酸素欠乏症とは何かを酸素欠乏症等防止規則の条文で整理。酸素欠乏は酸素濃度18%未満、硫化水素中毒は10ppm超の空気の吸入による状態、酸素欠乏危険場所、測定・換気・作業主任者・特別教育の要点と、第一種衛生管理者の公表試験問題での扱いを表で確認できます。
目次
結論:酸素欠乏症とは、酸素欠乏の空気を吸入することによって症状が認められる状態のことです。酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)では、酸素欠乏を「空気中の酸素の濃度が十八パーセント未満である状態」と定めています(第2条第1号・第3号)。硫化水素の濃度が百万分の十(10ppm)を超える空気による硫化水素中毒は別に定義され、あわせて「酸素欠乏症等」といいます(同条第4号・第5号)。事業者は、酸素欠乏危険場所での作業について、作業開始前の測定・換気・作業主任者の選任・特別教育などを行わなければなりません。
この記事の条文は、e-Gov 法令検索の酸素欠乏症等防止規則・労働安全衛生法・労働安全衛生法施行令・労働安全衛生規則です(2026-10-09 に取得した現行条文)。この記事は一般的な制度の解説で、個別の現場や体調についての助言ではありません。現場の安全や法令の適用に関する相談は、各都道府県の労働局・労働基準監督署の窓口(厚生労働省)に問い合わせてください。労働災害の事例や化学物質の情報は、厚生労働省の職場のあんぜんサイトで調べられます。
衛生管理者の受験を考えている方には、第一種衛生管理者の公表試験問題で酸欠則が取り上げられた実例があります。後半の「衛生管理者の試験とのつながり」で、公表年月・科目・問番号を示します。
酸素欠乏・酸素欠乏症・硫化水素中毒の定義
酸欠則第2条は、用語を次のように分けて定義しています。似た言葉が多いため、定義の文言で区別しておきます。
| 用語 | 条文の定義(酸欠則第2条) | 号 |
|---|---|---|
| 酸素欠乏 | 空気中の酸素の濃度が十八パーセント未満である状態 | 第1号 |
| 酸素欠乏等 | 酸素欠乏の状態、または空気中の硫化水素の濃度が百万分の十を超える状態 | 第2号 |
| 酸素欠乏症 | 酸素欠乏の空気を吸入することにより生ずる症状が認められる状態 | 第3号 |
| 硫化水素中毒 | 硫化水素の濃度が百万分の十を超える空気を吸入することにより生ずる症状が認められる状態 | 第4号 |
| 酸素欠乏症等 | 酸素欠乏症または硫化水素中毒 | 第5号 |
| 酸素欠乏危険作業 | 労働安全衛生法施行令(安衛令)別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所における作業 | 第6号 |
「酸素欠乏」と「酸素欠乏症」の違いは、前者が空気の状態(濃度)、後者が人の側に症状が認められる状態という点です。「酸素欠乏等」は空気の状態、「酸素欠乏症等」は人の状態、と対応しています。
なお、百万分の十は 10ppm に当たります(当サイトの言い換え)。条文は「百万分の十」と書いているため、試験では条文の表記で読めるようにしておきます。
酸素欠乏危険場所と第一種・第二種酸素欠乏危険作業
酸素欠乏危険作業は、安衛令別表第六に掲げる場所での作業です。別表第六は第1号から第12号まで(第3号の2・第3号の3を含む)に分かれており、一定の地層に接し、または通ずる井戸等、長期間使用されていない井戸等、暗きよ・マンホール、相当期間密閉されていたボイラー・タンク、酸素を吸収する物質を入れてある貯蔵施設、発酵する物を入れてある(入れたことのある)タンク、し尿や汚水を入れてある(入れたことのある)タンク・槽・管、ドライアイスを使用している冷蔵庫、不活性の気体を入れてある(入れたことのある)施設などが挙げられています。
| 号 | 場所の例(当サイトの要約。正確な文言は別表第六) |
|---|---|
| 第1号 | 一定の地層(上層に不透水層がある砂れき層のうち含水・湧水がないか少ない部分、第一鉄塩類・第一マンガン塩類を含有する地層、メタン・エタン・ブタンを含有する地層、炭酸水を湧出している、または湧出するおそれのある地層、腐泥層)に接し、または通ずる井戸等(井戸、井筒、たて坑、ずい道、潜函、ピットなど)の内部(第2号の場所を除く) |
