基本情報技術者試験は簡単になったのかを、IPAの公表資料と合格率の推移で整理します。2023年4月の科目A・科目B化、2024年10月以降の改訂、2026年12月のCBT休止、2027年度春頃の新試験制度まで、変わったことと変わらないことを時系列でまとめます。
目次
結論:IPAは「簡単になった」とは言っていません。変わったのは、試験時間(300分から190分へ、約36.7%短縮)と、午後の個別言語が擬似言語に統一された点などの形式です。合格率は年度で動いており、令和5年度の47.1%から令和7年度の38.3%まで下がっています(IPAの統計)。2026年12月28日以降はCBT試験が休止予定で、2027年度春頃に新試験制度へ移る予定です。
試験の形式:科目A 90分・60問(評価対象56問)、科目B 100分・20問(評価対象19問)、合格基準は600点。最終確認日:2026-10-03。出典:IPA 試験要綱 Ver.5.6。
3行サマリ
- 形式の変更:2023年4月に、午前・午後の旧形式から科目A・科目Bの形式へ。試験時間は合計300分から190分へ。
- 難易度:IPAは難易度の変化を説明していません。合格率は年度で動いており、一方向の「簡単になった」では説明できません。
- これから:現行制度は2026年度で終了予定。2027年度春頃の新試験制度でも科目A・Bの時間と問題数は変わらない予定です。
変更点の年表
| 時期 | 変わったこと | 出典 |
|---|---|---|
| 2020年12月 | CBT(Computer Based Testing)方式の試験が開始 | IPA 通年試験化の公表 |
| 2022年4月25日 | 通年試験化と、試験の実施方式・出題範囲などの変更内容を公表 | IPA 通年試験化の公表 |
| 2023年4月 | 午前・午後から科目A・科目Bの形式へ。試験時間は30〜40%短縮(IPA) | IPA 通年試験化の公表 |
| 2024年10月 | シラバスVer.9.0を適用(科目A・科目Bの出題範囲を一部改訂) | IPA 試験要綱・シラバス |
| 2026年1月8日 | シラバスVer.9.2を掲載(「下請法」から「中小受託取引適正化法」への置き換え) | IPA 試験要綱・シラバス |
| 2026年10月 | 試験要綱Ver.5.6を適用 | IPA 試験要綱 Ver.5.6 |
| 2026年12月28日 | CBT試験を休止(予定) | IPA CBT実施のお知らせ |
| 2027年度春頃 | 新試験制度が始まる予定 | IPA 見直しの検討状況 |
出典:IPA 通年試験化の公表(2022年4月25日)、IPA 試験要綱・シラバスについて、IPA 見直しの検討状況について、IPA CBT試験の実施状況(2026年8月3日更新)。
「簡単になった」のか:旧形式と現在の形式を並べる
2023年4月の変更で、午前・午後の旧形式は科目A・科目Bになりました。IPAの公表資料を並べると次のとおりです。
| 項目 | 旧形式(〜2023年3月) | 現在の形式(2023年4月〜) |
|---|---|---|
| 前半 | 午前試験:150分、80問(全問解答) | 科目A試験:90分、60問(全問解答) |
| 後半 | 午後試験:150分、大問11問から5問を選択して解答 | 科目B試験:100分、20問(全問必須) |
| 試験時間の合計 | 300分 | 190分(当サイトの計算で約36.7%短縮) |
| 午後・科目Bの言語 | 個別のプログラム言語(C・Java・Python・アセンブラ言語・表計算ソフト)による出題 | 擬似言語による出題に統一 |
| 中心分野 | 「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(擬似言語)」は必須解答 | この二つの分野を中心にした構成 |
出典:IPA 通年試験化の公表(2022年4月25日)。「選択問題なし(全問必須)」はIPAの注記。
この表から言えることは次の3点です。
- ①時間が短くなった:合計300分が190分になりました。IPAは小問形式への変更による午後問題のコンパクト化や出題数・解答数の変更などで、試験時間を30〜40%短縮したと説明しています。
