クライシスプランを、厚生労働省の資料・医療観察法のガイドライン・e-Gov の現行条文と、WRAP や共同危機計画(JCP)の研究論文から整理します。定義、作成に使われる項目、本人中心・共同作成の考え方、効果をめぐる研究、精神保健福祉士試験の出題基準(WRAP・医療観察法)との関係を、出典つきで解説します。
目次
結論:クライシスプランは、調子が悪くなったときや危機の場面にどう対処し、誰にどう助けを求め、どんな支援を望むかを、本人があらかじめ決めて書き残しておく計画です。ただし、精神保健福祉法・医療観察法・障害者総合支援法の現行条文と、この記事で取り上げた厚生労働省の資料(医療観察法のガイドライン6本・検討会資料)には、クライシスプランの定義の記載がありません(2026-10-11 時点)。作成に使われる項目は、WRAP(元気回復行動プラン)や共同危機計画(JCP)の資料から読み取れます。試験では、出題基準の精神障害リハビリテーション論に「WRAP」が載っています。
この記事は、厚生労働省の資料(医療観察法のガイドライン、検討会資料)、e-Gov 法令検索の現行条文、社会福祉振興・試験センター(以下「センター」)の出題基準、WRAP と共同危機計画の学術論文だけをもとに、クライシスプランを整理したものです。個人の治療や支援の方針を示すものではありません。具体的な作成や運用は、本人と主治医・支援者が話し合って決めるものです。精神保健福祉法の入院形態は精神保健福祉法の記事、医療観察法の制度は医療観察法の記事、ピアサポートはピアサポートの記事で扱っています。合格ナビはセンターとも厚生労働省とも関係のない民間のサイトです。
クライシスプランの定義:公的資料には定義の記載がなく、研究では次のように説明される
まず、公的な資料に定義があるかどうかです。次の資料には、クライシスプランの定義の記載がありません(2026-10-11 時点)。
- 精神保健福祉法・医療観察法・障害者総合支援法の現行条文(e-Gov 法令検索、2026年10月1日施行の版)に、「クライシス」の語の記載がありません
- 厚生労働省が掲載する医療観察法のガイドライン6本(地域処遇、指定入院医療機関運営、入院処遇、指定通院医療機関運営、通院処遇、災害)に、「クライシス」の語の記載がありません
- 厚生労働省の検討会資料「かかりつけ精神科医機能について」(精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会 第3回、令和6年10月3日、資料5)には、「クライシスプラン」の語が1か所あります。精神障害にも対応した地域包括ケアシステムにおいて、かかりつけの精神科医療機関に求められる機能を整理した図のなかの、「急性増悪時等の対応」の項目に、「日常的なクライシスプランの確認」「緊急時の相談対応、医療提供」と並んでいます。語の説明や定義は、この資料にはありません(厚生労働省 かかりつけ精神科医機能について)
そのため、この記事では「クライシスプランとは〜のことです」という公的な定義は書きません。研究論文での説明を、出典と一緒に紹介します。
日本の看護学の研究者らによる2026年の論文(Ebihara ら、Healthcare 誌)は、クライシスプラン(CP)を、統合失調症の症状の再燃のような危機的な状況に対処するために、個人があらかじめ決めておく対処方法を書いた文書と説明しています。そのうえで、本人と専門職が協働して作った計画を、共同危機計画(Joint Crisis Plan、JCP)と呼んでいます(Ebihara ら 2026)。
イギリスの系統的レビュー(Molyneaux ら 2019、BJPsych Open)は、「crisis planning(危機の計画づくり)」を、将来の精神的な危機のときの希望やケアを、本人が事前に考えて決める取り組みを広く指す言葉として使っています。種類は、呼び方・内容・法的な強制力が国ごとに異なるとされ、イングランドでは、事前の決定(advance decision)は法的拘束力がある(ただし精神保健法にもとづいて入院した場合は、医師の法定の治療権限が優先する)一方、事前の意思表示(advance statement)や共同危機計画は法的な強制力がない、と整理されています(Molyneaux ら 2019)。
日本の法的な位置づけについて、Ebihara らの論文は、事前の意思決定に関する確立した法的枠組みがない状況で、日本版の JCP が、ケアを調整する道具として出てきたと述べています。前に挙げた3つの法律の現行条文にクライシスプランの語がないこととも、矛盾しません。
