精神保健福祉士

精神保健福祉士とは仕事内容・名称独占・義務を条文と公的調査で整理

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この記事でわかること

精神保健福祉士とは何か。精神保健福祉士法第2条の定義、試験合格から登録までの流れ、名称独占(第42条)と罰則、誠実義務・信用失墜行為の禁止・秘密保持・連携等・資質向上の義務、働く分野(センターの令和2年度就労状況調査)を、条文と公的調査の出典つきで整理します。

目次
  1. 精神保健福祉士の要点(一覧表)
  2. 精神保健福祉士とは何か(法第2条の定義)
  3. 資格のしくみ:試験合格から登録まで
  4. 名称独占とは:第42条と罰則
  5. 精神保健福祉士が守る義務(法第38条の2〜第41条の2)
  6. 仕事内容と働く分野:センターの就労状況調査から
  7. 社会福祉士との違い
  8. 資格を取るには、まず何から始めるか
  9. まとめ:次にやること
結論:精神保健福祉士とは、精神保健福祉士法第2条で、登録を受けて「精神保健福祉士」の名称を用いて、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神障害者の社会復帰に関する相談や、精神保健に関する課題を抱える者の精神保健に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助(相談援助)を行うことを業とする者と定められた国家資格です。試験に合格し、登録を受けることで名乗れます。法律が制限しているのは名称の使用(第42条)で、誠実義務・信用失墜行為の禁止・秘密保持・連携等・資質向上の義務が課されています。

条文は e-Gov 法令検索で確認(2026年10月10日時点の現行条文)しています。精神保健福祉士法(e-Gov法令検索)

精神保健福祉士の要点(一覧表)

項目内容根拠
何をする人か精神障害の医療を受けている人などの社会復帰に関する相談や、精神保健に関する課題を抱える者の精神保健に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助(相談援助)を行う法第2条
資格の取り方精神保健福祉士試験に合格し、精神保健福祉士登録簿に登録を受ける法第4条・第28条
名乗れる人登録を受けた人だけ(名称独占)法第42条
課される義務誠実義務・信用失墜行為の禁止・秘密保持・連携等(主治の医師の指導を含む)・資質向上法第38条の2〜第41条の2
試験・登録の事務社会福祉振興・試験センターが、厚生労働大臣の指定を受けて実施同センターの資格制度の概要

この記事は、資格の中身(定義・名称独占・義務・働く分野)を扱います。受験資格は精神保健福祉士の受験資格、日程と申込は第29回の日程・時間割・申込、合格基準は精神保健福祉士の合格基準の記事で確認してください。

「PSW」という略称で呼ばれることがありますが、精神保健福祉士法の条文に「PSW」の記載はありません(2026年10月10日時点の現行条文)。この記事では、条文の呼び方である「精神保健福祉士」で書きます。

精神保健福祉士とは何か(法第2条の定義)

定義は、精神保健福祉士法の第2条にあります。長い一文なので、そのまま引用します。

「この法律において「精神保健福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、精神保健福祉士の名称を用いて、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、若しくは精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十九項に規定する地域相談支援をいう。第四十一条第一項において同じ。)の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談又は精神障害者及び精神保健に関する課題を抱える者の精神保健に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うこと(以下「相談援助」という。)を業とする者をいう。」

読み解くと、要点は次の5つです。

  • 前提:第28条の登録を受け、「精神保健福祉士」の名称を用いること
  • 専門性:精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって行うこと
  • 相談の対象その1:精神科病院その他の医療施設で精神障害の医療を受けている人、または精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している人の、地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談
  • 相談の対象その2:精神障害者および精神保健に関する課題を抱える者の、精神保健に関する相談
  • 援助の中身:相談に応じること、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助。これらを法律は「相談援助」と呼ぶ

つまり、精神保健福祉士の仕事の中心は、精神障害や精神保健の課題をめぐる相談を受け、助言や指導、日常生活への適応のための訓練などの援助を行うことにあると読めます。法律の目的(第1条)は、資格を定めて「その業務の適正を図り、もって精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進に寄与すること」です。

法第2条の定義の改正:2024年4月1日施行の版で、第2条の相談の対象に「精神障害者及び精神保健に関する課題を抱える者の精神保健に関する相談」が加わった(令和4年法律第104号による改正)。2022年12月16日施行の版の第2条と、現行の条文を本文で比べて確認。2025年10月1日施行の版では、引用する障害者総合支援法の項番号が「第五条第十八項」から「第五条第十九項」に改まった。最終確認日:2026-10-10。出典:e-Gov法令検索 精神保健福祉士法の改正履歴。