- ②選べなくなった:旧形式の午後は、11問から5問を選んで解答する選択式でした。現在の科目Bは全問必須で、出題は擬似言語だけです。旧午後の問題数・選択数は年度によって違い、その移り変わりは基本情報の午後試験はどうなった?で整理しています。
- ③科目Aは午前に準じる:IPAは科目Aの出題範囲を「現在の午前試験に準じます」と説明しています。
時間が短くなったことは、問題が易しくなったことを意味しません。1問あたりの時間は、科目Bで5分(100分÷20問)です。IPAは難易度が変わったとも変わっていないとも書いていないため、「簡単になった」かどうかは、次の合格率のデータで確かめます。
合格率の変化:年度と分母つきで見る
IPAの推移表・統計資料から、基本情報技術者試験の年度ごとの数字を並べます。
| 年度 | 形式 | 応募者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 平成29年度 | 旧形式 | 144,501人 | 105,252人 | 23,288人 | 22.1% |
| 平成30年度 | 旧形式 | 155,928人 | 111,381人 | 28,552人 | 25.6% |
| 令和元年度 | 旧形式 | 168,869人 | 121,556人 | 31,224人 | 25.7% |
| 令和3年度 | 旧形式 | 97,577人 | 85,428人 | 34,734人 | 40.7% |
| 令和4年度 | 旧形式 | 117,624人 | 101,620人 | 38,033人 | 37.4% |
| 令和5年度 | 科目A・B | 140,774人 | 121,611人 | 57,278人 | 47.1% |
| 令和6年度 | 科目A・B | 157,259人 | 133,732人 | 54,501人 | 40.8% |
| 令和7年度 | 科目A・B | 172,217人 | 147,186人 | 56,370人 | 38.3% |
| 令和8年度(4〜9月) | 科目A・B | 78,551人 | 66,597人 | 26,398人 | 39.6% |
出典:IPA 推移表(令和8年4月21日現在)、IPA 基本情報技術者試験の統計資料(令和8年10月21日現在)。合格率は合格者÷受験者。令和2年度は、推移表では「令和2年度10月」の1行だけで(注記:令和2年度内に実施したCBT方式の試験は10月に計上)、春期・秋期のそろった他の年度と形が違うため、この表では省略しています。令和2年度の数字は合格率の統計の記事に載せています。
数字から読み取れることは次のとおりです。
- 平成29〜令和元年度の合格率は22.1〜25.7%、令和3・4年度は37.4〜40.7%、令和5年度は47.1%、令和7年度は38.3%です。
- 令和3年度と令和4年度は、形式が変わる前(2023年3月まで)から、すでに合格率が上がっていました。新形式だけが合格率を押し上げたとは、この表からは言えません。
- 令和5年度の47.1%から令和7年度の38.3%まで、新形式の中でも下がっています。応募者は令和5年度の140,774人から令和7年度の172,217人へ増えています。
- IPAは、合格率が動いた理由を公表していません。受験者の層や人数の変化、問題の難易度、試験の運用など、この表からは理由を分けられません。
合格率が令和元年度以前の約22〜26%に比べて高い水準になったのは、上の表の範囲では令和3年度以降です(令和2年度も高い数字ですが、表では省略しています)。これが「簡単になった」と言われる背景の一つかもしれません(当サイトの推測で、IPAの説明ではありません)。直近は令和7年度が38.3%、令和8年度の4〜9月が39.6%と、令和5年度よりは低い水準です。年度別・月別の詳しい数字は基本情報技術者試験の合格率と難易度の統計にまとめています。
科目B(基本情報b試験)の新しい形
「基本情報b試験」と検索される科目Bは、旧午後試験に代わる科目です。試験要綱 Ver.5.6では次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間・問題数 | 100分・20問(評価対象は19問) |
| 内訳 | アルゴリズムとプログラミング16問、情報セキュリティ4問 |
| 言語 | 擬似言語 |
