行政書士になる3ルート(試験・他の士業の資格・公務員の特認)を行政書士法第2条で整理し、特認制度(第2条第6号)を警察官・公務員が使えるかの視点で解説。通算20年(高卒等17年)の数え方、認められないケース、事前確認の流れ、試験ルートとの違い、登録手続と欠格事由を、行政書士会の公式資料と条文で確認できます。
目次
- 警察官・公務員の特認制度:先に答えだけ
- 行政書士になる3ルートの早見表(行政書士法第2条)
- 公務員から行政書士になるには:第2条第6号(特認)の読み方
- 警察官は特認で行政書士になれる?職種ではなく職務内容で決まる
- 特認で認められないケース:年数・期間・欠格事由
- 特認の手続:職歴証明書と事前確認から登録まで
- 公務員から行政書士になるデメリット・注意点
- 行政書士試験ルート:受験資格はなし(高卒・独学でも受験できる)
- 行政書士になれない人:欠格事由(行政書士法第2条の2)
- 資格を得てから行政書士になるまで:登録の手続(行政書士法第6条)
- 行政書士は何ができる?法律が定める業務の範囲
- どのルートが自分に当てはまるか:3つの確認
- まとめ:行政書士とは「登録を受けた」資格者
結論:行政書士になるには、行政書士法第2条の資格(試験合格・弁護士などの他の士業となる資格・公務員などの通算20年の行政事務歴)のどれかを得て、行政書士名簿に登録を受けます。公務員向けの特認制度は、行政書士法第2条第6号が定める「公務員などとして行政事務を担当した期間が通算20年以上(高等学校を卒業した者などは17年以上)」で、試験を受けずに行政書士となる資格を得る仕組みです。警察官も公務員ですが、数えられるのは在職期間ではなく「行政事務を担当した期間」で、職種ではなく職務内容で個別に判断されます。京都府・群馬県の行政書士会の資料は、文書の立案作成や審査等に関連する事務を、ある程度その人の責任で処理していたかを基準にし、単なる労務・純粋の技術・事務の補助は含めないとしています。群馬県行政書士会は在職中の申請を不可としており、東京都・京都府の行政書士会は事前確認を求めています。資格を得ても、日本行政書士会連合会の行政書士名簿に登録して初めて行政書士になります(同法第6条)。
この記事の条文は、e-Gov 法令検索の行政書士法で確認しています(2026-10-03 時点の現行条文。2026-05-21 施行の版)。
合格ナビの行政書士の論点別問題493問のうち、行政書士法を扱う問題は、試験の基礎知識科目に当たる「一般知識」の11問です(2026-10-03 集計。当サイトの自作問題の数で、本試験の出題数ではありません)。行政書士試験の基礎知識科目には「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」が含まれるため(行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内)、なり方の条文はそのまま試験の論点でもあります。
警察官・公務員の特認制度:先に答えだけ
| 疑問 | 答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 数えるのは何の期間か | 公務員として在籍した期間ではなく、「行政事務を担当した期間」 | 行政書士法第2条第6号 |
| 警察官は公務員か | 公務員の身分(警視正以上は一般職の国家公務員、それ以外の都道府県警察の職員は地方公務員法の規定にもとづいて服務などが定められる) | 警察法第56条第1項・第2項 |
| 警察官の経歴は数えられるか | 職種では決まらず、職務内容で個別に判断される。公式資料に職種別の一覧はない | 京都府・群馬県・東京都の行政書士会の資料 |
| いつ申請するか | 退職後(群馬県行政書士会は在職中・退職予定の申請を不可としている) | 群馬県行政書士会の注意事項 |
| 事前確認はあるか | 東京都・京都府の行政書士会は事前確認を求めている(東京都は結果まで概ね2か月) | 各会の案内・手引 |
| 年数が足りないとき | 職歴による試験科目の免除はなく、試験合格のルートになる | 行政書士法・令和8年度受験案内 |
行政書士になる3ルートの早見表(行政書士法第2条)
行政書士法第2条は「次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。」と定め、6つの号を置いています。号ごとに整理すると、次のとおりです。
| ルート | 行政書士法第2条 | 要件(条文の言葉) | 行政書士試験 |
|---|---|---|---|
| 試験 | 第1号 | 行政書士試験に合格した者 | 受験する |
| 他の士業の資格 | 第2号〜第5号 | 弁護士・弁理士・公認会計士・税理士「となる資格を有する者」 | 受けない |