作成に使われる項目:WRAP と共同危機計画の資料から
日本の公的な標準書式が、この記事が出典に挙げた資料のなかにあるかどうかです。厚生労働省の上記の資料には、クライシスプランの書式や記載項目の記載がありません(2026-10-11 時点)。そこで、2つの研究の記載から、作成に使われている項目を整理します。
| 項目の種類 | WRAP の危機プラン(Cook ら 2012) | 共同危機計画 JCP(Henderson ら 2004) |
|---|---|---|
| 危機が近いサイン | 危機が差し迫っているサイン | 再発の指標(indicators for relapse) |
| 助けてくれる人・連絡先 | 助けてくれる意思のある人の名前 | 連絡先の情報(contact information) |
| 望む支援・治療 | 望む援助の種類 | 治療、将来の再発時のケアの希望(事前の意思表示) |
| 病気の情報 | (この記載なし) | 精神疾患と身体疾患の詳細 |
| 危機の後 | (危機プランの後の最終回で、危機後の支援と計画の見直しを扱う) | (この記載なし) |
WRAP の研究(Cook ら 2012)は、危機プランが、この研究で行われた WRAP の8回のセッションのうち、第6・第7回で作られたと書いています。それ以前の回では、毎日の健康を保つ計画(daily maintenance plan)、症状の引き金(トリガー)への対応、早期の警告サイン(early warning signs)が扱われていました。つまり、危機のサインに気づくための前段の作業が先にあり、そのうえで危機のときの計画を作る順番になっています(Cook ら 2012)。
JCP の研究(Henderson ら 2004)は、JCP を、患者本人、ケアコーディネーター、精神科医、プロジェクトのワーカーが作り、連絡先、精神疾患と身体疾患の詳細、治療、再発の指標、将来の再発時のケアの希望を含むもの、と書いています(Henderson ら 2004)。
なお、2026年の論評(Nomura・Kanou、BJPsych Open)は、日本でのパイロット試験の案として、危機の引き金、早期のサイン、落ち着くための方法、望む介入と望まない介入、次善の選択肢、救急外来などに持ち出せる1ページの要約を含む書式を提案しています。これは著者らの提案で、標準として定められた書式ではありません(Nomura・Kanou 2026)。
Cook らの研究は、米国オハイオ州の6地域で、重い精神疾患のある成人519人を、8週間の WRAP と待機群に無作為に割り付けた試験です。論文は、WRAP は通常、回復期にある当事者が教え、週1回のセッションを8〜12回行うと説明しています。結果は、WRAP 群のほうが、症状の減少、希望の高まり、生活の質(環境の項目)の改善が、対照群より大きかったと報告されています(Cook ら、Schizophrenia Bulletin 38巻4号881-891頁、2012年)。
誰が作るか:本人中心と共同作成
作成の主体について、資料の記載を並べます。
- WRAP は、本人が個別の計画を作ることが中心の自己管理プログラムで、通常は回復期にある当事者(ピア)が教えます(Cook ら 2012)。この記事が出典に挙げた Cook らの研究では、2人のピアが共同で進行していました
- JCP は、本人と専門職が協働して作る計画です。Henderson らの研究では、本人、ケアコーディネーター、精神科医、プロジェクトのワーカーの4者で作られました
- 医療観察法の通院処遇ガイドラインは、通院対象者の病状悪化時の危機介入計画を、あらかじめ策定し、通院対象者に説明し、同意を得られるよう努力する、と書いています(記載の位置は、次の節で紹介します)
出題基準の精神保健福祉の原理では、「原理・価値」の小項目(例示)に、「社会的復権と権利擁護」「自己決定」「当事者主体」が載っています。クライシスプランを本人中心に作るという考え方は、この原理と関係づけて学ぶことができます。専門職の倫理は、倫理綱領の記事で扱っています。
WRAP との関係
WRAP は、1997年にメアリー・エレン・コープランド(Mary Ellen Copeland)が公表した当事者向けの回復の道具です(Sampietro ら 2022、BMJ Open)。同じ論文は、WRAP がコープランド・センターと結びついていること、当事者らが作った回復の道具に関する研究35件のうち34件が WRAP の実施を扱っていたことも述べています(Sampietro ら 2022)。
