行政書士と税理士・公認会計士・土地家屋調査士を、令和7年度の合格率(分母の違いつき)、業務範囲と独占業務の条文、資格同士の制度上のつながりで比較。税理士が行政書士になれる根拠も、各法令と公式発表で確認できます。
目次
結論:行政書士・税理士・公認会計士・土地家屋調査士は、業務の範囲が法律で別々に定められた資格で、「どれが上」と決める条文はありません。難易度は、令和7年度の公式発表では合格率が行政書士14.54%、税理士21.6%、公認会計士7.4%、土地家屋調査士は法務省の公表値から当サイトが計算して10.1%ですが、分母の数え方が4つとも違います(税理士の21.6%は科目合格者を含み、公認会計士の7.4%は出願者が分母)。資格同士のつながりは条文で決まっており、税理士・公認会計士は行政書士となる資格を得られ(行政書士法第2条第4号・第5号)、公認会計士は税理士となる資格を得られます(税理士法第3条第1項第4号)。
この記事の数値は、行政書士試験研究センター・国税庁・金融庁(公認会計士・監査審査会)・法務省の公式発表と、e-Gov 法令検索の各法令(2026-10-03 時点)にもとづきます。勉強時間や年収のように、公式の資料がない数字は載せていません。
当サイトに掲載しているのは行政書士の論点別問題493問で、税理士・公認会計士・土地家屋調査士の問題はありません。行政書士法を扱う問題は、基礎知識科目に当たる「一般知識」の11問です(2026-10-03 集計)。
4資格の早見表(令和7年度)
| 項目 | 行政書士 | 税理士 | 公認会計士 | 土地家屋調査士 |
|---|---|---|---|---|
| 主な業務 | 官公署に提出する書類・権利義務事実証明に関する書類の作成など | 税務代理・税務書類の作成・税務相談 | 財務書類の監査・証明 | 不動産の表示に関する登記の調査・測量と申請手続の代理 |
| 受験資格 | 制限なし | 科目ごとに条件あり(税法科目) | 制限なし | 制限なし |
| 試験の形 | 択一式・記述式 | 5科目(科目合格制) | 短答式・論文式 | 筆記・口述 |
| 令和7年度の受験者 | 50,163人 | 36,320人(実人員) | 出願者22,056人 | 4,824人 |
| 合格者 | 7,292人 | 7,847人(科目合格者を含む) | 1,636人 | 489人 |
| 公表の合格率 | 14.54% | 21.6% | 7.4% | 公表なし(当サイト計算10.1%) |
出典は、行政書士が行政書士試験研究センター 令和7年度試験実施結果の概要、税理士が国税庁 第75回税理士試験結果表、公認会計士が金融庁 令和7年公認会計士試験の合格発表の概要、土地家屋調査士が法務省 令和7年度の最終結果です。受験資格の記載は、行政書士が令和8年度行政書士試験のご案内、公認会計士が公認会計士試験Q&A、土地家屋調査士が令和7年度受験案内書、税理士が税理士法第5条によります。
令和7年度の受験者数・合格者数・合格率:行政書士 受験者50,163人・合格者7,292人・合格率14.54%(前年度12.90%)、税理士 受験者(実人員)36,320人・合格者7,847人・合格率21.6%(前年度16.6%)、公認会計士 最終合格者1,636人・最終合格率7.4%(前年7.4%)、土地家屋調査士 受験者4,824人・合格者489人。最終確認日:2026-10-03。出典:行政書士試験研究センター、国税庁、金融庁、法務省の各発表。
業務範囲と独占業務:条文で分ける
4資格は、それぞれ別の法律が業務を定めています。
| 資格 | 業務の定め | 資格者でない者の業務を禁じる条文 |
|---|---|---|
| 行政書士 | 行政書士法第1条の3(官公署に提出する書類・権利義務事実証明に関する書類の作成など)、第1条の4 | 第19条第1項 |
| 税理士 | 税理士法第2条第1項(税務代理・税務書類の作成・税務相談) | 第52条 |
| 公認会計士 | 公認会計士法第2条第1項(他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査または証明をすること) | 第47条の2 |
| 土地家屋調査士 | 土地家屋調査士法第3条第1項(不動産の表示に関する登記について必要な土地・家屋の調査・測量、申請手続・審査請求の代理、法務局に提出する書類の作成など) | 第68条(例外あり) |
行政書士の業務には、他の法律で制限された分野に入れない限界があります。行政書士法第1条の3第2項は、「前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない」と定めています。税務書類の作成や税務代理は税理士法第52条、土地・家屋の調査や測量を必要とする不動産の表示に関する登記の申請手続の代理などは土地家屋調査士法第68条の規制の対象です。
条文のうえでは、行政書士の資格の取り方(試験・特認・他の士業の資格)によって業務の範囲が分かれる定めは見当たりません。たとえば税理士が行政書士として登録すれば、行政書士法の業務を行えるようになりますが、税理士法の業務と行政書士法の業務は、別々の法律の業務として並びます。
行政書士の業務範囲と他の法律との関係は、試験の基礎知識科目の範囲でもあります。
