基本情報技術者試験のノートに何を書くかを、分野別の型で整理します。用語カード、計算式の検算、擬似言語のトレース表、間違いノートの見本を、IPA公開問題の実例で示し、直前期にノートをどう見直すかまでまとめました。教科書を写さず、問題で必要になった所だけを書く方針です。
目次
結論:基本情報技術者試験のノートは、「用語は1行カード」「計算式は式と検算を並べる」「アルゴリズムはトレース表」「間違えた問題は間違いノート」の4つの型に分けると、書く量を抑えながら見直しに使えます。教科書の写しにせず、問題を解いて必要になった所だけを書くのがこの記事の方針です。範囲はIPAのシラバス Ver.9.2(3分野・23の中分類)で確認します。
この記事でわかること(30秒サマリ)
| ノートの型 | 書く内容 | 見本の見出し |
|---|---|---|
| 用語カード | 用語・一言説明・シラバスの中分類・間違えた問題の出典 | 用語のまとめ方 |
| 計算式ノート | 式・数字を入れた例・検算(逆算) | 計算式のまとめ方 |
| トレース表 | 擬似言語の変数の値を1行ずつ書く | アルゴリズムのまとめ方 |
| 間違いノート | 出典・論点・誤りの型・正しい考え方 | 間違いノートの作り方 |
| 直前期の見直し | 間違いノートを論点ごとに束ねて読む | 直前期の見直し方 |
シラバスと試験の形式:基本情報技術者試験(レベル2)のシラバスは Ver.9.2、試験要綱は Ver.5.6。科目A 90分・60問、科目B 100分・20問。最終確認日:2026-10-04。出典:IPA 試験要綱・シラバスについて、IPA 試験要綱 Ver.5.6。
ノートに何を書くか(分野別の型)
IPAのシラバス Ver.9.2 は、出題範囲をテクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3分野、大分類9・中分類23に整理しています(IPA 基本情報技術者試験(レベル2)シラバス Ver.9.2)。範囲が広いので、分野ごとに「ノートの型」を決めておくと、何をどう書くかで迷いません。次の対応は、当サイトの提案です。本記事で示すノートの型・項目・見直しの順序は、いずれも当サイトの提案で、IPAが示したものではありません。
| 分野の例 | 向いている型 | 書くもの |
|---|---|---|
| 基礎理論(2進数・補数・確率) | 計算式ノート | 式、数字を入れた例、検算 |
| アルゴリズムとプログラミング | トレース表 | 変数の値の変化 |
| コンピュータシステム(稼働率・性能) | 計算式ノート | 式と、単位の整理 |
| データベース・ネットワーク | 用語カード+計算式 | 用語の一言、サブネットや回線の計算 |
| セキュリティ | 用語カード | 攻撃と対策の対応 |
| マネジメント系・ストラテジ系 | 用語カード | 似た語の違いを1行で |
| 解いて間違えたもの全部 | 間違いノート | 出典と、誤りの型 |
ノートに「書かないもの」も決めておきます。問題文の全文、教材の図や文章の写しは、書かずに出典(年度・問番号・ページ)だけを残します。見直すときに元の問題を開けば足りるからです。
用語のまとめ方(用語カード)
用語カードは、1語1行で書きます。項目は4つです。
| 項目 | 例(2の補数) |
|---|---|
| 用語 | 2の補数 |
| 一言(自分の言葉で) | 負の数を表すとき、ビットを反転して1を足す |
| シラバスの位置 | 中分類1(基礎理論) |
| 出典(間違えた問題) | サンプル問題 問1 |
一言の欄は、教材の定義の写しではなく、自分の言葉で書きます。用語の一覧と各語のシラバスでの位置は、基本情報技術者試験 用語集に分野別にまとめてあるので、カードを作るときの索引に使えます。
似た語は、カードを並べて違いを1行で書きます。たとえば、ネットワークでは「ルータはIPアドレスで中継し、ブリッジはMACアドレスで中継する」のように、装置ごとに基準をそろえます(ネットワーク分野の詳細はネットワーク分野の記事)。
この論点の問題を解く
用語ページ:基本情報 用語集
計算式のまとめ方(式・例・検算)
計算式のノートは、「式」「数字を入れた例」「検算」の3段で書きます。検算の欄を作ると、答えが合わないときに、式の誤りか計算の誤りかを切り分けられます。
見本1:2の補数
IPAのサンプル問題 問1は、2の補数の求め方を式で選ぶ問題です。
問1 負数を2 の補数で表すとき,8 ビットの2 進正数n に対し-n を求める式はどれか。ここで,+は加算を表し,OR はビットごとの論理和,XOR はビットごとの排他的論理和を表す。
ア (n OR 10000000) + 00000001
イ (n OR 11111110) + 11111111
ウ (n XOR 10000000) + 11111111
エ (n XOR 11111111) + 00000001
