令和7年の行政書士法改正(令和8年1月1日施行)で何が変わったかを、e-Govの新旧条文と総務省の資料で整理します。19条の「いかなる名目によるかを問わず」、両罰規定、条番号の移動、自動車関連手続との関係、令和8年度の行政書士試験への影響までをまとめます。
目次
結論:令和7年法律第65号の「行政書士法の一部を改正する法律」は、令和8年(2026年)1月1日に施行されました。主な内容は、使命・職責の新設、特定行政書士の業務範囲の拡大、19条1項への「いかなる名目によるかを問わず」の追加、両罰規定の整備です。行政書士でない者が、他人の依頼を受け、名目を問わず報酬を得て、業として官公署に提出する書類などを作成することを禁じる19条の趣旨が明確になり、「自動車」の登録や車庫証明の書類を扱う事業者への影響が話題になっています。ただし、自動車の登録制度や車庫証明の制度そのものを変える改正ではありません。なお、19条1項のただし書の例外として、行政書士法施行規則20条が、新車の車庫証明の申請や新規登録・新規検査の電子申請など、自動車関連の特定の手続を定めています(令和7年改正で新設されたものではありません)。
| 項目 | 改正前 | 改正後(令和8年1月1日〜) |
|---|---|---|
| 1条 | 目的規定 | 行政書士の使命 |
| 職責 | 10条に「誠実にその業務を行なう」 | 新設の1条の2(職責・デジタル社会への努力義務) |
| 業務(書類の作成) | 1条の2 | 1条の3(文言は同じ) |
| その他の業務・特定行政書士 | 1条の3 | 1条の4(特定行政書士の代理範囲が拡大) |
| 業務の制限 | 19条1項「業として」 | 19条1項「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として」 |
| 19条1項違反の罰則 | 21条2号 | 21条の2(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金) |
| 法人への罰則(両罰規定) | 23条の3(対象は前条1号の違反のみ) | 23条の3(21条の2の違反=19条1項違反なども対象に) |
行政書士法改正の施行日:令和7年法律第65号の施行日は令和8年1月1日(公布は令和7年6月13日)。最終確認日:2026-10-03。出典:e-Gov 法令検索 行政書士法・総務省 行政書士制度。
令和7年の行政書士法改正の概要
行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)は、令和7年6月13日に公布され、令和8年1月1日に施行されました(出典:総務省 行政書士制度)。総務省が公開している改正法の要綱は、施行期日(六)のほか、内容を次の5点にまとめています(出典:総務省 行政書士法の一部を改正する法律要綱)。
- 一 行政書士の使命(第1条関係)
- 二 職責(新第1条の2関係)
- 三 特定行政書士の業務範囲の拡大(新第1条の4第1項第2号関係)
- 四 業務の制限規定の趣旨の明確化(第19条第1項関係)
- 五 両罰規定の整備(第23条の3関係)
条文の出典は e-Gov 法令検索です(改正前は2025年6月1日時点の版、改正後は2026年1月1日時点の版。2026年10月3日時点の現行条文も、これらの規定は同じです)。
制度の存続や公務員の特認、登録者数の統計といった「廃止」をめぐる疑問は、行政書士は廃止される? 特認・登録者数・AIの疑問を統計で確認で別に整理しています。この記事は、条文の新旧対照と自動車関連の手続を扱います。
使命と職責が新設された
改正前の1条は「この法律は、行政書士の制度を定め…目的とする」という目的規定でした。改正後の1条は見出しが「行政書士の使命」となり、本文は次のとおりです。
「行政書士は、その業務を通じて、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もつて国民の権利利益の実現に資することを使命とする。」
新設の1条の2(職責)は、1項で「常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」と定め、2項で「デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用その他の取組を通じて、国民の利便の向上及び当該業務の改善進歩を図るよう努めなければならない」としています。2項は努力義務の書き方です。
改正前は10条の見出しが「行政書士の責務」で、「誠実にその業務を行なうとともに、行政書士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない」と定めていました。改正後の10条は見出しが「信用失墜行為の禁止」で、誠実義務の部分は1条の2に移っています。
業務の条番号が1つずつずれた
改正前の条番号で覚えていた人は、注意が必要です。業務を定める条文は、新設の1条の2(職責)が入ったために、番号が1つ後ろへずれました。
| 内容 | 改正前の条番号 | 改正後の条番号 |
|---|---|---|
| 行政書士の業務(書類の作成) | 1条の2 | 1条の3 |
| その他の業務(代理・相談)・特定行政書士 | 1条の3 | 1条の4 |