| 第2号 | 長期間使用されていない井戸等の内部 |
| 第3号 | ケーブル、ガス管その他地下に敷設される物を収容するための暗きよ、マンホール、ピットの内部 |
| 第3号の2 | 雨水、河川の流水、湧水が滞留している(滞留したことのある)槽、暗きよ、マンホール、ピットの内部 |
| 第3号の3 | 海水が滞留している(滞留したことのある)熱交換器、管、暗きよ、マンホール、溝、ピット(熱交換器等)、または海水を相当期間入れてある(入れたことのある)熱交換器等の内部 |
| 第4号 | 相当期間密閉されていた鋼製のボイラー、タンク、反応塔、船倉など、内壁が酸化されやすい施設の内部(内壁がステンレス鋼製のもの、内壁の酸化を防止するために必要な措置が講じられているものを除く) |
| 第5号 | 石炭、亜炭、硫化鉱、鋼材、くず鉄、原木、チップ、乾性油、魚油など空気中の酸素を吸収する物質を入れてあるタンク、船倉、ホッパーなどの貯蔵施設の内部 |
| 第6号 | 天井、床、周壁または格納物が乾性油を含むペイントで塗装され、そのペイントが乾燥する前に密閉された地下室、倉庫、タンク、船倉など通風が不十分な施設の内部 |
| 第7号 | 穀物・飼料の貯蔵、果菜の熟成、種子の発芽、きのこ類の栽培のために使用しているサイロ、むろ、倉庫、船倉、ピットの内部 |
| 第8号 | しようゆ、酒類、もろみ、酵母など発酵する物を入れてある(入れたことのある)タンク、むろ、醸造槽の内部 |
| 第9号 | し尿、腐泥、汚水、パルプ液など腐敗・分解しやすい物質を入れてある(入れたことのある)タンク、船倉、槽、管、暗きよ、マンホール、溝、ピットの内部 |
| 第10号 | ドライアイスを使用して冷蔵・冷凍や水セメントのあく抜きを行っている冷蔵庫、冷凍庫、保冷貨車、保冷貨物自動車、船倉、冷凍コンテナーの内部 |
| 第11号 | ヘリウム、アルゴン、窒素、フロン、炭酸ガスその他不活性の気体を入れてあり、または入れたことのあるボイラー、タンク、反応塔、船倉などの内部 |
| 第12号 | 前各号に掲げる場所のほか、厚生労働大臣が定める場所 |
酸欠則は、酸素欠乏危険作業を2つに分けます(第2条第7号・第8号)。
| 区分 | 条文での範囲 | 測定する物質 |
|---|---|---|
| 第二種酸素欠乏危険作業 | 酸素欠乏危険場所のうち、安衛令別表第六の第3号の3、第9号、第12号に掲げる場所での作業。条文は括弧書きで「同号に掲げる場所にあつては、酸素欠乏症にかかるおそれ及び硫化水素中毒にかかるおそれのある場所として厚生労働大臣が定める場所に限る」と定めている(「同号」は直前に挙げられた第十二号) | 酸素と硫化水素(第3条第1項) |
| 第一種酸素欠乏危険作業 | 酸素欠乏危険作業のうち、第二種以外の作業 | 酸素(第3条第1項) |
第二種は、測定する物質に硫化水素が加わる区分です(第3条第1項)。
事業者に課される主な義務(酸欠則の条文別)
酸欠則は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる事業者に、次のような措置を求めています。数字や例外を、条文のとおりに並べます。
| 条 | 内容 | 条文の要点 |
|---|---|---|
| 第3条第1項 | 測定 | 安衛令第21条第9号の作業場(別表第六の場所で作業を行う場合の作業場)について、その日の作業を開始する前に、空気中の酸素の濃度を測定する。第二種では酸素及び硫化水素の濃度 |
| 第3条第2項 | 測定の記録 | そのつど、測定日時・測定方法・測定箇所・測定条件・測定結果・測定を実施した者の氏名、測定結果に基づいて防止措置を講じたときはその措置の概要を記録し、3年間保存する |
| 第4条 | 測定器具 | 測定に必要な器具を備え、または容易に利用できるような措置を講じておく |