WRAP は、日本語では「元気回復行動プラン」と呼ばれます。学術誌「こころの健康」(日本精神衛生学会)に載った福井(2014年)の解説は、WRAP は Wellness Recovery Action Plan の頭文字で「ラップ」と読み、日本語では「元気回復行動プラン」という、と説明しています。同じ解説によれば、WRAP は次の3つの要素で組み立てられています(福井 2014、こころの健康 29巻2号14-19頁)。
- リカバリーに大切な5つのこと:希望、責任、学ぶこと、権利擁護、サポート
- 元気に役立つ道具箱:自分をよい状態に保つために自分でできる、具体的な生活の工夫を集めたもの
- 6つのプラン:日常生活管理プラン、引き金と対応プラン、注意サインと対応プラン、調子が悪くなってきているときと対応プラン、クライシスと対応プラン、クライシスから脱するときと対応プラン
このうち「クライシスと対応プラン」は、6つのプランのなかで唯一、ほかの人に預けておくプランと説明されています。自分で主体性を発揮できない危機的な状態になったときのために、信頼できるサポーターに、自分がしてほしいこと・してほしくないことを書いたものを渡しておく、という内容です。同じ解説は、日本では2005年から WRAP の普及が始まったとも書いています。
前の節の表のとおり、英語の研究論文でも、WRAP のなかに危機のときの計画(crisis plan)があります。Ebihara らの論文は、クライシスプランは、アメリカで脱施設化の限界に対応して生まれた WRAP の自助プログラムの一部として始まった、と述べています。少なくともこの論文では、「クライシスプラン」という言葉は WRAP の危機のプランに由来すると説明されています。
ただし、日本で実際に使われている「クライシスプラン」の様式のすべてが、WRAP と同じ内容だとは、この記事の出典からは言えません。厚生労働省の検討会資料には、WRAP との関係の記載がありません(2026-10-11 時点)。Ebihara らの論文は、日本では、専門職が主導する日本版の JCP(CP-J)が使われていると説明しています。
医療観察法の処遇ガイドラインでの扱い
医療観察法の制度そのもの(審判、入院、通院、社会復帰調整官)は、医療観察法の記事にまとめています。ここでは、厚生労働省が掲載する処遇ガイドラインのうち、危機への備えに関係する記載だけを紹介します(心神喪失者等医療観察法に係る各種ガイドライン等)。
- 通院処遇ガイドライン:治療プログラムの「多職種チームによる個別の治療計画の策定と実施」の項に、「通院対象者の病状悪化時における医療面での危機介入計画をあらかじめ策定し、通院対象者に説明し、同意を得られるよう努力する」とあります(通院処遇ガイドライン)。通院処遇の目標・理念の項にも、「通院対象者の病状に応じて、適切な危機介入を行う」とあります
- 入院処遇ガイドライン:心理業務の概要に、「再教育的精神療法による、入院対象者自身が再発の危険サインを理解し対処法を修得するための支援」、社会復帰期の到達目標に、「病気の再発の徴候を理解して早期に援助者に協力を求めるなど危機管理を学ぶ」とあります(入院処遇ガイドライン)
用語についての注意です。通院処遇ガイドラインの「危機介入計画」は、「病状悪化時における医療面での」計画と書かれています。この資料は、危機介入計画の記載項目や、クライシスプランとの関係を、書いていません。そのため、この記事では、2つの言葉を同じものとは書きません。試験の勉強では、ガイドラインの言い方(危機介入計画・再発の危険サイン)と、研究での言い方(クライシスプラン・JCP)の、どちらの言葉でも読めるようにしておくと整理しやすくなります。
効果をめぐる研究:結果は一様ではない
クライシスプランの効果は、研究で調べられていますが、結果は一様ではありません。主な研究を、概要だけ紹介します。
- Henderson ら(2004年、イングランド):精神病性疾患または双極性障害の160人で、15か月の追跡期間中に強制的な入院・治療を受けた人は、JCP 群で13%(10/80)、対照群で27%(21/80)でした(リスク比0.48)(Henderson ら、BMJ 329巻136頁、2004年)