| 他の行政書士の使用人として従事すること | 1条の4 | 1条の5 |
| 19条1項違反の罰則 | 21条2号 | 21条の2 |
行政書士試験研究センターの試験概要では、行政書士の業務について「行政書士法第1条の3、第1条の4」と、改正後の条番号が使われています(出典:行政書士試験研究センター 試験概要)。古い解説を読むときは、条番号が改正前のものでないかを確認してください。
業務の内容を定める1条の3(改正前の1条の2)の文言は、改正前後で同じです。「行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類…その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする」と定めています。
特定行政書士の代理できる範囲が広がった
不服申立ての代理は、研修を修了した特定行政書士だけが行えます(1条の4第2項)。改正で、その対象が次のように変わりました(出典:総務省 改正法要綱・e-Gov 法令検索)。
- 改正前:行政書士が「作成した」官公署に提出する書類に係る許認可等についての不服申立て
- 改正後:行政書士が「作成することができる」官公署に提出する書類に係る許認可等についての不服申立て
つまり、自分で書類を作成していなくても、作成することができる種類の書類に係る許認可等であれば、特定行政書士が不服申立ての代理をできる、という文言になりました。
19条1項は何が変わったか:「いかなる名目によるかを問わず」
19条1項の改正前後の文言は次のとおりです(e-Gov 法令検索)。
- 改正前:「行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。」
- 改正後:「行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。」
改正前の文言には「他人の依頼を受け」「報酬を得て」はなく、「業として」だけでした。改正後の条文は、これらの要素を文言として明示しています。ただし書(他の法律に別段の定めがある場合など)は、改正前後で同じです。
総務省の改正法要綱は、これを「業務の制限規定の趣旨の明確化」と位置づけ、「その趣旨を明確にすること」としています。総務省のページは、無資格者が「手数料」や「コンサルタント料」等いかなる名目であっても、対価を受領して、業として1条の3に定める業務のうち書類の作成を行うことはできないと説明しています(出典:総務省 行政書士制度)。
19条の要件の詳細と例外は、この記事では扱いません(条文の文言は上のとおりです)。
罰則と両罰規定
19条1項に違反した場合は、21条の2が「その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」と定めています。さらに、23条の3の両罰規定が整備され、従業員などが法人又は人の業務に関して違反したときは、行為者を罰するほか、「その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する」とされました。総務省のページは、法人又は人に対する罰金を100万円としています。
19条1項違反の罰則:行為者に1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。法人又は人にも罰金刑(総務省の説明では100万円)。最終確認日:2026-10-03。出典:e-Gov 法令検索 行政書士法・総務省 行政書士制度。
なお、附則2条は「この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による」としています。
自動車との関係:何が変わり、何が変わっていないか
「行政書士法改正 自動車」という検索が多いのは、自動車の購入に伴う手続の書類作成が、19条1項の対象になりうるかが関心を集めているためと考えられます。ここでは、一次資料で確認できる範囲だけを整理します。
自動車の手続の根拠(改正の対象外)
自動車に関する代表的な手続は、次の法律に根拠があります。
- 車庫証明(保管場所の確保を証する書面):自動車の保管場所の確保等に関する法律4条1項は、登録などの処分を受けようとする者が、「警察署長の交付する道路上の場所以外の場所に当該自動車の保管場所を確保していることを証する書面」を提出しなければならないと定めています(e-Gov 自動車の保管場所の確保等に関する法律)
- 新規登録:道路運送車両法7条1項は、登録を受けようとする所有者が、国土交通大臣に対し申請書を提出し、自動車を提示しなければならないと定めています(e-Gov 道路運送車両法)
改正法の要綱には、これらの法律を改正する項目はありません。自動車の登録制度や車庫証明の制度は、今回の行政書士法の改正では変わっていません。
19条1項で確認する4つの要素
19条1項の文言から、行政書士でない者が禁じられる行為を要素に分けると、次のとおりです。
| 要素 | 条文の文言 |
|---|---|
| 誰が | 行政書士又は行政書士法人でない者 |
| 依頼 | 他人の依頼を受け |
| 報酬 | いかなる名目によるかを問わず報酬を得て |
| 行為 | 業として、1条の3に規定する業務(官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成など)を行う |
