行政書士に「免許」はありません。行政書士法の条文では、資格を得て名簿に登録を受けて初めて行政書士になります。免許証にあたる行政書士証票・登録証・バッジ(徽章)と、合格証・合否通知書・合格証明書の役割の違いを、行政書士法の条文と公式資料で整理します。
目次
結論:行政書士法に「免許」という言葉はありません(e-Gov の現行条文で確認)。行政書士になるには、試験の合格などで「資格」を得たうえで、日本行政書士会連合会の行政書士名簿に「登録」を受けます(第6条)。登録されると行政書士証票が交付されます(第6条の2第4項)。合格証は、試験に合格したことを示す書面で、免許証のように「行政書士である」ことを示す書類ではありません。
この記事の条文の出典は、e-Gov 法令検索の行政書士法です(2026-10-04 時点の現行条文。2026-05-21 施行の版)。
「免許」ではなく、資格と登録:行政書士になるまでの3段階
行政書士になるまでの流れを、条文の番号つきで並べると次のとおりです。
| 段階 | 内容 | 誰が行うか | 根拠 |
|---|---|---|---|
| ①資格を得る | 行政書士試験に合格する(ほかに、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の資格や、公務員などとして行政事務を担当した期間の通算20年以上(高校卒業者などは17年以上)でも資格を得る) | 試験は行政書士試験研究センター | 行政書士法第2条 |
| ②登録を受ける | 行政書士名簿に登録される。申請は事務所の所在地の都道府県の行政書士会を経由して行う | 日本行政書士会連合会 | 第6条・第6条の2 |
| ③証票が交付される | 登録をしたときに行政書士証票が交付される | 日本行政書士会連合会 | 第6条の2第4項 |
行政書士法第2条は、第1号に「行政書士試験に合格した者」を挙げ、そのほかの号に他の士業の資格者や公務員の経歴を挙げて、これらの者を「行政書士となる資格を有する」と定めています。第6条第1項は、その資格を有する者が行政書士となるには、行政書士名簿に登録を受けなければならないと定め、第6条第3項は、登録は日本行政書士会連合会が行うと定めています。
行政書士法に「免許」はない:条文を検索して確認
e-Gov 法令検索の行政書士法の現行条文(本則と附則の全193条)に「免許」の語は出てきません(2026-10-04 時点)。「登録」「資格」は上の表のとおり何度も出てきますが、「免許」と「免許証」は法文に出てきません。
「免許」という語は、別の場面で出てきます。
- 宅地建物取引業法第3条は、宅地建物取引業を営もうとする者は国土交通大臣または都道府県知事の「免許」を受けなければならないと定めています。事業を営む者に対する免許です。
- 行政手続法第2条第3号は、行政庁の「許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分」をまとめて「許認可等」と呼んでいます。行政書士は、こうした許認可等の申請書類を作成する側の資格です。
つまり、行政書士法の仕組みは、「免許を受けて営業する」ものではなく、「資格を持つ人が名簿に登録される」ものです。日本行政書士会連合会や行政書士試験研究センターの案内も「登録」の言葉で書かれているため、手続を調べるときは「行政書士 登録」で探してください。
行政書士の登録:行政書士となる資格を有する者が行政書士となるには、日本行政書士会連合会が備える行政書士名簿への登録が必要。登録の申請は、事務所を設けようとする都道府県の行政書士会を通じて行う。最終確認日:2026-10-04。出典:日本行政書士会連合会 行政書士になるには。
免許証にあたる物は?行政書士証票・登録証・バッジ
免許証のような「行政書士であることを示す物」にあたるものを、確認できた範囲で整理します。
| 物 | 法律の定め | 日本行政書士会連合会の案内で確認できたこと |
|---|---|---|
| 行政書士証票 | 登録をしたときに交付される(行政書士法第6条の2第4項)。登録が抹消されたときは、遅滞なく返還する(同法第7条の2第1項) | 行政書士証票は銀色を基調とする(特定行政書士証票は金色を基調とする) |
| 行政書士登録証 | 法文に「登録証」の語はない | 手続の案内に「行政書士証票・行政書士登録証の再交付等の手続」とあり、申請の様式が定められ、所属の都道府県行政書士会を経由して提出する |
| 行政書士徽章(バッジ) | 法文に「徽章」の語はない | 特定行政書士徽章(バッジ)は、行政書士徽章に比べて、直径が2mm大きく、厚さが1mm厚い |
出典:日本行政書士会連合会 行政書士の各種手続・特定行政書士について。条文は上記の行政書士法。
行政書士証票は法律に根拠があり、日本行政書士会連合会が登録時に交付します。登録証とバッジは、日本行政書士会連合会の公開ページに名前が出てきますが、書式、交付の時期、費用などは、上の出典の3ページ(行政書士になるには・行政書士の各種手続・特定行政書士について。2026-10-04 時点)には載っていません。これらを知りたい場合は、登録を考えている都道府県の行政書士会か日本行政書士会連合会に確認してください。
合格証とは何か:合格証・合否通知書・合格証明書の違い
試験に合格すると、行政書士試験研究センターから届く書類が3種類あります(合格証明書は申請して取得するもの)。役割がそれぞれ違います。
| 書類 | 内容 | 再発行 |
|---|---|---|
| 合否通知書 | 合格発表後に受験者全員に送られる圧着はがき。合否のほか、配点、合格基準点、得点が書かれている | 本年度と、本年度を基準に過去3年度分まで書面で申請できる(手数料は無料) |
| 合格証 | 合格者に簡易書留で送られる。合否通知書に記載された氏名・生年月日が書かれている | 再発行は行わない |
| 合格証明書 | 合格証に代わるもの。受験した都道府県の行政書士試験管轄部署で交付される | 窓口は都道府県。交付手続は受験した都道府県に問い合わせる |
出典:令和8年度行政書士試験のご案内・合格証明書・合否通知書の再発行・よくある質問(FAQ)。
