問題
公共測量の1級基準点測量において,電子基準点のみを既知点とする観測を行った。電子基準点Aを既知点とし新点BのY座標値を求めたい。新点BにGNSS測量機を設置して観測を行った後,表9の結果を用いてセミ・ダイナミック補正を適用し元期における新点BのY座標を求めるとき,次の文の ア 〜 ウ に入る数値の組合せとして最も適当なものはどれか。次の 1 〜 5 の中から選べ。 ただし,表9の①は平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第9号)における座標値で,電子基準点AおよびBのX座標及び楕円体高は同一とする。また,地殻変動補正パラメータから求めたX軸方向及び楕円体高の補正量は考慮しないものとする。なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。 表9の①及び③から,今期における電子基準点AのY座標は ア m である。表9の②から,今期における新点BのY座標は イ m である。今期から元期への変換は表9の③と逆向きの変換となる。したがって,新点Bの元期におけるY座標は ウ m となる。 【表9】 - ① 電子基準点Aの元期におけるY座標: +10,000.000 m - ② 今期における電子基準点A→新点BのY成分基線ベクトル: −10,000.020 m - ③ 地殻変動補正パラメータから求めたY軸方向の補正量(元期→今期): 電子基準点A: +0.050 m,新点B: +0.020 m
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
セミダイナミック補正の計算問題です。正答は5(ア: +10,000.050,イ: +0.030,ウ: +0.010)。
セミダイナミック補正は,地殻変動により変化した電子基準点の座標を,元期(基準時点)の座標に換算するための処理です。
ア(今期における電子基準点AのY座標)
元期座標 + 補正量(元期→今期) = +10,000.000 + 0.050 = +10,000.050 m
イ(今期における新点BのY座標)
今期A座標 + 基線ベクトルY成分 = +10,000.050 + (−10,000.020) = +0.030 m
ウ(新点Bの元期Y座標)
今期→元期への変換は,元期→今期補正の逆向き,つまり補正量を引きます。
新点BのY補正量(元期→今期) = +0.020 m
元期座標 = 今期座標 − 補正量 = +0.030 − 0.020 = +0.010 m
正答は選択肢5(+10,000.050, +0.030, +0.010)です。
セミダイナミック補正の詳細計算と原理の問題です。正答は5。
セミダイナミック補正の概念
地殻変動により,電子基準点の今期座標は元期座標から変化しています。補正量(元期→今期)は地殻変動補正パラメータとして提供され,これを用いて座標変換を行います。
ステップ1:ア(今期における電子基準点AのY座標)
元期→今期変換:Y_A(今期) = Y_A(元期) + ΔY_A補正
= +10,000.000 + 0.050
= +10,000.050 m
ステップ2:イ(今期における新点BのY座標)
GNSS観測で得られた基線ベクトル(A→BのY成分)= −10,000.020 m(今期の相対座標)
Y_B(今期) = Y_A(今期) + ΔY(A→B)
= +10,000.050 + (−10,000.020)
= +0.030 m
ステップ3:ウ(新点Bの元期Y座標)
今期→元期変換(逆向き補正):
Y_B(元期) = Y_B(今期) − ΔY_B補正
= +0.030 − 0.020
= +0.010 m
したがって,ア = +10,000.050,イ = +0.030,ウ = +0.010 → 選択肢5が正答。
セミダイナミック補正の技術的背景と測量士レベルへの接続です。正答は5。
セミダイナミック補正の制度的背景
日本は地殻変動が活発で,プレート運動(フィリピン海プレート・太平洋プレートの沈み込み)により,毎年数cm〜数十cmの地殻変動が生じています。2011年東日本大震災では最大5.3mの水平移動が発生。このため国土地理院は,測量成果の基準時点(元期)を設定し,観測時点(今期)との差を補正するセミダイナミック補正システムを2010年代に整備しました。
補正パラメータの提供と適用範囲
補正パラメータは国土地理院が「地殻変動補正パラメータ計算プログラム」として公開しており,経緯度・補正量(ΔX, ΔY, Δh)を格子点補間で取得できます。補正精度は水平±数mm,高さ±数mm(現在のGSI参考値)。適用範囲は全国で,地震・火山活動の影響を受けた地域では補正精度が低下する場合があります。
本問の計算構造(測量士レベルの数式整理)
セミダイナミック補正の基本式:
- Y(今期) = Y(元期) + δY(δY: 補正量,元期→今期,正は東向き)
- Y(元期) = Y(今期) − δY(逆変換)
本問では:
- δY_A = +0.050 m(Aの補正量)
- δY_B = +0.020 m(Bの補正量)
- ΔY(A→B, 今期) = −10,000.020 m(GNSS観測の基線ベクトル,今期値)
重要な点:基線ベクトルは「今期における2点間の相対座標差」であり,補正はあくまで各点の絶対座標に対して適用します。したがって,Aの今期座標(+10,000.050)にΔY(A→B)を加えてBの今期座標(+0.030)を算出し,その後Bの補正量(0.020)を引いて元期座標(+0.010)に換算します。この計算フローはGNSS観測後処理の標準手順であり,GNSS解析ソフトウェアが自動実行します。
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和7年度 測量士補試験 問9(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は国土地理院・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは国土地理院・国土交通省と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