自動車関連の手続でも、書類を作成して官公署に提出する場面では、この4つの要素が問題になります。名目については、総務省が「手数料」や「コンサルタント料」を挙げています。ただし書の例外は、次の項で説明します。
19条1項ただし書:自動車の手続に定められている例外
19条1項のただし書は、「定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続」について、「当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者」が電磁的記録を作成する場合を、制限の対象外としています。この総務省令にあたる行政書士法施行規則20条が、自動車関連の手続を定めています(出典:e-Gov 法令検索 行政書士法施行規則)。
| 手続(施行規則20条1項) | 電磁的記録を作成できる者(同条2項) |
|---|---|
| 1号:型式指定を受けた新車(登録を受けたことがないもの)について、保管場所法4条1項ただし書の申請(車庫証明の申請)と、電子情報処理組織を使った新規登録・新規検査の申請を同時に行う場合の当該申請(車庫証明の申請は、申請書に記載する事項の入力の部分に限る) | 一般社団法人日本自動車販売協会連合会 |
| 1号の2:型式指定を受けた新車の検査対象軽自動車(車両番号の指定を受けたことがないもの)の、電子情報処理組織を使った新規検査の申請 | 一般社団法人日本自動車販売協会連合会、一般社団法人全国軽自動車協会連合会 |
| 2号:保安基準に適合する旨を自動車検査員が証明した登録自動車・検査対象軽自動車の、電子情報処理組織を使った継続検査の申請 | 登録自動車は日本自動車販売協会連合会と日本自動車整備振興会連合会。検査対象軽自動車はこの2団体に全国軽自動車協会連合会を加えた3団体 |
総務省は、このうち軽自動車の新規検査の電子申請が、令和6年5月31日公布・同年7月1日施行の省令改正で追加されたと説明しています(出典:総務省 行政書士法施行規則の一部を改正する省令について)。
行政書士法施行規則20条:19条1項ただし書の総務省令は、新車について車庫証明の申請(保管場所法4条1項ただし書の申請)を新規登録・新規検査の電子申請と同時に行う場合、軽自動車の新規検査の電子申請、継続検査の電子申請を定めている。e-Gov で現在施行中の版は令和6年7月1日施行の改正版。最終確認日:2026-10-03。出典:e-Gov 法令検索 行政書士法施行規則・総務省 行政書士法施行規則の一部を改正する省令について。
この例外は、令和7年の行政書士法改正で新設されたものではありません。ただし書の文言は改正前後で同じです。例外として挙げられているのは、施行規則が名指ししている団体が、上の手続で電磁的記録を作成する場合です。個々の自動車販売店がこの例外に当たるか、また上の表にない自動車関連の手続がどう扱われるかは、条文だけでは読み取れないため、この記事では判断しません。
この記事が判断しないこと
総務省の改正法のページと要綱には、「自動車」「車庫証明」の語を用いた説明は載っていません(2026-10-04時点で、同ページ・要綱・本文・新旧対照表・公布通知3本・別添の取組例が対象)。そのため、個別の事業者の手数料の取り方や、書類の作成と提出の分担が、19条1項に当たるかどうかは、この記事では判断しません。上の4つの要素に当てはまるかは、取引の実態によって決まります。事業として自動車関連の書類を扱っている方は、総務省や各都道府県の行政書士会などの窓口に確認してください。
自動車ディーラー・車検代行・車庫証明への影響:一次資料で言えること、言えないこと
「自動車ディーラー」「車検代行」「車庫証明」が改正の話題で一緒に挙がるのは、いずれも自動車の購入・保有に伴う手続の書類に関わるからです。結論から言うと、令和7年改正が変えたのは行政書士法19条1項の書き方(「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の明記)で、自動車の登録・検査・車庫証明の制度そのものは変わっていません。ディーラーの手続代行や車検代行が19条1項に当たるかどうかについて、総務省の改正法の資料は何も述べていません。そのため、この記事は個別の業態への当てはめを断定しません。
確かめた資料と、その範囲は次のとおりです(最終確認日2026-10-04)。
- 総務省「行政書士制度」のページ、改正法の要綱・本文・新旧対照表、公布通知(令和7年6月13日付 総行行第281号・第282号・第283号)、別添の自治体の取組例:いずれも「自動車」「車庫証明」「車検」「ディーラー」の語を使った説明は載っていません
- e-Gov 法令検索の行政書士法・同法施行規則20条、自動車の保管場所の確保等に関する法律4条、道路運送車両法62条(いずれも2026-10-04取得の現行条文)
| 論点 | 一次資料で確かめられること | 一次資料に書かれていないこと |
|---|---|---|
| 車庫証明 | 保管場所法4条1項は、登録などの処分を受けようとする者に、保管場所を確保していることを証する書面の提出を求めている。施行規則20条1項1号が、新車のワンストップサービスによる保管場所証明の申請(保管場所法4条1項ただし書の申請・入力部分に限る)を、19条1項ただし書の例外の手続に挙げている | 車庫証明の書類作成を、販売店や代行業者が行う場合に19条1項に当たるかどうか |
