行政書士 廃止の噂を、e-Govの行政書士法(2026年1月1日施行の改正前後の条文)と総務省・日行連の登録統計で確認。特認は残るか、AIでなくなるか、やめとけと言われる理由まで一次ソースで整理します。
目次
結論:行政書士の制度は廃止されていません。それどころか、行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)が2026年1月1日に施行され、第1条が「行政書士の使命」に改められ、行政書士でない人の書類作成の制限(第19条)も強められました。公務員の特認ルート(第2条第6号)も現行法に残っており、総務省の統計では令和6年度末の登録者は52,734人です。
この記事は、「廃止」という言葉で検索される3つの疑問(制度そのもの・特認・2026年の法改正)と、「AIでなくなる」「やめとけ」という声に、e-Gov の条文と官公庁・業界団体の公表データだけで答えます。年収や将来の予想は、一次ソースが無いので書きません。
「行政書士 廃止」の3つの意味:早見表
「行政書士 廃止」で調べる人の疑問は、だいたい次の3つに分かれます。先に答えをまとめます。
| 疑問 | 答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 行政書士の制度そのものが廃止されるのか | 廃止されていない。2026年1月1日施行の改正で使命・職責の規定が置かれた | 行政書士法第1条・第1条の2(e-Gov)、総務省「行政書士制度」 |
| 公務員の特認(試験なしで資格を得るルート)は廃止されたか | 廃止されていない。令和6年度も495人がこのルートで新たに登録 | 行政書士法第2条第6号、総務省 表1 |
| 2026年の法改正で何がなくなったのか | 業務がなくなったのではなく、無資格者の制限が明確になり、特定行政書士の代理の範囲が広がった | 行政書士法第19条・第1条の4(改正前後の条文) |
当サイトの行政書士の問題493問のうち、基礎知識の問題は48問で、そのうち行政書士法を扱う問題は11問です(2026-10-02 集計。問題はすべて過去の出題論点をもとにした当サイトの自作問題です)。基礎知識(出題数14題)は令和6年度試験から「一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解」から出題されるため(出典:行政書士試験研究センター 試験の概要)、この記事の内容はそのまま試験の論点にもなります。
制度は廃止されていない:2026年1月1日施行の改正で何が変わったか
総務省の「行政書士制度」のページは、「行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号。以下「改正法」という。)が令和7年通常国会において議員立法により成立し、令和8年1月1日に施行されました。」と案内しています(出典:総務省 行政書士制度)。
e-Gov 法令API で、改正前(2025年10月1日施行の版)と改正後(現行)の条文を並べると、主な違いは次のとおりです。
| 条文 | 改正前 | 改正後(現行) |
|---|---|---|
| 第1条 | (目的)「この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、…国民の権利利益の実現に資することを目的とする。」 | (行政書士の使命)「行政書士は、その業務を通じて、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もつて国民の権利利益の実現に資することを使命とする。」 |
| 第1条の2 | (業務)書類作成の規定 | (職責)品位の保持・法令と実務への精通・公正誠実(第1項)、デジタル社会の進展を踏まえた情報通信技術の活用などへの努力(第2項) |
| 第1条の3・第1条の4 | 書類作成は第1条の2、代理・相談は第1条の3 | 条番号が1つずつ繰り下がり、書類作成は第1条の3、代理・相談は第1条の4 |
| 特定行政書士の不服申立ての代理 | 「行政書士が作成した」官公署に提出する書類に係る許認可等 | 「行政書士が作成することができる」官公署に提出する書類に係る許認可等(第1条の4第1項第2号) |
| 第19条第1項 | 「業として第一条の二に規定する業務を行うことができない」 | 「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない」 |
| 両罰規定(第23条の3) | 「前条第一号の違反行為」 | 「第二十一条の二、第二十二条の四、第二十三条第二項又は前条の違反行為」 |
条文は e-Gov 法令検索で確認(2026-10-02 時点の現行条文):行政書士法。改正の施行日と法律番号は、e-Gov 法令API の改正履歴(令和七年法律第六十五号・施行 2026-01-01)でも確かめています。
令和7年改正の新旧条文の対照(条番号の移動表・罰則)と自動車関連の手続との関係は、行政書士法改正(2026年1月施行)の要点で詳しく扱っています。
特定行政書士の代理の範囲は、改正前は行政書士が「作成した」書類に係る許認可等に限られていました。改正後は「作成することができる」書類に係る許認可等となり、本人が自分で申請した許認可等についても、特定行政書士が不服申立ての手続を代理できる書き方になっています。特定行政書士は、日本行政書士会連合会が会則で定める研修の課程を修了した行政書士です(第1条の4第2項)。総務省の資料では、特定行政書士法定研修の修了者は令和6年度末までの累計で6,000人です(出典:総務省 表4 特定行政書士法定研修の都道府県別修了者数)。制度の案内は日本行政書士会連合会 特定行政書士についてにあります。
