個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)の構成を、事業者向けの第4章と行政機関等向けの第5章に分けて条文で整理します。個人情報・個人データ・保有個人データの範囲、義務ごとの対象、令和3〜7年度の行政書士試験で個人情報保護が出た問題の一覧と、合格ナビの問題16問の論点別の件数を載せています。
目次
結論:個人情報保護法は、個人情報の扱い方のルールを定めた法律で、民間の事業者のルール(第4章)と行政機関等のルール(第5章)が1つの法律に入っています。試験では、個人情報・個人データ・保有個人データの範囲と、どの義務がどの範囲にかかるかの取り違えがよく問われます。
個人情報保護法とは:第4章(事業者)と第5章(行政機関等)の構成
個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)は、民間の事業者と行政機関等の両方について、個人情報の扱い方を定めています(1条)。目的は、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することです。
建物にたとえると、1つの建物の中に、会社のための階と役所のための階があるようなものです。どちらの階の話かで、使う言葉と条文が変わります。
法律の章立ては、次のとおりです(目次)。
| 章 | 内容 | 試験で関係する場面 |
|---|---|---|
| 第1章 | 総則(目的・定義・基本理念。1条〜3条) | 個人情報、個人識別符号、要配慮個人情報などの定義 |
| 第2章・第3章 | 国と地方公共団体の責務、基本方針などの施策(4条〜15条) | 基本方針は政府が定める(7条1項) |
| 第4章 | 個人情報取扱事業者等の義務等(16条〜59条) | 利用目的、取得、第三者提供、開示請求など |
| 第5章 | 行政機関等の義務等(60条〜129条) | 行政機関等が持つ個人情報の扱い、本人の開示請求 |
| 第6章 | 個人情報保護委員会(130条〜170条) | 委員会の組織と、報告・立入検査・勧告・命令 |
| 第7章・第8章 | 雑則(171条〜175条)・罰則(176条〜185条) | — |
第5章が対象とする「行政機関等」は、2条11項が、行政機関、地方公共団体の機関(議会を除く)、独立行政法人等、地方独立行政法人の4つと定義しています。独立行政法人等と地方独立行政法人は、同じ項のかっこ書きで一部の法人が除かれています。
第5章の開示請求のしくみは、情報公開と並べて行政書士の情報公開法で整理しています。ITパスポート試験の公開問題での出方と、罰則・改正の話はITパスポートの個人情報保護法で扱います。この記事の中心は、第1章の定義と第4章の事業者の義務です。
条文の基準日:行政書士試験は、令和8年4月1日現在施行されている法令で出題されます。この記事で扱う条文(1〜60条・130条・146〜148条・156〜158条)は、2026年4月1日の版と2026-10-29の現行版で同じです。令和8年法律第56号(個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律)は公布されていますが、2026-10-29の時点で、この記事の条文はまだ変わっていません。最終確認日:2026-10-29。出典:行政書士試験研究センター 試験案内、e-Gov法令検索 個人情報の保護に関する法律。
個人情報・個人識別符号・要配慮個人情報:2条の定義
定義は2条に集まっています。条文の言葉で、1つずつ見ます。
| 用語 | 条文 | 定義の要点 |
|---|---|---|
| 個人情報 | 2条1項 | 生存する個人に関する情報で、①氏名・生年月日その他の記述等により特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合でき、それにより特定の個人を識別できることとなるものを含む)、または②個人識別符号が含まれるもの |
| 個人識別符号 | 2条2項 | 身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した符号(1号)、または、役務の利用・商品の購入に関して割り当てられたり、カードなどに記載・記録されたりした符号で、利用者・購入者・発行を受ける者ごとに異なるもの(2号)のうち、政令で定めるもの |
| 要配慮個人情報 | 2条3項 | 本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他、本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして、政令で定める記述等が含まれる個人情報 |
| 本人 | 2条4項 | 個人情報によって識別される特定の個人 |
読むときの注意点は3つです。
- ①の「他の情報と容易に照合することができ」は、かっこ書きです。照合しやすい他の情報と合わせれば識別できる場合も、個人情報に含まれます
- 個人識別符号は、2条2項の1号・2号に当たる符号のうち「政令で定めるもの」です。条文の2つの類型に当たるだけでは足りず、政令で定められていることが条件になっています
- 要配慮個人情報も、条文に例示された語(人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実)に加え、「政令で定める記述等」が含まれる個人情報です
定義の書き出しは「生存する個人に関する情報」です。亡くなった人だけに関する情報は、この定義の言葉に入りません。