| 自動車ディーラー | 19条1項は、行政書士・行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け名目を問わず報酬を得て、業として1条の3の業務を行うことを禁じる。総務省は名目の例として「手数料」「コンサルタント料」を挙げている。ただし書は「他の法律に別段の定めがある場合」と施行規則20条の手続を例外とする | 個々のディーラーの手数料や、書類作成と提出の分担が19条1項に当たるかどうか |
| 車検代行 | 継続検査は、道路運送車両法62条1項により、使用者が自動車を提示して国土交通大臣の行う検査を受けるもの。施行規則20条1項2号が、継続検査の電子申請(自動車検査員が保安基準適合を証明したもの)を例外の手続に挙げている | 車検の代行にかかる料金が19条1項の「報酬」に当たるかどうか、車検代行そのものの扱い |
車庫証明について
保管場所法4条1項は、道路運送車両法に規定する登録などの処分を受けようとする者は、当該行政庁に対して、「警察署長の交付する道路上の場所以外の場所に当該自動車の保管場所を確保していることを証する書面」で政令で定めるものを提出しなければならないとしています。ただし書は、警察署長に政令で定める通知を行政庁に対して行うべきことを申請したときは、この限りでないとしています(e-Gov 自動車の保管場所の確保等に関する法律)。
日本行政書士会連合会は、自動車の新規登録・移転登録・変更登録の申請には車庫証明が必要(地域や申請内容によって省略できる場合もある)と説明したうえで、自動車の登録申請を行政書士に相談できる事項として紹介しています(日本行政書士会連合会 運送業・自動車)。同ページは、自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)にも行政書士が対応していると説明しています。
行政書士以外の者が車庫証明の書類に関わる場合に問題になるのは、19条1項の4つの要素に当たるか、当たるとしてもただし書の例外(施行規則20条1項1号)か他の法律の別段の定めに当たるか、です。施行規則20条1項1号の例外は、型式指定を受けた新車について、ワンストップサービスによる保管場所証明の申請(保管場所法4条1項ただし書の申請)と新規登録・新規検査の電子申請を同時に行う場合で、保管場所証明の申請は申請書に記載する事項の入力の部分に限られます。それ以外の車庫証明の手続は、この記事の資料では例外として挙がっていません。
自動車ディーラーについて
自動車ディーラーが行う手続の代行が19条1項に当たるかどうかは、条文の4つの要素(誰が・依頼・報酬・業務)のうち、どれに当たる行為をしているかによります。この記事は、個々のディーラーについて当たる・当たらないを判断しません。確かめられるのは次の点です。
- 令和7年改正は、19条1項に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」を加えて趣旨を明確にしたもので、総務省の公布通知は、これを「現行法の解釈を条文に明示すること」と位置づけています(総行行第281号・第283号)
- 総務省は、各行政手続の所管部局に対し、行政書士又は行政書士法人でない者による関与を防止する取組を行うよう依頼しています(公布通知の本文)
- 例外のうち、施行規則20条2項が定める者は、日本自動車販売協会連合会、日本自動車整備振興会連合会、全国軽自動車協会連合会という団体です。条文に名前が挙がっているのは団体であり、個々の販売店ではありません
ディーラーの方が自社の手続を確認したい場合は、総務省や都道府県の行政書士制度の窓口、または行政書士会に問い合わせてください。
車検代行について
車検は、法律上は継続検査のことで、道路運送車両法62条1項が、使用者に検査を受ける義務を課しています。施行規則20条1項2号は、継続検査のうち、自動車検査員が保安基準に適合する旨を証明した登録自動車・検査対象軽自動車の電子申請を、19条1項ただし書の手続としています。電磁的記録を作成できる者は、登録自動車では日本自動車販売協会連合会と日本自動車整備振興会連合会、検査対象軽自動車ではこの2団体に全国軽自動車協会連合会を加えた3団体です。
総務省は、このうち軽自動車の新規検査の電子申請を例外に加えた令和6年の省令改正について、軽自動車保有関係手続のワンストップサービスの対象に新規検査の電子申請が加わったことが改正の理由だと説明しています(総務省 行政書士法施行規則の一部を改正する省令について)。
「車検代行」という名前の事業が19条1項に当たるかどうかは、行為の内容(どの書類を、誰の依頼で、どの名目の対価を受けて作成・提出するか)で決まります。総務省の資料には、車検代行についての記載はありません。そのため、この記事は車検代行を行う事業者への影響を推測で書きません。
この節のまとめ
- 改正で変わったのは行政書士法19条1項の書き方で、自動車の登録・検査・車庫証明の制度は変わっていません
- 19条1項のただし書の例外(施行規則20条)は、令和7年改正の前から同じ文言で存在します