| 公務員など(いわゆる特認) | 第6号 | 公務員として行政事務を担当した期間などが通算して20年以上(高等学校を卒業した者その他学校教育法第90条に規定する者は17年以上) | 受けない |
| 共通 | 第2条の2・第6条 | 欠格事由に当たらず、行政書士名簿に登録を受けること | — |
第2号〜第5号は「弁護士となる資格を有する者」のように「資格を有する者」と書かれており、条文上はその士業として登録していることまでは求めていません。
公務員から行政書士になるには:第2条第6号(特認)の読み方
「行政書士とは 公務員」で調べる人の多くが知りたいのが、この第6号です。原文は次のとおりです。
国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。以下同じ。)又は特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して二十年以上(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校を卒業した者その他同法第九十条に規定する者にあつては十七年以上)になる者(行政書士法第2条第6号)
読むときのポイントは4つです。
- 数えるのは「行政事務を担当した期間」:公務員として在籍した期間ではなく、行政事務を担当した期間です。
- 行政執行法人・特定地方独立行政法人の期間も入る:こちらは「行政事務に相当する事務」を担当した期間として数えます。
- 「通算して」:国と地方、公務員と行政執行法人など、別々の期間を合計できます。
- 20年と17年の分かれ目は括弧書き:17年になるのは「高等学校を卒業した者その他同法第九十条に規定する者」です。高等学校卒業以外で括弧書きに当たるかどうかは、学校教育法第90条の規定によります。
第6号の年数を満たすと、試験を受けずに「行政書士となる資格」を得ます。ただし、それだけでは行政書士ではありません。登録の申請では「行政書士となる資格を有することを証する書類」を添えることになっており(行政書士法第6条の2第1項)、資格があるかどうかは登録の審査で日本行政書士会連合会が判断します(同条第2項)。担当した事務が「行政事務」に当たるかなど個別の扱いは、事務所を設ける予定の都道府県の行政書士会に確認してください。
行政書士法第2条が定めているのは資格の要件だけです。在職中の申請については、群馬県行政書士会の注意事項に「公務員法による制限があるため在職中の申請は不可(退職予定も不可)」とあります(群馬県行政書士会 職歴証明書に関する注意事項)。次の「認められないケース」の節で整理します。
実際にどれくらい使われているかは、総務省の登録統計で確かめられます。令和6年度に新たに登録した3,298人のうち、第6号(公務員等の行政事務20年以上・高卒等17年以上)による登録は495人、第1号(行政書士試験の合格)による登録は2,459人でした。令和6年度末の登録者52,734人のうち、第6号に当たる人は8,121人です(総務省 表1 行政書士の登録状況(令和6年度))。この表は第2条の号ごとの人数で、警察官など職種別の人数は載っていません。
年数に届かない場合の扱いも押さえておきましょう。行政書士法と、行政書士試験研究センターの令和8年度の受験案内のどちらにも、職歴による試験科目の免除の規定・記載はありません(2026-10-03 確認)。20年(17年)に満たない人が行政書士になる道は、試験合格です。
警察官は特認で行政書士になれる?職種ではなく職務内容で決まる
「行政書士 警察官」「警察官から行政書士」で調べる人が知りたいのは、警察官としての経歴が第6号の20年(17年)に数えられるかどうかです。公式の資料から言えることは次の3点です。
- ①警察官は公務員の身分です。 警察法第56条第1項は、都道府県警察の職員のうち警視正以上の階級にある警察官を一般職の国家公務員とし、第2項は、それ以外の都道府県警察の職員の勤務条件や服務について地方公務員法の規定にもとづく条例等で定めることとしています(警察法、2026-10-03 取得の現行条文)。第6号の「国又は地方公共団体の公務員」の枠には入ります。ただし、公務員であることと「行政事務を担当した期間」であることは別の要件です。
- ②数えられるかは職務内容で決まります。 京都府行政書士会の手引は、行政事務かどうかを基本的に次の2点で判断するとしています。「文書の立案作成や審査等に関連する事務であること」と「ある程度その者の責任において事務を処理していること」です。「単に職務の一部に書類の作成等が含まれているだけでは足りない」ともあります(京都府行政書士会 行政書士新規登録申請の手引 第1章7)。
- ③公式資料に職種別の一覧や判定はありません。 東京都行政書士会は、行政事務歴の「具体的な判断要素や審査基準」について電話・メールでは回答できないとし、提出された公務員職歴証明書などをもとに確認します(東京都行政書士会 公務員・行政事務歴での登録入会をお考えの方へ)。同会の職歴証明書の記入例には「自衛隊・警察等の場合は、階級を記入して下さい。」という注記があり、警察の職歴も職歴証明書で申請する形式になっています。
