危険物乙4(乙種第4類)は高校生でも受験できるのかを、消防試験研究センターの公式FAQと消防法・労働基準法で確認。何歳から受けられるか、甲種に高校生が挑める条件、免状の交付、18歳未満が就けない業務、学校での団体受験までを整理します。
目次
結論:危険物乙4(乙種第4類)は、高校生でも受験できます。乙種と丙種には受験資格がなく、消防試験研究センターは小学生の受験について「どなたでも受験することができます」と答えています(甲種だけは一定の受験資格が必要です)。免状の交付にも年齢の条件はありません。ただし、免状を持っていても、満18歳に満たない人には労働基準法で就かせてはならない業務があり、危険物を取り扱う仕事がこれに当たることがあります。この記事では、年齢・申込・甲種・免状・18歳未満の就業制限・学校での受験を、公式の資料だけで確かめます。
合格ナビの危険物乙4の問題350問(危険物に関する法令150問・基礎的な物理学及び基礎的な化学100問・危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法100問)のうち、問題文か選択肢に「免状」が出てくる問題は23問、すべて法令科目です(2026-10-02 集計。当サイトが出題範囲をもとに作成した論点別問題の数で、本試験の出題数ではありません)。高校生が最初に確認することになる免状の決まりは、そのまま試験の法令でも問われます。
| 確認したいこと | 答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 乙4を受験できるか | 年齢・学歴を問わず受験できる | センター 受験資格・よくある質問 Q19 |
| 何歳から受験できるか | 下限はない(小学生も可) | センター よくある質問 Q19 |
| 受験地 | 居住地以外の都道府県でも可(申請は受験する都道府県の支部) | センター よくある質問 Q21 |
| 学校でまとめて申し込めるか | 団体として願書提出・受験料の支払いをまとめて行える | センター よくある質問 Q24 |
| 甲種を受験できるか | 受験資格が必要(乙種4種類以上などの区分がある) | センター 受験資格 |
| 免状は交付されるか | 合格者に都道府県知事が交付。年齢は不交付の事由に挙がっていない | 消防法第13条の2 |
| 18歳未満が危険物を扱う仕事に就けるか | 就かせてはならない業務がある | 労働基準法第62条・年少者労働基準規則第8条 |
出典:消防試験研究センター 受験資格、同 よくある質問、消防法、労働基準法、年少者労働基準規則(法令は e-Gov 法令検索で確認、2026-10-03 時点の現行条文)
高校生でも乙4は受験できる(受験資格はない)
消防試験研究センターの受験資格のページには「乙種・丙種 誰でも受験できます。」と書かれています。年齢・学歴・実務経験の条件はありません。よくある質問のQ19は、小学生は受験できるかという問いに次のように答えています。
「危険物取扱者試験は、受験制限はありませんので、どなたでも受験することができます。ただし、甲種危険物取扱者試験は、一定の受験資格が必要となりますので、受験資格をご確認ください。」
試験の内容は高校生でも社会人でも同じです。乙種の試験科目は、危険物の規制に関する規則第55条第2項で、基礎的な物理学及び基礎的な化学、危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法、危険物に関する法令の3つと決められています。試験は五肢択一のマークシートで、試験時間は2時間、合格には3科目それぞれ60%以上が必要です(センター試験の方法)。法令15問・物理化学10問・性質消火10問の問題数は、乙4とはで整理しています。
乙種の試験手数料:5,300円(非課税)。一旦納入した手数料は返金されない。最終確認日:2026-10-03。出典:消防試験研究センター 試験の方法。
何歳から受験できる?中学生・小学生・最年少は
乙種の受験に年齢の下限はなく、中学生も小学生も、高校生と同じ手続きで申し込めます(センターよくある質問 Q19)。
最年少で合格した人の記録は、センターの公式ページに記載がありません。試験実施状況のページが公表しているのは、類別・都道府県別の受験者数と合格者数などで、年齢別の集計は掲載されていません。個人の「最年少合格」を紹介する記事は多くありますが、一次資料の裏付けがないものは、この記事では取り上げません。
受験できることと、試験の内容を理解できることは別です。乙4の試験は、危険物に関する法令、基礎的な物理学及び基礎的な化学、危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法の3科目に分かれます。年齢で合格しやすさが決まるという公式の数字はなく、決まっているのは3科目とも60%以上という基準です。
申込・受験の流れ(学校の団体受験・居住地以外の受験)
高校生の申込で押さえるのは、次の3点です(いずれもセンターよくある質問)。
| 状況 | 公式の回答 |
|---|---|
| 住んでいる県以外で受けたい(学校が別の県にある など) | 「ご希望の都道府県で受験できます。」申請は受験したい都道府県の支部に行う(Q21) |