- ディーラー・車検代行・車庫証明の個別の当てはめは、総務省の資料には書かれておらず、この記事は断定しません
令和8年度の行政書士試験への影響
行政書士試験の法令は、「試験を実施する年度の4月1日現在施行されている法令」から出題されます。令和8年度は、センターの案内で「令和8年4月1日現在施行されている法令に関して出題します」とされています(出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内)。改正法は令和8年1月1日に施行されているため、令和8年度試験は改正後の行政書士法が基準になります。
基礎知識には「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」の区分があり、令和7年度は問53で行政書士法が出題されました(出典:令和7年度行政書士試験問題)。令和7年度試験の実施日(令和7年11月9日)は、改正法の施行日より前です。
令和8年度試験の日程と法令基準日:試験日は令和8年11月8日(日)、法令は令和8年4月1日現在施行のもの。最終確認日:2026-10-03。出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内。
学習で確認したい点は次の3つです。
- 業務の条文は1条の3・1条の4、職責は1条の2と、改正後の番号で覚える
- 19条1項の「他人の依頼を受け」「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」「業として」の文言を確認する
- 21条の2の罰則と、23条の3の両罰規定の対象を確認する
試験全体の学習計画は 行政書士の勉強法、試験内容は 行政書士試験の内容と合格基準 で整理しています。
参考にした一次資料
- e-Gov 法令検索 行政書士法(改正前の2025年6月1日版と改正後の2026年1月1日版を比較)
- 総務省 行政書士制度
- 総務省 行政書士法の一部を改正する法律要綱
- e-Gov 法令検索 行政書士法施行規則(20条)
- 総務省 行政書士法施行規則の一部を改正する省令について
- 行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内
よくある質問
Q行政書士法の改正で、行政書士の業務の範囲は広がったのですか?
業務の内容を定める文言そのものは変わっていません。改正前の1条の2(業務)が1条の3に移っただけで、条文の中身は同じです(e-Gov 法令検索の2025-06-01版と2026-01-01版を比較)。範囲が広がったのは特定行政書士の不服申立ての代理で、対象が「作成した」書類から「作成することができる」書類に拡大されました(1条の4第1項2号)。
Q改正で自動車の登録手続や車庫証明の制度が変わったのですか?
改正法の要綱は、使命・職責、特定行政書士の業務範囲、業務制限規定の趣旨の明確化、両罰規定の整備を内容としており、自動車の登録制度(道路運送車両法)や車庫証明の制度(自動車の保管場所の確保等に関する法律)を変える規定は含まれていません(総務省 改正法要綱)。変わったのは行政書士法の側の条文です。
Q自動車の手続で、行政書士でない人が書類(電磁的記録)を作れる例外はありますか?
19条1項ただし書が、総務省令で定める手続について、総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合を例外としています。行政書士法施行規則20条は、新車の車庫証明の申請と新規登録・新規検査の電子申請(一般社団法人日本自動車販売協会連合会)、新車の軽自動車の新規検査の電子申請(同連合会と一般社団法人全国軽自動車協会連合会)、継続検査の電子申請を挙げています。これは令和7年改正で新設されたものではなく、ただし書の文言は改正前後で同じです。個々の販売店がこの例外に当たるかどうかは、条文だけでは判断できません。
Q改正前の行政書士法に違反していた場合も、新しい罰則で処罰されますか?
改正法の附則2条は「この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による」と定めています。施行日(令和8年1月1日)より前の行為には、従前の罰則の例によるということです。
Q行政書士試験では、改正前と改正後のどちらの条文が出ますか?
令和8年度試験は、センターの案内で「令和8年4月1日現在施行されている法令に関して出題」とされています。改正法は令和8年1月1日に施行されているため、改正後の条文(1条の3・1条の4・19条など)で学習します。
Q行政書士法の改正で、自動車ディーラーや車検代行の手続は違法になりましたか?
総務省の改正法のページ・要綱・公布通知には、自動車ディーラー・車検代行・車庫証明の取扱いについての記載がなく、この記事は断定しません。確かめられるのは、改正が19条1項に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」を加えて趣旨を明確にしたこと、自動車の登録・検査・車庫証明の制度は変わっていないこと、19条1項のただし書の例外(施行規則20条)が改正前から同じ文言で存在することです。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