つまり、「警察官だから認められる」「警察官だから認められない」のどちらも、公式資料からは言えません。インターネット上には両方の書き方が見られますが、数えられるかどうかは、申請者の職務内容と責任の程度を書いた職歴証明書で個別に確認されます。
自分の職歴を当てはめるときの確認項目
下の表は、上の公式資料の基準を確認項目に直した当サイトの整理で、合否の判定表ではありません。最終的な判断は、申請先の行政書士会(会によっては日本行政書士会連合会)の確認で決まります。
| 確認項目 | 見るポイント | 出典 |
|---|---|---|
| 文書の立案作成・審査等に関連する事務か | 立案作成は、自分で書く場合に限らず、広く事務執行上の企画等も含む | 京都府行政書士会の手引 |
| ある程度自分の責任で処理していたか | 職務の一部に書類作成が含まれているだけでは足りず、職務の内容が全体として基準に当たる必要がある | 京都府行政書士会の手引、群馬県行政書士会の注意事項 |
| 数えられない期間が混じっていないか | 条件付採用期間・主事補の期間・外郭団体等への出向期間・技術系分野の期間などは算入されない(群馬県) | 群馬県行政書士会の注意事項 |
| 職務内容を証明書に具体的に書けるか | 身分・階級・役職・職務内容を、勤務先の人事部署の記録にもとづき証明してもらう | 東京都行政書士会の案内 |
| 退職しているか | 在職中の申請は不可(群馬県) | 群馬県行政書士会の注意事項 |
特認で認められないケース:年数・期間・欠格事由
「行政書士特認制度 認められない」と調べる人向けに、資格が得られない場合を、根拠のある順に整理します。公務員の職歴があっても登録できないことがあります。群馬県行政書士会の注意事項にも「公務員の職歴があるとしても登録することができないケースがあります」と書かれています。
| ケース | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 年数が足りない | 通算20年(高等学校を卒業した者その他学校教育法第90条に規定する者は17年)に届かない。職歴による試験科目の免除もない | 行政書士法第2条第6号、令和8年度受験案内 |
| 公務員歴はあるが行政事務を担当した期間と認められない | 単なる労務・純粋の技術・事務の補助に関する事務の期間は含まれない | 京都府・群馬県の行政書士会の資料 |
| 算入されない期間がある | 条件付採用期間、主事補であった期間、外郭団体等に出向していた期間、技術系分野に携わっていた期間 | 群馬県行政書士会の注意事項 |
| 技術職の職歴が中心 | 技術吏員(技官・技師)は、高度な知見を有する職務や実質的に行政事務を行っていた場合でも、認定されにくい傾向がある | 群馬県行政書士会の注意事項 |
| 懲戒免職から3年を経過していない | 欠格事由。特認の年数を満たしていても、行政書士となる資格がない | 行政書士法第2条の2第4号 |
| その他の欠格事由・登録拒否事由 | 拘禁刑以上の刑から3年を経過していない場合など。登録の段階では心身の故障などの登録拒否事由もある | 行政書士法第2条の2、第6条の2第2項 |
| 在職中に申請する | 公務員法による制限があるため在職中の申請は不可(退職予定も不可) | 群馬県行政書士会の注意事項 |
群馬県の注意事項は、平成19年の地方自治法改正前の事務吏員であった人は行政事務に相当する事務を行っていたと認定されやすい傾向がある、とも書いています。ここに挙げた算入されない期間や認定の傾向は、群馬県行政書士会が示している運用です。他の会でも同じとは限らないため、申請先の都道府県の行政書士会で確認してください。
特認の手続:職歴証明書と事前確認から登録まで
公務員の職歴で登録するときは、登録申請の前に「行政事務歴の事前確認」を求める会があります。東京都行政書士会は「登録・入会申請に先立ち、行政事務歴の「行政書士資格事前確認願」を申請していただく必要がございます。」と案内しており、京都府行政書士会は、行政事務歴に当たるかどうかを事前に書面で日本行政書士会連合会に確認しています。流れは次のとおりです(会によって細部は異なります)。
- ①公務員職歴証明書を取り寄せる:東京都行政書士会は、原則として申請者が書くのではなく、勤務していた官公庁の人事関係部署から人事記録にもとづく証明書を取り寄せるよう案内しています。身分(事務吏員・技術吏員等)・階級・役職・職務内容を正確に書いてもらい、複数枚のときは任命権者の契印が必要です。記入例には「退職日以降に証明された物が必要です」という注記があります。
