電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和5年度上期 電力 問13|変電(変圧器・変電所・保護)

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

一次側定格電圧と二次側定格電圧がそれぞれ等しい変圧器A と変圧器B がある。変圧器A は,定格容量SA=5 000 kV・A,パーセントインピーダンス% ZA=9.0 %(自己容量ベース),変圧器B は,定格容量SB=1 500 kV・A,パーセントインピーダンス%ZB=7.5 %(自己容量ベース)である。この変圧器2 台を並行運転し,6 000 kV・A の負荷に供給する場合,過負荷となる変圧器とその変圧器の過負荷運転状態[%](当該変圧器が負担する負荷の大きさをその定格容量に対する百分率で表した値)の組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

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正解は 2
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解説

電験三種「電力」の変圧器並行運転時の負荷分担計算問題(令和5年度上期 問13)。正答は(2)です。

容量の異なる変圧器を並行運転すると、負荷は「定格容量÷自己容量ベースの%Z」に比例して分担されます。変圧器A(5000kV・A、9.0%)と変圧器B(1500kV・A、7.5%)では、Bの%ZのほうがAより小さいので、Bは自分の定格容量に対してAより重い割合で負荷を受け持ちます。6000kV・Aを 5000/9.0:1500/7.5 の比で分けると、Bの分担は約1588kV・Aで、定格1500kV・Aに対して105.9%の過負荷になります。正答は(2)です。

【並行運転変圧器の負荷分担と過負荷率の計算】(令和5年度上期 問13)

変圧器を並行運転すると、各変圧器の負荷分担は共通の容量基準に換算した%Zの逆数に比例します。

まず変圧器Aの%Zを変圧器Bの容量(1500kV・A)基準に換算します。

%ZA(1500kV・A基準) = 9.0 × (1500/5000) = 2.7%

%ZB = 7.5%(もとから自己容量1500kV・A基準)

負荷分担比は換算後の%Zの逆数の比になるので、

PA : PB = (1/2.7) : (1/7.5) = 0.3704 : 0.1333

総負荷6000kV・Aをこの比で配分すると、

PA = 6000 × 0.3704/(0.3704+0.1333) ≒ 6000 × 0.7352 ≒ 4411 kV・A

PB = 6000 × 0.1333/(0.3704+0.1333) ≒ 6000 × 0.2648 ≒ 1588 kV・A

それぞれの定格容量に対する負担率を求めると、

変圧器A:4411/5000 ≒ 88.2%(過負荷ではない)

変圧器B:1588/1500 ≒ 105.9%(過負荷)

したがって過負荷となるのは変圧器Bで、負担率は105.9%となり、正答は(2)です。

【変圧器並行運転の負荷分担が偏る理由と設計上の注意】(令和5年度上期 問13)

変圧器を並行運転したときの各変圧器の電流(≒負荷分担)は、それぞれのインピーダンスの逆数に比例して決まります(並列抵抗の電流分配と同じ考え方)。パーセントインピーダンス%Zは自己容量を基準に表した相対値なので、容量の異なる変圧器を比較する際は、どちらか一方の容量(または共通の基準容量)にそろえて換算する必要があります。本問のように変圧器Aの%Zを変圧器Bの容量基準に換算すると9.0%→2.7%と小さくなり、見かけ上「変圧器Aの方がインピーダンスが小さい=電流が流れやすい」ことが分かります。

負荷率(自己容量に対する負担の割合)で考えると、どちらが過負荷になるかがすぐ分かります。各変圧器の負荷率は自己容量ベースの%Zに反比例するので、Bの負荷率はAの 9.0/7.5=1.2倍です。Aの負荷率をxとすると 5000x+1500×1.2x=6000 から 6800x=6000、x≒0.882 となり、Aは88.2%、Bは1.2×88.2≒105.9%です。総負荷6000kV・Aは合計容量6500kV・Aの約92%に過ぎませんが、%Zの小さいBに負荷が偏るため、Bだけが過負荷になります。合計容量に余裕があっても安全とは限らないという、並行運転の典型的な落とし穴です。

誤答のうち(1)(3)(5)は「変圧器A」を過負荷とするものですが、Aの負荷率は88.2%で過負荷ではないため、数値を計算する前に「%Zの小さいBの負荷率のほうが高い」と見抜ければ除外できます。(4)は過負荷となる変圧器はBで正しいものの、値が計算結果の105.9%と一致しません。検算として、二つの分担の合計 4411.8+1588.2=6000kV・A になることを確かめておくと安心です。

変圧器の並行運転を適切に行うための条件は、①巻線比(変圧比)が等しいこと、②極性が一致していること、③自己容量ベースの%Zが等しいこと(等しければ負荷は容量に比例して分担され、本問のように差があると%Zの小さい側が過負荷になりやすい)、④三相変圧器では相回転と角変位が一致していることです。

この問題の根拠出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。