登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問137|鎮静・鎮痙生薬・チョウトウコウ/ボタンピ/ケイヒ/シャクヤクの作用横断

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

鎮静・鎮痙に用いられる生薬に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はエです。

チョウトウコウ(釣藤鈎)はアカネ科植物カギカズラ等の茎枝(とげのある鈎状の部位)が薬用部位です。「釣藤鈎」の「鈎」は釣り針のような鈎(かぎ)を意味し、この鈎状の刺をもつ茎枝を乾燥させて用います。記述エはこれを正確に示しています。

各誤りのポイントです。

  • ア→チョウトウコウの薬用部位は「根」ではなく鈎状の茎枝
  • イ→ボタンピの薬用部位は「花びら」ではなく根皮
  • ウ→ケイヒの薬用部位は「根皮」ではなく樹皮(周皮を除いた樹皮)
  • オ→ボタンピとシャクヤクは作用が同一ではない(消炎鎮痛 vs 鎮痙補血)

語呂:「釣藤鈎は鈎(かぎ)の形の茎枝」「牡丹皮は牡丹の根の皮(白い根皮)」で覚えましょう。

鎮静・鎮痙生薬の基原・薬用部位・作用まとめ:

生薬名科名薬用部位主な作用代表配合処方
チョウトウコウ(釣藤鈎)アカネ科鈎状の茎枝(鈎)鎮静・降圧・痙攣抑制釣藤散・七物降下湯
ボタンピ(牡丹皮)ボタン科根皮消炎・鎮痛・駆瘀血桂枝茯苓丸・八味地黄丸
ケイヒ(桂皮)クスノキ科樹皮(周皮除去)発汗・健胃・鎮静・鎮痛桂枝湯・葛根湯・八味地黄丸
シャクヤク(芍薬)※既存ボタン科根鎮痛・鎮痙・補血芍薬甘草湯・四物湯

各選択肢の解説:

  • ア(誤): チョウトウコウの薬用部位は鈎状の茎枝(鈎=かぎ状の刺を持つ枝の部分)です。根ではありません。アカネ科植物カギカズラ(Uncaria rhynchophylla)等の枝に付いた鈎状の突起部(茎枝の変形)を乾燥したものが「釣藤鈎」です。
  • イ(誤): ボタンピ(牡丹皮)の薬用部位は根皮です。花びらではありません。ボタン科植物ボタン(Paeonia suffruticosa)の根の皮を乾燥・加工したものが基原で、ペオノール(paeonol)等が消炎・鎮痛・駆瘀血(血の滞りを除く)の作用を示します。
  • ウ(誤): ケイヒ(桂皮)の薬用部位は樹皮(周皮を除いた内側の樹皮)です。根皮ではありません。クスノキ科植物シナニッケイ(Cinnamomum cassia)等の樹皮から周皮を除いたものが基原で、シナモンスティックとして食品にも使われます。
  • エ(正): チョウトウコウは釣り針(鈎)状のとげを持つ茎枝の部位が薬用部位です。「釣藤鈎」の「鈎」は「かぎ状の形の茎枝部分」を意味し、記述エは正確に部位を示しています。
  • オ(誤): ボタンピとシャクヤクはどちらもボタン科に属しますが、主な作用は異なります。ボタンピは「消炎・駆瘀血」、シャクヤクは「鎮痙・補血」が特徴です。成分もボタンピはペオノール、シャクヤクはペオニフロリンが主要成分であり、作用が「同一」という記述は誤りです。

【チョウトウコウ(釣藤鈎)の降圧・鎮静機序と釣藤散】

1. リンコフィリンと降圧の機序

チョウトウコウの主成分リンコフィリン(rhynchophylline)・イソリンコフィリン等のオキシインドールアルカロイドは以下の薬理を示します。

  • カルシウムチャネル拮抗作用: Ca²⁺の血管平滑筋への流入を抑制し、血管を拡張させます。これにより末梢血管抵抗が低下し、血圧が降下します(Ca拮抗型降圧薬に類似した機序)。
  • 中枢性鎮静作用: 大脳皮質のGABA系受容体への促進作用が報告されており、痙攣抑制・鎮静効果が得られます。
  • 抗コリン様作用: 唾液分泌や腸蠕動の軽度抑制が観察されています。

