防毒マスクとは何かを、防毒マスクの規格(告示)・労働安全衛生法令・有機溶剤中毒予防規則・厚生労働省の通達で整理。隔離式・直結式の使用範囲、吸収缶の色、型式検定の対象、有機則で使わせる場面、使用時間の管理と、第一種衛生管理者の公表試験問題での扱いを表で確認できます。
目次
結論:防毒マスクは、吸収缶でガスや蒸気を取り除いた空気を吸う、ろ過式の呼吸用保護具です。「防毒マスクの規格」(平成2年労働省告示第68号)は、隔離式(濃度2パーセント以下、アンモニアは3パーセント以下)・直結式(1パーセント以下、アンモニアは1.5パーセント以下)・直結式小型(0.1パーセント以下の非緊急用)に分け、吸収缶は外側面の色で種類を示します。酸素濃度が18パーセントに満たない場所は、この規格の適用範囲外です。有機溶剤業務では、有機溶剤中毒予防規則(有機則)第33条が、送気マスク・有機ガス用防毒マスク・有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具のいずれかを使わせる場面を定めています。
この記事の条文は、e-Gov 法令検索の労働安全衛生法・労働安全衛生法施行令・労働安全衛生規則・有機溶剤中毒予防規則です(2026-10-09 に取得した現行条文)。記事で引いた条・項・号の文言は、e-Gov 法令検索の時点指定で比べた2026年1月1日時点の条文と同じです(2026-10-09 時点で照合)。告示と通達は、厚生労働省の関係機関である安全衛生情報センター(JAISH)の掲載文です(防毒マスクの規格・防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について)。この記事は一般的な制度の解説で、個別の現場や体調についての助言ではありません。現場での保護具の選び方や法令の適用に関する相談は、各都道府県の労働局・労働基準監督署の窓口(厚生労働省)に問い合わせてください。
衛生管理者の受験を考えている方には、第一種衛生管理者の公表試験問題で防毒マスクが取り上げられた実例があります。後半の「衛生管理者の試験とのつながり」で、公表年月・科目・問番号を示します。
防毒マスクの規格(告示):種類と使用の範囲
防毒マスクの規格は、労働安全衛生法第42条に基づく厚生労働大臣の告示です。防毒マスクの種類は、形状と使用の範囲で3つに分けられています(第2条第1項の表)。
| 種類 | 形状 | 使用の範囲(ガスまたは蒸気の濃度) |
|---|---|---|
| 隔離式防毒マスク | 吸収缶、連結管、吸気弁、面体、排気弁、しめひもからなる。吸収缶でろ過した清浄空気を連結管を通して吸気弁から吸入し、呼気は排気弁から外気中に排出する | 2パーセント以下(アンモニアは3パーセント以下)の大気中 |
| 直結式防毒マスク | 吸収缶、吸気弁、面体、排気弁、しめひもからなる(連結管を含まない)。吸収缶でろ過した清浄空気を吸気弁から吸入し、呼気は排気弁から外気中に排出する | 1パーセント以下(アンモニアは1.5パーセント以下)の大気中 |
| 直結式小型防毒マスク | 直結式と同じ構成で、非緊急用 | 0.1パーセント以下の大気中 |
隔離式のほうが、使える濃度の上限が高い点に注意します(隔離式2パーセント、直結式1パーセント)。面体は、顔面全体を覆う「全面形」と、鼻および口辺のみを覆う「半面形」に分かれます(第2条第2項の表)。さらに第2条第3項は、防毒マスクを防じん機能を有するものと有しないものに区分し、防じん機能を有するものを、その性能によりS1、S2、S3、L1、L2、L3に区分しています。
適用範囲の例外もあります。第1条のただし書は、酸素濃度が18パーセントに満たない場所、またはガスもしくは蒸気の濃度が2パーセント(アンモニアは3パーセント)を超える場所で使うものには、この規格を適用しないと定めています。酸素が足りない場所では、ろ過式の防毒マスクは使えません。酸素欠乏の定義と対策は、酸素欠乏症とは?18%未満の定義と酸欠則の義務で整理しています。
吸収缶の種類と色(告示の表)
第1条の表は、規格が対象にする防毒マスクと有害物質の組合せを次の5種類に定めています。吸収缶の外部の側面の色は、第8条第5項の表で種類ごとに決められています。