個人データ・保有個人データとは:16条で範囲が狭くなる
第4章の義務は、情報の範囲によって対象が変わります。範囲は、個人情報、個人データ、保有個人データの順に狭くなります。
たとえると、個人情報は家にあるメモ全部、個人データはその中で名簿のファイルにとじた分です。保有個人データは、そのファイルのうち、自分で直したり消したりできる分にあたります。
| 用語 | 条文 | 定義の要点 | 範囲の条件 |
|---|---|---|---|
| 個人情報データベース等 | 16条1項 | 個人情報を含む情報の集合物で、①特定の個人情報を電子計算機で検索できるように体系的に構成したもの、②①のほか、特定の個人情報を容易に検索できるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの(利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定めるものを除く) | 検索できる形に整理されている |
| 個人データ | 16条3項 | 個人情報データベース等を構成する個人情報 | データベース等の一部になっている |
| 保有個人データ | 16条4項 | 個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正・追加・削除、利用の停止、消去、第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データ(その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるものを除く) | 事業者に、開示や訂正などの権限がある |
個人情報取扱事業者は、16条2項で、個人情報データベース等を事業の用に供している者と定義されています。ただし、国の機関、地方公共団体、独立行政法人等、地方独立行政法人は除かれます。
独立行政法人等と地方独立行政法人からは、2条11項3号・4号のかっこ書きで除かれる法人(別表第二の法人など)が外れており、その法人は個人情報取扱事業者に当たります。除かれた者のうち行政機関等(2条11項)に当たるものは、第5章で規律されます。
名前が似ていて混同しやすい語が、第5章の「保有個人情報」です(60条1項)。第4章の「保有個人データ」とは別の語です。
保有個人情報は、行政機関等の職員が職務上作成・取得した個人情報で、職員が組織的に利用するものとして行政機関等が保有しているものを指します。ただし書で、行政文書・法人文書・地方公共団体等行政文書に記録されているものに限られます。章が違えば語も違う、と整理しておくと、選択肢の入れ替えに気づけます。
事業者の義務は、どの情報が対象か(17〜40条)
第4章第2節(17条〜40条)の義務は、対象とする情報が条文ごとに決まっています。対象を取り違えた肢が、条文の読みの確認になります。
| 対象 | 条文 | 義務の内容 |
|---|---|---|
| 個人情報 | 17条 | 利用目的をできる限り特定する。変更は、変更前と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えない |
| 個人情報 | 18条 | あらかじめ本人の同意を得ないで、特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱ってはならない(例外あり) |
| 個人情報 | 19条 | 違法または不当な行為を助長し、または誘発するおそれがある方法で利用してはならない |
| 個人情報 | 20条 | 偽りその他不正の手段で取得してはならない。要配慮個人情報は、例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで取得してはならない |
| 個人情報 | 21条 | 取得したら、あらかじめ公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知し、または公表する。契約書など書面で本人から直接取得するときは、あらかじめ利用目的を明示する(人の生命・身体・財産の保護のために緊急に必要がある場合を除く)。4項に、これらを適用しない場合が4つある |
| 個人データ | 22条 | 利用目的の達成に必要な範囲内で正確かつ最新の内容に保つとともに、利用の必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努める(努力義務) |
| 個人データ | 23条〜25条 | 安全管理措置、従業者の監督、委託先の監督 |
| 個人データ | 26条 | 漏えい・滅失・毀損などで個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定める事態が生じたときは、委員会に報告し、本人に通知する。ただし、取扱いの委託を受けた事業者が、委員会規則に従って委託元にその事態を通知したときは、委員会への報告も本人への通知も要らない(1項ただし書・2項かっこ書き)。本人への通知が困難で、本人の権利利益を保護するために必要な代わりの措置をとるときも、本人への通知は要らない(2項ただし書) |
| 個人データ | 27条〜30条 | 第三者提供の制限、外国にある第三者への提供の制限、提供する側・受ける側の記録と確認 |
| 保有個人データ | 32条〜39条 | 事項の公表、利用目的の通知、開示・訂正等・利用停止等の請求への対応 |
