問題
石綿障害予防規則(石綿則)における健康管理に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはアです。健康管理手帳は「1日でも従事した者」に一律に交付されるものではありません(安衛則第53条)。石綿関係では、石綿等の製造・吹付け・張付け・除去・解体等の作業に1年以上従事し、かつ初めて石綿粉じんにばく露した日から10年以上経過していること、それ以外の石綿取扱い作業は10年以上の従事、または両肺野の石綿による不整形陰影・胸膜肥厚があることなどが要件です。
ウ(6か月以内ごとの特殊健診)・イ(個人票を従事しないこととなった日から40年保存)・エ(本人が都道府県労働局長に申請)・オ(医師が必要と認める者への追加検査)はすべて正しい記述です。
健康管理手帳(石綿関係)の要点:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 労働安全衛生法第67条・安衛則第53条 |
| 交付対象 | 業務ごとに定められた要件(従事期間・所見)に該当する者 |
| 申請者 | 要件に該当する者本人(事業者が申請するのではない) |
| 申請先 | 所轄都道府県労働局長(離職後に要件に該当する者は住所地の都道府県労働局長) |
| 交付時期 | 離職の際または離職の後 |
| 手帳の効果 | 交付時に都道府県労働局長が健康診断の受診を勧告(安衛則第55条)。政府が健康診断に関し必要な措置を行う(法第67条第2項) |
石綿等を製造し、又は取り扱う業務の要件(安衛則第53条の表): 次のいずれか
- 両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は石綿による胸膜肥厚があること
- 石綿等の製造作業、保温材・耐火被覆材等の張付け・補修・除去の作業、吹付けの作業、吹き付けられた建築物等の解体等の作業に1年以上従事し、かつ初めて石綿粉じんにばく露した日から10年以上経過していること
- それ以外の石綿等を取り扱う作業に10年以上従事していること
各選択肢の正誤と根拠:
- ウ(正): 石綿業務に常時従事する労働者の特殊健診は「雇入れ又は配置替えの際」および「その後6か月以内ごとに1回」の実施が義務(石綿則第40条第1項)。
- イ(正): 石綿健康診断個人票の保存は、当該事業場で常時当該業務に従事しないこととなった日から40年間(石綿則第41条)。有機溶剤等健康診断個人票の5年(有機則第30条)、特化則の特別管理物質や電離放射線健康診断個人票の30年(特化則第40条第2項・電離則第57条)より長い期間です。
- ア(誤): 健康管理手帳は「1日でも従事した者」に一律に交付されるものではなく、上の表の要件に該当する必要があります。
- エ(正): 要件に該当する者の申請に基づき、都道府県労働局長が交付します(安衛則第53条第2項)。
- オ(正): 定期の検査項目に胸部のエックス線直接撮影による検査があり、異常の疑いがある者で医師が必要と認めるものには、特殊なエックス線撮影による検査、喀痰の細胞診又は気管支鏡検査などを行います(石綿則第40条第3項)。
【理論的背景】
健康管理手帳は、労働安全衛生法第67条第1項に基づき、都道府県労働局長が「がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、政令で定めるもの」に従事していた者のうち厚生労働省令で定める要件に該当する者に対し、離職の際に又は離職の後に交付するものです。在職中は事業者が特殊健康診断を行い、離職後は手帳によって健康診断の機会を確保するという、事業者の健診義務と国の制度の役割分担になっています。政府は手帳所持者の健康診断に関し必要な措置を行い(法第67条第2項)、都道府県労働局長は手帳を交付するときに厚生労働大臣が定める健康診断を受けるよう勧告します(安衛則第55条)。
なぜ40年保存が必要か:
石綿健康診断個人票は、当該労働者が当該事業場において常時当該業務に従事しないこととなった日から40年間保存しなければなりません(石綿則第41条)。有機溶剤等健康診断個人票の5年(有機則第30条)、特化則の特別管理物質に係る個人票や電離放射線健康診断個人票の30年(特化則第40条第2項・電離則第57条)と比べても長い期間です。さらに石綿則第49条は、事業を廃止しようとするときに、作業の記録・測定の記録・石綿健康診断個人票(又はその写し)を石綿関係記録等報告書に添えて所轄労働基準監督署長に提出するよう定めています。
【実務・条文構造】
石綿の特殊健康診断(石綿則第40条):
実施時期:
- 常時従事する労働者: 雇入れ又は当該業務への配置替えの際、及びその後6か月以内ごとに1回(第1項)
- 過去に常時従事させたことのある労働者で、現に使用しているもの: 6か月以内ごとに1回(第2項)
検査項目(第1項各号):
- 業務の経歴の調査
- 石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査
- せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査
- 胸部のエックス線直接撮影による検査
追加の検査(第3項): 異常の疑いがある者で医師が必要と認めるものに、作業条件の調査、異常な陰影がある場合の特殊なエックス線撮影による検査・喀痰の細胞診・気管支鏡検査。
健診後の手続: 個人票の作成・40年保存(第41条)、医師からの意見聴取は健診日から3月以内(第42条)、結果の通知(第42条の2)、定期健診の結果報告書を所轄労働基準監督署長へ提出(第43条)。
健康管理手帳(安衛則第53条):
- 要件: 両肺野の石綿による不整形陰影・胸膜肥厚/製造・張付け・補修・除去・吹付け・解体等の作業に1年以上従事+初回ばく露から10年以上経過/その他の石綿取扱い作業に10年以上従事 のいずれか
- 申請: 健康管理手帳交付申請書(様式第七号)に要件に該当する事実を証する書類を添えて、所轄都道府県労働局長(離職後に要件に該当する者は住所地の都道府県労働局長)に提出(第53条第3項)
【試験での位置づけ】
石綿の健康管理問題では「特殊健診=6か月以内ごと・個人票は従事しないこととなった日から40年保存」「健康管理手帳=業務ごとの要件・離職の際又は離職の後に交付・本人の申請に基づき都道府県労働局長が交付」「事業廃止時は記録等を所轄労働基準監督署長に提出」の3点を押さえておきましょう。アのような「1日でも従事すれば手帳が交付される」という記述は、安衛則第53条の要件を把握していれば誤りと判断できます。手帳を交付するのが「都道府県労働局長」であること(厚生労働大臣や労働基準監督署長ではない)も確認しておきましょう。
【各選択肢の発展補足】
- ウ: 第1項は現に常時従事している労働者、第2項は過去に常時従事させたことがあり現に使用している労働者が対象で、どちらも6か月以内ごとに1回です。配置転換で石綿業務を離れた後も、同じ事業者に使用されている限り健診が続く点に注意しましょう。
- イ: 保存期間は「石綿=40年(石綿則第41条)」「特化則の特別管理物質・電離放射線=30年(特化則第40条第2項・電離則第57条)」「有機溶剤=5年(有機則第30条)」と整理できます。電離則第57条には、5年間保存した後に厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは30年保存を要しないというただし書があります。
- ア: 石綿等を製造し又は取り扱う業務の要件は、所見(不整形陰影・胸膜肥厚)があればそれだけで足り、所見がなければ「製造・吹付け・解体等の作業に1年以上+初回ばく露から10年以上経過」か「その他の作業に10年以上」が必要です。「従事しただけで一律に交付」とはなりません。
- エ: 交付するのは所轄都道府県労働局長ですが、離職の後に要件に該当する者については、その者の住所を管轄する都道府県労働局長です(安衛則第53条第2項)。申請書は様式第七号で、要件に該当する事実を証する書類を添えます。
- オ: 追加の検査は、胸部のエックス線直接撮影の結果、異常な陰影(石綿肺による線維増殖性の変化によるものを除く)がある場合で、医師が必要と認めるときに行うものです(石綿則第40条第3項)。
【根拠法令】石綿障害予防規則 第40条(石綿業務の特殊健康診断:雇入れ又は配置替えの際・6か月以内ごとに1回・異常の疑いがある者への追加検査)・第41条(石綿健康診断個人票:当該業務に常時従事しないこととなった日から40年保存)・第49条(事業廃止時の記録等の提出)、労働安全衛生法 第67条(健康管理手帳の制度根拠)、労働安全衛生規則 第53条(健康管理手帳の要件・申請先)・第55条(受診の勧告)
【補足】石綿健康診断個人票=従事しないこととなった日から40年保存(有機溶剤は5年・特化則特別管理物質や電離放射線は30年)。健康管理手帳=業務ごとの要件(石綿は所見、又は1年以上+初回ばく露から10年以上、又は10年以上)・離職の際又は離職の後に交付・本人の申請に基づき都道府県労働局長が交付。
- 石綿障害予防規則第40条・第41条・第49条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則第53条・第55条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法第67条e-Govで原文を読む
- 有機溶剤中毒予防規則第30条e-Govで原文を読む
- 特定化学物質障害予防規則第40条e-Govで原文を読む
- 電離放射線障害防止規則第57条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 石綿障害予防規則(石綿則)第40条(特殊健康診断:6か月以内ごと・異常の疑いがある者への追加検査)・第41条(石綿健康診断個人票:従事しないこととなった日から40年保存)、労働安全衛生法第67条・安衛則第53条(健康管理手帳:業務ごとの従事期間等の要件・離職の際又は離職の後に交付)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