試験の仕組みの違い:受験資格・科目・形式
行政書士は、年齢・学歴・国籍等に関係なく受験できます(令和8年度のご案内)。試験は法令等と基礎知識の択一式と、法令等の記述式です。
税理士は、科目合格制です。国税庁の試験概要には、受験者は一度に5科目を受ける必要はなく、1科目ずつ受けてもよいこと、合格基準点は各科目とも満点の60パーセントであること、合格科目が会計学に属する科目2科目(簿記論・財務諸表論)と税法に属する科目3科目の合計5科目に達したとき合格者となることが書かれています(国税庁 税理士試験の概要)。受験資格は、税法に属する科目の試験について税理士法第5条第1項が定めています。
公認会計士は、受験資格の制限がなく、短答式(財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4科目)と論文式(会計学・監査論・租税法・企業法と選択科目の5科目)で行われます(金融庁のQ&A、令和8年試験まで)。試験に合格しても、公認会計士となる資格を得るには、業務補助等の期間が3年以上あり、実務補習を修了して内閣総理大臣の確認を受ける必要があります(公認会計士法第3条)。
土地家屋調査士は、受験資格の制限がなく、筆記と口述の方法で行われます(土地家屋調査士法第6条第2項、令和7年度受験案内書)。令和7年度は、筆記が令和7年10月19日、口述が令和8年1月22日でした。
難易度の統計比較:合格率は分母をそろえて読む
令和7年度の4資格の数字を、分母とあわせて並べます。
| 資格 | 分母 | 合格者 | 率 | 率の種類 |
|---|---|---|---|---|
| 行政書士 | 受験者50,163人 | 7,292人 | 14.54% | センター公表 |
| 税理士 | 受験者(実人員)36,320人 | 7,847人(5科目到達527人+一部科目合格7,320人) | 21.6% | 国税庁公表(科目合格者を含む) |
| 公認会計士 | 出願者(名寄せ)22,056人 | 1,636人 | 7.4% | 金融庁公表(最終合格率) |
| 土地家屋調査士 | 受験者4,824人 | 489人 | 10.1% | 当サイト計算(489÷4,824) |
読むときの注意点が3つあります。
- 税理士の21.6%は、科目合格者を含みます。 国税庁の結果表の合格者7,847人の内訳は、5科目に到達した人が527人、一部科目に合格した人が7,320人です。5科目到達者を受験者(実人員)36,320人で割ると約1.45%(当サイト計算)で、これは「5科目に到達した人の割合」であって、受けた科目数も人によって違うため、行政書士の合格率と同じ意味では比べられません。
- 公認会計士の7.4%は、出願者が分母です。 金融庁は「最終合格者数/出願者数(名寄せ)」と明記しています。論文式試験の受験者4,665人に対する最終合格者の割合は、当サイトの計算で約35.1%です。どちらも同じ試験の数字で、見るものが違います。
- 土地家屋調査士の合格率は、法務省の発表に明記がありません。 上の10.1%は公表された受験者数と合格者数からの当サイトの計算です。令和6年度は受験者4,589人・合格者505人(計算では約11.0%)ですが、受験者数の定義が「午前・午後の双方を受験した者」で、令和7年度の「午前の部の免除者で午後の部を受験した者を含む」定義と違います。
税理士・土地家屋調査士の率の読み方:税理士の合格率21.6%は科目合格者を含む合格者の割合、土地家屋調査士の10.1%は当サイトによる計算値。最終確認日:2026-10-03。出典:国税庁 第75回税理士試験結果表、法務省 令和7年度の最終結果。
この記事では、勉強時間・必要な年数・偏差値は載せていません。公式の発表に、それらの数字がないためです。「どれが難しいか」は、合格率だけでなく、試験の形(科目合格制か、2段階か)と、資格を得るまでの要件(公認会計士の業務補助等3年以上など)もあわせて見る必要があります。
資格同士の制度上のつながり:条文で確認
4つの資格は、条文のうえで次のようにつながっています。
| 方向 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 税理士 → 行政書士 | 税理士となる資格を有する者は、行政書士となる資格を得る | 行政書士法第2条第5号 |
| 公認会計士 → 行政書士 | 公認会計士となる資格を有する者は、行政書士となる資格を得る | 行政書士法第2条第4号 |
| 公認会計士 → 税理士 | 公認会計士(税法に関する研修を修了した者)は、税理士となる資格を得る | 税理士法第3条第1項第4号・第3項 |
| 行政書士 → 税理士試験 | 行政書士の業務に従事した期間が通算2年以上の者は、税法に属する科目の試験の受験資格を得る | 税理士法第5条第1項第1号ヘ |
| 土地家屋調査士 → 行政書士 | 行政書士法第2条に定めなし | 行政書士法第2条 |
行政書士になる側から見ると、他の士業の資格をもつ人の資格取得は、試験に合格するルート・公務員などの特認ルートと並ぶ3つ目のルートです。行政書士法第2条第2号〜第5号の対象は、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を有する者です。くわしくは、行政書士の特認制度と、なり方の3ルートにまとめています。