- Thornicroft ら(CRIMSON 試験、2013年、イングランド):569人で、強制入院(精神保健法による入院)となった人は JCP 群18%、対照群20%で、有意差はありませんでした(オッズ比0.90)(Thornicroft ら、Lancet 381巻1634-1641頁、2013年60105-1))
- Molyneaux ら(2019年):5件の無作為化比較試験を統合し、危機の計画づくりの介入で、強制入院が25%減ったと報告しました(リスク比0.75)(Molyneaux ら、BJPsych Open 5巻4号、2019年)
読み方の注意が3つあります。
1. 3つとも、精神病性疾患や双極性障害のある人を対象にした研究です。Henderson らと CRIMSON 試験はイングランドの地域精神保健チームでの試験で、日本の制度や現場の結果を示したものではありません
2. CRIMSON 試験の報告は、JCP が一部の施設で十分に実施されていなかったことを指摘しています。同じ報告では、治療関係(therapeutic relationship)の評価は、JCP 群でわずかに良かったとされています
3. Molyneaux らは、統合の結果について、強制入院は減る一方、任意入院や、任意と強制を合わせた入院が減るという統計的な根拠は見つからなかった、と述べています。介入の内容や強さは、試験ごとに異なっていたとも述べています
Nomura・Kanou の論評は、結果が分かれていることを、道具そのものの失敗というより、作成の支援、記載の具体性、緊急時に見つけられること、計画に従わなかった場合の記録といった、実施の条件が確かめられていなかったことと関係づけて論じています。これは著者らの見解であり、試験の結果ではありません。
試験の専門科目との関係
センターの科目別出題基準(専門科目、印刷ページ83〜101)には、「クライシスプラン」の語の記載がありません(2026-10-11 時点)。関係する項目を、科目名ごとに整理します。
出題基準でクライシスプランに関係する位置:精神障害リハビリテーション論の大項目3「精神障害リハビリテーションプログラムの内容と実施機関」、中項目3)「社会リハビリテーションプログラム」の小項目(例示)に、「社会生活技能訓練(SST、社会生活スキルトレーニング)」「心理教育プログラム」「WRAP」「生活訓練プログラム」「地域移行プログラム」。精神保健福祉制度論の大項目2「精神障害者の医療に関する制度」、中項目2)「医療観察法の概要と精神保健福祉士の役割」。最終確認日:2026-10-11。出典:試験センター 精神保健福祉士国家試験 出題基準(科目別出題基準、印刷ページ99・100)。
- 精神障害リハビリテーション論:WRAP を、社会リハビリテーションプログラムの一つとして学ぶ位置です。日本語の「元気回復行動プラン」と英語の略称「WRAP」が同じものだと結びつけておくと、どちらの名前で書かれていても読めます。同じ科目の「精神障害当事者や家族を主体としたリハビリテーション」に、「ピアサポートグループとピア活動」「ピアスタッフ」も載っています(ピアサポートの記事)
- 精神保健福祉制度論:医療観察法の「処遇の内容」「社会復帰調整官の役割」「医療観察法における精神保健福祉士の役割」などの小項目があります。通院処遇ガイドラインの記載は、この制度の運用を理解する資料になります
- 精神医学と精神医療:「医療観察法における入院・通院治療」(指定入院医療機関、医療観察病棟、指定通院医療機関、鑑定入院)の項目があります
- 精神保健福祉の原理:「原理・価値」に「自己決定」「当事者主体」があります
センターは、出題基準について、「出題基準は、あくまでも標準的な出題範囲の例示であって、出題範囲を厳密に限定するものではなく、また、作問方法や表現等を拘束するものではない。」と説明しています。
当サイトに載せている第26〜28回の専門科目176問のうち、問題文(事例文を含む)・選択肢に「クライシス」または「WRAP」の語を含む問はありません(2026-10-11 時点)。「元気回復行動プラン」の語を含む問は1問で、第26回の旧カリキュラムの科目「精神保健福祉相談援助の基盤」の問題の選択肢の一つです。この数字は、当サイトに載せた176問の範囲のもので、試験全体の傾向を示すものではなく、今後の出題を予想するものでもありません。
まとめ・次にやること
- クライシスプランは、危機の場面での対処・助けを求める先・望む支援を、あらかじめ書いておく計画。研究論文では、本人が決める対処の文書、本人と専門職が協働して作るものは共同危機計画(JCP)と説明されている
