問題
一般用医薬品の添付文書の使用上の注意における、糖尿病・甲状腺機能障害の診断を受けた人とアドレナリン作動成分等との関係に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答(誤っているもの)はウです。
点鼻薬は局所(鼻腔内)に適用されるものですが、成分が鼻粘膜を通っている血管から吸収されて循環血液中に入りやすく、全身的な影響を生じることがあります。そのため、アドレナリン作用成分が配合された鼻炎用点鼻薬は、糖尿病・甲状腺機能障害(甲状腺機能亢進症)の診断を受けた人の「相談すること」の対象です。
イのプソイドエフェドリン塩酸塩は、甲状腺機能障害・糖尿病・高血圧・心臓病の診断を受けた人は「してはいけないこと」である点に注意します。ア・イ・エ・オは正しい記述です。
糖尿病・甲状腺機能障害とアドレナリン作動成分等(別表5-1/5-2):
| 区分 | 成分・薬効群 | 対象となる診断 |
|---|---|---|
| してはいけないこと(別表5-1) | プソイドエフェドリン塩酸塩 | 心臓病、高血圧、甲状腺機能障害、糖尿病 |
| 相談すること(別表5-2) | メチルエフェドリン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩水和物、フェニレフリン塩酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩等のアドレナリン作動成分、マオウ | 甲状腺機能障害(甲状腺機能亢進症)、高血圧、心臓病、糖尿病 |
| 相談すること(別表5-2) | アドレナリン作用成分が配合された鼻炎用点鼻薬 | 甲状腺機能障害(甲状腺機能亢進症)、高血圧、心臓病、糖尿病 |
糖尿病の欄の理由は「肝臓でグリコーゲンを分解して血糖値を上昇させる作用があり、糖尿病の症状を悪化させるおそれがあるため」です。
各選択肢の解説:
- ア(正): 別表5-2の糖尿病の欄に、メチルエフェドリン塩酸塩等のアドレナリン作動成分が挙げられています。
- イ(正): プソイドエフェドリン塩酸塩は、別表5-1で甲状腺機能障害の診断を受けた人は「使用(服用)しないこと」とされています。第3章でも、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人では使用を避ける必要があるとされています。
- ウ(誤): 点鼻薬の成分は鼻粘膜を通っている血管から吸収されて循環血液中に入りやすく、全身的な影響を生じることがあります。別表5-2でも、アドレナリン作用成分が配合された鼻炎用点鼻薬は糖尿病・甲状腺機能障害の「相談すること」の対象です。
- エ(正): マオウは、別表5-2の甲状腺機能障害・糖尿病の欄に挙げられています。
- オ(正): 別表の甲状腺機能障害の理由欄のとおりです。
【「してはいけないこと」と「相談すること」の境目を成分で押さえる】
同じアドレナリン作動成分の仲間でも、プソイドエフェドリン塩酸塩だけが「してはいけないこと」に置かれている点が、この論点の最大のひっかけです。
1. プソイドエフェドリン塩酸塩が別格である理由
第3章(鼻炎用内服薬)では、プソイドエフェドリン塩酸塩は他のアドレナリン作動成分に比べて中枢神経系に対する作用が強く、副作用として不眠や神経過敏が現れることがあるとされています。また、交感神経系に対する刺激作用によって心臓血管系や肝臓でのエネルギー代謝等への影響も生じやすく、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人、前立腺肥大による排尿困難の症状がある人では、使用を避ける必要があります。別表5-1でも、心臓病・高血圧・甲状腺機能障害・糖尿病の欄と、「前立腺肥大による排尿困難」の症状の欄に挙げられています。
さらに、セレギリン塩酸塩等のモノアミン酸化酵素阻害剤で治療を受けている人は「相談すること」とされています(相互作用によって血圧を上昇させるおそれ)。
2. その他のアドレナリン作動成分・マオウ(相談すること)
第3章(鎮咳去痰薬)では、アドレナリン作動成分及びマオウ(構成生薬にマオウを含む漢方処方製剤も同様)は、交感神経系への刺激作用によって心臓血管系や肝臓でのエネルギー代謝等にも影響が生じることが考えられ、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能亢進症の診断を受けた人では、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきとされています。
別表5-2の理由は次のとおりです。
- 甲状腺機能障害:甲状腺機能亢進症の主症状は交感神経系の緊張等によってもたらされており、交感神経系を興奮させる成分は症状を悪化させるおそれがある
- 糖尿病:肝臓でグリコーゲンを分解して血糖値を上昇させる作用があり、糖尿病の症状を悪化させるおそれがある
- 高血圧(鼻炎用点鼻薬):交感神経興奮作用により血圧を上昇させ、高血圧を悪化させるおそれがある
なお、甲状腺機能障害の欄にはジプロフィリン(中枢神経系の興奮作用)も挙げられています。
3. 点鼻薬は「外用だから全身に影響しない」わけではない
点鼻薬は局所に適用されるものの、成分が鼻粘膜を通っている血管から吸収されて循環血液中に入りやすく、全身的な影響を生じることがあります。だからこそ別表5-2では、アドレナリン作用成分が配合された鼻炎用点鼻薬が、甲状腺機能障害・高血圧・心臓病・糖尿病の各欄に入っています。
4. 高齢者への配慮
高齢者では、心臓病や高血圧、糖尿病の基礎疾患がある場合が多く、また、一般的に心悸亢進や血圧上昇、血糖値上昇を招きやすいとされています。別表5-2の「高齢者」の欄にも、アドレナリン作動成分又はマオウが配合された内服薬等が「心悸亢進、血圧上昇、糖代謝促進を起こしやすいため」として挙げられています。
5. 実務での確認
かぜ薬・鼻炎薬・咳止めを求められたときは、基礎疾患(糖尿病・甲状腺の病気・高血圧・心臓病)を確認し、プソイドエフェドリン塩酸塩配合品であれば使用しないよう伝え、その他のアドレナリン作動成分やマオウ配合品であれば、治療を行っている医師又は薬剤師への相談を勧めます。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章Ⅰ-1)「添付文書の読み方」・別表5-1/5-2(基礎疾患等)、第3章Ⅱ-1「咳止め・痰を出しやすくする薬」・Ⅶ「内服アレルギー用薬」・Ⅷ「鼻に用いる薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