- ②事前確認を申請する:東京都行政書士会は「行政書士資格事前確認願」と公務員職歴証明書を郵送で提出し、結果までは概ね2か月としています。京都府行政書士会は、日本行政書士会連合会のウェブサイトの「新規登録の手続」から取得した公務員職歴証明書の原本(2部)を会へ郵送または持参します。
- ③書類が足りない場合に備える:職歴証明書が発行されない機関や、職務内容の証明が不十分な機関では、京都府行政書士会の手引によると「当該機関が発行した履歴書」や「職歴証明書補足用紙」などの別様式が必要になることがあります。行政事務歴が17年以上20年未満のときは、高等学校以上の卒業証書の写しなども求められます(同手引)。
- ④懲戒免職でないことの確認:東京都行政書士会は、退職後3年を経過している場合や、職歴証明書に退職事由(定年退職・勧奨退職・依願退職)が書かれている場合を除いて、第2条の2第4号に該当しないことの証明書を求めています。群馬県行政書士会は、退職事由が明記されていないときは退職辞令等の写しを求めています。
- ⑤登録を申請する:事前確認で資格があるとされたら、行政書士法第6条の2第1項にもとづく登録申請に進みます。この先の流れは、下の「登録の手続」の節で整理しています。
東京都行政書士会の公務員事前確認の所要期間:結果が出るまで概ね2か月。最終確認日:2026-10-03。出典:東京都行政書士会 公務員・行政事務歴での登録入会をお考えの方へ。
必要書類・手数料・日数は会ごとの案内によるため、申請先の都道府県の行政書士会で最新の案内を確認してください。
公務員から行政書士になるデメリット・注意点
特認には、試験を受けずに資格を得られる面がある一方、条文と公式資料から言える注意点があります。
- 在職中は使えません。 申請は退職後です(群馬県行政書士会)。資格を得る前に退職の判断が必要になる点は、特認の大きな特徴です。
- 年数に届かなければ試験です。 20年(17年)に満たない場合、職歴による科目免除はありません(行政書士法、令和8年度受験案内)。試験は受験資格がなく、公務員の人も同じ条件で受験できます。
- 認定は個別で、時間がかかります。 東京都行政書士会の確認は概ね2か月で、事務局は審査基準の具体的な内容を電話・メールでは答えていません。
- 職歴を証明する書類が要ります。 勤務先の人事部署から、任命権者の証明つきの職歴証明書を取り寄せます(群馬県行政書士会は2通・コピー不可としています)。
- 資格を得たあとも登録が要ります。 行政書士となる資格を得ても、行政書士名簿への登録を受けて初めて行政書士になります(第6条第1項)。条文上、業務の範囲は資格の取得方法で分かれていません(第1条の3・第1条の4)。
開業後の仕事の取り方や収入は、資格をどのルートで得たかとは別の話です。働き方の整理は行政書士資格の活かし方で扱っています。制度の存続への疑問は行政書士は廃止される?で条文と統計を確認しています。
行政書士試験ルート:受験資格はなし(高卒・独学でも受験できる)
試験ルートには、年齢・学歴の条件がありません。行政書士試験研究センターの受験案内には「年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます。」と書かれています(行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内)。「行政書士になるには 高卒」で調べている人も、受験そのものに学歴は関係ありません。
試験の骨格は次のとおりです(同ページ)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 科目 | 行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数46題)・行政書士の業務に関し必要な基礎知識(出題数14題) |
| 法令等の範囲 | 憲法、行政法(行政法の一般的な法理論・行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法・国家賠償法・地方自治法を中心とする)、民法、商法、基礎法学 |
| 合格基準 | 法令等科目が満点の50パーセント以上、基礎知識科目が満点の40パーセント以上、試験全体が満点の60パーセント以上(3つすべて)。試験問題の難易度を評価し、補正的措置を加えることがあるとされています |
令和8年度 行政書士試験の試験日・受験手数料:試験日 令和8年11月8日(日)午後1時から午後4時まで、受験手数料 10,400円。最終確認日:2026-10-03。出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内。
令和8年度 行政書士試験の法令の基準日:令和8年4月1日現在施行されている法令に関して出題。最終確認日:2026-10-03。出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内。
公務員の人も、受験の条件は同じです。特認の年数に届かない場合は、この試験ルートで資格を得ます。
