精神保健福祉士

精神保健福祉士 第27回 問題21|精神保健福祉の原理

問題

精神保健福祉士 | 第27回(令和6年度) | 令和7年2月1日(土)・2日(日)実施・精神保健福祉の原理

A高等学校では,保健体育の授業において,心の健康への意識を高め,共生社会への理解を深めることを目的として「こころの健康教育」を実施している。今回は近隣にあるB精神科病院のC精神保健福祉士と,精神障害当事者のDさん(63歳,男性)がゲストスピーカーとして招かれた。授業はC精神保健福祉士とDさんの対話形式で進められた。その中で,Dさんは精神科病院における35 年の入院生活やグループホームへの退院,今の生活の様子を語った。Dさんからは,長年病院内で変化のない集団生活を続けたことで気力が失われ,退院を諦めるようになったこと。入院当初は強い思いであった退院を決断するのに長い時間を要したこと。退院した今は,地域に出て良かったと実感するといった気持ちが語られた。 次のうち,Dさんの語りから考えられる入院中の状態として,適切なものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第27回精神保健福祉士国家試験(令和6年度)」専門科目 問題21(精神保健福祉の原理)

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 1
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 1

Dさんは35年もの長い入院生活の中で、変化のない集団生活が続き、気力が失われ、退院をあきらめるようになったと語っています。このように、長期間の施設・病院での生活によって、意欲や自発性、生活する力が失われていく状態を「施設症(インスティテューショナリズム)」といいます。

施設コンフリクトは施設の建設に地域住民が反対すること、トラウマは心の傷、スティグマは偏見や差別のしるし、回転ドア現象は退院と再入院を繰り返すことです。

なぜ正解か

正解は 1。施設症(インスティテューショナリズム)は、病院や施設での長期間の生活によって、無気力、自発性の低下、外界への関心の喪失、生活技能の低下、退院への不安などが生じる状態をいう。病気そのものの症状ではなく、閉鎖的で画一的な環境によって二次的に生じる点が特徴である。Dさんの「変化のない集団生活を続けたことで気力が失われ、退院を諦めるようになった」という語りはこれに当たる。

ほかの選択肢

  • 2:施設コンフリクトは、障害者施設やグループホームの建設・開設に対して、地域住民が反対し対立が起こること。
  • 3:トラウマは、生命の危機などの衝撃的な出来事による心の傷。
  • 4:スティグマは、病気や障害などの特性に対して社会が与える否定的なレッテル(烙印)や偏見。
  • 5:回転ドア現象は、退院してもすぐ再入院し、入退院を繰り返す状態。

覚えるポイント

施設症は病気の症状ではなく、長期入院という環境によって二次的に生じる状態。社会的入院と互いに強め合い、長期入院者の地域移行を難しくする要因になる。

正解の位置づけ

正解は 1。施設症は、長期間の入院・入所により、規則に従うことが中心の受け身の生活が続いた結果として生じる。主な特徴は、①意欲・自発性の低下、②外の世界への関心の喪失、③将来の見通しの喪失、④日常生活を自分で営む力の低下、⑤退院・地域生活への不安や拒否、などである。Dさんの語りは、入院当初は強かった退院の思いが、変化のない集団生活の中で失われ、退院をあきらめるようになったことを示しており、施設症の典型的な経過である。また、退院を決断するまでに長い時間がかかったという点は、施設症が退院支援にとって大きな障壁となることを示している。

誤りの肢の論点

  • 2(施設コンフリクト):グループホームなどの開設に際し、地域住民が反対運動を起こし対立が生じる現象。偏見に基づくことが多く、障害者差別解消法の観点からも課題とされる。問題文の「入院中の状態」ではない。
  • 3(トラウマ):衝撃的な出来事による心理的な傷。PTSDなどにつながることがある。長期入院による気力の喪失とは概念が異なる。
  • 4(スティグマ):社会が付与する否定的なレッテル。本人がそれを内面化して自己評価を下げることをセルフスティグマ(内なる偏見)という。施設症と同時に存在しうるが、本問の「変化のない集団生活による気力の喪失」を表す語ではない。
  • 5(回転ドア現象):地域での支援が不十分なまま退院させ、再発・再入院を繰り返す状態。脱施設化を急いだ国で問題になった。Dさんのような35年の継続した長期入院とは逆の現象である。

関連論点

  • 長期入院者の地域移行:施設症の影響を受けた人の退院には、本人の意欲を取り戻す関わり(ピアサポーターとの交流、外出・外泊体験など)と、住まい・日中活動・相談支援などの地域の受け皿の整備の両方が必要になる。障害者総合支援法の地域移行支援は、入院中から住居の確保や同行支援などを行う。
  • ピアサポートの力:Dさんが授業で自分の経験を語る場面のように、退院した当事者の体験は、長期入院中の人の希望や退院への意欲を引き出す力をもつ。
  • 社会的入院:入院医療の必要性は低いにもかかわらず、地域の受け皿がないなどの理由で入院が続く状態。施設症と互いに強め合う関係にある点を押さえておく。
この問題の根拠
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第27回精神保健福祉士国家試験(令和6年度)」専門科目 問題21(精神保健福祉の原理)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

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