法の目的と資格のしくみは、試験センターの資格制度の概要にも載っています(試験センター:精神保健福祉士国家試験 資格制度の概要)。

資格のしくみ:試験合格から登録まで

資格の流れは、条文では3段階で書かれています。

  • ① 試験に合格する:第4条「精神保健福祉士試験(以下「試験」という。)に合格した者は、精神保健福祉士となる資格を有する。」
  • ② 登録を受ける:第28条「精神保健福祉士となる資格を有する者が精神保健福祉士となるには、精神保健福祉士登録簿に、氏名、生年月日その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない。」
  • ③ 名称を用いて業を行う:第2条(上記)

試験の実施と登録の事務は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが、厚生労働大臣の指定を受けた指定試験機関・指定登録機関として、厚生労働大臣に代わって行っています(試験センターの資格制度の概要)。

法第3条の欠格事由に当たる方は、精神保健福祉士となることができません。第2号は、拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者です。欠格事由の全体と登録の資格要件は、試験センター:登録資格要件で確認できます。

精神保健福祉士の登録者数:118,733人(令和8年8月末日現在。社会福祉士は336,630人、介護福祉士は2,116,628人)。最終確認日:2026-10-10。出典:社会福祉振興・試験センター 都道府県別登録者数・最新版(PDF)。

合格しただけでは登録を受けたことにならないため、「合格=名乗れる」ではない点に注意してください。受験資格のルートは精神保健福祉士の受験資格にまとめています。

名称独占とは:第42条と罰則

精神保健福祉士が「名称独占」の資格だといわれるのは、第42条が次のように定めているからです。

「精神保健福祉士でない者は、精神保健福祉士という名称を使用してはならない。」

違反した者は、第47条第2号により罰則の対象になります。

名称独占に違反した場合の罰則:30万円以下の罰金(第47条第2号。第42条に違反した者)。第47条第1号は、名称の使用の停止を命ぜられた者が、その期間中に名称を使用した場合も、同じく30万円以下の罰金と定めている。最終確認日:2026-10-10。出典:e-Gov法令検索 精神保健福祉士法。

ここで大切なのは、第42条が制限しているのは「名称の使用」だという点です。第42条は、資格のない人が相談援助の仕事に就くこと自体を禁じる書き方ではなく、相談援助の業務を資格者に限る規定の記載もありません(2026年10月10日時点の現行条文)。「資格がないと働けない」と「資格がないと名乗れない」は別の話であり、後者が精神保健福祉士の法的な性質です。

登録を受けた後でも、名称を使えなくなることがあります。第32条第2項は、精神保健福祉士が第39条(信用失墜行為の禁止)、第40条(秘密保持義務)または第41条第2項(主治の医師の指導)の規定に違反したとき、厚生労働大臣が登録を取り消し、または期間を定めて名称の使用の停止を命ずることができると定めています。

罰則の語の改正:第44条から第46条の刑の語は、2025年6月1日施行の版で「懲役」から「拘禁刑」に改まった(令和4年法律第68号による改正。e-Gov の版の比較で確認)。第3条第2号の「禁錮」も同じ版で「拘禁刑」になった。最終確認日:2026-10-10。出典:e-Gov法令検索 精神保健福祉士法の改正履歴。

精神保健福祉士が守る義務(法第38条の2〜第41条の2)

精神保健福祉士には、法律で次の義務が定められています。義務の書き方の違い(「しなければならない」「してはならない」「受けなければならない」「努めなければならない」)に注目すると整理しやすくなります。

義務条条文の要点書き方
誠実義務第38条の2担当する者が個人の尊厳を保持し、自立した生活を営めるよう、常にその者の立場に立って、誠実に業務を行う〜しなければならない
信用失墜行為の禁止第39条精神保健福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない〜してはならない
秘密保持義務第40条正当な理由がなく、業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。精神保健福祉士でなくなった後も同様〜してはならない
連携等(第1項)第41条第1項担当する者に保健医療サービス、障害福祉サービス、地域相談支援に関するサービスその他のサービスが密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、サービスの提供者その他の関係者等との連携を保つ〜保たなければならない
連携等(第2項)第41条第2項業務を行うに当たって精神障害者に主治の医師があるときは、その指導を受ける〜受けなければならない
資質向上の責務第41条の2環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、相談援助に関する知識及び技能の向上に努める〜に努めなければならない