特に試験で取り違えやすいのは、次の2点です。
- 22条は「努めなければならない」の努力義務です。23条(安全管理措置)が「講じなければならない」と書いていることと比べると、書き方が違います
- 20条2項(要配慮個人情報の取得)の例外は8つで、18条3項(目的外利用の例外)の6つとも、27条1項(第三者提供の例外)の7つとも、数が違います。次の表で並べます
| 例外の内容 | 18条3項(目的外利用) | 20条2項(要配慮個人情報の取得) | 27条1項(第三者提供) |
|---|---|---|---|
| 法令に基づく場合 | 1号 | 1号 | 1号 |
| 人の生命・身体・財産の保護のために必要で、本人の同意を得ることが困難なとき | 2号 | 2号 | 2号 |
| 公衆衛生の向上・児童の健全な育成の推進のために特に必要で、本人の同意を得ることが困難なとき | 3号 | 3号 | 3号 |
| 国の機関・地方公共団体・その委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することへの協力が必要で、同意を得ると事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき | 4号 | 4号 | 4号 |
| 学術研究機関等に関する例外 | 5号・6号 | 5号・6号 | 5号〜7号 |
| 本人、国の機関、地方公共団体、学術研究機関等、57条1項各号に掲げる者その他個人情報保護委員会規則で定める者により公開されている場合 | なし | 7号 | なし |
| その他、前各号に準ずる場合として政令で定める場合 | なし | 8号 | なし |
「法令」の語は、18条3項1号に「法令(条例を含む。以下この章において同じ。)」と書かれています。第4章でいう「法令」は条例を含む、という定義が、最初に出てくるこの号に置かれています。
第三者提供の制限(27条・28条)
個人データを第三者に提供するときは、あらかじめ本人の同意を得るのが原則です(27条1項)。例外は、上の表の7つです。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 原則として、あらかじめ本人の同意なしに個人データを第三者に提供してはならない。例外は1号〜7号 |
| 2項 | 本人の求めに応じて第三者への提供を停止することとしている場合で、一定の事項を、あらかじめ、本人に通知し、または本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会に届け出たときは、1項の規定にかかわらず提供できる。ただし、要配慮個人情報、20条1項に違反して取得されたもの、他の事業者から2項により提供されたもの(複製・加工したものを含む)は対象外 |
| 5項 | 次の場合、データの提供を受ける者は「第三者」に該当しない。①利用目的の達成に必要な範囲内で取扱いの全部または一部を委託する場合、②合併その他の事由による事業の承継に伴う場合、③特定の者との間で共同して利用する場合で、その旨などをあらかじめ本人に通知し、または本人が容易に知り得る状態に置いているとき |
2項の仕組みでも、要配慮個人情報は提供できません。要配慮個人情報は、取得(20条2項)も提供(27条2項)も同意が原則、とそろえて覚えると整理できます。
外国にある第三者への提供は、28条1項が別に定めています。27条1項各号の場合を除き、あらかじめ「外国にある第三者への提供を認める旨」の本人の同意が要ります。この場合、27条は適用されません(28条1項後段)。
ここでいう「外国」から、我が国と同等の水準にあると認められる制度を持つ外国として委員会規則で定めるものは除かれます。「第三者」から、委員会規則で定める基準に適合する体制を整備している者も除かれます(28条1項かっこ書き)。
本人の請求:開示・訂正等・利用停止等(32条〜35条)
本人が事業者に求められる権利は、保有個人データについて、32条〜35条に集まっています。
| 請求 | 条文 | 本人ができること | 事業者の対応 |
|---|---|---|---|
| 利用目的の通知 | 32条2項 | 保有個人データの利用目的の通知を求める | 遅滞なく通知する。利用目的が明らかな場合などは、この限りでない |
| 開示 | 33条 | 電磁的記録の提供による方法その他、個人情報保護委員会規則で定める方法による開示を請求する | 請求された方法(その方法による開示に多額の費用を要する場合などは書面の交付)で遅滞なく開示する。33条2項の1号〜3号に当たる場合は、全部または一部を開示しないことができる |
| 訂正等 | 34条 | 保有個人データの内容が事実でないときに、訂正・追加・削除を請求する | 他の法令に特別の手続がある場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内で、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づいて訂正等を行う |
| 利用停止等 | 35条 | 18条・19条に違反して取り扱われているとき、または20条に違反して取得されたときに、利用の停止または消去を請求する(1項)。27条1項・28条に違反して第三者に提供されているときに、第三者への提供の停止を請求する(3項)。利用する必要がなくなった場合などに、利用停止等または第三者提供の停止を請求する(5項) | 請求に理由があることが判明したときは、遅滞なく利用停止等や第三者への提供の停止を行う(2項・4項・6項)。多額の費用を要する場合などで代わりの措置をとるときは、この限りでない |