| 第5条第1項 | 換気 | 酸素濃度を18パーセント以上(第二種では、酸素18パーセント以上かつ硫化水素百万分の十以下)に保つよう換気する。ただし、爆発、酸化等を防止するため換気することができない場合、または作業の性質上換気することが著しく困難な場合は、この限りでない |
| 第5条第3項 | 純酸素の禁止 | 換気が行われるときは、純酸素を使用してはならない |
| 第5条の2第1項 | 空気呼吸器等 | 第5条第1項ただし書の場合は、同時に就業する労働者の人数と同数以上の空気呼吸器等(空気呼吸器、酸素呼吸器又は送気マスク)を備え、労働者に使用させる |
| 第6条第1項 | 墜落制止用器具等 | 労働者が酸素欠乏症等にかかつて転落するおそれのあるときは、要求性能墜落制止用器具等を使用させる |
| 第8条第1項 | 人員の点検 | 労働者を作業場所に入場させ、及び退場させる時に、人員を点検する |
| 第9条第1項 | 立入禁止 | 酸素欠乏危険場所またはこれに隣接する場所で作業を行うときは、作業従事者以外の者の立入りを、見やすい箇所への表示などの方法で禁止する |
| 第11条第1項 | 作業主任者 | 酸素欠乏危険作業主任者を選任する(次の節) |
| 第12条第1項 | 特別の教育 | 第一種酸素欠乏危険作業に係る業務に労働者を就かせるときは、特別教育を行う(第2項で第二種にも準用) |
| 第13条第1項 | 監視人等 | 常時作業の状況を監視し、異常があつたときに直ちに通報する者を置くなど、異常を早期に把握するために必要な措置を講ずる |
| 第14条第1項 | 退避 | 酸素欠乏等のおそれが生じたときは、直ちに作業を中止し、作業従事者をその場所から退避させる |
| 第15条第1項 | 避難用具等 | 空気呼吸器等、はしご、繊維ロープなど、避難・救出に必要な用具を備える |
| 第16条第1項 | 救出時の空気呼吸器等 | 酸素欠乏症等にかかつた作業従事者を酸素欠乏等の場所で救出する作業に労働者を従事させるときは、その労働者に空気呼吸器等を使用させる |
| 第17条第1項 | 診察及び処置 | 酸素欠乏症等にかかつた労働者に、直ちに医師の診察または処置を受けさせる |
特に区別したい点は次のとおりです。
- 測定のタイミング:第3条の測定は「その日の作業を開始する前」です。測定の頻度や記録の保存年数の全体像は、作業環境測定をわかりやすくと衛生管理者の語呂合わせ一覧で他の規則と比べられます。酸素欠乏危険場所は、そこで挙げた作業環境測定の対象のうち、測定の時期が「その日の作業を開始する前」である点が特徴です。
- 換気の例外と保護具:第5条第1項のただし書で換気しなくてよい場合には、第5条の2が空気呼吸器等の備え付けと使用を求めます。条文が挙げる空気呼吸器等は、空気呼吸器、酸素呼吸器、送気マスクの3種類です。
- 第二種の追加条件:第二種は、測定する物質も、換気で保つ濃度も、酸素だけでなく硫化水素まで広がります(第3条第1項、第5条第1項)。
- 純酸素の禁止:換気に純酸素を使ってはなりません(第5条第3項)。
このほか、第18条から第25条の2には、ずい道の掘削、消火設備、冷蔵室、アルゴン等を使う溶接、不活性気体の配管、一定の地層に接し、またはその地層に通ずる井戸・配管が設けられている地下室等、し尿・腐泥・汚水などを入れたポンプ・配管の分解といった個別の作業の措置が定められています。
作業主任者と特別教育(資格の仕組み)
酸素欠乏危険作業主任者は、労働安全衛生法第14条の作業主任者の1つです。労働安全衛生法第14条は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で政令で定めるものについて、都道府県労働局長の免許を受けた者または都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、作業の区分に応じて作業主任者を選任することを求めています。政令にあたる安衛令第6条は、第21号に「別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所における作業」を挙げています。