逆に、行政書士から税理士を目指す場合、行政書士の資格そのものは税理士試験の免除にはつながりません(税理士法第7条・第8条の免除規定に、行政書士は挙げられていません)。使えるのは、受験資格として「行政書士の業務に従事した期間」が2年以上あることで、対象は税法に属する科目の試験に限られます。
注意:税理士として行政書士業務を行うには、行政書士となる資格を得たうえで、行政書士名簿への登録を受ける必要があります(行政書士法第6条)。
どの資格を選ぶか:仕事の中身で選ぶ
ランキングではなく、「やりたい仕事」と、条文が定める業務の対応で選ぶと整理しやすくなります。
- 許認可・契約書・官公署への書類を扱いたい:行政書士。受験資格がなく、択一式と記述式です。
- 税務代理・税務書類・税務相談を扱いたい:税理士。科目合格制で、5科目に合格するまでの期間は人によって異なります。
- 財務書類の監査・証明を扱いたい:公認会計士。試験に加えて、業務補助等3年以上と実務補習が資格の要件です。
- 不動産の表示に関する登記の調査・測量・申請を扱いたい:土地家屋調査士。筆記・口述の試験で、午前の部は測量士・測量士補・建築士の有資格者などが免除されます(令和7年度受験案内書)。
複数の資格を組み合わせる場合は、条文のつながり(前の章の表)を確認してから決めると、遠回りを減らせます。行政書士の試験の合格率や科目別の難しさは行政書士の難易度と合格率、資格を取ったあとの働き方は行政書士資格の活かし方で扱っています。ほかの資格との組み合わせは、行政書士と相性のいい資格や中小企業診断士と行政書士の違いでも整理しています。
まとめ:比べられるのは「事実」、選ぶのは「仕事」
- 4資格の業務の範囲は、行政書士法・税理士法・公認会計士法・土地家屋調査士法が別々に定めており、「上下」を決める条文はありません。
- 令和7年度の合格率は行政書士14.54%・税理士21.6%・公認会計士7.4%、土地家屋調査士は当サイト計算で10.1%です。分母が違うので、並べて優劣は言えません。
- 税理士・公認会計士は行政書士となる資格を得られます(行政書士法第2条第4号・第5号)。行政書士の業務従事2年は、税理士試験の税法科目の受験資格の1つです(税理士法第5条第1項第1号ヘ)。
- 行政書士は、他の法律で制限された業務(税務・登記の申請など)はできません(行政書士法第1条の3第2項)。
- 行政書士の試験範囲には行政書士法が含まれます。条文を読んだら、問題で確認しましょう。
よくある質問
Q行政書士と税理士はどちらが上の資格ですか?
法令に「上下」の定めはありません。行政書士は官公署に提出する書類などの作成(行政書士法第1条の3)、税理士は税務代理・税務書類の作成・税務相談(税理士法第2条第1項)と、業務の範囲が別に定められています。税理士法第52条は、税理士でない者が税理士業務を行うことを禁じています。比べられるのは、試験の仕組み・合格率・業務の範囲といった事実です。
Q税理士は試験なしで行政書士になれますか?
行政書士法第2条第5号は、「税理士となる資格を有する者」に行政書士となる資格を認めています。資格を得たあと、行政書士名簿への登録を受けて初めて行政書士になります(同法第6条)。公認会計士も同条第4号に同じ定めがあります。
Q行政書士が税理士の仕事をすることはできますか?
できません。行政書士法第1条の3第2項は、書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律で制限されているものについては業務を行えないと定めています。税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士法第52条で税理士の業務とされています。
Q行政書士の業務の経験は、税理士試験の受験資格になりますか?
税理士法第5条第1項第1号ヘに、行政書士の業務に従事した期間が通算2年以上ある者が挙げられています。ただしこの受験資格の対象は、税法に属する科目の試験(第6条第1号)に限られ、簿記論・財務諸表論は対象ではありません。どの業務がどう認められるかの細部は、国税庁の受験案内で確認してください。
Q土地家屋調査士の資格があれば、行政書士になれますか?
行政書士法第2条が試験なしの資格を認めているのは、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を有する者(第2号〜第5号)などで、土地家屋調査士は挙げられていません(2026年10月3日、e-Gov 法令検索の現行条文で確認)。行政書士になるには、試験の合格などの第2条の要件を満たし、登録を受けます。
Q4つの資格の合格率は、そのまま比べてよいですか?
分母が違うため、そのままは比べられません。令和7年度は、行政書士が受験者に対する合格者、税理士が受験者(実人員)に対する科目合格者を含む合格者、公認会計士が出願者(名寄せ)に対する最終合格者、土地家屋調査士の受験者数は午前の部の免除者などを含む定義で数えられています。本記事の表で、各分母を併記しています。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月3日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

