行政書士試験の基礎知識にある文章理解を、足切りとの関係、公開されている過去の試験問題で練習しにくい理由、並べ替え・空欄補充・内容合致の解き方の手順で整理。自作の例文と、文章理解の正解数別に残りで必要な問題数の表つきです。
目次
結論:文章理解は、行政書士試験の基礎知識(令和8年度は14題)の出題分野の1つで、令和7年度は問題58〜60の3問と考えられます。センターのページは、この3問を著作権の関係から掲載していないため、公開されている過去の試験問題では練習できないと考えられます。解き方の原則は「本文に書いてあることだけを根拠に選ぶ」ことで、並べ替え・空欄補充・内容合致は手順が少しずつ違います。この記事では、当サイトが作った例文で3つの手順を示します。
文章理解は、法律の知識がなくても解ける分野です。一方で、公開されている過去の試験問題では練習しにくく、足切りにも関わります。このため、足切りとの関係、練習の手段、3つの形式の解き方の順に整理します。基礎知識全体の考え方は行政書士の基礎知識の記事に、独学の進め方は行政書士の独学の記事にあります。
令和8年度の基礎知識の出題分野と合格基準:基礎知識は14題で、一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解の中からそれぞれ出題(法令は令和8年4月1日現在施行のもの)。出題の形式は択一式。合格基準は、基礎知識が満点の40パーセント以上、法令等が満点の50パーセント以上、試験全体が満点の60パーセント以上(試験問題の難易度により補正的措置を加えることがある)。試験日は令和8年11月8日(日)午後1時から午後4時まで。最終確認日:2026-10-28。出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内。
令和7年度の基礎知識の配点と合格基準点:基礎知識は5肢択一式14問56点(1問4点)。合格基準点は、基礎知識が24点以上、法令等が122点以上、試験全体が180点以上。最終確認日:2026-10-28。出典:行政書士試験研究センター 令和7年度行政書士試験合否判定基準。
文章理解とは:基礎知識14問のうちの1区分
行政書士試験の基礎知識は、令和8年度のご案内によると、一般知識、行政書士法等の諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解の4つの区分から出題されます。法令の区分は令和8年4月1日現在施行されている法令が対象ですが、文章理解は、法令の知識を問う区分とは性質が違います。
令和7年度の問題冊子で、基礎知識(問題47〜60)の中身を当サイトが確かめた結果は次のとおりです。
| 問題番号 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 47〜52 | 住民投票、政党と政治、米価、自由貿易と関税、経済、ジェンダーと平等 | 一般知識 |
| 53・54 | 行政書士法、戸籍法 | 行政書士業務関連諸法令 |
| 55〜57 | ディープフェイク、投資詐欺、個人情報保護制度 | 情報通信・個人情報保護 |
| 58〜60 | 公開されていない | 区分の数から、文章理解と考えられる |
58〜60の3問が文章理解というのは、問題番号と区分の並びからの当サイトの推定で、センターが区分ごとの問題数を公表しているわけではありません。
足切りとの関係:文章理解の正解数と、残りで必要な問題数
基礎知識には足切りがあります。令和7年度は、14問56点のうち24点以上(1問4点で6問以上)が基準でした。令和8年度のご案内は、基礎知識が満点の40パーセント以上と定めています。56点の40パーセントは22.4点で、1問4点なら5問(20点)では届かず、6問(24点)が必要です(令和7年度と同じ配点と仮定した当サイトの計算)。
文章理解を3問、ほかの区分を11問として、文章理解の正解数ごとに、残りの11問で必要な正解数を計算すると次のとおりです(6問から文章理解の正解数を引いた数)。
| 文章理解の正解数(3問中) | 残りの11問で必要な正解数 | 必要な割合(当サイトの計算) |
