三相変圧器のΔ-Δ結線・Y-Δ結線・V-V結線を、結線図の描き方から線間電圧・線電流の関係、V結線の利用率86.6%と出力比57.7%の計算まで整理します。電気技術者試験センターの第一種電気工事士の公表問題と技能試験の候補問題の図で確認します。
目次
結論:三相変圧器の結線は、巻線をΔ(三角)につなぐかY(星)につなぐかで、線間電圧・線電流と巻線の電圧・電流の関係が変わります。Δ結線は「線間電圧=巻線電圧、線電流=√3×巻線電流」、Y結線は「線間電圧=√3×巻線電圧、線電流=巻線電流」です。Y-ΔやΔ-Yでは一次と二次の位相が30°ずれます。単相変圧器2台のV-V結線は、2台の合計容量の√3÷2=86.6%(利用率)しか使えず、3台のΔ-Δ結線の1÷√3=57.7%(出力比)の出力になります。
第一種電気工事士の学科試験では、変圧器の結線を直接問う問題は多くありません。合格ナビの第一種電気工事士の問題データ(平成30年度〜令和7年度の学科試験から261問、2026-10-04集計)のうち、問題文か選択肢に「V結線」「Y結線」「Δ結線」「スターデルタ」のいずれかを含む問題は5問で、変圧器の結線そのものを問うのは、V結線の利用率を求める1問です。一方で、配線図の変圧器の図記号と、技能試験の候補問題の図には、結線を示す記号が出てきます。
| 結線 | 結線図の記号 | 線間電圧と巻線の電圧 | 線電流と巻線の電流 | 一次と二次の位相 |
|---|---|---|---|---|
| Δ-Δ | 三角形が2つ(△3△) | 線間電圧=巻線電圧 | 線電流=√3×巻線電流 | 同じ(0°) |
| Y-Y | 星形が2つ | 線間電圧=√3×巻線電圧 | 線電流=巻線電流 | 同じ(0°) |
| Y-Δ/Δ-Y | 星形と三角形 | 一次と二次で上の関係が入れ替わる | 同左 | 30°ずれる |
| V-V | V形が2つ(V 2 V) | 単相変圧器2台で三相を作る | 線電流=巻線電流 | 同じ(0°) |
結線図の読み方:Δ・Y・Vの記号
変圧器の結線は、結線図の中では、円の中に記号を書いて表します。電気技術者試験センターが公表した資料には、次の例があります。
- 令和6年度下期の学科試験 問題2(配線図):500kV・Aの三相変圧器が、上側(高圧側)にY記号、下側(低圧側)にΔ記号を入れた2つの円で描かれています。配線図では、この記号で「どの結線か」を読み取ります。出典:令和6年度下期 学科試験 問題PDF(13ページの図)。
- 令和8年度の技能試験の候補問題:No.5の変圧器は「V 2 V」、No.6の変圧器は「△ 3 △」と記されています。候補問題の資料には、図記号は原則としてJIS C 0617-1〜13及びJIS C 0303:2000に準拠すると書かれています。出典:令和8年度第一種電気工事士技能試験候補問題(図面のページ)。
技能試験の候補問題では、変圧器は配線図の電源側に記号で描かれています。どこまでを作品として作るかは、候補問題の資料に「配線図,施工条件等の詳細については,試験問題に明記します」とあるとおり、試験問題の施工条件で決まります。結線の知識が必要になるのは、おもに学科試験と、配線図・結線図の記号の読み取りです。
Δ-Δ結線:線間電圧と巻線の電圧が等しい
3つの巻線を三角形につなぎ、3つの角から線を出す結線です。
- 線間電圧は、つながっている巻線の電圧そのものです(線間電圧=巻線電圧)
- 線電流は、隣り合う2つの巻線の電流の差になるので、大きさは巻線電流の√3倍です
- 一次と二次の位相のずれはありません
計算例:100kV・Aの単相変圧器3台(6,600V/210V)
- 三相の容量は 100×3=300kV・A
- 一次側の線電流:300,000÷(√3×6,600)=26.2A、巻線の電流:100,000÷6,600=15.2A
- 26.2÷15.2=1.73=√3 なので、「線電流=√3×巻線電流」が成り立ちます
- 二次側の線電流:300,000÷(√3×210)=824.8A、巻線の電流:100,000÷210=476.2A。824.8÷476.2=1.73=√3 で一致します(検算)
Δ-Δ結線の3台のうち1台を取り外しても、残る2台で三相の電圧を作れます。これがV-V結線です。
Y-Δ結線とΔ-Y結線:位相が30°ずれる
一次をYに、二次をΔにつないだのがY-Δ結線です(逆はΔ-Y結線)。
- Y側の線間電圧は、巻線(相)の電圧の√3倍です。2つの相電圧の差をベクトルで取ると、大きさは√3倍、向きは相電圧から30°ずれます
- そのため、Y側とΔ側で、一次と二次の電圧の位相が30°ずれます
- 線間電圧の変圧比は、巻線の巻数比の√3倍になります
計算例:一次Y 6,600V、二次Δ 210V
- 一次の相電圧:6,600÷√3=3,810.5V
- 二次のΔの巻線電圧は、線間電圧と同じ210V。巻数比は 3,810.5÷210=18.15