33条2項で開示しないことができるのは、次の3つの場合です。
- 本人または第三者の生命・身体・財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
- 事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
- 他の法令に違反することとなる場合
開示しない旨の決定をしたときは、遅滞なく本人に通知します(33条3項)。
- 利用目的の変更と目的外利用(基礎知識 問33)
- 安全管理措置と委託先の監督(基礎知識 問32)
- 第三者提供の制限と本人の同意(行政法 問128)
- オプトアウトによる第三者提供(基礎知識 問34)
- 外国にある第三者への提供(基礎知識 問47)
- 第三者提供と事業承継・開示請求(基礎知識 問21)
- 保有個人データの開示・訂正・利用停止の請求(基礎知識 問35)
仮名加工情報・匿名加工情報・個人関連情報の違い
個人情報の加工や周辺の情報を表す語が、2条5項〜7項に並んでいます。混同しやすいので、条文の言葉で並べます。
| 用語 | 条文 | 加工の程度 | 主な条文のルール |
|---|---|---|---|
| 仮名加工情報 | 2条5項 | 他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように加工して得られる個人に関する情報 | 41条。目的外の利用の禁止と第三者への提供の禁止(どちらも法令に基づく場合を除く)、本人を識別するための他の情報との照合の禁止、連絡先などの利用の禁止。17条2項、26条、32条〜39条(本人の請求など)は適用しない(41条9項) |
| 匿名加工情報 | 2条6項 | 特定の個人を識別できないように加工して得られる個人に関する情報で、当該個人情報を復元できないようにしたもの | 43条〜46条。作成時の基準に従う加工、項目の公表、提供時の公表と明示、本人を識別するための照合の禁止 |
| 個人関連情報 | 2条7項 | 生存する個人に関する情報で、個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報のいずれにも該当しないもの | 31条。第三者が個人関連情報を個人データとして取得することが想定されるときは、27条1項各号に掲げる場合を除き、本人の同意が得られていることなどを、提供する側があらかじめ確認しないで提供してはならない |
仮名加工情報は「他の情報と照合しない限り」識別できないもの、匿名加工情報は「特定の個人を識別することができない」うえ「復元することができない」ものです。復元できないことが、匿名加工情報の条件に入っています。
たとえると、仮名加工情報は名札を番号に付け替えた名簿で、番号の対応表と合わせれば誰か分かります。匿名加工情報は、その対応表ごと捨てて、元に戻せなくした名簿です。
行政書士試験で問われる所:令和3〜7年度の問題57と、合格ナビの16問
令和3〜7年度の行政書士試験では、5回とも、問題57(令和5年度までは一般知識等、令和6年度からは基礎知識の科目)が個人情報保護を題材にした問題でした。令和7年度は、行政法の問題12でも個人情報保護委員会の勧告と命令が問われました。
次の表は、行政書士試験研究センターが公開している各年度の試験問題を、合格ナビが論点ごとに整理したものです。問題文は載せず、選択肢が扱う論点だけを書いています。
| 年度 | 問題 | 主な論点 | この記事の章 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 問題12(行政法) | 委員会の勧告(148条1項)と命令(同条2項)を、行政手続法の行政指導と処分に当てはめる | 下の「委員会の権限」 |
| 令和7年度 | 問題57 | 罰則(罰金・課徴金の有無)、委員会の事務、行政機関等の監視、立入検査 | 下の「委員会の権限」 |
| 令和6年度 | 問題57 | 漏えい等の報告、不適正な利用の禁止、第三者提供の記録、学術研究機関への適用、行政機関等への適用 | 事業者の義務 |
| 令和5年度 | 問題57 | モザイク・アプローチ、外国の制度(GDPR)、要配慮個人情報と外国の機微情報、令和3年改正による一元化 | 構成・定義 |
| 令和4年度 | 問題57 | 国と地方の制度ができた順、委員会の権限と事務、個人番号カード | 下の「委員会の権限」 |
| 令和3年度 | 問題57 | 国の行政機関の保有個人情報の開示と利用停止(当時の行政機関個人情報保護法) | 第5章(情報公開法の記事) |
出典:行政書士試験研究センター『行政書士試験問題』令和3年度〜令和7年度(令和7年度・令和6年度・令和5年度・令和4年度・令和3年度)
令和3〜7年度の問題57のうち、令和4年度と令和7年度の2回で、個人情報保護委員会の権限や事務が論点に入っています。条文の定義や義務だけでなく、委員会が「誰に・何ができるか」も押さえておくと安心です。
令和7年度の問題12は、行政手続法の知識も使うので、行政書士の行政手続法とあわせて読むと解きやすくなります。
合格ナビの問題データ(行政書士の論点別問題のうち、個人情報保護法を主な論点とする16問・集計日 2026-10-29)を論点で分けると、次のとおりです。1問は、主な論点1つに数えています。
| 論点 | 問題数 | 科目 |
|---|---|---|