|---|---|---|
| 3問 | 3問 | 約27% |
| 2問 | 4問 | 約36% |
| 1問 | 5問 | 約45% |
| 0問 | 6問 | 約55% |
3問とも取れれば、残りの11問で3問でも基準に届きます。文章理解は、勉強量に比べて得点の見通しを立てやすい区分です。ただし、令和8年度の合格基準点は令和9年1月27日に公表予定で、配点も令和8年度のご案内のページには数字の記載がありません(2026-10-28時点)。合否通知書に配点・合格基準点・得点が記載されます。
公開されている過去の試験問題では練習しにくい
行政書士試験研究センターは、過去の試験問題と正解をホームページで公開しています。ただし、各年度のページに次のような注意書きがあります(2026-10-28時点)。
- 令和7年度・令和6年度・令和4年度:問題1・58〜60については著作権の関係から掲載していない
- 令和5年度:問題1・6・56・58〜60については著作権の関係から掲載していない
- 令和3年度:問題1・7・58〜60、令和2年度:問題1・5・58〜60
問題58〜60は、基礎知識の最後の3問です。令和7年度の問題冊子で、問題47〜57が文章理解以外の区分だったことと合わせると、文章理解の問題は公開されていないと考えられます。このため、文章理解は、公開されている過去の試験問題を解いて慣れる方法が取りにくい区分です。
なお、センターは、行政書士試験問題をSNSに投稿する等、インターネット上に掲載することを控えるよう求めています。当サイトの記事にも、本試験の問題文は載せていません。
合格ナビの基礎知識の問題(48問)に、文章理解の問題は含まれていません(問題の論点名による2026-10-28集計)。次の節では、当サイトが作った例文で解き方の手順を示します。
解き方の共通原則:本文に書いてあることだけを根拠に選ぶ
文章理解の民間の解説は、空欄補充・内容合致・並べ替えの3つの形式を挙げるものが多く、当サイトが確認した複数の解説記事で共通していました(公式の資料では、問題が公開されていないため形式を確かめられません)。形式が違っても、共通する原則は次の3つです。
1. 根拠は本文だけ:自分の知識や常識で選ばず、「本文のどこに書いてあるか」を指せる選択肢を選ぶ
2. 言い過ぎ・すり替えに注意:「すべて」「必ず」「だけで足りる」のような強い言い方、本文に出てこない内容、本文の結論と逆の内容は、根拠がない
3. 接続語と指示語を手がかりにする:「しかし」「したがって」「このように」「この〜」などは、文と文の関係を示す
以下の例文は、当サイトが作ったものです(本試験の問題ではありません)。
並べ替え(文の整序)の手順
文を正しい順序に並べ替える形式です。手がかりは、指示語(この距離、その結果)、接続語(たとえば、ところが)、定義と使用の順序(用語は、説明のあとで使う)です。
例題(自作) 次の文章は、最初の文に続くア〜エを並べ替えたものです。正しい順序を選んでください。
最初の文:人は、他人が近くにいると、無意識に距離を取ろうとする。
- ア たとえば、空いたベンチでは、見知らぬ人どうしがパーソナルスペースを保つように、端と端に座ることが多い。
- イ この距離は「パーソナルスペース」と呼ばれ、心理学の研究対象になっている。
- ウ このように、パーソナルスペースが保たれるかどうかは、人の心の状態に影響する。
- エ ところが、満員電車ではパーソナルスペースを保つことができず、人は強いストレスを感じる。
1. ア→イ→エ→ウ
2. イ→ア→エ→ウ
3. イ→エ→ア→ウ
4. イ→ア→ウ→エ
5. エ→イ→ア→ウ
答えと手順:正解は2(イ→ア→エ→ウ)です。
- ①最初の文の「距離」を受けて、「この距離は」で始まるイが直後に来ます
- ②イで「パーソナルスペース」の語を説明しているので、この語を使うア・エ・ウはイより後です。ア→イの順の1と、エを先頭にする5は、説明の前に語を使っています
- ③エの「ところが」は、保てる場合(ア)に対して、保てない場合を述べる逆接です。アの前に置く3は、逆接の相手がありません
- ④ウの「このように」は、ア・エの例をまとめる文です。ウをエの前に置く4は、まとめのあとに逆接が来て不自然です
