電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和5年度上期 電力 問14|電気材料・絶縁

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

アモルファス鉄心材料を使用した柱上変圧器の特徴に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

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正解は 2
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解説

電験三種「電力」のアモルファス鉄心材料に関する正誤問題(令和5年度上期 問14)。正答は(2)です。

アモルファス(amorphous)とは「非晶質」、つまり原子が規則正しく並ぶ結晶構造を持たない固体を指します。急冷凝固によって原子配列がランダムなまま固まった金属がアモルファス合金であり、「結晶構造である」という記述はアモルファスの定義そのものと矛盾します。選択肢(2)が誤りで、正答は(2)です。

【アモルファス鉄心変圧器の特徴】(令和5年度上期 問14)

各選択肢を検討します。

(1) アモルファス鉄心は、結晶粒界という磁壁移動の妨げになる構造がなく、保磁力が小さいためヒステリシス損が少なく、薄帯で電気抵抗率も高いため渦電流損も少なくなります。鉄損が大幅に少ないという記述は正しいです。

(2) アモルファスとは「非晶質」、すなわち結晶構造を持たない材料を意味します。溶融金属を高速で急冷して原子配列が結晶化する前に固めることで作られます。「結晶構造である」という記述はアモルファスの定義と矛盾しており、誤りです。

(3) アモルファス材料は硬くてもろく、しかも非常に薄い薄帯であるため、切断・成形や鉄心の組立が珪素鋼帯より難しい、という記述は正しいです。

(4) 製造工程が特殊(急冷凝固法)なため、珪素鋼帯より比較的高価であるという記述は正しいです。

(5) アモルファス材料は珪素鋼帯より飽和磁束密度が低いため、同じ容量を得るには鉄心断面積を大きくする必要があり、同容量の変圧器では大形になる、という記述は正しいです。

以上より、誤っているのは(2)です。

【アモルファス鉄心材料の特性と配電用変圧器への応用】(令和5年度上期 問14)

アモルファス合金は、鉄・ケイ素・ホウ素などを主成分とする溶融金属を、回転する冷却ロールに吹き付けて極めて急速に冷却することで作られます。この急冷により、原子が結晶格子を形成する時間的余裕がないまま固化するため、原子配列が液体の状態に近いランダムな構造のまま凍結された「非晶質(アモルファス)」固体になります。これは、ゆっくり冷却すると原子が規則正しく配列して結晶化する通常の金属材料とは対照的な製法です。

この非晶質構造は磁気的な特性に大きな利点をもたらします。結晶質の珪素鋼帯では、結晶粒界が磁壁(磁区の境界)の移動を妨げるため、磁化の向きを繰り返し反転させる際にヒステリシス損が生じます。アモルファス合金には結晶粒界そのものが存在しないため磁壁が移動しやすく、保磁力が小さくヒステリシス損を大きく低減できます。さらに薄帯が非常に薄く電気抵抗率も高いため、渦電流損も小さくなります。この特性により、常時励磁されている配電用柱上変圧器の無負荷損(鉄損)を大幅に削減でき、年間を通じた省エネルギー効果が大きいことから、配電用変圧器への採用が進んでいます。

一方で、急冷凝固プロセス上、アモルファス材料は極薄の薄帯としてしか製造できず、硬くもろいため加工がしにくく、鉄心を組み立てる作業も珪素鋼帯より手間がかかります(選択肢(3))。また飽和磁束密度が珪素鋼帯より低く、設計磁束密度を高くとれないため、同じ容量を得るには鉄心断面積を大きくする必要があり、変圧器自体が大形になります(選択肢(5))。材料も比較的高価です(選択肢(4))。つまり本問の(3)(4)(5)はアモルファス変圧器の短所、(1)は長所を述べた正しい記述で、(2)だけが「非晶質」という材料の定義そのものに反しています。長所と短所が混在して並ぶため、短所を述べた選択肢を「誤り」と取り違えないことが本問のポイントです。

この問題の根拠出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。