釣藤散(チョウトウコウ・サイコ・ビャクジュツ・ブクリョウ・ニンジン等)は「体力中等度・慢性頭痛・高血圧傾向・めまい・肩こり」を適応とする漢方処方で、中高年の生活習慣病に関連した頭痛への応用が多く、降圧薬との相互作用(加算的降圧)に注意が必要な場合があります。

2. ボタンピ(牡丹皮)のペオノールと駆瘀血

ボタンピに含まれるペオノール(2'-hydroxy-4'-methoxyacetophenone)は以下の薬理を持ちます。

  • 抗炎症: COX-1/COX-2の非選択的阻害によりプロスタグランジン産生を抑制
  • 駆瘀血(血行改善): 血小板凝集抑制・フィブリン形成阻害により瘀血(血の滞り)を解消
  • 解熱: 体温調節中枢への直接作用

桂枝茯苓丸(ケイヒ・ブクリョウ・ボタンピ・トウニン・シャクヤク)は「体力中等度・瘀血による諸症状(生理痛・子宮筋腫・ニキビ・肩こり)」に用いられる代表処方です。ボタンピとシャクヤクが両方配合されており、「消炎(ボタンピ)+鎮痙(シャクヤク)」の相乗効果が発揮されます。

3. ボタンピとシャクヤクの類似と差異

特徴ボタンピ(牡丹皮)シャクヤク(芍薬)
科ボタン科ボタン科
植物ボタン(木本)シャクヤク(草本)
薬用部位根皮根
主成分ペオノールペオニフロリン
強調作用消炎・駆瘀血(血の滞り解消)鎮痙・補血(筋緊張緩和)
試験頻出処方桂枝茯苓丸・八味地黄丸芍薬甘草湯・四物湯

「同じボタン科でも植物種(木本 vs 草本)・薬用部位(根皮 vs 根)・主成分・強調作用が異なる」という点が試験でよく問われます。

4. ケイヒ(桂皮)の多機能と配合処方

ケイヒ(シナモン)はクスノキ科のシナニッケイ等の樹皮(内樹皮)が基原で、主成分桂皮アルデヒド(cinnamaldehyde)が以下の多面的作用を担います。

  • 健胃: 芳香刺激→反射的胃液分泌促進(芳香健胃薬)
  • 発汗: 末梢血管拡張による皮膚からの放熱・発汗促進
  • 抗菌・抗ウイルス: 桂皮アルデヒドの細菌・ウイルスへの直接阻害
  • 鎮痛: 末梢神経へのCa拮抗作用の一部が鎮痛に寄与

葛根湯・桂枝湯・八味地黄丸・桂枝茯苓丸等の多数の漢方処方にケイヒが配合されており、「かぜ・冷え・血行促進」の処方によく登場する万能生薬です。

5. 鎮静・鎮痙生薬の試験ポイントまとめ

登録販売者試験で頻出の「間違えやすい薬用部位」のまとめです。

生薬誤りやすい部位正しい部位
チョウトウコウ根・葉鈎状の茎枝(鈎)
ボタンピ花・根(全体)根皮
ケイヒ根皮・葉樹皮(周皮除去)
シャクヤク根皮・茎根

「部位の落とし穴」を一覧で押さえ、各生薬の名称から薬用部位を推測できるヒント(地黄=地下の根・桑白皮=白い根皮・木香=根の香り)も活用してください。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-3-1)「代表的な配合成分等、主な副作用」(眠気を促す薬)、Ⅰ-2-2)(解熱鎮痛薬)、Ⅲ-1-2)(胃の薬)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-3-1)「代表的な配合成分等、主な副作用」(眠気を促す薬)、Ⅰ-2-2)(解熱鎮痛薬)、Ⅲ-1-2)(胃の薬) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。