酸欠則第11条第1項は、選任できる者を作業の区分ごとに分けています。
| 作業の区分 | 選任できる者(酸欠則第11条第1項) |
|---|---|
| 第一種酸素欠乏危険作業 | 酸素欠乏危険作業主任者技能講習または酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者 |
| 第二種酸素欠乏危険作業 | 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者 |
第一種の作業主任者が行う事項は、第11条第2項に4つ書かれています。
1. 作業に従事する労働者が酸素欠乏の空気を吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること(第1号)。
2. その日の作業を開始する前、作業に従事するすべての労働者が作業を行う場所を離れた後再び作業を開始する前、および労働者の身体、換気装置等に異常があつたときに、作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を測定すること(第2号)。
3. 測定器具、換気装置、空気呼吸器等その他労働者が酸素欠乏症にかかることを防止するための器具または設備を点検すること(第3号)。
4. 空気呼吸器等の使用状況を監視すること(第4号)。
第二種の作業主任者には、第11条第3項により同じ規定が準用されます。その際、第1号の「酸素欠乏」は「酸素欠乏等」、第2号の「酸素」は「酸素及び硫化水素」、第3号の「酸素欠乏症」は「酸素欠乏症等」と読み替えます。
特別教育は、労働安全衛生法第59条第3項に基づきます。労働安全衛生規則第36条は、特別教育を必要とする業務の1つとして「令別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所における作業に係る業務」を挙げています。酸欠則第12条第1項が定める特別教育の科目は次の5つです。
- 酸素欠乏の発生の原因
- 酸素欠乏症の症状
- 空気呼吸器等の使用の方法
- 事故の場合の退避及び救急そ生の方法
- 前各号に掲げるもののほか、酸素欠乏症の防止に関し必要な事項
第二種では、第12条第2項の準用により、第1号が「酸素欠乏等」、第2号と第5号が「酸素欠乏症等」と読み替えられます。
酸素欠乏危険作業主任者(技能講習の修了者から選任)と特別教育は、いずれも試験に合格して取る免許ではありません。作業主任者の選任と、衛生管理者の免許との違いは、有機溶剤の資格とはでも同じ形で比べています。
衛生管理者の試験とのつながり(公表試験問題)
第一種衛生管理者免許試験の科目には、「関係法令(有害業務に係るもの)」と「労働衛生(有害業務に係るもの)」があります。第二種衛生管理者の科目は、どちらも有害業務に係るものを除く範囲です。
衛生管理者試験の有害業務の科目:第一種は労働衛生(有害業務に係るもの)10問(80点)、関係法令(有害業務に係るもの)10問(80点)を含む。第二種は労働衛生・関係法令とも有害業務に係るものを除く。最終確認日:2026-10-09。出典:安全衛生技術試験協会 第一種・第二種衛生管理者の紹介。
労働安全衛生規則第70条・別表第五は、第一種・第二種とも学科試験の科目を「労働衛生」「労働生理」「関係法令」と定めています。安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」の「範囲」欄は「有害業務に係るもの」「有害業務に係るもの以外のもの」の区分で、酸素欠乏症等防止規則など個別の規則名の記載はありません(2026-10-09 時点)。そこで、協会が自ら公表している公表試験問題で、酸素欠乏がどのように扱われたかを見ていきます。協会は、労働安全衛生法に基づく免許試験の公表試験問題のページで、第一種衛生管理者の試験問題を令和8年4月掲載分と令和8年10月掲載分の2回分、公表しています。