| 防毒マスクの種類 | 対象の有害物質(第1条の表) | 吸収缶の色(第8条第5項の表) |
|---|---|---|
| ハロゲンガス用 | ハロゲンのガスまたは蒸気 | 灰色および黒色(二層に分ける) |
| 有機ガス用 | 有機化合物のガスまたは蒸気 | 黒色 |
| 一酸化炭素用 | 一酸化炭素 | 赤色 |
| アンモニア用 | アンモニア | 緑色 |
| 亜硫酸ガス用 | 亜硫酸ガス | 黄赤色 |
表の備考のとおり、防じん機能を有する防毒マスクは、吸収缶のろ過材がある部分に白線を入れます。また第8条第5項は、色分けに加えて、色分け以外の方法でも種類が表示されていることを求めています。色だけで判断せず、吸収缶に付された表示と添付の取扱説明書で種類を確かめる前提になっています。
吸収缶には、次の事項を記載した印刷物の添付が求められています(第8条第3項)。
- 型式の名称
- 使用の範囲
- 使用上の注意事項
- 破過曲線図
- 使用時間記録カード
- 吸収抵抗上昇値(防じん機能を有する防毒マスクに限る)
- 着用者自身が面体との密着性の良否を容易に検査する方法
破過曲線図と使用時間記録カードは、後の「使用時間の管理」で使います。
法令上の位置づけ:規格と型式検定の対象
防毒マスクは、労働安全衛生法上、譲渡や貸与のときに規格の具備が必要な機械等であり、型式検定の対象でもあります。条文の流れは次のとおりです。
| 区分 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 規格の具備 | 労働安全衛生法第42条、別表第二第9号 | 別表第二に掲げる機械等(第9号が防毒マスク)のうち政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、または設置してはならない |
| 規格の対象 | 労働安全衛生法施行令第13条第5項、労働安全衛生規則第26条 | 別表第二第9号の防毒マスクから、ハロゲンガス用・有機ガス用その他厚生労働省令で定めるもの以外の防毒マスクを除く。省令が定めるのは、一酸化炭素用・アンモニア用・亜硫酸ガス用 |
| 型式検定 | 労働安全衛生法第44条の2、別表第四第6号 | 別表第四に掲げる防毒マスクで政令で定めるものを製造・輸入した者は、登録型式検定機関の型式検定を受けなければならない |
| 型式検定の対象 | 労働安全衛生法施行令第14条の2第6号、労働安全衛生規則第29条の2 | ハロゲンガス用・有機ガス用のほか、省令が定める一酸化炭素用・アンモニア用・亜硫酸ガス用 |
この表から、規格・型式検定の対象になる防毒マスクの種類は、ハロゲンガス用、有機ガス用、一酸化炭素用、アンモニア用、亜硫酸ガス用の5種類です。告示の第1条の表(5種類)と一致します。労働安全衛生規則(e-Gov 法令検索)の第26条・第29条の2には、硫化水素用防毒マスクの記載がありません(2026-10-09 時点)。令第13条第5項・第14条の2第6号の条文にも、硫化水素用の記載がありません(2026-10-09 時点)。
厚生労働省の通達(基発0525第3号)は、この5種類以外の有毒ガス等については、その有毒ガス等に対して有効な吸収缶を使うこと、その際は日本産業規格 T 8152「防毒マスク」に基づいた吸収缶を使うか、製造者等に問い合わせて適切な吸収缶を選ぶことを求めています。
防毒マスクの型式検定の経過措置:型式検定を受けるべき防毒マスクとして一酸化炭素用・アンモニア用・亜硫酸ガス用を定める現在の労働安全衛生規則第29条の2は、令和4年厚生労働省令第91号の第1条による改正で定められました(同令の附則第1条により、この改正は公布の日の令和4年5月31日に施行)。同令の附則第2条は、改正後の第29条の2各号に掲げる防毒マスク(一酸化炭素用・アンモニア用・亜硫酸ガス用)のうち、法第42条の規格を具備していることを登録型式検定機関が認めたものであって、この省令の施行の日において現に存するものを、令和9年5月30日までの間、法第44条の2第1項の型式検定に合格しているものとみなすと定めています。みなしの対象は、この3種類の防毒マスクのうち施行の日に現に存したもので、ハロゲンガス用・有機ガス用は含まれません。最終確認日:2026-10-09。出典:労働安全衛生規則(e-Gov 法令検索)の附則。