ポイントは4つです。

  • 秘密保持義務は、資格を失った後にも続きます(第40条後段)。ただし「正当な理由がなく」という限定があり、いかなる場合も開示できないという意味ではありません。
  • 秘密保持義務の違反には、第44条第1項により、1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が定められています。この罪は、告訴がなければ公訴を提起することができません(第44条第2項)。
  • 第41条第2項の主治の医師の指導は、精神保健福祉士法に置かれた規定です。第32条第2項は、この規定の違反も、登録の取消しや名称の使用停止の対象に挙げています。
  • 資質向上は、他の義務と違い「努めなければならない」という努力義務の書き方です。登録の取消しや名称の使用停止の根拠として第32条第2項が挙げるのは、第39条・第40条・第41条第2項の違反で、誠実義務・第41条第1項の連携・資質向上は挙がっていません。
秘密保持義務に違反した場合の罰則:1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金(第44条第1項)。この罪は告訴がなければ公訴を提起することができない(第44条第2項)。最終確認日:2026-10-10。出典:e-Gov法令検索 精神保健福祉士法。

e-Gov 法令検索で、2019年6月14日施行の版から現行の版までを比べると、第38条の2から第41条の2までの本文に変更はありません(2026年10月10日に確認。比べたのは条文の本文のみで、施行規則・省令・告示は比べていません)。

仕事内容と働く分野:センターの就労状況調査から

「精神保健福祉士はどんな仕事をするのか」は、定義から導ける相談援助の中身に加えて、実際にどこで働いているかを見ると具体的になります。公的な資料として、センターが公表している調査があります。

精神保健福祉士の就労状況調査:センターが公表している調査は令和2年度(2020年度)の就労状況調査で、精神保健福祉士の回答者は35,577人。最終確認日:2026-10-10。出典:社会福祉振興・試験センター 令和2年度就労状況調査結果。

令和2年度調査では、回答者35,577人のうち、現在、福祉・介護・医療の分野で仕事をしている人は75.2%、福祉・介護・医療の資格者を養成する高校・専門学校・大学等で仕事をしている人は1.4%、福祉・介護・医療以外の分野で仕事をしている人は9.3%、仕事をしていない人は12.8%でした(無回答1.3%)。

福祉・介護・医療の分野で仕事をしている26,744人が働く施設・事業所を分野別に見ると、次のとおりです。

分野(令和2年度調査)人数割合
障害者福祉関係7,434人27.8%
医療関係7,089人26.5%
高齢者福祉関係4,608人17.2%
行政機関2,598人9.7%
地域福祉関係1,583人5.9%
児童・母子福祉関係1,547人5.8%
就業支援関係363人1.4%
学校教育関係294人1.1%
生活保護関係254人0.9%
生活困窮者自立支援関係175人0.7%
司法関係128人0.5%
その他487人1.8%
無回答184人0.7%

割合は、福祉・介護・医療の分野で仕事をしている26,744人を100%とした値です。出典:社会福祉振興・試験センター 令和2年度 精神保健福祉士就労状況調査結果(PDF)の報告書の分野別の表(報告書の86〜87ページ)。報告書によると、施設・事業所別では「精神科病院」の割合が14.9%と最も高く、職種・職位の構成では「相談員」が11.6%と最も高く、次いで「精神科医療機関の精神保健福祉士」が10.2%でした。

読むときの注意点が3つあります。

  • 調査は令和2年度のものです。現在の分布とは違う可能性があるため、最新の調査が公表されたらそちらを確認してください。
  • 回答者の割合であり、登録者全体の割合ではありません。
  • この調査だけでは、働く分野を選んだ理由までは分かりません。

つまり、勤務先は障害者福祉・医療・高齢者福祉・行政など広い分野にまたがっています。同じ表の全体の行では、職種・職位も、相談員(11.6%)、精神科医療機関の精神保健福祉士(10.2%)、支援員(10.0%)、施設長・事務所管理者(9.4%)、医療ソーシャルワーカー(8.4%)などに分かれています。