この論点の問題を解く(基礎知識・行政書士法)
行政書士でない人の書類作成はどう制限されているか(第19条)
改正で最も実務への影響が大きいのが第19条第1項です。現行の条文は次のとおりです。
「行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。」
総務省は、この制限を「「手数料」や「コンサルタント料」等いかなる名目によるかを問わず、対価を受領して、業として行うことはできません。」と説明しています。違反した人には「一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金」が科され(第21条の2)、法人の従業者などが業務に関して違反した場合は、その法人などにも罰金刑が科されます(第23条の3)。
ここから言えるのは、行政書士の業務が「なくなる」方向ではなく、行政書士でない人が報酬を得て業として書類を作る余地を狭める方向に法律が動いたということです。ただし、第19条第1項のただし書(他の法律に別段の定めがある場合など)は残っているので、税理士や司法書士など他の法律で認められた業務まで行政書士の独占になるわけではありません。
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特認(公務員ルート)は廃止されたか
「行政書士 特認 廃止」と検索されることがありますが、2026-10-02 時点の現行条文に特認は残っています。行政書士法第2条第6号は、国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間などが「通算して二十年以上(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校を卒業した者その他同法第九十条に規定する者にあつては十七年以上)」になる人を、行政書士となる資格を有する者としています。
実際に使われているかは、総務省の登録統計で確かめられます。令和6年度に新たに登録した3,298人を資格の根拠(第2条の号)別に見ると、次のとおりです。
| 資格の根拠(行政書士法第2条) | 令和6年度の新規登録 | 令和6年度末の登録者 |
|---|---|---|
| 第1号 行政書士試験に合格 | 2,459人 | 38,700人 |
| 第6号 公務員等として行政事務20年以上(高卒等17年以上) | 495人 | 8,121人 |
| 第5号 税理士となる資格 | 282人 | 5,370人 |
| 第4号 公認会計士となる資格 | 35人 | 404人 |
| 第2号・第3号 弁護士・弁理士となる資格 | 15人・12人 | 75人・64人 |
| 合計(第1号〜第6号と法附則第2項該当者) | 3,298人 | 52,734人 |
新規登録のおよそ4分の3(2,459人/3,298人)は試験合格者ですが、特認ルートの登録も毎年続いています。特認の要件の読み方(どの勤務期間が数えられるか)や登録までの手続は、行政書士とは:公務員から・試験からなるにはで詳しく扱っています。
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登録者数で見る:行政書士は「なくなる」資格か
行政書士として仕事をするには、行政書士名簿に登録を受けなければなりません(第6条第1項)。総務省の表1によると、令和6年度の動きは次のとおりです。
| 項目 | 人数 |
|---|---|
| 令和6年度当初の登録者 | 51,619人 |
| 令和6年度中の新規登録 | 3,298人 |
| 令和6年度中の登録抹消 | 2,183人 |
| うち 業を廃止する届出(第7条第1項第2号) | 1,799人 |
| うち 死亡(第7条第1項第3号) | 366人 |
| 令和6年度中の差引増減 | +1,115人 |
| 令和6年度末の登録者 | 52,734人 |
検算:51,619人+1,115人=52,734人、3,298人−2,183人=1,115人で、表の数字は合っています。
行政書士の登録者数:令和6年度末 52,734人(令和6年度の新規登録3,298人・登録抹消2,183人)。最終確認日:2026-10-02。出典:総務省 表1 行政書士の登録状況(令和6年度)。
日本行政書士会連合会の会員数:令和8年10月1日現在 個人会員55,880人・法人会員1,873。最終確認日:2026-10-02。出典:日本行政書士会連合会 各都道府県の行政書士会所在地・会員数等。
総務省の数字(令和6年度末)と日行連の数字(令和8年10月1日現在)は基準日も数え方も違うので、引き算して増減を読むことはしません。どちらの数字でも5万人を超える行政書士が登録・所属しており、令和6年度は新規登録が登録抹消を上回った、というのが一次ソースで言える範囲です。
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AIで行政書士の仕事はなくなるか:条文で言えること・言えないこと
「行政書士 AI なくなる」という疑問に、将来の仕事量を示す公的な統計はありません。そのため、この記事では「なくなる」「なくならない」のどちらも断定しません。条文から確実に言えるのは次の3点です。
- ①行政書士の業務(官公署に提出する書類などの作成)を、他人の依頼を受け報酬を得て業として行えるのは、行政書士と行政書士法人に限られます(第19条第1項)。道具が紙からデジタルに変わっても、誰が報酬を得て業として行えるかのルールは変わりません