有機溶剤業務で使わせる場面(有機則第32条〜第34条)
有機則の第7章(保護具)は、設備による対策が取れない業務などで、呼吸用保護具を使わせる場面を定めています。第32条は送気マスクだけ、第33条は3種類のうちのいずれかです。
| 条 | 使わせるもの | 業務の範囲(条文の要点・当サイトの要約) |
|---|---|---|
| 第32条第1項 | 送気マスク | 第1条第1項第6号ヲの業務。または、第9条第2項の規定により、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備・局所排気装置・プッシュプル型換気装置・全体換気装置を設けないで行うタンク等の内部における業務 |
| 第33条第1項 | 送気マスク、有機ガス用防毒マスク、または有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具のいずれか | 次の7つの業務(第1号〜第7号) |
第33条第1項の7つの業務は、次のとおりです。
| 号 | 業務(当サイトの要約。正確な文言は条文) |
|---|---|
| 第1号 | 第6条第1項の規定により全体換気装置を設けたタンク等の内部における業務 |
| 第2号 | 第8条第2項の規定により、発散源を密閉する設備・局所排気装置・プッシュプル型換気装置を設けないで行うタンク等の内部における業務 |
| 第3号 | 第9条第1項の規定により、発散源を密閉する設備・局所排気装置を設けないで吹付けによる有機溶剤業務を行う屋内作業場等のうち、タンク等の内部以外の場所における業務 |
| 第4号 | 第10条の規定により、発散源を密閉する設備・局所排気装置・プッシュプル型換気装置を設けないで行う屋内作業場等における業務 |
| 第5号 | 第11条の規定により、発散源を密閉する設備・局所排気装置・プッシュプル型換気装置を設けないで行う屋内作業場における業務 |
| 第6号 | プッシュプル型換気装置を設け、荷台にあおりのある貨物自動車等、そのブース内の気流を乱すおそれのある形状を有する物について有機溶剤業務を行う屋内作業場等における業務 |
| 第7号 | 屋内作業場等において、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備(中の有機溶剤等が清掃等により除去されているものを除く)を開く業務 |
この区分から読み取れる点は次のとおりです。
- 第32条と第33条では、使わせられる保護具の範囲が異なる(第32条は送気マスクのみ)。
- 第33条の業務は、設備が設けられない場合や設備が使えない形状の場合などで、呼吸用保護具に頼る場面である。
- 事業者は、第32条第1項・第33条第1項の保護具を、同時に就業する労働者の人数と同数以上備え、常時有効かつ清潔に保持する(第33条の2)。
- 労働者は、これらの業務に従事する間、その保護具を使用しなければならない(第34条)。
- 業務の一部を請負人に請け負わせるときは、請負人に、その保護具を使用する必要がある旨を周知させる(第32条第2項、第33条第2項)。
有機溶剤の区分や作業主任者の制度は、有機溶剤の資格とはで扱っています。局所排気装置などの設備側の対策は、局所排気装置とは?で整理しています。
使い方の留意点:使用時間・密着性・管理責任者(通達)
厚生労働省の通達(令和5年5月25日 基発0525第3号)は、「防じんマスクの選択、使用等について」と「防毒マスクの選択、使用等について」(いずれも平成17年2月7日付け)を廃止し、呼吸用保護具の選択・使用等の留意事項をまとめたものです。法令そのものではなく、事業場への指導の方向を示した文書です。防毒マスクに関する主な内容は次のとおりです。
| 場面 | 通達の内容(要点) |
|---|---|
| 酸素欠乏のおそれ | 酸素欠乏またはそのおそれがある場所、および有害物質の濃度が不明な場所では、ろ過式呼吸用保護具を使用させてはならない |
