精神保健福祉士

精神保健福祉士 第26回 問題79|精神障害者の生活支援システム

問題

精神保健福祉士 | 第26回(令和5年度) | 令和6年2月3日(土)・4日(日)実施・精神障害者の生活支援システム

次の事例を読んで,問題78 から問題80 までについて答えなさい。

〔事 例〕

Aさん(40 歳,男性)は,20 代後半にうつ病で通院したことがある。その後,回復してIT企業に就職し,仕事に懸命に取り組んでいた。ところが,最近,Aさんが開発したソフトウェアの不具合が複数発生したため対応に追われ,疲労困憊(ひろうこんぱい)し,食欲不振や不眠も現れ,ふさぎ込むようになった。心配した妻に連れられて,かつて通院していたY精神科病院を受診した。Aさんは,診察の際に医師に,「死にたい」と言っており,うつ病の再発と診断されたため,休職して入院した。 Y精神科病院のB精神保健福祉士が,Aさんに詳しく話を聞くと,「ここ数か月は毎日残業で,休日にも出勤していた」と話した。そこで,妻に,最近1 か月の時間外労働の時間数を職場に確認してもらったところ,160 時間を超えていることが分かった。B精神保健福祉士は,この状況は,ある社会保険制度の「心理的負荷による精神障害の認定基準」(以下,認定基準)に該当するのではないかと考え,Aさんにこの制度の説明をしたところ,申請の意思が示されたため,必要書類を一緒に準備し,Z機関に提出した。(問題78)入院中のAさんは,責任感や経済的な理由から復職を急いでおり,病状が安定しない日が続いたが,2 か月後,Z機関から「認定基準」に該当すると認定された。(問題79)その後,Aさんは1 か月ほどで退院することができた。退院してから半年がたち,通院中のAさんからB精神保健福祉士は復職の相談を受けた。その中で,「復職を主治医に相談したところ,賛同してくれた。ただし,職場には時間外労働の在り方について考えてもらわなければいけないと言っていた」「今後は体調を崩さないように,今の自分に合った働き方を考えたい」などの言葉が聞かれたため,B精神保健福祉士は,U機関による精神障害者総合雇用支援の職場復帰支援の利用をAさんと一緒に検討することとなった。(問題80)

次のうち,この認定によりAさんが受けたものとして,正しいものを2 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題79(精神障害者の生活支援システム)

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 1 と 4

Aさんのうつ病が「業務上の病気」として労災に認定されたので、労災保険から給付を受けます。入院や通院の治療費にあたる療養補償給付(肢1)と、働けずに賃金をもらえない間の所得を補う休業補償給付(肢4)が当てはまります。

傷病手当金は、仕事と関係ない病気やけがのときに健康保険から支給されるものなので、労災では受けません。障害補償年金・障害補償一時金は、治療を終えて(治ゆして)障害が残った場合の給付で、Aさんはまだ治療中なので当たりません。

正解は 1 と 4

業務上の疾病として認定された場合、労災保険の「業務災害に関する保険給付」を受けます(労働者災害補償保険法第12条の8)。

  • 肢1(正しい): 療養補償給付は、業務上の傷病の療養(診察、薬剤、入院など)に対して行われます。入院・通院中のAさんが受ける給付です。
  • 肢2(誤り): 傷病手当金は健康保険の給付で、業務外の傷病による休業が対象です。業務上と認定されたAさんには、労災保険の休業補償給付が支給されます。
  • 肢3(誤り): 障害補償年金は、傷病が治った(症状が固定した)後に一定の障害(障害等級第1級〜第7級)が残った場合の給付です。治療中のAさんは該当しません。
  • 肢4(正しい): 休業補償給付は、業務上の傷病による療養のため労働できず賃金を受けない日の第4日目から、1日につき給付基礎日額の100分の60が支給されます(第14条)。休職・入院中のAさんが受けます。
  • 肢5(誤り): 障害補償一時金は、治ゆ後に比較的軽い障害(障害等級第8級〜第14級)が残った場合の給付で、やはり治療中のAさんは該当しません。

正解は 1 と 4

根拠条文

労働者災害補償保険法第12条の8第1項は、業務災害に関する保険給付を、①療養補償給付、②休業補償給付、③障害補償給付、④遺族補償給付、⑤葬祭料、⑥傷病補償年金、⑦介護補償給付と定めています。障害補償給付には障害の程度に応じて年金と一時金があります。

  • 療養補償給付: 療養の給付(労災指定医療機関等での現物給付)が原則で、困難な場合などには療養の費用を支給します(第13条)。
  • 休業補償給付: 療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給し、額は1日につき給付基礎日額の100分の60(第14条第1項)。最初の3日間(待期期間)は、労働基準法に基づき事業主が休業補償を行います。

誤りの肢の掘り下げ

  • 肢2(傷病手当金): 健康保険の傷病手当金は「業務外の事由による」療養のための労務不能が対象です。業務上と認定されれば労災保険が優先し、健康保険の給付は受けません。なお、労災の認定が出るまでの間に健康保険で受診・受給していた場合は、後で労災保険への切替えの手続が必要になります。本事例でも、認定までの2か月間の扱いは実務上の論点になります。
  • 肢3・肢5(障害補償給付): 「治ったとき」(症状が固定し、治療の効果が期待できない状態を含む)に障害が残った場合の給付です。障害等級第1級〜第7級は年金、第8級〜第14級は一時金です。
  • 傷病補償年金との違い: 療養開始後1年6か月を経過しても治っておらず、障害の程度が傷病等級に該当する場合は、休業補償給付に代えて傷病補償年金が支給されます(第12条の8第3項)。

関連して出る論点

  • 休業補償給付は「療養のため労働することができない」「賃金を受けない」という要件で判断されるため、入院中だけでなく、退院後の通院療養で休職が続く期間も対象になり得ます。
  • 通勤による傷病の場合は「療養給付」「休業給付」と、「補償」の付かない名称になります。業務災害と通勤災害の名称の違いも出題されます。
  • 精神障害の労災認定では、業務以外の心理的負荷や個体側要因との比較も含めて判断されます。
この問題の根拠
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題79(精神障害者の生活支援システム)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

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