令和8年度 行政書士試験の合格発表と合格証の発送:合格発表は令和9年1月27日(水)午前9時から。合格証は令和9年2月12日(金)(予定)に簡易書留郵便で発送。最終確認日:2026-10-04。出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内。
「行政書士 合格証 しょぼい」と検索する人がいます。合格証の紙面や体裁についての記載は、センターの資料にはありません。この記事では体裁の評価はしません。確かなのは、次の3点です。
- 合格証は、行政書士試験に合格したことを示す書面で、再発行されません。紛失したときの代わりは、都道府県で交付される合格証明書です。
- 合格証は、行政書士として登録されたことを示す物ではありません。登録を受けて交付される行政書士証票とは別の書類です。
- 登録の申請に添える書類は、条文では「行政書士となる資格を有することを証する書類」(行政書士法第6条の2第1項)とされています。合格者が具体的に何を添えるかは、申請先の都道府県の行政書士会の案内で確認してください。
合格しただけでは「行政書士」と名乗れない理由
合格しても登録を受けるまでは行政書士ではない、という点が、条文から確認できます。
- 行政書士法第6条:資格を有する者が行政書士となるには、名簿への登録を受けなければならない。
- 行政書士法第19条の2第1項:「行政書士でない者は、行政書士又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。」
- 行政書士法第19条第1項:行政書士または行政書士法人でない者は、他人の依頼を受け報酬を得て、業として第1条の3に規定する業務(官公署に提出する書類の作成など)を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合などは、この限りでない。
これらを並べると、登録を受ける前の合格者は、行政書士としての名称も、報酬を得て行う業務も、そのままでは使えません。第19条の詳しい内容は、行政書士法19条の解説にまとめています。
登録を受けるときの入口:この記事では手続を書かない理由
登録の申請の手順・必要書類・手数料は、日本行政書士会連合会と、事務所を設けようとする都道府県の行政書士会が定めて案内しています。日本行政書士会連合会は「手続の詳細については、行政書士事務所を設けようとする都道府県行政書士会へお尋ねください。」としています。申請は、事務所の所在地の行政書士会を経由して行います(行政書士法第6条の2第1項)。入会金は会ごとに異なります(石川県行政書士会と長崎県行政書士会の案内では金額が違います)。登録時に必要な額の内訳と会ごとの例は、確認日つきで行政書士の在宅ワーク・自宅開業にまとめています。
登録の前に確認しておく条文は次の3つです。
- 欠格事由(行政書士法第2条の2):未成年者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、拘禁刑以上の刑に処せられて3年を経過しない者などは、資格を有しません。一覧は行政書士になるには?(特認制度・試験・登録)の表にあります。
- 登録の拒否(第6条の2第2項):心身の故障により業務を行うことができない者、行政書士の信用または品位を害するおそれがある者などは、登録を拒否されます。
- 拒否や不作為への審査請求(第6条の3):登録を拒否された者は総務大臣に審査請求でき、申請から3か月を経過しても何の処分もされないときは、登録を拒否されたものとして審査請求できます。
当サイトの問題で、登録と資格の論点を確認する
合格ナビの行政書士の論点別問題は493問です(当サイトの問題数で、本試験の出題数ではありません)。このうち、行政書士法を扱う基礎知識の問題は11問です(2026-10-04 時点の当サイト集計)。
まとめ
- 行政書士法に「免許」はありません。行政書士は、試験合格などで資格を得て、名簿に登録を受けて初めて行政書士になります(第2条・第6条)。
- 登録されると、日本行政書士会連合会から行政書士証票が交付されます(第6条の2第4項)。登録証とバッジ(徽章)の書式や交付の時期は、日本行政書士会連合会の3つの案内ページ(2026-10-04 時点)には載っていません。
- 合格証は試験合格を示す書面で、再発行されません。代わりは、都道府県で交付される合格証明書です。
- 登録の手続は、事務所を設けようとする都道府県の行政書士会に確認してください。
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よくある質問
Q行政書士試験に合格したら、すぐに「行政書士」と名乗れますか?
名乗れません。行政書士法第6条は、行政書士となる資格を有する者が行政書士となるには、行政書士名簿への登録を受けなければならないと定めています。第19条の2第1項は、行政書士でない者が「行政書士又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない」と定めているため、登録を受けるまでは、合格していても行政書士という名称は使えないと読めます。登録の手続は、事務所を設けようとする都道府県の行政書士会に確認してください(出典:日本行政書士会連合会 行政書士になるには)。
Q合格証をなくしました。再発行できますか?
合格証は再発行できません。行政書士試験研究センターは、合格証に代わるものとして「合格証明書」を、受験した都道府県の行政書士試験管轄部署で交付するとしています。交付の手続は、その都道府県の窓口に問い合わせてください(出典:行政書士試験研究センター 合格証明書・合否通知書の再発行)。得点が書かれた合否通知書のほうは、本年度と過去3年度分まで書面で再発行を申請できます。
Q行政書士証票と行政書士登録証は同じものですか?
行政書士法にも日本行政書士会連合会の案内にも、同じものだとする記載はありません。行政書士法に出てくるのは「行政書士証票」で、登録をしたときに日本行政書士会連合会が交付すると定められています(第6条の2第4項)。「行政書士登録証」という語は、日本行政書士会連合会の手続の案内に「行政書士証票・行政書士登録証の再交付」として並んで出てきますが、法律には登録証の定義がありません。書式や用途は、所属の行政書士会か日本行政書士会連合会に確認してください。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