| 防じんマスクとの使い分け | 防じんマスクは、酸素濃度18パーセント以上の場所でも、有害なガスおよび蒸気が存在する場所では使用しない。その場所では防毒マスク、防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具、または給気式呼吸用保護具を使う |
| 型式検定の確認 | 吸収缶(ハロゲンガス用・有機ガス用・一酸化炭素用・アンモニア用・亜硫酸ガス用)と面体ごとに付されている型式検定合格標章で確認する。吸収缶と面体の型式検定合格番号が同一となる組合せが適切な組合せ(吸収缶は単独で型式検定を受けられるため、番号が異なる場合は取扱説明書で使える組合せかを確認する) |
| 混在する有毒ガス | 2種類以上の有毒ガス等が混在する場合は、混在するそれぞれのガスに対して合格した吸収缶を選ぶ。破過時間は吸収缶の製造者等に問い合わせる |
| 使用限度時間 | 取扱説明書等、破過曲線図、製造者等への照会結果に基づいて、有毒ガス等の濃度、温度、湿度に対して余裕のある使用限度時間をあらかじめ設定し、その時間を限度に使う |
| 使用時間の記録 | 吸収缶に添付の使用時間記録カード等に使用した時間を必ず記録し、使用限度時間を超えて使わない |
| 臭い | 着用者の感覚では有毒ガス等の危険性を感知できないおそれがあるので、吸収缶の破過を知るために、臭いに頼るのは適切ではない |
| 異常を感じたとき | 臭気等の異常を感知したら、速やかに作業を中止して避難し、保護具着用管理責任者等に報告する |
| 吸収缶の再使用 | 破過曲線図、使用時間記録カード等により十分な除毒能力が残っていることを確認できるものに限り再使用できる。メタノール、二硫化炭素等、破過時間が試験用ガスより著しく短い有毒ガス等に使用した吸収缶は、再使用しない |
| 点検 | 使用前に、吸気弁・面体・排気弁・しめひもの破損、亀裂、著しい変形がないこと、吸収缶が適切に取り付けられていること、未使用の吸収缶が保存期限内で包装が破損していないことなどを点検する |
温度や湿度の影響にも触れています。有機ガス用の吸収缶は、使用する環境の温度または湿度が高いほど破過時間が短くなる傾向があり、沸点の低い物質ほどその傾向が顕著だとされています。一酸化炭素用の吸収缶は、湿度が高いほど破過時間が短くなる傾向にあるとされています。
顔面と面体の密着性については、同じ通達が、次のように整理しています。
- 面体を有する呼吸用保護具のフィットテストは、金属アーク溶接等作業を行う作業場所(アーク溶接告示)と第三管理区分場所(第三管理区分場所告示)では、1年以内ごとに1回、定期に実施しなければならないとしています。
- これらの場所以外でも、リスクアセスメントに基づくリスク低減措置として呼吸用保護具を労働者に使用させる事業場では、技術上の指針の7-4と通達の定めにより、1年以内ごとに1回、フィットテストを行うこととしています。
- シールチェック(着用した労働者自身が密着性を確かめる方法)は、取扱説明書の内容に従って行います。主な方法に、吸気口をふさいで息をゆっくり吸う陰圧法と、排気口をふさいで息を吐く陽圧法があります。
保護具着用管理責任者は、労働安全衛生規則第12条の6が定める役職です。化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメントの結果に基づく措置として労働者に保護具を使用させるときに選任し、保護具の適正な選択、労働者の保護具の適正な使用、保護具の保守管理を管理させます(第1項)。選任は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に、保護具に関する知識および経験を有すると認められる者のうちから行います(第2項)。氏名は、事業場の見やすい箇所に掲示するなどして関係労働者に周知させます(第4項)。
衛生管理者の試験とのつながり(公表試験問題)
第一種衛生管理者免許試験の科目には、「関係法令(有害業務に係るもの)」と「労働衛生(有害業務に係るもの)」があります。第二種衛生管理者の科目は、どちらも有害業務に係るものを除く範囲です。