独学での進め方は行政書士の独学ガイド、難しさの数字は行政書士試験の難易度と合格率にまとめています。
行政書士になれない人:欠格事由(行政書士法第2条の2)
第2条の資格があっても、第2条の2のどれかに当たると「前条の規定にかかわらず、行政書士となる資格を有しない」とされます。
| 号 | 欠格事由(条文の要旨) | 期間 |
|---|---|---|
| 第1号 | 未成年者 | — |
| 第2号 | 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 | 復権まで |
| 第3号 | 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者 | 3年 |
| 第4号 | 公務員(行政執行法人・特定地方独立行政法人の役員・職員を含む)で懲戒免職の処分を受け、処分の日から3年を経過しない者 | 3年 |
| 第5号 | 第6条の5第1項により登録の取消しの処分を受け、処分の日から3年を経過しない者 | 3年 |
| 第6号 | 第14条により業務の禁止の処分を受け、処分の日から3年を経過しない者 | 3年 |
| 第7号 | 弁護士会からの除名、公認会計士の登録抹消、弁理士・税理士・司法書士・土地家屋調査士の業務禁止、社会保険労務士の失格処分を受け、3年を経過しない者 | 3年 |
| 第8号 | 税理士法第48条第1項により、税理士法第44条第3号に掲げる処分を受けるべきであったことについて決定を受け、3年を経過しない者 | 3年 |
公務員の読者に関係が深いのは第4号です。特認の年数を満たしていても、懲戒免職の処分の日から3年を経過していなければ行政書士となる資格がありません。第3号の刑は、現行条文では「拘禁刑」と書かれています。
なお、登録の段階ではこれとは別に、「心身の故障により行政書士の業務を行うことができない者」などの登録拒否事由があります(行政書士法第6条の2第2項)。欠格事由(資格そのものが無い)と登録拒否事由(登録を拒否される)は別の条文です。
資格を得てから行政書士になるまで:登録の手続(行政書士法第6条)
どのルートでも、最後は登録です。行政書士法第6条第1項は「行政書士となる資格を有する者が、行政書士となるには、行政書士名簿に…登録を受けなければならない」と定めています。流れを条文順に並べると次のとおりです。
- ①申請:資格を証する書類を添えて、事務所の所在地の都道府県の行政書士会を経由し、日本行政書士会連合会に申請します(第6条の2第1項)。日本行政書士会連合会の案内でも「行政書士事務所を設けようとする都道府県の行政書士会を通じて必要な書類を提出いただくとともに、当該行政書士会に入会していただきます。」とされています(日本行政書士会連合会 行政書士になるには)。
- ②審査:日本行政書士会連合会が、資格の有無と登録拒否事由を審査します。拒否するときは資格審査会の議決にもとづき、あらかじめ弁明の機会を与えます(第6条の2第2項・第3項)。
- ③登録と証票:登録されると行政書士証票が交付されます(第6条の2第4項)。登録を受けた時に、事務所の所在地の行政書士会の会員になります(第16条の5第1項)。
- ④応答がないとき:申請から3か月を経過しても何の処分もされない場合は、登録を拒否されたものとみなして総務大臣に審査請求できます(第6条の3第2項)。
必要書類・手数料・入会金は都道府県の行政書士会ごとの案内によるため、申請先の会で確認してください。
行政書士は何ができる?法律が定める業務の範囲
行政書士法第1条は、行政書士の使命を「その業務を通じて、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もつて国民の権利利益の実現に資すること」と定めています。具体的な業務は次の条文に書かれています。
| 業務 | 根拠 | できる人 |
|---|---|---|
| 官公署に提出する書類(電磁的記録を含む)、権利義務・事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)の作成 | 第1条の3第1項 | 行政書士 |
| 作成できる書類を官公署に提出する手続、許認可等に関する聴聞・弁明の機会の付与などの意見陳述手続の代理 | 第1条の4第1項第1号 | 行政書士 |
| 許認可等に関する審査請求・再調査の請求・再審査請求など不服申立ての手続の代理と、その書類の作成 | 第1条の4第1項第2号・第2項 | 特定行政書士(日本行政書士会連合会の研修の課程を修了した行政書士)だけ |
| 契約その他に関する書類を代理人として作成 | 第1条の4第1項第3号 | 行政書士 |
| 作成できる書類の作成についての相談 | 第1条の4第1項第4号 | 行政書士 |
