問題
メンタルヘルス疾患による休業労働者の職場復帰支援に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
誤りはエです。リワーク支援(職場復帰支援プログラム)は法令上の義務ではなく、事業者が手引きを参考に自主的に取り組むものです。「50人以上の事業場では必ず導入することが求められている」という表現は誤りです。
ストレスチェック(50人以上で実施義務)と混同させる典型的な引っかけです。職場復帰支援の手引きは「指針・推奨」であり、法令で義務化されているわけではありません。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 職場復帰支援の手引きでは5つのステップを示しており、最終的な職場復帰の可否の判断は事業者(使用者)が行います。主治医の「職場復帰可能」という判断は重要な情報ですが、最終決定権は事業者にあります。産業医・事業場の判断が加わって総合的に職場復帰が決定されます。
- イ(正): 手引きは「主治医による診断は、日常生活における病状の回復程度によって職場復帰の可能性を判断していることが多く、必ずしも職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとの判断とは限りません」としています。このため診断書には就業上の配慮に関する主治医の具体的な意見を記入してもらい、産業医等が精査します。
- ウ(正): 産業医・保健師が主治医から情報を得て活用する場合、労働者本人の同意が必要です(個人情報保護・守秘義務)。診断書の内容は労働者個人の医療情報(要配慮個人情報)であり、同意なく事業者に詳細を開示することは適切でありません。産業医は最小限の情報を得て就業上の意見を述べることが求められます。
- エ(誤): リワーク支援(職場復帰支援プログラム)は、法令上の義務ではなく、事業者が自主的に実施することが望ましいとされる支援活動です。50人以上の事業場に義務があるのはストレスチェックの実施(安衛法第66条の10)であり、リワーク支援とは別の制度です。「50人以上で必ず導入」は誤りです。
- オ(正): 試し出勤(リハビリ勤務・慣らし勤務)中であっても、労働者が事業場に出勤している以上、事業者は安全配慮義務(労働契約法第5条)を負います。試し出勤中に体調が悪化した場合の緊急連絡体制・受診勧奨・帰宅措置等についても事業者が責任を持って対応する必要があります。
【理論的背景】
メンタルヘルス疾患(うつ病・適応障害・双極性障害等)による休業者の職場復帰は、単に「医師が復帰可能と判断した」だけでは成功しません。職場環境・業務内容・上司・同僚との関係・本人の自己管理能力等の複合的な要因が復帰の成否を左右します。このため手引きは、事業場があらかじめ職場復帰支援プログラム(事業場全体のルール)を定め、休業者ごとに職場復帰支援プラン(復帰日・就業上の配慮など個別具体的な支援内容)を作成する流れを示しています。
【実務・条文構造】
職場復帰支援の5ステップ(厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」):
第1ステップ: 病気休業開始および休業中のケア
- 主治医への診断書(病気休業診断書)の提出
- 事業者から休業者へ安心して療養に専念できることを伝える
- 休業中の連絡手段・頻度の取り決め
- 休業中に会社が行うケアの確認
第2ステップ: 主治医による職場復帰可能の判断
- 労働者からの職場復帰の意思表示と、職場復帰可能の判断が記された診断書の提出(就業上の配慮に関する主治医の具体的な意見も記入してもらう)
- 主治医の判断は日常生活における病状の回復程度によることが多く、職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとは限らないため、産業医等が精査する
- 主治医への情報提供
第3ステップ: 職場復帰の可否の判断および職場復帰支援プランの作成
- 事業者が産業医・主治医の意見等を基に職場復帰の可否を判断
- 職場復帰後の就業上の配慮(業務内容・業務量・残業制限・出張制限等)を含む職場復帰支援プランの作成
- 労働者・上司・人事・産業医・保健師等が連携してプランを策定
第4ステップ: 最終的な職場復帰の決定
- 事業者による最終判断(主治医・産業医の意見を参考に)
- 就業上の配慮の具体化・期間の設定
- 関係者(労働者・上司・同僚・人事)への情報提供(最小限・労働者の同意の上)
第5ステップ: 職場復帰後のフォローアップ
- 定期的な面談(産業医・保健師・上司等)による状態確認
- 就業上の配慮の内容の見直し・調整
- 再発徴候の早期発見・早期対応
- 職場環境の問題(ハラスメント・業務過多等)への対処
リワーク(Return to Work)プログラムについて:
- 事業場でのリワーク支援(試し出勤・慣らし勤務)
- 医療機関・障害者職業センター等でのリワークプログラム(集団療法・作業療法・職場復帰に向けたトレーニング)
- これらは法令義務ではなく、事業場・医療機関が自主的に取り組む支援活動
【試験での位置づけ】
職場復帰支援の問題では「5ステップの流れ(休業→主治医判断→産業医・事業者の判断→プラン作成→復帰→フォロー)」「職場復帰の最終決定は事業者(主治医ではない)」「主治医の職場復帰可能の判断は業務遂行能力までの回復を必ずしも意味しない」「リワーク支援は法令上の義務ではない」が頻出です。エのように「リワーク支援が50人以上事業場で義務」とする選択肢は、ストレスチェック制度(50人以上で義務)との混同を狙った典型的な引っかけです。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 職場復帰の最終決定が「事業者」にある理由は、労働契約上の「使用者の権限(就労場所・業務内容の決定権)」に基づくものです。医師は医学的意見を提供しますが、復帰後の業務内容・就業条件の決定は事業者の権限です。ただし事業者が医師の意見を恣意的に無視することは、安全配慮義務違反につながる可能性があります。
- イ: 主治医の判断と職場で求められる業務遂行能力とのずれを埋めるため、第2ステップでは産業医等が診断書の内容を精査し、第3ステップで情報の収集と評価を行ったうえで職場復帰の可否を判断し、職場復帰支援プランを作成します。
- ウ: 産業医と主治医の情報共有において、「産業医が直接主治医に連絡する」ことは労働者の同意が前提です。実務では「産業医への情報提供に関する同意書」を労働者に署名・提出してもらい、その上で主治医と産業医が連携する形が望ましいとされています。
- エ: リワークプログラムを提供している機関の種類: ①医療機関(精神科・心療内科)でのデイケア型リワーク②地域障害者職業センターでの職場復帰支援(リワーク)③事業場内リワーク(慣らし出勤・試し出勤)。これらはいずれも任意・自主的な取組みであり、法令義務ではありません。
- オ: 試し出勤中の安全配慮義務に関する裁判例では、試し出勤中でも労働者が事業場に在籍し事業者の指揮下にある場合、労災保険の適用や安全配慮義務が問われた事例があります。試し出勤中の位置づけ(労働か否か)・賃金支払の有無については、各事業場の就業規則・制度設計によって異なり、事前の取り決めが重要です。
【根拠】厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(平成21年3月改訂)・労働安全衛生法第66条の10(ストレスチェック)・労働契約法第5条(安全配慮義務)。
【補足】職場復帰支援の5ステップ: 休業→主治医判断→事業者判断・プラン作成→最終決定→復帰後フォロー。最終決定は事業者。リワーク支援は義務ではない(ストレスチェック50人義務と混同しない)。
- 労働安全衛生法第66条の10e-Govで原文を読む
- 労働契約法第5条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(平成21年3月改訂)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