| 学校や部活でまとめて申し込みたい | 「団体として、受験願書の提出及び受験料の支払いをまとめて行うことはできます。」(Q24)。電子申請の団体受験は別のQ&Aがある |
| 試験日 | 試験日程は都道府県ごと。年度途中で変更されることもあるため、受験する県の支部に確認する(Q20) |
試験日程は危険物取扱者試験の受験案内から確認できます。日程や会場は都道府県ごとに異なり、年度途中で変わることがあるので、この記事には載せません。センターの資格取得者の声には、高校の専門の授業で「1月の危険物取扱者試験で乙種4類の取得をめざして勉強します」という高校生の声が載っています。学校が授業と合わせて受験の機会を用意するかどうかは学校ごとの運用なので、在籍する学校に確認してください。
甲種は高校生でも受験できる?(受験資格の区分)
甲種には、乙種と違って受験資格があります。センターの受験資格が挙げる区分は次のとおりです(〔3〕は2通りあります)。
| 区分 | 内容 | 高校生との関係 |
|---|---|---|
| 〔1〕化学に関する学科等を卒業した者 | 大学・短大・高専・専修学校、高等学校の専攻科・中等教育学校の専攻科など(専攻科は修業年限2年以上のものに限る) | 挙がっている高校の課程は「専攻科」だけ |
| 〔2〕化学の授業科目を15単位以上修得した者 | 大学・短大・高専(専門科目に限る)・大学院・専修学校など | 表に高等学校の通常課程の記載はない |
| 〔3-1〕乙種免状を持ち、実務経験2年以上 | 乙種免状の交付後、危険物製造所等で2年以上の取扱いの実務経験 | 実務経験が要る |
| 〔3-2〕乙種免状を4種類以上持つ者 | 第1類又は第6類・第2類又は第4類・第3類・第5類の4種類 | 年齢・学歴を問われず、免状の種類で決まる |
| 〔4〕修士・博士の学位を持つ者 | 化学に関する事項を専攻したもの | 該当しない |
高校生が通常の高校の課程のまま甲種の受験資格を得る道として、公式の区分から読み取れるのは〔3-2〕、つまり乙種の免状を4種類以上そろえる道です(〔3-1〕は実務経験が必要です)。乙4を持っていれば、「第2類又は第4類」の1種類分になるため、あと第1類か第6類・第3類・第5類の3種類が必要です。どの4種類でもよいわけではない点に注意してください。複数の類を受験するときの試験科目の免除は乙4と他の乙種の併願・免除の整理、甲種の全体像は甲種危険物取扱者の受験資格と乙1〜乙6の違いに書いています。
センターの資格取得者の声のページには、甲種に合格した高校生の声も載っています。ただし、その人がどの区分で受験資格を満たしたかは書かれていないため、ここでは区分の説明だけにとどめます。
免状は高校生にも交付される?(消防法第13条の2)
免状は、試験に合格しただけでは手元に届きません。消防法第13条の2第3項は「危険物取扱者免状は、危険物取扱者試験に合格した者に対し、都道府県知事が交付する。」と定めています。合格した人は、免状の交付を申請します。センターの新規免状の交付のページは、必要なものとして免状交付申請書と試験結果通知書を挙げています。
交付しないことができる場合は、同条第4項に2つだけ挙げられています。
| 不交付にできる者(第13条の2第4項) | 内容 |
|---|---|
| 第1号 | 免状の返納を命ぜられ、その日から起算して1年を経過しない者 |
| 第2号 | 消防法やこれに基づく命令の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた者で、執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しないもの |
年齢に関する定めは、この条文にはありません。また、免状の交付を受けた後に消防法令に違反すると、免状を交付した都道府県知事が返納を命ずることができます(同条第5項)。
18歳未満が危険物を扱う仕事に就くときの制限(労働基準法)
乙4の免状が取れることと、危険物を取り扱う仕事に就けることは、別の法律で決まっています。労働基準法第62条第2項は、次のように定めています。
「使用者は、満十八才に満たない者を、毒劇薬、毒劇物その他有害な原料若しくは材料又は爆発性、発火性若しくは引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、…その他安全、衛生又は福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。」
業務の範囲は厚生労働省令で定めることになっており(同条第3項)、年少者労働基準規則第8条が列挙しています。このうち第29号は、危険物の取扱いについて次のように書いています。
「危険物(労働安全衛生法施行令別表第一に掲げる爆発性の物、発火性の物、酸化性の物、引火性の物又は可燃性のガスをいう。)を製造し、又は取り扱う業務で、爆発、発火又は引火のおそれのあるもの」
第31号には「圧縮ガス又は液化ガスを製造し、又は用いる業務」も挙がっています。
- 18歳に達するまでは、上のような業務に使用者が就かせてはならない(満18歳に満たない人が対象)