出典:基本情報技術者試験 科目A試験 サンプル問題 問1(独立行政法人情報処理推進機構)。IPAの解答例では、正解はエです。
ノートには、次のように書きます。
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 式 | -n = (n のビットを反転)+ 1。反転は「11111111 との XOR」で行う(エ) |
| 数字を入れた例 | n=5=00000101 → 反転 11111010 → +1 → 11111011 |
| 検算 | 256-5=251=11111011 で一致。5+11111011 = 100000000 で、8ビットでは 00000000(桁あふれ)になり、0になる |
見本2:稼働率
令和6年度の公開問題 問4は、MTBFとMTTRの改善後の稼働率を求める問題です。
問4 あるシステムの今年度のMTBF は3,000 時間,MTTR は1,000 時間である。翌年度はMTBF について今年度の20%分の改善,MTTR について今年度の10%分の改善を図ると,翌年度の稼働率は何%になるか。
ア 69 イ 73 ウ 77 エ 80
出典:令和6年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問4(独立行政法人情報処理推進機構)。IPAの解答例では、正解はエです。
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 式 | 稼働率 = MTBF ÷(MTBF + MTTR) |
| 数字を入れた例 | MTBF は 3,000×1.2=3,600 時間、MTTR は 1,000×0.9=900 時間。3,600÷(3,600+900)=0.8 → 80%(エ) |
| 検算 | 逆算:0.8 = 3,600÷4,500。稼働率が 0.8 のとき、故障している時間の割合は 0.2 で、900÷4,500=0.2 と一致 |
| 間違いやすい点 | MTBF の改善を反映しないと 3,000÷(3,000+900)=約0.77 で77%(ウ)になる |
数字を入れた例には、自分でも数字を変えた問題を1つ作っておくと、式を覚えているかを確かめられます。たとえば MTBF 900時間・MTTR 100時間なら、900÷(900+100)=0.9 です。計算ツールは稼働率計算ツールで確かめられます。
この論点の問題を解く
アルゴリズムのまとめ方(トレース表)
擬似言語の問題は、変数の値を1行ずつ書き出すトレース表で解きます。擬似言語の記述形式は、IPAの「試験で使用する情報技術に関する用語・プログラム言語など Ver.5.1」の別紙2に定められています。代入は「変数名 ← 式」、選択は if〜elseif〜else〜endif、前判定の繰返しは while〜endwhile、配列の要素は「[」と「]」で要素番号を指定します(IPA 用語・プログラム言語など Ver.5.1)。
見本:配列の最大値を求める(自作)
要素番号が1から始まる配列 a の、要素数 n 個の最大値を求める処理です。
| 行 | 擬似言語 |
|---|---|
| 1 | m ← a[1] |
| 2 | i ← 2 |
| 3 | while (i ≦ n) |
| 4 | if (a[i] > m) |
| 5 | m ← a[i] |
| 6 | endif |
| 7 | i ← i + 1 |
| 8 | endwhile |
a が {4, 9, 2, 7}、n が 4 のときのトレース表です。
| 繰返しの回 | i | a[i] | a[i] > m | m |
|---|---|---|---|---|
| 開始前 | 2 | - | - | 4 |
| 1回目 | 2 | 9 | 真 | 9 |
| 2回目 | 3 | 2 | 偽 | 9 |
| 3回目 | 4 | 7 | 偽 | 9 |
| 終了 | 5 | - | i ≦ n が偽 | 9 |
検算は、配列を目で見て最大値を探します。4・9・2・7 の最大は9で、表の最後の m と一致します。ノートには、トレース表に加えて「最初の値を m に入れておく」「比べるたびに m を更新する」のように、処理の意図を1行書いておきます。表を埋めるだけでは、別の問題で使えないからです。
擬似言語の読み方や、科目Bの解き方は、科目Bの対策記事に詳しく書いています。
この論点の問題を解く
間違いノートの作り方
間違いノートは、「どの問題で」「何を」「なぜ間違えたか」を残すノートです。項目は次の5つにします。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 出典 | 年度・問番号(例:令和7年度 科目A 問7) |
| 論点 | 1行(例:回線利用率の計算) |
| 自分の答えと正解 | 選んだ記号と正解の記号 |
| 誤りの型 | 知識不足/読み違い/計算ミス/単位の取り違え のどれか |
| 次に確かめること | 同じ誤りを防ぐ手順を1行 |