同じ調査では、回答者35,577人のうち、社会福祉士の資格も持っている人が60.9%(21,658人)、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格も持っている人が28.0%(9,949人)でした。精神保健福祉士の資格だけを持つ人(この中に保有する資格はないと回答した人)は13.8%(4,892人)です。

試験センターの実務経験の表から見る、相談援助の職場

精神保健福祉士の受験資格で数えられる実務経験の対象施設の一覧にも、精神科病院、精神保健福祉センター、保健所、障害者総合支援法の相談支援事業を行う施設など、精神障害者に対してサービスを提供する施設が並んでいます。一覧の範囲と職種は、精神保健福祉士の受験資格で整理しています。

社会福祉士との違い

精神保健福祉士と社会福祉士は、根拠となる法律が違います。精神保健福祉士は精神保健福祉士法、社会福祉士は社会福祉士及び介護福祉士法で、定義の中心や義務の条文も別です。試験の共通科目、義務、働く分野、登録者数の違いは、社会福祉士と精神保健福祉士の違いで比べています。

資格を取るには、まず何から始めるか

精神保健福祉士になるまでの流れは、受験資格を満たす → 国家試験に合格する → 登録を受ける、の3段階です。受験資格のルートと試験の詳細は、センターの案内で最新の情報を確認してください(センター 精神保健福祉士国家試験)。

当サイトでは、センターが公表した第26回〜第28回の専門科目の問題を、回別・科目別に無料・登録不要で解けます。共通科目は社会福祉士と同じ問題で、社会福祉士の問題一覧にあります。出題の範囲はシラバス、よくある疑問はよくある質問にまとめています。

まとめ:次にやること

  • 精神保健福祉士は、精神保健福祉士法第2条で定義された、相談援助を業とする国家資格です
  • 名乗れるのは、試験に合格し、登録を受けた人だけです(第42条)。違反には30万円以下の罰金が定められています(第47条第2号)
  • 法律が定める義務は、誠実義務・信用失墜行為の禁止・秘密保持・連携等(主治の医師の指導を含む)・資質向上です
  • 働く分野は、センターの令和2年度調査で、障害者福祉・医療・高齢者福祉・行政など広い分野にまたがっています
  • 次の一歩は、受験資格の確認と、専門科目の問題を解いてみることです

よくある質問

Q精神保健福祉士の資格がなくても、精神科で相談援助の仕事はできますか。

精神保健福祉士法の第42条が定めているのは、「精神保健福祉士でない者は、精神保健福祉士という名称を使用してはならない」という名称の使用制限です。この条文は、資格のない人が相談援助の仕事に就くこと自体を禁じる書き方ではありません。実際にその仕事に就けるかどうかは、勤務先ごとの条件によります。

Q資格がない人が「精神保健福祉士」と名乗ると、どうなりますか。

同法第42条に違反した者は、第47条第2号により30万円以下の罰金に処されます(e-Gov法令検索の2026年10月10日時点の現行条文)。登録を受けて初めて名乗れる資格なので、試験に合格しただけでは名乗れません。

Q精神保健福祉士の資格に更新はありますか。

精神保健福祉士法の本文には、「更新」という語の記載がありません(2026年10月10日時点の現行条文)。一方で、第41条の2は「相談援助に関する知識及び技能の向上に努めなければならない」という責務を定めています。登録手続きの最新情報は、社会福祉振興・試験センターの資格登録のページで確認してください。

Q精神保健福祉士は全国で何人が登録していますか。

社会福祉振興・試験センターの公表では、令和8年8月末日現在の精神保健福祉士の登録者数は118,733人です。数字は毎月更新されるため、最新値はセンターの「都道府県別登録者数」で確認してください。

Q「主治医の指導を受ける」とは、どんな規定ですか。

精神保健福祉士法第41条第2項の規定で、精神保健福祉士は、業務を行うに当たって精神障害者に主治の医師があるときは、その指導を受けなければならないとされています。この規定に違反したときは、第32条第2項により、厚生労働大臣が登録の取消し、または期間を定めて名称の使用の停止を命ずることができます。

この資格の問題を解く精神保健福祉士 専門科目の過去問(第26〜28回・全176問)
解いてみる

法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月10日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

合格ナビ 編集長・運営者

精神保健福祉士の出題範囲・法令・公式の統計を参照して書いています。プロフィール・編集方針