- ②改正後の第1条の2第2項は、行政書士に「デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用その他の取組を通じて、国民の利便の向上及び当該業務の改善進歩を図るよう努めなければならない」と定めています。法律は、行政書士がデジタル技術を使う側に回ることを前提にしています
- ③官公署に提出する書類には電磁的記録も含まれます(第1条の3第1項の括弧書き)。オンライン申請が広がっても、電磁的記録の作成は行政書士の業務の範囲内です
一方で、個々の事務所の仕事量や収入がどう変わるかは、条文からも統計からも読み取れません。そこを断定している記事は、根拠を確かめてから読むことをおすすめします。
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「やめとけ」「悲惨」と言われる理由を数字で確認する
「やめとけ」と言われる理由として多いのは、試験に受かりにくいこと、受かっても登録して続けられるとは限らないこと、の2つです(仕事のきつさ・開業後の仕事の有無まで含めた検証は行政書士はやめとけ?にまとめています)。どちらも数字で確かめられます。
行政書士試験の合格率:令和7年度 受験者50,163人・合格者7,292人・合格率14.54%。最終確認日:2026-10-02。出典:行政書士試験研究センター 試験結果の推移。
- 試験:受験者のうち合格するのはおよそ7人に1人です(令和7年度 14.54%)。年1回の全国統一試験で、指定試験機関の行政書士試験研究センターが実施しています
- 登録後:令和6年度は、業を廃止する届出による登録抹消が1,799人ありました。同じ年度の新規登録3,298人と比べると小さくない数ですが、廃業の理由(転職・高齢・他資格への移行など)は統計に出ていないので、「悲惨だから辞めた」とは言えません
収入については、この記事が出典とする総務省・日本行政書士会連合会・行政書士試験研究センターの資料に、行政書士全体の収入を示す統計の記載がないため(2026-10-02 時点)、この記事では扱いません。試験の難しさは行政書士の難易度と合格率、合格後の仕事の広がりは行政書士の仕事と資格の活かし方で、それぞれ一次ソースに沿って整理しています。
試験対策としての行政書士法:改正後の条番号に注意
行政書士試験の法令は、試験の年度の4月1日現在施行されている法令で出題されます。令和8年度試験は令和8年4月1日が基準日なので、2026年1月1日施行の改正後の条文(使命の第1条・職責の第1条の2・業務の第1条の3・第1条の4)で出題されます。
令和8年度 行政書士試験の法令の基準日:令和8年4月1日現在施行されている法令に関して出題。最終確認日:2026-10-02。出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内。
改正前の教材では、書類作成の業務が「第1条の2」、代理・相談が「第1条の3」になっています。条番号を問う選択肢では、改正後の番号(第1条の3・第1条の4)で覚え直してください。
まとめ:行政書士は廃止されていない
- 行政書士の制度は廃止されていません。令和7年法律第65号による改正が2026年1月1日に施行され、第1条は「行政書士の使命」になりました
- 行政書士でない人の書類作成の制限(第19条第1項)は「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」と明確になり、両罰規定の対象にも加わりました
- 公務員の特認(第2条第6号)は現行法に残り、令和6年度も495人が登録しています
- 令和6年度末の登録者は52,734人で、新規登録3,298人が登録抹消2,183人を上回りました
- AIで仕事がなくなるかを示す公的な統計はありません。法律は行政書士に情報通信技術の活用を求めています(第1条の2第2項)
よくある質問
Q行政書士の制度が廃止される予定はありますか?
2026年10月2日時点の現行の行政書士法に、制度を廃止する規定はありません。むしろ令和7年法律第65号による改正が2026年1月1日に施行され、第1条が「行政書士の使命」の規定に改められました。
Q公務員の特認制度は廃止されましたか?
廃止されていません。現行の行政書士法第2条第6号は、公務員として行政事務を担当した期間などが通算20年以上(高等学校卒業者などは17年以上)の人を、行政書士となる資格を有する者としています。総務省の統計では、令和6年度にこの号で新たに登録した人は495人でした。
Q2026年の改正で、行政書士でない人の書類作成の扱いは変わりましたか?
第19条第1項に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が入り、名目を変えて報酬を受け取っても制限の対象になることが条文上明確になりました。あわせて第23条の3の両罰規定の対象に、第19条第1項違反の罰則(第21条の2)が加わっています。
Q行政書士はAIで仕事がなくなりますか?
将来の仕事量を示す公的な統計はなく、断定はできません。条文で言えるのは、行政書士の業務を他人の依頼を受け報酬を得て業として行えるのは行政書士・行政書士法人に限られること(第19条第1項)と、改正後の第1条の2第2項が行政書士に情報通信技術の活用に努めることを求めていることです。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月2日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

