の科目は労働衛生・関係法令とも「有害業務に係るものを除く」とされています。第一種の公表試験問題には、局所排気装置を扱う問が令和8年4月掲載分と令和8年10月掲載分の両方にあります(後半の表を参照)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月9日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