選択肢を1つずつ消すより、まず「確実に決まる接続」(イの直前は最初の文、ウは最後)を決めると、残りの順序を絞れます。
空欄補充の手順
文章の空欄に入る語句を選ぶ形式です。手がかりは、空欄の前後の論理関係(言い換え、結論、対比)と、本文で繰り返される語です。
例題(自作) 空欄に入るものを選んでください。
メモは、聞いた内容をそのまま書き写す作業ではない。話を聞きながら、どこが重要かを判断し、自分の言葉に言い換えて書く人は、書くという行為を通して、内容を頭の中で組み立て直している。したがって、メモは、聞いた内容を( )ための手段でもある。
1. 正確に暗記する
2. 整理して理解する
3. 速く書き取る
4. 後から他人に伝える
5. 忘れたことにしない
答えと手順:正解は2です。
- ①空欄の直前の「したがって」は、前の内容の結論を導く接続語です。空欄は、「重要かを判断し」「言い換え」「組み立て直している」の言い換えになります
- ②「整理して理解する」は、この3つの内容を1つにまとめた言い方です
- ③1は、本文に「暗記」が出てきません。3は、冒頭の「そのまま書き写す作業ではない」と逆です。4・5は、本文に根拠がありません
空欄補充は、選択肢を空欄に当てはめて自然かどうかだけで選ぶと、本文にない内容を選んでしまいます。空欄の前後と、本文のキーワードに戻って確かめます。
内容合致の手順
本文の内容に合う(または合わない)記述を選ぶ形式です。手がかりは、各選択肢の根拠が本文のどこにあるかです。
例題(自作) 本文の内容に合致するものを選んでください。
かつて、通勤時間帯の混雑を和らげるために、時差出勤が広く推奨された。時差出勤は、個人の負担を軽くする効果があるとされ、実際に利用する人も増えた。しかし、利用者が増えれば、新たな混雑の時間帯が生まれる。混雑を根本的に減らすには、出勤の時間をずらすだけでなく、そもそも出勤の回数や場所を見直す必要があるという指摘もある。
1. 時差出勤は、利用する人が増えても、新たな混雑を生むことはない。
2. 時差出勤には、個人の負担を軽くする効果があるとされている。
3. 混雑を減らすには、出勤の時間をずらすことだけで足りると指摘されている。
4. 時差出勤は、実際にはほとんど利用されなかった。
5. 出勤の回数や場所の見直しは、時差出勤に代わるものとして広く推奨されるようになった。
答えと手順:正解は2です。選択肢ごとの根拠は次のとおりです。
| 選択肢 | 本文との関係 | 型 |
|---|---|---|
| 1 | 「利用者が増えれば、新たな混雑の時間帯が生まれる」と逆 | 本文と逆 |
| 2 | 「個人の負担を軽くする効果があるとされ」と一致 | 合致 |
| 3 | 「ずらすだけでなく」見直す必要がある、とあり、「足りる」は逆 | 本文と逆 |
| 4 | 「実際に利用する人も増えた」と逆 | 本文と逆 |
| 5 | 見直しは「指摘もある」にとどまり、「代わるものとして広く推奨」は本文にない | 言い過ぎ |
選択肢1・3・4は本文と逆、5は本文の「指摘もある」を「広く推奨」に言い過ぎています。本文にある語句がそのまま使われていても、「だけ」「ほとんど」「広く」のような言葉で意味が変わる点に注意します。
時間配分と解く順番(当サイトの提案)
令和8年度の試験時間は、午後1時から午後4時までの180分で、問題は60問(法令等46題・基礎知識14題)です。180分を60問で割ると、1問あたり平均3分です(当サイトの計算)。記述式のように時間のかかる問題が含まれるため、文章理解に何分かけるかは、各自の練習で決めてください。
解く順番については、令和7年度は、基礎知識の最後の問題58〜60が文章理解にあたると考えられます(当サイトの推定)。本番の順番は問題冊子で確かめられます。当サイトの提案として、練習の段階で次のことを決めておくと、本番で迷いません。
- 1問あたりにかける時間の上限(例えば、練習で測った平均時間に余裕を足した時間)
- 形式ごとの手順(並べ替えは接続の確定から、空欄補充は前後の論理から、内容合致は根拠の確認から)
- わからないときに飛ばす基準