| 採点 | IRT(項目応答理論)による評価。合格基準は600点 |
出典:IPA 試験要綱 Ver.5.6。
令和8年9月分の評価点分布(IPA)では、科目Bの受験者11,315人のうち600点以上が5,452人(48.2%)、科目Aは10,373人のうち600点以上が6,769人(65.3%)でした(当サイトの計算)。
科目Bの対策は、次の記事に分けています。
- 科目Bの対策:問題数・合格基準・擬似言語の解き方
- 科目Bの言語は擬似言語だけ:Java・Python・Cとの読み替え方
- 科目B(アルゴリズム・プログラミング)攻略法:擬似言語のトレース技法
- 科目B 練習問題20問:解答とトレース付き
科目Bの考え方に近い、手順やデータ構造を追う問題は、科目Aの公開問題でも確認できます(科目Bの問題そのものではありません)。
- 10進整数を8桁の2進数に変換する流れ図(サンプル問題セット 問2)
- 再帰的に定義された関数 f(5) の値(サンプル問題セット 問8)
- 双方向リストに要素を追加したときのポインタ(令和5年度 問2)
- 2分探索木の値の大小関係(令和7年度 問3)
科目Aは旧午前に準じるため、計算問題などを、いまの形式のまま解いて確認できます。
2024年10月以降の変更:シラバスと法令名
2023年4月の形式変更のあとも、シラバス(出題範囲)は改訂されています。
- 2024年10月:シラバスVer.9.0が適用されました。IPAの試験要綱の改訂履歴には、科目Aと科目Bの出題範囲を一部改訂したことが記載されています。
- Ver.9.1:法務分野の「プロバイダ責任制限法」が「情報流通プラットフォーム対処法」に置き換わりました(IPAのPDFを読み比べた結果)。IPAがVer.9.1を公表した日付は、IPAの公表ページで確認してください。
- 2026年1月8日:シラバスVer.9.2が掲載されました。「下請法」が「中小受託取引適正化法」に置き換わっています。シラバスでは「取適法」の略称も使われています。
各版の用語や、旧版の参考書を使うときの確認ポイントは、基本情報技術者シラバスVer.9.0 / 9.2 変更点にまとめています。
2026年に変わったこと・変わっていないこと
2026年の主な動きは次のとおりです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 変わったこと | 2026年1月にシラバスVer.9.2へ。2026年10月の試験から試験要綱Ver.5.6を適用 |
| 変わらないこと | 科目A 90分・60問、科目B 100分・20問、合格基準600点、擬似言語、IRTによる評価 |
| 変わる予定 | 2026年12月28日以降はCBT試験が休止。2027年度春頃に新試験制度へ |
受験手数料:7,500円(消費税込み)。最終確認日:2026-10-03。出典:IPA 試験日程・受験手数料。
CBT試験の休止:2026年12月28日以降は休止予定。2026年9月1日以降の新規申込で選べるのは2026年12月27日までの試験日。2027年1月以降の実施は、2026年秋頃にIPAのウェブページで案内される予定。最終確認日:2026-10-03。出典:IPA CBT試験の実施状況(2026年8月3日更新)。
CBT試験の申込や会場の探し方は、基本情報技術者試験のCBTにまとめています。
2027年度の新試験制度:何が変わる予定か
IPAは、情報処理技術者試験の新試験制度を2027年度春頃に始める予定と公表しています。基本情報技術者試験では、次の点が示されています。
- 科目A 90分・60問、科目B 100分・20問のまま(検討状況の公表)
- 「科目Aの出題範囲体系の変更」と「科目Bの出題範囲の一部変更」が挙げられているが、IPAは「技術動向や環境変化等を踏まえて表記の変更等を行うもので、試験で問う知識・技能の範囲そのものに変更はありません」と説明している
- 現行制度は2026年度の試験実施をもって終了する予定
新試験制度の予定:基本情報技術者試験は2027年度春頃から新試験制度で実施予定(科目A 90分・60問、科目B 100分・20問)。現行制度は2026年度の試験実施をもって終了予定。公表内容は検討状況で、今後変更の可能性あり。最終確認日:2026-10-03。出典:IPA 情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について。