衛生管理者試験の有害業務の科目:第一種は労働衛生(有害業務に係るもの)10問(80点)、関係法令(有害業務に係るもの)10問(80点)を含む。第二種は労働衛生・関係法令とも有害業務に係るものを除く。最終確認日:2026-10-09。出典:安全衛生技術試験協会 第一種・第二種衛生管理者の紹介。
安全衛生技術試験協会は、労働安全衛生法に基づく免許試験の公表試験問題のページで、第一種・第二種の衛生管理者の試験問題を、令和8年4月掲載分と令和8年10月掲載分の2回分ずつ公表しています。この4つの公表試験問題で、防毒マスクを扱っている問は次のとおりです。
衛生管理者の公表試験問題の掲載:令和8年10月掲載分は令和8年1月から6月までに実施した試験問題、令和8年4月掲載分は令和7年7月から12月までに実施した試験問題。令和8年1月1日以降に施行された法令には対応していない。最終確認日:2026-10-09。出典:安全衛生技術試験協会 公表試験問題(労働安全衛生法に基づく免許試験)。
| 公表年月 | 試験 | 科目 | 問番号 | 扱われている論点(当サイトの要約。問題文は転載していません) | 関連する条文・告示 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和8年4月掲載 | 第一種 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 問2 | 厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ譲渡・貸与・設置してはならない機械等に該当するものを選ぶ問。選択肢の1つに、硫化水素用の防毒マスクが含まれる | 労働安全衛生法第42条、同法施行令第13条、安衛則第26条 |
| 令和8年4月掲載 | 第一種 | 労働衛生(有害業務に係るもの) | 問16 | 労働衛生保護具に関する記述の正誤を選ぶ問。隔離式と直結式の使用できる濃度、防じん機能を有する防毒マスクの選択、酸素濃度18%未満の場所で使える呼吸用保護具の種類を含む | 防毒マスクの規格第1条・第2条 |
| 令和8年10月掲載 | 第一種 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 問1 | 化学物質管理者または保護具着用管理責任者に関する記述の正誤を選ぶ問。選択肢の1つが、化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメントの結果に基づく措置として労働者に保護具を使用させるときの、保護具着用管理責任者の選任と管理事項(防毒マスクを名指しする問ではありません) | 労働安全衛生規則第12条の6 |
| 令和8年10月掲載 | 第一種 | 労働衛生(有害業務に係るもの) | 問19 | 呼吸用保護具に関する記述の正しいものを選ぶ問。2種類以上の有害ガスが混在する場合の防毒マスクの使い方、吸収缶の色、防じんマスクの型式検定合格標章と微細な粒子、防じんマスクの手入れ、接顔メリヤスを含む | 防毒マスクの規格第8条第5項、通達 基発0525第3号 |
安全衛生技術試験協会の第二種衛生管理者の公表試験問題(令和8年4月掲載分・令和8年10月掲載分)には、防毒マスクの記載がありません(2026-10-09 時点)。令和8年10月掲載分の第一種「関係法令(有害業務に係るもの)」には、防毒マスクの語を含む問の記載がありません(2026-10-09 時点。問1は保護具着用管理責任者に関する問です)。
この表から言えるのは、次の2点です。
- 令和8年4月掲載分の第一種では、関係法令(有害業務)で規格の対象になる防毒マスクの種類の範囲を、労働衛生(有害業務)で隔離式と直結式の違いなどを、それぞれ扱っています。条文の側(第42条・令第13条)と、告示の側(第2条)の両方に関わる論点です。
- 公表された4つの公表試験問題の中身から、今後の試験の内容を決めることはできません。
当サイトの衛生管理者の問題は、過去の出題論点をもとにした自作問題です。労働衛生(有害業務)は労働衛生(有害業務)の論点別問題、有害業務の関係法令は関係法令(有害業務)の論点別問題で解けます。第一種と第二種の試験範囲の違いは、衛生管理者 第一種と第二種の違いで整理しています。