第一種衛生管理者の公表試験問題の掲載:令和8年10月掲載分は令和8年1月から6月までに実施した試験問題、令和8年4月掲載分は令和7年7月から12月までに実施した試験問題。令和8年1月1日以降に施行された法令には対応していない。最終確認日:2026-10-09。出典:安全衛生技術試験協会 公表試験問題(労働安全衛生法に基づく免許試験)。
この2回分の第一種衛生管理者の公表試験問題で、酸素欠乏や酸欠則を扱っている問は次のとおりです。
| 公表年月 | 科目 | 問番号 | 扱われている論点(当サイトの要約。問題文は転載していません) | 関連する条文 |
|---|---|---|---|---|
| 令和8年10月掲載 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 問2 | 法令に基づく特別教育を行わなければならない業務に該当しないものを選ぶ問。選択肢の1つが、酸素欠乏危険場所における作業に係る業務 | 労働安全衛生法第59条第3項、労働安全衛生規則第36条、酸欠則第12条 |
| 令和8年10月掲載 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 問8 | 酸素欠乏症等防止規則に関する記述の正誤を選ぶ問。酸素欠乏の定義、第二種酸素欠乏危険作業の測定、入退場時の人員の点検、換気できない場合の保護具、ポンプの分解作業の指揮者といった論点を含む | 酸欠則第2条第1号、第3条第1項、第5条の2、第8条第1項、第25条の2第1項第2号 |
安全衛生技術試験協会の第一種衛生管理者の公表試験問題(令和8年4月掲載分)には、酸素欠乏症等防止規則を主題とする問の記載がありません(2026-10-09 時点)。同じ令和8年4月掲載分の「労働衛生(有害業務に係るもの)」問16は労働衛生保護具に関する問で、選択肢の1つが「酸素濃度18%未満の場所」で使える呼吸用保護具の種類に触れています。酸欠則そのものを問う問ではありませんが、18パーセントという酸素欠乏の基準が出てくる例です。
この表から言えるのは、次の2点です。
- 令和8年10月掲載分では、酸欠則を主題とする問(問8)と、特別教育の対象業務の1つとして酸素欠乏危険場所の作業を含む問(問2)が、どちらも「関係法令(有害業務に係るもの)」に置かれています。
- 協会のページに掲載されている第一種の公表試験問題は2回分です。公表された2回分の中身から、今後の試験の内容を決めることはできません。
当サイトの衛生管理者の問題は、過去の出題論点をもとにした自作問題です。酸欠則を含む有害業務の関係法令は、関係法令(有害業務)の論点別問題で解けます。第一種と第二種の試験範囲の違いは、衛生管理者 第一種と第二種の違いで整理しています。
間違えやすいポイント
| 取り違え | 条文での正しい区別 |
|---|---|
| 酸素欠乏と酸素欠乏症を同じものとして読む | 酸素欠乏は空気の状態(酸素濃度18%未満)、酸素欠乏症は症状が認められる状態(第2条第1号・第3号) |
| 硫化水素中毒の基準を酸素の基準と混ぜる | 硫化水素中毒は硫化水素の濃度が百万分の十を超える空気が基準(第2条第4号)。酸素の18パーセント未満とは別の基準 |
| 全ての酸素欠乏危険作業で硫化水素も測るとする | 酸素と硫化水素を測るのは第二種酸素欠乏危険作業。第一種は酸素だけ(第3条第1項) |
| 測定を「作業が終わった後」「週1回」とする | 第3条第1項は「その日の作業を開始する前」 |
| 換気できない場合は何もしなくてよいとする | 第5条第1項ただし書の場合は、第5条の2で同時に就業する労働者の人数と同数以上の空気呼吸器等を備え、使用させる |
| 換気に純酸素を使ってよいとする | 第5条第3項は純酸素の使用を禁止 |
| 作業主任者を第一種の講習修了者だけとする | 第二種は酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の修了者から選任(第11条第1項) |
| 記録の保存を5年や30年とする | 測定の記録は3年間保存(第3条第2項) |
まとめ