2026年9月30日には、新試験制度の基本情報技術者試験シラバス案(Ver.0.1)が公表されました。36ページ、7つの大分類と29の中分類で構成されています(当サイトがIPAのPDFで確認)。案の段階で、内容は今後変わる可能性があります。中分類の対応や、法務分野の記載の違いは、シラバスの変更点の記事で比較しています。
2026年10月3日の時点で、基本情報技術者試験のサンプル問題は、新試験制度向けには公開されていません(IPAのサンプル問題のページの更新日は2026年8月31日で、基本情報技術者試験の分は掲載がありませんでした)。
今から受けるなら
変更点の流れから、これから受ける人の確認点を整理します。
- 学習の軸:科目Aは旧午前に準じるため、午前の知識は活かせます。科目Bは擬似言語の読み取りが中心なので、旧午後の個別言語の問題だけで練習しても足りません。
- 受験時期:CBT試験は2026年12月27日までの試験日を選べます。2027年1月以降の日程は2026年秋頃に案内される予定なので、IPAのページで確認してください。
- 参考書と問題集:古い版は、法務分野の用語(プロバイダ責任制限法、下請法)がいまのシラバスと異なります。シラバスの記事で確認してください。
- 勉強計画:独学ロードマップで、科目Aと科目Bの時間配分の考え方を確認できます。
分野別に弱点を確かめたい場合は、分野ハブから解けます。
まとめ:変更点の要点
- ①形式:2023年4月に科目A・科目Bへ。合計300分から190分へ(約36.7%短縮・当サイトの計算)。科目Bは擬似言語に統一され、全問必須。
- ②難易度:IPAは変化を説明していません。合格率は令和5年度47.1%から令和7年度38.3%へ動いており、一方向の傾向では説明できません。
- ③これから:2026年12月28日以降はCBT休止の予定。2027年度春頃に新試験制度へ。形式(時間・問題数)は変わらない予定。
- ④確認先:最新の情報はIPAのページで確認してください。
本記事は、IPAから新しい公表があった場合に更新します。架空の監修者・推奨者はいません。
よくある質問
Q「基本情報b試験」とは何ですか?
基本情報技術者試験の科目B試験のことです。2023年4月の形式変更で、旧形式の午後試験にあたる位置づけの科目として始まりました。試験要綱 Ver.5.6では、20問・100分で、アルゴリズムとプログラミング16問・情報セキュリティ4問の構成、擬似言語を使う出題です(評価対象は19問)。出典:IPA 試験要綱 Ver.5.6。
Q旧形式(午前・午後)の過去問は、いまの試験の勉強に使えますか?
IPAは、科目Aの出題範囲を「現在の午前試験に準じます」と説明しています。一方、科目Bは、個別のプログラム言語(C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト)による出題を擬似言語に統一する形式に変わりました。旧午後の問題は言語や形式がいまと異なるため、そのままでは科目Bの練習になりません。出典:IPA 通年試験化の公表(2022年4月25日)。
Q試験時間はどれだけ短くなりましたか?
旧形式は午前150分と午後150分の合計300分、現在は科目A 90分と科目B 100分の合計190分です(IPAの公表資料による)。当サイトの計算では300分から190分への短縮で、約36.7%短くなっています。IPAは、通年試験化で試験時間を30〜40%短縮すると説明しています。
Q2027年度の新試験制度で、基本情報技術者試験の形式は変わりますか?
IPAの検討状況の公表(2026年4月28日更新)では、科目A 90分・60問、科目B 100分・20問のまま、2027年度春頃に新制度で始まる予定です。IPAは、出題範囲の見直しは表記の変更等であり、試験で問う知識・技能の範囲そのものに変更はないと説明しています。公表内容は検討状況で、今後変わる可能性があります。出典:IPA 見直しの検討状況について。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月29日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