間違えやすいポイント
| 取り違え | 条文・告示での正しい区別 |
|---|---|
| 直結式のほうが隔離式より、濃度の高い大気中で使えるとする | 隔離式は2パーセント以下(アンモニア3パーセント以下)、直結式は1パーセント以下(アンモニア1.5パーセント以下)。使える濃度の上限は隔離式のほうが高い(規格第2条第1項の表) |
| 酸素濃度が低い場所でも防毒マスクを使えるとする | 規格第1条のただし書は、酸素濃度が18パーセントに満たない場所を適用範囲から除いている。通達は、酸素欠乏のおそれがある場所でろ過式呼吸用保護具を使用させてはならないとしている |
| 吸収缶の色を物質と取り違える | アンモニア用は緑色、有機ガス用は黒色、一酸化炭素用は赤色、亜硫酸ガス用は黄赤色、ハロゲンガス用は灰色と黒色の二層(規格第8条第5項の表) |
| 防毒マスクの規格の対象を「有害ガス全般」とする | 規格・型式検定の対象は、ハロゲンガス用・有機ガス用・一酸化炭素用・アンモニア用・亜硫酸ガス用の5種類(令第13条第5項・第14条の2第6号、安衛則第26条・第29条の2)。安衛則第26条・第29条の2には、硫化水素用の記載がない(2026-10-09 時点) |
| 2種類以上のガスが混在するとき、そのうち1種類のガス用の吸収缶だけで足りるとする | 通達は、混在するそれぞれの有毒ガス等に対して合格した吸収缶を選ぶこととしている |
| ガスと粉じんが混在する場所で、防毒マスクの防じん機能は不要とする | 規格は、防毒マスクを防じん機能を有するものと有しないものに区分している(第2条第3項)。通達も、粉じんが混在する場合に防じん機能を有する防毒マスク等を使うとしている |
| 破過は臭いで気づけばよいとする | 通達は、吸収缶の破過を知るために臭いに頼るのは適切ではないとし、使用限度時間を設定して使用時間を記録することを求めている |
| 有機則の保護具は、どの場面でも防毒マスクでよいとする | 第32条の業務は送気マスクのみ。第33条の業務は、送気マスク、有機ガス用防毒マスク、有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具のいずれか |
| 保護具着用管理責任者を、すべての事業者が選任するとする | 安衛則第12条の6は、化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメントの結果に基づく措置として労働者に保護具を使用させるときに選任すると定めている |
まとめ
- 防毒マスクは、吸収缶でガスや蒸気を取り除いた空気を吸う、ろ過式の呼吸用保護具。規格の適用範囲は、酸素濃度が18パーセント以上で、ガスまたは蒸気の濃度が2パーセント(アンモニアは3パーセント)以下の場所で使うもの(防毒マスクの規格 第1条)。
- 種類は隔離式(2パーセント以下)・直結式(1パーセント以下)・直結式小型(0.1パーセント以下の非緊急用)。使える濃度の上限は隔離式のほうが高い(規格 第2条)。
- 規格・型式検定の対象は、ハロゲンガス用・有機ガス用・一酸化炭素用・アンモニア用・亜硫酸ガス用の5種類。吸収缶の色は、ハロゲンガス用が灰色と黒色、有機ガス用が黒色、一酸化炭素用が赤色、アンモニア用が緑色、亜硫酸ガス用が黄赤色(規格 第8条第5項)。
- 有機則では、第32条の業務は送気マスクのみ、第33条の7つの業務は送気マスク・有機ガス用防毒マスク・有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具のいずれかを使わせる。保護具は同時に就業する労働者の人数と同数以上を備える(第33条の2)。
- 通達は、使用限度時間の設定と使用時間の記録、臭いに頼らないこと、フィットテストやシールチェックによる密着性の確認を求めている。
- 第一種衛生管理者の公表試験問題では、令和8年4月掲載分の関係法令(有害業務)問2と労働衛生(有害業務)問16、令和8年10月掲載分の労働衛生(有害業務)問19が防毒マスクを扱う。第二種の公表試験問題には記載がない。
よくある質問
Q防毒マスクとは何ですか?