基礎知識のほかの区分を問題で確認する
文章理解で足切りの見通しを立てたうえで、ほかの区分は条文や用語で固められます。合格ナビの基礎知識の問題(48問)の例です。
- 個人情報保護法の基本概念(基礎知識 問20)
- 情報公開法の基礎(基礎知識 問22)
- 情報通信用語・インターネットの基礎(基礎知識 問23)
- 行政書士の業務範囲(基礎知識 問26)
- 行政書士法人の設立・社員・解散(基礎知識 問38)
基礎知識の問題一覧は基礎知識の問題から選べます。
まとめ
- 文章理解は、基礎知識(令和8年度は14題)の出題分野の1つ。令和7年度は問題58〜60の3問と考えられる(当サイトの推定)
- 令和7年度の基準では、基礎知識は6問以上(24点以上)が必要。文章理解を3問とも取れれば、残りの11問で3問の正解で届く
- センターの公開ページは、問題58〜60を著作権の関係から掲載していない(令和2〜7年度)。公開されている過去の試験問題では、文章理解を練習しにくい
- 解き方の原則は「本文に書いてあることだけを根拠に選ぶ」。並べ替えは接続の確定から、空欄補充は前後の論理から、内容合致は選択肢ごとの根拠から
- 令和8年度の合格基準点は令和9年1月27日に公表予定。問題数や形式は、受験する年度のご案内と問題冊子で確かめる
本サイトは行政書士試験研究センターとは関係ありません。掲載している問題は、過去の出題論点をもとに合格ナビが作成した論点別問題で、公式の試験問題ではありません。この記事の例題は、解き方の手順を示すために当サイトが作った文章で、本試験の問題ではありません。
参照した一次ソース
- 行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内(試験日、試験科目、出題数、合格基準)
- 行政書士試験研究センター 令和7年度行政書士試験合否判定基準(配点、合格基準点)
- 行政書士試験研究センター 令和7年度試験問題(基礎知識 問題47〜57の区分)
- 行政書士試験研究センター 過去の試験問題と正解(掲載していない問題番号の注意書き)
よくある質問
Q行政書士試験の文章理解は、何問出ますか?
令和8年度のご案内は、基礎知識(14題)の出題分野の1つに「文章理解」を挙げていますが、文章理解だけの問題数は書いていません。令和7年度の問題冊子では、問題47〜57の11問が一般知識・行政書士法等・情報通信・個人情報保護の問題で、残る問題58〜60の3問が文章理解と考えられます(当サイトの推定)。問題数は年度で変わる可能性があるため、受験する年度のご案内と問題で確かめてください。
Q公開されている過去の試験問題で、文章理解を練習できますか?
行政書士試験研究センターの過去の試験問題のページには、令和2年度から令和7年度のいずれも、問題58〜60を著作権の関係から掲載していないという注意書きがあります(令和7・6・4年度は問題1・58〜60、令和5年度は問題1・6・56・58〜60、令和3年度は問題1・7・58〜60、令和2年度は問題1・5・58〜60)。基礎知識の最後の3問にあたるため、公開されている問題で文章理解を練習することは難しいと考えられます(2026-10-28時点)。
Q文章理解を落とすと、足切りにどう影響しますか?
令和7年度の基礎知識は14問56点で、24点以上(1問4点で6問以上)が基準でした。文章理解を3問とすると、3問とも正解なら残り11問で3問、0問なら残り11問で6問(約55%)の正解が必要になります(当サイトの計算。令和8年度の基準点は令和9年1月27日に公表予定)。
Q本文と設問は、どちらを先に読めばよいですか?
決まった正解はありません。当サイトの提案は、先に設問の形式(並べ替え・空欄補充・内容合致)を確かめてから、本文を読む方法です。形式がわかると、本文のどこに注目するか(接続語、指示語、筆者の主張)を決めやすくなります。練習で両方を試して、自分に合う順を決めてください。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月28日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