- 検算:線間電圧の変圧比 6,600÷210=31.43 は、√3×18.15=31.43 と一致します
三相の変圧器どうしを並列につなぐ場合は、一次と二次の位相のずれが同じ結線どうしでなければなりません。同じ容量の単相変圧器を並行運転する条件については、公式の問題が次の項目を挙げています。
- 各変圧器の極性を一致させて結線すること
- 各変圧器の変圧比が等しいこと
- 各変圧器のインピーダンス電圧が等しいこと
「各変圧器の効率が等しいこと」は、必要な条件ではありません(令和7年度下期 問19の正答)。
V-V結線:2台で三相を作る
単相変圧器2台を「V」の形につなぎ、三相3線式の電圧を作る結線です。3台目の巻線がなくても、2つの線間電圧のベクトル和から3つめの線間電圧が作られるので、3つの線間電圧は大きさが等しく、位相が120°ずつずれた三相電圧になります(ベクトルの計算で確認:2つの電圧の和を逆向きにした電圧は、大きさが同じで、120°の向きに出ます)。
利用率と出力比
線間電圧をV、各変圧器に流れる電流(=線電流)をIとします。
- 各変圧器が受け持つ皮相電力は VI。2台の合計は 2VI(設備容量)
- 三相の出力は √3VI
- 利用率=√3VI÷2VI=√3÷2=0.866(86.6%)
- 同じ変圧器3台のΔ-Δ結線の出力は 3VI。出力比=√3VI÷3VI=1÷√3=0.577(57.7%)
計算例:100kV・Aの単相変圧器2台のV結線(二次210V)
- 巻線の電流:100,000÷210=476.2A
- 三相出力:√3×210×476.2=173,205V・A=173.2kV・A
- 利用率:173.2÷200=0.866、出力比:173.2÷300=0.577
- 検算:Δ-Δの3台(300kV・A)から1台を外した場合、出力は 300×(1÷√3)=173.2kV・A で一致します
公式の問題で確認
電気技術者試験センターが公表した令和5年度(午前)の学科試験の問11は、次のとおりです。
同容量の単相変圧器2台をV結線し,三相負荷に電力を供給する場合の変圧器1台当たりの最大の利用率は。イ.1/2 ロ.√2/2 ハ.√3/2 ニ.2/√3
出典:令和5年度(午前) 第一種電気工事士 学科試験 問11(一般財団法人 電気技術者試験センター)。問題PDF、解答PDF。公式の解答は ハ(√3/2)で、上の計算と一致します。
自分で解く:75kV・Aの単相変圧器2台でV結線をつくる
同容量75kV・Aの単相変圧器2台をV結線にして、三相負荷に供給します(独自の練習問題です)。
- ① 三相の最大出力は何kV・Aでしょうか
- ② 120kV・Aの三相負荷には供給できるでしょうか
- 答え:①√3×75=129.9kV・A。②120kV・Aは129.9kV・A以下なので、供給できます
- 検算:利用率 129.9÷150=0.866 で、問題の利用率と一致します。もう1台を追加してΔ-Δ(3台)にすると、三相の容量は75×3=225kV・Aになります
結線の知識をどの問題につなげるか
- 学科(電気機器):V結線の利用率、単相変圧器の並行運転の条件
- 学科(電気の基礎理論):Y結線とΔ結線の線電流・相電流の関係を使う計算
- 学科(配線図):変圧器の結線記号の読み取り
- 技能:候補問題の配線図に描かれた変圧器の記号(V 2 V、△ 3 △)を読み取る
高圧受電設備の機器と役割は第一種電工 高圧工事攻略法、技能試験の候補問題は電気工事士一種 実技(技能試験)で確認できます。
試験センター非提携:本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。本サイトの問題は、電気技術者試験センターが公表した過去の試験問題(各問に出典を明記)で構成しています。
よくある質問
QV結線の「利用率」と「出力比」は、何が違いますか?
利用率は、V結線で取り出せる三相出力を、使っている変圧器2台の合計容量で割った値で、√3÷2=0.866(86.6%)です。出力比は、同じ変圧器3台をΔ結線で使ったときの三相出力に対するV結線の出力の比で、√3÷3=1÷√3=0.577(57.7%)です。たとえば100kV・Aの単相変圧器の場合、V結線の出力は173.2kV・A、利用率は173.2÷200=0.866、出力比は173.2÷300=0.577です。
QΔ結線とY結線では、線間電圧・線電流と巻線の電圧・電流の関係はどう違いますか?
Δ結線では、線間電圧と巻線の電圧が等しく、線電流は巻線の電流の√3倍です。Y結線では、線電流と巻線の電流が等しく、線間電圧は巻線(相)の電圧の√3倍です。当サイトの問13は、この関係を使って、Y結線とΔ結線の負荷を並べた電路の線電流を求める問題です。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。