防毒マスクは、吸収缶でガスや蒸気を取り除いた空気を吸う、ろ過式の呼吸用保護具です。「防毒マスクの規格」(平成2年労働省告示第68号)は、ガスもしくは蒸気、またはこれらと混在する粉じんを吸入することで人体に害を及ぼすおそれがある場所で使う防毒マスクに適用されます。ただし、酸素濃度が18パーセントに満たない場所、およびガスまたは蒸気の濃度が2パーセント(アンモニアは3パーセント)を超える場所で使うものには、この規格が適用されません(同告示第1条)。
Q防毒マスクの吸収缶の色は、物質ごとに決まっていますか?
防毒マスクの規格の第8条第5項の表で、吸収缶の外部の側面の色が種類ごとに決められています。ハロゲンガス用は灰色と黒色(二層)、有機ガス用は黒色、一酸化炭素用は赤色、アンモニア用は緑色、亜硫酸ガス用は黄赤色です。防じん機能を有するものは、ろ過材がある部分に白線を入れます。吸収缶は、色分け以外の方法でも種類が表示されていなければなりません。
Q隔離式と直結式の違いは何ですか?
防毒マスクの規格の第2条第1項の表は、防毒マスクを隔離式・直結式・直結式小型に分けています。隔離式は連結管を含む構成で、吸収缶でろ過した清浄空気を連結管を通して吸入するもので、ガスまたは蒸気の濃度が2パーセント(アンモニアは3パーセント)以下の大気中で使うものです。直結式は連結管を含まない構成(吸収缶、吸気弁、面体、排気弁、しめひも)で、1パーセント(アンモニアは1.5パーセント)以下の大気中で使うものです。直結式小型は0.1パーセント以下の大気中で使う非緊急用のものです。
Q防じんマスクで、ガスや蒸気の有害物質を防げますか?
厚生労働省の通達(令和5年5月25日 基発0525第3号)は、防じんマスクと、防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具は、酸素濃度18パーセント以上の場所であっても、有害なガスおよび蒸気が存在する場所では使用しないこととしています。そのような場所では、防毒マスク、防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具、または給気式呼吸用保護具を使うとされています。個別の作業での保護具の選び方は、職場の保護具着用管理責任者や、各都道府県の労働基準監督署などの窓口に相談してください。
Q防毒マスクの問題は、第二種衛生管理者の試験にも出ますか?
安全衛生技術試験協会が公表している第二種衛生管理者の公表試験問題(令和8年4月掲載分・令和8年10月掲載分)には、防毒マスクの記載がありません(2026-10-09 時点)。協会の紹介ページでは、第二種の科目は労働衛生・関係法令とも「有害業務に係るものを除く」とされています。第一種の公表試験問題では、防毒マスクを扱う問が令和8年4月掲載分と令和8年10月掲載分にあります(後半の表を参照)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月9日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

