問題
次の a 〜 e の文は,公共測量における写真地図作成について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
写真地図作成の用語・手順に関する誤り識別問題(令和5年度 問18)。正答は(5)「c,e」です。
cが誤りの理由:ブレークライン法で標高取得に使うブレークラインは,地形の形状が急変する「稜線・谷線・崖線・道路縁・建物縁」などの特徴的な地性線です。「なるべく段差の小さい斜面」ではなく,地形変化が明確な箇所を選定します。段差の小さい箇所はブレークラインとして不適切で,むしろ特徴量の大きい地形変化点を選びます。
eが誤りの理由:モザイクとは,正射変換(中心投影→正射投影変換)済みの数値写真(オルソ画像)を結合する作業です。「中心投影の数値写真を結合する」という記述が誤りです。中心投影のままでは視点によって位置ずれが生じるため,先に正射変換してから結合(モザイク)します。
選択肢a・b・dは正しい記述です。
【写真地図作成の用語・手順に関する誤り識別問題】(令和5年度 問18)
【c が誤りの根拠:ブレークラインの正しい定義】
作業規程の準則第224条(ブレークライン):
ブレークラインとは,地形の断絶(不連続)を表す線で,稜線・谷線・崖線・急斜面縁・道路縁・建物縁などがこれに当たる。
ブレークライン法による標高取得(TIN作成)では,これらの地形特徴線に沿ってステレオ計測し,TIN(三角形不規則網)の辺がこれらの線に沿うよう制約を与えることで,リアルな地形モデル(DEM/DSM)を生成する。
「段差の小さい斜面」は地形特徴が弱く,ブレークラインとして不適切。正しくは「段差の大きい・地形が急変する」場所をブレークラインとして選定する。
【e が誤りの根拠:モザイクの正しい定義】
作業規程の準則第225条(モザイク):
モザイクとは,正射変換済みの数値写真(オルソ画像)を複数枚結合して,一枚の連続したオルソ画像を作成する作業をいう。
「中心投影の数値写真を結合」するとなぜ誤りか:
中心投影では,撮影中心(主点)から放射状に像が広がるため,鉛直に撮影しても地物の高さにより水平位置がずれる(比高変位)。この状態の写真を単純結合すると位置精度が保証できない。
正しい処理順序:
①空中三角測量(外部標定要素の確定)
②正射変換(中心投影→正射投影。比高変位を除去)
③モザイク(正射変換済みオルソ画像を結合)
【正しい選択肢の根拠】
- a: 正しい。準則第222条:正射変換=数値写真を中心投影→正射投影に変換してオルソ画像生成。
- b: 正しい。正射変換後の写真地図は均一縮尺の正射投影のため,図上での距離計測が可能。
- d: 正しい。異なる撮影条件(季節・天候・太陽高度)では色調・影方向・植生状態が変わるため,モザイク後の均質性を確保するために色調補正(カラーバランス調整)が必要。
【写真地図作成の技術体系と各工程の詳細】(令和5年度 問18)
【正射変換(オルソレクティフィケーション)の原理】
中心投影の写真では,撮影主点からの光線が収束するため,地物の高さに応じて水平位置がずれる「比高変位(Relief Displacement)」が発生する:
Δr = r × h / H(r:主点からの距離,h:地物高,H:撮影高度)
H=3,000m,h=30m(ビル),r=50mm(図上)の場合:
Δr = 50 × 30/3000 = 0.5mm(図上)→地上15m程度の位置ずれ
正射変換では,DSM(数値表層モデル)またはDEM(数値標高モデル)を用いて各ピクセルの比高変位を計算し,逆補正することで正射投影画像(オルソ画像)を生成する。
【ブレークラインによるTIN生成の技術的詳細】
TIN(Triangulated Irregular Network)の制約三角分割(Constrained Delaunay Triangulation):
ブレークラインを「制約辺」として与え,TINの辺がこの線を横断しないよう制約をかける。これにより,崖・道路縁・建物縁等の地形不連続面を正確に表現できる。
ブレークラインとして選定すべき地物(優先度高→低):
1. 崖・断崖(段差が最も大きい)
2. 道路縁・歩道縁(人工的な段差・高さ変化)
3. 建物縁・壁面
4. 稜線・谷線(自然地形の尾根・谷)
5. 水際線(水面と陸の境界)
「段差の小さい斜面」は上記のいずれにも該当せず,ブレークラインとして不適切。
【モザイク処理の技術的詳細】
現代のモザイク処理(デジタルオルソモザイク)の手順:
1. オルソ画像(正射変換済み)を隣接させてオーバーラップ部を設定
2. シームライン(継ぎ目線)の設定:影・雲・建物のずれを避けた位置にシームラインを引く(自動/手動)
3. 色調調整(ドッジング):オーバーラップ部の輝度・彩度を調整して継ぎ目が目立たないようにする
4. 結合・出力:シームラインに沿って各写真のピクセルを合成し,単一のオルソモザイク画像を生成
作業規程の準則では,モザイク後の品質検査として「接合部の位置ずれ量」「色調の均一性」の確認が義務付けられている。
【測量士試験への接続】
測量士では,空中三角測量(相互標定・絶対標定の計算),比高変位の定量計算,DEMとDSMの違い,TINからラスタDEMへの変換手法,オルソモザイクの精度規格(CE90・位置精度)が出題される。
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和5年度 測量士補試験 問18(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