- 酸素欠乏は空気中の酸素の濃度が18パーセント未満の状態、酸素欠乏症はその空気の吸入による症状が認められる状態。硫化水素中毒は硫化水素の濃度が百万分の十を超える空気の吸入によるもので、あわせて酸素欠乏症等(酸欠則第2条)。
- 作業の場所は安衛令別表第六に挙げられており、そのうち別表第六第3号の3・第9号・第12号(第12号は大臣が定める場所に限る)の作業が第二種。第二種は酸素と硫化水素の両方を測定する。
- 事業者は、その日の作業開始前の測定(記録は3年)、18パーセント以上を保つ換気(ただし書の場合は空気呼吸器等)、作業主任者の選任、特別教育、人員の点検などを行う。
- 酸素欠乏危険作業主任者は技能講習の修了者から選任する。国家試験で取る免許ではない。
- 第一種衛生管理者の公表試験問題では、令和8年10月掲載分の関係法令(有害業務に係るもの)問2と問8が酸素欠乏に関わる。令和8年4月掲載分には酸欠則を主題とする問の記載がない。
よくある質問
Q酸素欠乏症と硫化水素中毒は同じものですか?
酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)では別のものとして定義されています。酸素欠乏症は「酸素欠乏の空気を吸入することにより生ずる症状が認められる状態」(第2条第3号)、硫化水素中毒は「硫化水素の濃度が百万分の十を超える空気を吸入することにより生ずる症状が認められる状態」(同条第4号)です。この2つをあわせて「酸素欠乏症等」と呼びます(同条第5号)。
Q酸欠則でいう「酸素欠乏」の濃度は何パーセントですか?
酸欠則第2条第1号は、酸素欠乏を「空気中の酸素の濃度が十八パーセント未満である状態」と定めています。事業者が換気で保つべき濃度は、酸素18パーセント以上です(第5条第1項。爆発、酸化等を防止するため換気することができない場合などのただし書があります)。第二種酸素欠乏危険作業に係る場所では、これに加えて硫化水素の濃度を百万分の十以下に保つ必要があります。
Q酸素欠乏危険作業主任者は、試験に合格して取る資格ですか?
国家試験ではなく、技能講習を修了して得る資格です。労働安全衛生法第14条は、作業主任者を「都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者」から選任すると定めています。酸欠則第11条第1項は、第一種酸素欠乏危険作業では酸素欠乏危険作業主任者技能講習または酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の修了者から、第二種酸素欠乏危険作業では酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の修了者から選任すると定めています。
Q酸素欠乏の防止は、衛生管理者試験の範囲に入りますか?
安全衛生技術試験協会が公表している第一種衛生管理者免許試験の公表試験問題に、酸素欠乏症等防止規則を取り上げた問があります。令和8年10月掲載分の「関係法令(有害業務に係るもの)」問2(特別教育の対象業務)と問8(酸素欠乏症等防止規則)です。協会の紹介ページでは、第二種衛生管理者の科目は「有害業務に係るものを除く」とされています。協会の「第一種・第二種衛生管理者の紹介」ページには、酸素欠乏症等防止規則など個別の規則名の記載がありません(2026-10-09 時点)。ここでは範囲そのものではなく、公表された問の実例として示しています。
Q酸素欠乏症が疑われる人が出たときの対応は、条文に書いてありますか?
事業者の義務として、酸素欠乏症等にかかつた労働者に直ちに医師の診察または処置を受けさせること(第17条第1項)、救出作業に従事する労働者に空気呼吸器等を使用させること(第16条第1項)が定められています。個別の状況での対応や体調の判断は、この記事では扱えません。現場の安全については、各都道府県の労働基準監督署などの窓口に相談してください。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月9日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