誤りの型は、当サイトの分け方です。型を決めて書くと、見直すときに「自分は単位の取り違えが多い」のように、傾向を見られます。
見本:回線利用率の問題
令和7年度の公開問題 問7です。
問7 1G バイトの動画データを40M ビット/秒の回線を使用してダウンロードしたところ,5 分掛かった。このときの回線利用率はおよそ何%か。ここで,ダウンロード時には動画データに20%の制御情報が付加されるものとする。
ア 10 イ 53 ウ 67 エ 80
出典:令和7年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問7(独立行政法人情報処理推進機構)。IPAの解答例では、正解はエです。
正解は、次のように求まります。1Gバイト=8Gビットに制御情報の20%が付くので 8×1.2=9.6Gビット、5分=300秒なので 9.6G÷300=32Mビット/秒、32÷40=0.8で80%です。
間違いノートでは、誤った選択肢の数字がどの取り違えで出るかも書いておくと、同じ誤りを見分けやすくなります(当サイトで計算した結果です)。
| 選んだ選択肢 | その数字が出る計算 | 誤りの型 |
|---|---|---|
| ウ 67 | 8G÷300÷40M = 約0.67(制御情報を入れ忘れ) | 読み違い |
| イ 53 | 8G×0.8÷300÷40M = 約0.53(制御情報を「引く」側にした) | 読み違い |
| ア 10 | 1G×1.2÷300÷40M = 0.1(バイトをビットに直し忘れ) | 単位の取り違え |
このノートの「次に確かめること」は、「計算の最初に、バイトをビットにそろえる。付加される情報は、データ側にかける」の1行で足ります。
この論点の問題を解く
直前期の見直し方
直前期は、ノートを新しく作るより、間違いノートを論点ごとに束ねて読む使い方に切り替えます。次の順は当サイトの提案です。
- ①間違いノートを「誤りの型」で分け、多い型から読む。
- ②計算式ノートは、式の欄を隠して、数字を入れた例から式を言えるか確かめる。
- ③トレース表は、問題を見ずに、最初の2〜3行だけ自分で書き直す。
- ④用語カードは、一言の欄を隠して、用語から言えるか確かめる。
試験の形式(科目A 90分・60問、科目B 100分・20問)は冒頭の確認欄のとおりです。当日の流れや時間配分は、試験当日の流れで扱っています。勉強時間の配分は、勉強時間の記事を参照してください。
当サイトの問題を、ノートの材料にする
当サイトには、IPAが公開した基本情報技術者試験の問題を520問収録しています(2026-10-04時点)。問題ページには3段階の解説があり、間違えた原因を確かめるのに使えます。弱点の分野が分からないときは、診断から始めると、ノートに書く論点を絞れます。
まとめ
1. ノートは、用語カード・計算式ノート・トレース表・間違いノートの4つの型で書く。
2. 範囲はIPAシラバス Ver.9.2(3分野・23中分類)で確認し、教科書の写しではなく、問題で必要になった所だけを書く。
3. 計算式は「式・数字を入れた例・検算」の3段で書く。トレース表には処理の意図を1行添える。
4. 間違いノートは「出典・論点・答え・誤りの型・次に確かめること」の5項目で、型ごとに見直す。
一次ソース
- IPA 基本情報技術者試験(レベル2)シラバス Ver.9.2
- IPA 試験要綱 Ver.5.6
- IPA 試験要綱・シラバスについて
- IPA 試験で使用する情報技術に関する用語・プログラム言語など Ver.5.1
- IPA 基本情報技術者試験 サンプル問題(科目A 60問セット)
- IPA 令和6年度 科目A 公開問題・令和7年度
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よくある質問
Qノートは手書きとスマホやパソコンのどちらがよいですか?
どちらが合格に有利かは、この記事では判断しません。手書きは、トレース表のように途中の値を書き込む作業に向き、デジタルは、検索して見直す作業に向きます。本記事の見本は、どちらでも使える「表」と「1行」の形にしてあります。続けやすい方を選び、途中で変えても構いません。
Qノートに問題文を丸写しする必要はありますか?
必要はありません。ノートには、問題の出典(年度と問番号)と、論点を1行、自分の誤りと正しい考え方を書けば足ります。問題文そのものは、IPAが公開している問題冊子や、当サイトの問題ページで読み直せます。
Qノート作りに時間をかけすぎないためには、どうすればよいですか?
本記事では、ノートに書くのは「問題を解いて間違えたもの」と「式や手順があるもの」に限る方法を示しています。教科書の内容を最初から書き写すのではなく、問題で必要になった所だけを書く方が、書く量が抑えられます。これは当サイトの進め方の提案で、効果を保証するものではありません。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