- 精神保健福祉法・医療観察法・障害者総合支援法の現行条文に「クライシス」の語はなく、この記事で取り上げた厚生労働省の資料にも定義の記載はない(2026-10-11 時点)。厚生労働省の検討会資料には、かかりつけ精神科医機能の一つとして「日常的なクライシスプランの確認」が出てくる
- 作成に使われる項目は、危機のサイン、助けてくれる人・連絡先、望む支援(治療)が中心。公的な標準書式は、この記事の出典には記載がない
- 医療観察法の通院処遇ガイドラインは、病状悪化時の危機介入計画を、本人に説明して同意を得られるよう努力する、と書いている
- 効果をめぐる研究の結果は一様ではない。出題基準では、精神障害リハビリテーション論に「WRAP」(日本語では元気回復行動プラン)が載っている。WRAP の6つのプランの一つが「クライシスと対応プラン」
次にやることは、①専門科目の出題範囲で、精神障害リハビリテーション論・精神保健福祉制度論の項目を確認する、②リカバリーやストレングスの考え方をストレングスモデルとリカバリーの記事で整理する、③地域での支援の仕組みを地域移行支援・地域定着支援の記事と障害者総合支援法の記事で押さえる、の3つです。
本サイトは社会福祉振興・試験センター・厚生労働省とは関係ありません。法令・ガイドラインの記載は変わることがあるため、最新の条文・資料で確認してください。出題基準の記載は、センターの科目別出題基準(2026年10月11日に確認した版)にもとづきます。個人の治療や支援の方針は、主治医・支援者・お住まいの地域の窓口に相談してください。
よくある質問
Qクライシスプランの作成は、法律で義務づけられていますか?
e-Gov 法令検索の現行条文(2026年10月1日施行の版)のうち、精神保健福祉法・医療観察法・障害者総合支援法には、「クライシス」の語の記載がありません(2026-10-11 時点)。精神保健福祉法と医療観察法には、「危機」の語の記載もありません(2026-10-11 時点)。厚生労働省の医療観察法の通院処遇ガイドラインには、病状悪化時の医療面での危機介入計画をあらかじめ策定し、通院対象者に説明して同意を得られるよう努力する、という記載があります。これはガイドラインの記載で、条文ではありません。
Q医療観察法のガイドラインには、「クライシスプラン」と書かれていますか?
厚生労働省が掲載する医療観察法のガイドライン(地域処遇、指定入院医療機関運営、入院処遇、指定通院医療機関運営、通院処遇、災害の6本)には、「クライシス」の語の記載がありません(2026-10-11 時点)。通院処遇ガイドラインには「危機介入計画」、入院処遇ガイドラインには「再発の危険サイン」「再発の徴候」を理解して対処法を学ぶ支援の記載があります。これらの資料は、危機介入計画とクライシスプランが同じものだとも、別のものだとも書いていません。
QクライシスプランとWRAPは、同じものですか?
同じものではありません。WRAP(Wellness Recovery Action Plan)は、日本語では「元気回復行動プラン」と呼ばれる、当事者が自分の回復と日常の健康を保つための計画を作るプログラムです(福井 2014、学術誌「こころの健康」)。危機のときの計画は、その中の一部として説明されています。同じ解説は、WRAP の「6つのプラン」の一つに「クライシスと対応プラン」を挙げ、6つのなかで唯一ほかの人に預けておくプランだと説明しています。英語の研究論文でも、危機のときの計画(crisis plan)は WRAP のセッションの一部として作られ(Cook ら 2012)、別の論文は、クライシスプランはアメリカの WRAP の自助プログラムの一部として始まったと述べています(Ebihara ら 2026)。
Q精神保健福祉士の出題基準に、クライシスプランは載っていますか?
試験センターの科目別出題基準の専門科目の部分(印刷ページ83〜101)には、「クライシスプラン」の語の記載がありません(2026-10-11 時点)。一方、精神障害リハビリテーション論の大項目「精神障害リハビリテーションプログラムの内容と実施機関」の社会リハビリテーションプログラムの小項目(例示)に、「WRAP」が載っています。出題基準は標準的な出題範囲の例示とされており、範囲を厳密に限定するものではありません。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月11日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