ただし、他の法律で制限されている業務はできません(行政書士法第1条の3第2項・行政書士法第1条の4第1項ただし書)。また、同項第1号の代理からは、弁護士法第72条の法律事件に関する法律事務に当たるものが除かれています。
逆に、行政書士または行政書士法人でない者は、「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」、業として第1条の3の業務を行うことができません(第19条第1項)。同項にはただし書があり、ほかの法律に別段の定めがある場合などは除かれます。
資格を取ったあとの働き方や、多い業務分野は行政書士資格の活かし方で扱っています。
どのルートが自分に当てはまるか:3つの確認
- 公務員として行政事務を担当してきた人:通算期間が20年(括弧書きに当たる人は17年)に届くかを数えます。届く場合は特認、届かない場合は試験ルートです。
- 弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格がある人:試験を受けずに登録を申請できます(第2条第2号〜第5号)。
- 上の2つに当たらない人:行政書士試験に合格するルートです。受験資格の条件はありません。
いずれのルートでも、欠格事由(第2条の2)に当たらないことと、登録(第6条)が共通の条件です。
まとめ:行政書士とは「登録を受けた」資格者
- 行政書士の業務は、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類の作成などです(第1条の3)。
- 行政書士になる資格は、試験合格・他の士業の資格・公務員などの通算20年(17年)の3ルートです(第2条)。
- 欠格事由(第2条の2)に当たらず、行政書士名簿に登録して初めて行政書士になります(第6条)。
- 警察官を含む公務員は、行政事務を担当した期間が通算20年(17年)に届き、職務内容が認められれば特認で資格を得られます。職種の一覧はなく、群馬県行政書士会は在職中の申請を不可とし、東京都・京都府の行政書士会は事前確認を求めています。
- 行政書士法そのものが試験の基礎知識科目の範囲です。条文を読んだら、すぐ問題で確認しておきましょう。
よくある質問
Q公務員を何年続ければ、試験を受けずに行政書士になれますか?
行政書士法第2条第6号により、国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間(行政執行法人・特定地方独立行政法人の役員・職員として行政事務に相当する事務を担当した期間を含む)が通算して20年以上、高等学校を卒業した者など同号の括弧書きに当たる人は17年以上で、行政書士となる資格を得ます。資格を得たあと、日本行政書士会連合会の行政書士名簿への登録を受けて初めて行政書士になります。
Q公務員の経験が20年に足りない場合、試験科目の一部が免除されますか?
行政書士法と、行政書士試験研究センターの令和8年度の受験案内のどちらにも、職歴による試験科目の免除の規定・記載はありません(2026年10月3日に確認)。年数に満たない場合は、行政書士試験の合格を目指すことになります。
Q試験に合格しただけで「行政書士」と名乗れますか?
名乗れません。行政書士法第6条第1項は、行政書士となる資格を有する者が行政書士となるには行政書士名簿への登録を受けなければならないと定め、第19条の2第1項は行政書士でない者が行政書士またはこれと紛らわしい名称を用いることを禁じています。
Q警察官は特認制度で行政書士になれますか?
警察官は公務員ですが、特認で数えられるのは「行政事務を担当した期間」で、職種ではなく職務内容で個別に判断されます。京都府・群馬県の行政書士会の資料は、文書の立案作成や審査等に関連する事務を、ある程度その人の責任で処理していたかを基準にしています。公式資料に警察官の職種別の判定は載っていないため、申請先の都道府県の行政書士会に事前確認を受けて確かめます。
Q公務員のまま(在職中に)特認で行政書士登録の申請はできますか?
群馬県行政書士会の注意事項には「公務員法による制限があるため在職中の申請は不可(退職予定も不可)」とあります。申請は退職後です。取り扱いは行政書士会ごとに書かれているため、申請先の会の案内でも確認してください。
Q特認制度で認められないのはどんなケースですか?
年数が20年(高等学校卒業者等は17年)に満たない場合、期間が「行政事務を担当した期間」と認められない場合(群馬県行政書士会は、単なる労務・純粋の技術・事務の補助の期間、条件付採用期間、主事補の期間、外郭団体等への出向期間、技術系分野の期間を算入しないとしています)、懲戒免職の処分の日から3年を経過していない場合(行政書士法第2条の2第4号)などです。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月3日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