| 定義(個人情報・個人識別符号・要配慮個人情報・加工情報) | 3問 | 基礎知識2・行政法1 |
| 事業者の義務(利用目的・安全管理・委託先の監督) | 2問 | 基礎知識2 |
| 第三者提供(オプトアウト・外国への提供を含む) | 4問 | 基礎知識3・行政法1 |
| 本人の請求(保有個人データ) | 1問 | 基礎知識1 |
| 個人情報保護委員会の権限・罰則 | 3問 | 基礎知識2・行政法1 |
| 第5章 行政機関等(官民の一元化・保有個人情報の開示請求・個人情報ファイル) | 3問 | 行政法3 |
| 合計 | 16問 | 基礎知識10・行政法6 |
出典:合格ナビの問題データ(行政書士・本番の問題データベースを集計・2026-10-29)
委員会の権限:民間の事業者と行政機関等で違う
個人情報保護委員会は、内閣府設置法49条3項に基づいて置かれ(130条1項)、内閣総理大臣の所轄に属します(130条2項)。委員会ができることは、相手が民間の事業者か、行政機関等かで違います。
| 対象 | 委員会の権限 | 条文 |
|---|---|---|
| 個人情報取扱事業者等 | 報告・資料の提出の要求、立入検査、指導・助言、勧告、勧告を受けた者が正当な理由がなくて勧告に係る措置をとらなかった場合の命令(個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認めるとき)、違反に対する緊急の命令 | 146条〜148条 |
| 行政機関の長等(会計検査院長を除く) | 資料の提出・説明の要求、実地調査、指導・助言、勧告 | 156条〜158条 |
勧告(148条1項)と命令(同条2項)は別の段階です。2項の命令は、勧告を受けた事業者が正当な理由がなくて勧告に係る措置をとらなかった場合で、個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認めるときの措置です。
3項には、違反があった場合に、個人の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措置をとる必要があると認めるときの命令も書かれています。命令に違反したときは、委員会はその旨を公表することができます(148条4項)。
立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと書かれています(146条3項)。行政機関の長等への権限の表に、命令はありません。
- 個人情報保護委員会と罰則(基礎知識 問25)
- 委員会の勧告・命令・立入検査(基礎知識 問45)
- 委員会の権限と行政機関等への関与(行政法 問129)
- 行政機関等の保有個人情報の開示請求等(行政法 問126)
- 行政機関等の個人情報ファイルと利用目的(行政法 問130)
定義と対象の取り違えを、基礎知識の問題で確かめよう
個人情報保護法の問題は、まず「個人情報・個人データ・保有個人データのどれの話か」を決めると解きやすくなります。次に、その決まりが第4章(事業者)か第5章(行政機関等)か、委員会の権限なら相手は誰かを確かめましょう。合格ナビの論点別問題で、定義と対象の取り違えを1問ずつ確かめられます。
試験全体での基礎知識の位置づけと足切りは、行政書士の一般知識(基礎知識)対策の急所で扱っています。
参考:e-Gov法令検索『個人情報の保護に関する法律』(2026-10-29の現行版と、2026年4月1日の版)
参考:行政書士試験研究センター『行政書士試験のご案内』
参考:行政書士試験研究センター『行政書士試験問題』令和3年度〜令和7年度(上の表の出典)
合格ナビは、一般財団法人 行政書士試験研究センターとは関係ありません。掲載している問題は、過去の出題論点をもとに合格ナビが作成した問題で、公式の試験問題ではありません。
よくある質問
Q本人が裁判で開示を求めるとき、事前に何かしておく必要はありますか?
39条1項は、33条1項(開示)・34条1項(訂正等)・35条1項・3項・5項(利用停止等)の請求に係る訴えを起こそうとするときは、あらかじめ被告となるべき者にその請求を行い、請求が到達した日から2週間を経過した後でなければ訴えを提起できない、と書いています。ただし書で、被告となるべき者がその請求を拒んだときは、この限りでないとされています。
Q事業者は、開示の請求に手数料を取れますか?
38条1項は、32条2項の利用目的の通知を求められたときと、33条1項の開示の請求を受けたときに、手数料を徴収することができると書いています。額は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内で定めます(38条2項)。
Q報道機関や宗教団体にも、第4章の義務はかかりますか?
57条1項は、報道機関(報道を業として行う個人を含む)が報道の用に供する目的、著述を業として行う者が著述の用に供する目的、宗教団体が宗教活動の用に供する目的、政治団体が政治活動の用に供する目的の4つについて、個人情報等を取り扱う目的の全部または一部がその目的であるときは、第4章の規定を適用しないと書いています。主体と目的の組み合わせが条件です。その場合も、安全管理や苦情の処理などの措置を自ら講じ、その内容を公表するよう努めなければなりません(57条3項)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月29日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

