衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 労働生理 問59|血液・血液型と輸血の原則

問題

衛生管理者 | 労働生理

ABO血液型および輸血に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ

タップするとすぐ答え合わせ

答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)

解説

正しいのはアです。ABO血液型の抗原・抗体の組み合わせ: A型(A抗原・抗B抗体)・B型(B抗原・抗A抗体)・AB型(A・B両抗原・抗体なし)・O型(抗原なし・抗A・抗B両抗体あり)が正確に記述されています。

各誤りの要点: イ→日本人のRh陰性は約0.5%(Rh陽性が約99.5%)。「約50%」は欧米の数値(白人の約15%・黒人の約7〜8%)と全く異なる。ウ→クロスマッチは輸血前に行う適合検査であり、輸血後に行うものではない。エ→ABO不適合輸血では受血者の抗体が輸血された赤血球を溶血させ(急性溶血性輸血反応)、輸血関連死亡の最も一般的な原因となる。オ→自己血輸血は自分の血液を使うため、血液型不適合や血液を介した感染症のリスクがない。「同種輸血のみが安全」は誤り。

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): ABO式血液型の抗原・抗体の完全な組み合わせ:
    • A型: 赤血球表面にA抗原・血清に抗B抗体(IgM型が主体の天然抗体)
    • B型: B抗原・抗A抗体
    • AB型: A・B両抗原・抗体なし(ユニバーサルレシピエント:ABO型では全型の血液を受けられる・ただし実際の輸血ではAB型が原則)
    • O型: 抗原なし(H抗原のみ)・抗A・抗B両抗体(ユニバーサルドナー:O型赤血球は全型に輸血できるが現在は同型輸血が原則)
  • イ(誤): 日本人のRh血液型: Rh陽性(D抗原あり)約99.5%・Rh陰性(D抗原なし)約0.5%(約200人に1人)。欧米(特に白人)では約15〜17%がRh陰性。日本では稀なため、Rh陰性血液の確保は輸血医療の重要課題です。妊娠中のRh不適合(Rh陰性母・Rh陽性胎児)による母体の感作→Rh溶血性疾患(後の妊娠での胎児溶血)も重要。
  • ウ(誤): 交差適合試験(クロスマッチ)は輸血前に行う事前検査です。目的: 供血者(ドナー)の赤血球と受血者(レシピエント)の血清を混合し、凝集(反応)が起きないか確認→適合性を確認→非反応であれば輸血可能。輸血後に行う検査ではありません。
  • エ(誤): ABO血液型不適合輸血による急性溶血性輸血反応(AHTR)は、輸血の合併症のうち最も重篤で死亡率が非常に高いものの一つで、輸血関連死亡の最も一般的な原因です。ABO不適合の供血者赤血球が受血者血漿中の抗体によって溶血し、溶血が血管内で生じるとヘモグロビン尿、様々な重症度の急性腎障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)が起こり得ます。ショックを起こすこともあります。原因は採血時のラベルの貼り間違いや、輸血直前の受血者と血液製剤の適合未確認が通常で、人為ミスの防止が最重要です。「抗体と反応しない・死亡の原因にならない」は誤りです。
  • オ(誤): 自己血輸血(autologous blood transfusion)は供血者自身が受血者となる方法で、血液型不適合や血液を介した感染症のリスクがありません。「同種輸血(他者の血液)のみが安全」は誤りです。方法: 予定手術の数週間前に数単位の血液を採取しておく(採血後は鉄分を含む薬を服用)、一部の手術や外傷では流れ出た血液を集めて洗浄し体内に戻す(術中血液回収法)。赤血球抗原に対する抗体をもつ人や、まれな血液型で適合血の確保が難しい人にも行われます。

【理論的背景】

ABO血液型の遺伝学的基盤:

  • ABO遺伝子座は第9染色体上に存在
  • A対立遺伝子: αN-アセチルガラクトサミントランスフェラーゼを産生→H抗原にGalNAcを付加→A抗原
  • B対立遺伝子: B型の糖転移酵素を産生→H抗原にGalを付加→B抗原
  • O対立遺伝子: 機能的な酵素を産生しない(欠損型)→H抗原のまま→A・B抗原なし
  • 遺伝形式: I^A(A型)・I^B(B型)・i(O型)の組み合わせ
    • I^A I^A または I^A i → A型
    • I^B I^B または I^B i → B型
    • I^A I^B → AB型
    • ii → O型

なぜ「ない抗原に対する抗体」を持つのか(ランドシュタイナー則):

  • 生後6ヶ月以降、腸内細菌(腸内フローラ)の表面に存在するA・B様抗原への免疫応答として「natural antibody(天然抗体・IgM型)」が産生される
  • 自分が持つ抗原に対しては免疫寛容(自己抗体は作らない)
  • 自分が持たない抗原に対しては天然抗体を作る→ランドシュタイナー則

輸血医学の進歩と安全性向上:

1. 核酸増幅法(NAT)によるウイルス検査(HIV・HBV・HCV): ウインドウ期の短縮

2. 照射血液(GVHDの予防): 輸血後移植片対宿主病(pGVHD)の予防のためリンパ球をガンマ線照射で不活化

3. 白血球除去(leukoreduction): 発熱性非溶血性輸血反応・HLA感作の低減

4. 病原体不活化技術(S/D法等): FFP(新鮮凍結血漿)のウイルス不活化

血液型と臓器移植(HLA):

  • 臓器移植(腎臓・心臓・肝臓等)の適合性判定はABO血液型だけでなくHLA(ヒト白血球抗原)の一致度が重要
  • HLAは個人識別性が高く(膨大な多型)、完全一致は難しい→6抗原マッチが理想
  • 骨髄移植でのHLA適合性は最重要(骨髄バンクの配型)

【実務・条文構造】

輸血と職場・産業安全:

輸血医療事故と産業安全の教訓:

  • ABO不適合輸血(Type & Screen誤りなど): 年間複数件が日本でも報告される
  • 原因: 採血ラベルの取り違え・氏名確認不徹底・医療スタッフの疲労・時間的プレッシャー
  • 過重労働(特に夜勤)→集中力低下→確認ミス→輸血事故という経路が医療現場で問題

緊急輸血時のプロトコール:

  • 緊急時はO型Rh陰性血液(ユニバーサルドナー)を使用
  • 検査施設のないスポーツ・工事現場等での重傷事故では緊急搬送が最優先

大量輸血と産業救急:

  • 労働災害での重症外傷(切断・骨盤骨折・大血管損傷)では大量出血→大量輸血が必要
  • 大量輸血の合併症: 低体温(冷蔵血液)・低カルシウム血症(クエン酸が輸液中のCaをキレート)・血液希釈(凝固因子・血小板の希釈)
  • 止血のためのFFP(新鮮凍結血漿)・血小板濃縮液の同時使用が重要

【試験での位置づけ】

血液型の問題では「A型(A抗原・抗B抗体)・B型(B抗原・抗A抗体)・AB型(両抗原・抗体なし)・O型(抗原なし・両抗体あり)」「日本人のRh陰性は約0.5%(欧米の約15%とは全く異なる)」「クロスマッチは輸血前の適合検査(輸血後ではない)」「ABO不適合輸血は血管内溶血・DIC・急性腎障害・死亡のリスク(エ:軽症で済むは誤り)」「自己血輸血には血液型不適合・血液を介した感染症のリスクがない」が頻出です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: AB型が「ユニバーサルレシピエント」と呼ばれるのはABO型のみの観点からです。実際の臨床では他の血液型抗原(Rh・Kell・Kidd・Duffy等)も考慮し、原則同型輸血が推奨されます。また大量輸血の場合はO型赤血球製剤の使用が避けられない場合があります。
  • イ: Rh不適合妊娠(Rh陰性母・Rh陽性胎児)の対策: 感作防止のためRhIG(抗D免疫グロブリン)を妊娠28週と分娩後72時間以内に注射。これにより次の妊娠での溶血性疾患(HDN: hemolytic disease of the newborn)を予防します。日本人のRh陰性は0.5%と少ないですが、稀有なRh陰性血液の在庫管理は輸血部の重要業務です。
  • ウ: 輸血前の検査(ABO/Rh血液型・不規則抗体スクリーニング・クロスマッチ)は医療安全の基本です。電子的照合(バーコード・RFIDによる患者確認・血液製剤確認)が医療機関で導入され、手作業の取り違えリスクを大幅に減少させています。
  • エ: 輸血後鉄過剰症(secondary hemochromatosis): 頻回輸血(鎌状赤血球症・サラセミア・骨髄異形成症候群等)では鉄が蓄積し肝臓・心臓・内分泌腺への障害が生じます(鉄キレート療法で対処)。

【根拠】医学的事実(確立した血液学・輸血医学)。ABO血液型の各型の抗原・抗体の組み合わせ・日本人のRh陰性が約0.5%・クロスマッチが輸血前の検査・ABO不適合輸血の重篤性・自己血輸血の安全性は確立した知識。

【補足】A型:A抗原・抗B抗体。B型:B抗原・抗A抗体。AB型:両抗原・抗体なし。O型:抗原なし・両抗体あり。日本人のRh陰性は約0.5%(欧米の約15%ではない)。クロスマッチは輸血前の適合検査(輸血後ではない)。自己血輸血は血液型不適合・血液を介した感染症のリスクがない。ABO不適合輸血は急性溶血性輸血反応を起こし、輸血関連死亡の最も一般的な原因。

この問題の根拠根拠: 医学的事実(確立した血液学・輸血医学)。ABO血液型の各型における抗原・抗体の組み合わせは確立した知識。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実(確立した血液学・輸血医学)。ABO血液型の各型における抗原・抗体の組み合わせは確立した知識。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 血液・血液型と輸血の原則
  • 頻出度C

関連する問題

ページの先頭へ