- 働くこと自体は、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了すれば可能(労働基準法第56条第1項)。ただし、第62条の就業制限は別にかかる
- 乙4の免状があっても、この制限はなくならない
特定の職場の特定の作業(たとえばガソリンスタンドでの給油)が第29号に当たるかどうかは、この記事では判断しません。職場や作業の中身で結論が変わるので、働く場所を管轄する労働基準監督署に確認してください。ガソリン・携行缶と消防法の規制はガソリンの携行缶と危険物取扱者で扱っています。
高校生の事例と表彰(公式の声・年少取得者表彰)
センターの資格取得者の声には、高校生4名の体験が載っています(丙種・乙種・乙種第5・6類・甲種)。そのうち乙種の高校生は、高校の授業で乙種4類を目指して勉強し、1回で合格したと書いています。ここから言えるのは「高校の授業から乙4に挑戦する例がある」ことだけで、合格率や勉強時間の目安にはなりません。
高校生の取得を学校の外から表彰する例もあります。埼玉県立久喜工業高等学校は、令和4年度に消防試験研究センター埼玉県支部から危険物取扱者免状の年少取得者表彰を受けたと学校のページで公表しています。これは1つの支部の1校の例で、全国共通の制度かどうか、対象の年齢や類の条件はセンターのページに記載がありません。受験する県の支部に問い合わせてください。
高校生が乙4に受かるための進め方
高校生の勉強も、試験の仕組みから逆算して考えるのが近道です。公式の仕組みで決まっているのは次の3点です。
- 3科目(法令・物理化学・性質消火)がそれぞれ60%以上で合格(合格率の推移は危険物の難易度・合格率)
- 総合点ではなく科目ごとの足切りがあるため、苦手科目を残さない(足切りと優先順位)
- 法令は条文の数字が問われるため、問題を解きながら覚える
進め方の具体例(独学の進め方と、1か月の計画)は、危険物乙4で覚えることにまとめています。授業で習う内容が試験範囲とどこまで重なるかは学校の教科書ごとに違うため、規則第55条第2項の試験科目の文言と、手元の教材の目次を見比べて確認するとよいでしょう。
まとめ
- 乙4は年齢・学歴を問わず受験できる。センターは小学生の受験について「どなたでも受験することができます」と答えている
- 申込は受験したい都道府県の支部。学校でまとめた願書提出・受験料の支払いもできる
- 甲種には受験資格が必要。高校の通常課程のまま取れる道として読み取れるのは、乙種の免状を4種類以上持つ区分
- 免状は合格者に都道府県知事が交付する。不交付にできる事由に年齢は挙がっていない
- 免状を持っていても、18歳未満には労働基準法第62条・年少者労働基準規則第8条第29号などによる就業制限がある。個別の仕事の可否は労働基準監督署に確認する
関連記事:危険物乙4とは/甲種危険物取扱者の受験資格と乙1〜乙6の違い/乙4の勉強法
本サイトは総務省消防庁・一般財団法人 消防試験研究センターとは関係ありません。掲載している問題は、合格ナビが出題範囲をもとに作成した論点別問題です。年少者の就業制限の当てはめは個別の事情で変わるため、働く場所を管轄する労働基準監督署に確認してください。
よくある質問
Q危険物乙4は、何歳から受験できますか?
年齢の下限はありません。消防試験研究センターのよくある質問は、小学生が受験できるかという問いに「危険物取扱者試験は、受験制限はありませんので、どなたでも受験することができます。」と答えています。中学生も高校生も、乙種(乙4を含む)と丙種はそのまま申し込めます。
Q高校生が乙4に合格したら、免状は交付されますか?
消防法第13条の2は、免状は試験に合格した人に都道府県知事が交付すると定めています。交付しないことができる場合として挙げられているのは、免状の返納を命じられてから1年を経過しない人と、消防法令違反で罰金以上の刑に処せられ執行後2年を経過しない人の2つで、年齢は挙げられていません。合格後は、免状交付申請書と試験結果通知書を添えて申請します。
Q乙4の免状を持っていれば、18歳未満でもガソリンなどを扱う仕事に就けますか?
免状とは別に、労働基準法第62条が、満18歳に満たない人を引火性の原料や材料を取り扱う業務などに就かせてはならないと定めています。年少者労働基準規則第8条第29号は、爆発・発火・引火のおそれのある危険物の製造・取扱いの業務を挙げています。個別の仕事が当たるかどうかは、働く場所の労働基準監督署に確認してください。
Q高校生は甲種危険物取扱者試験を受けられますか?
甲種には受験資格が必要で、高校生は自動的には受けられません。センターの受験資格には、乙種免状を第1類又は第6類・第2類又は第4類・第3類・第5類の4種類以上持っている人が含まれます。大学等で化学の学科を卒業した人の区分に挙がっている高校の課程は、修業年限2年以上の専攻科だけです。
Q試験に落ちたら、受験料は戻りますか?
戻りません。センターは「一旦納入された試験手数料はお返ししません。」としています。乙種の試験手数料は5,300円(非課税)です。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月3日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。
