電験三種のノートに何を書くかを、科目別に整理します。式と単位と検算の式ノート、法規の条文カード、間違いノートを、電気技術者試験センターが公表した問題の実例で示します。ノートを作らずに、解き直しの一覧だけで進める方法も並べます。教科書を写さず、問題で必要になった所だけを書く方針です。
目次
結論:電験三種のノートは、「式ノート(式・単位・数字を入れた例・検算)」「図ノート」「法規の条文カード(条・数値・条件)」「間違いノート」の4つの型に分けると、書く量を抑えながら見直しに使えます。教科書の写しにせず、問題を解いて必要になった所だけを書くのがこの記事の方針です。ノートを作らず、解き直す問題の出典を一覧にするだけで進める方法も、同じ重さで並べます。どちらが合格に有利かという根拠は、この記事では示していません。
この記事でわかること(30秒サマリ)
| ノートの型 | 書く内容 | 向く科目 |
|---|---|---|
| 式ノート | 式・単位・数字を入れた例・検算 | 理論・電力・機械 |
| 図ノート | 回路図・ベクトル図・等価回路を、自分で描き直したもの | 理論・機械 |
| 法規の条文カード | 法令名・条・数値・適用の条件・ただし書・条文の版 | 法規 |
| 間違いノート | 出典・論点・誤りの型・次に確かめること | 4科目すべて |
| 作らない選択肢 | 解き直す問題の出典を一覧にする | 4科目すべて |
試験の科目・電卓・科目合格:第三種電気主任技術者試験は、理論・電力・機械・法規の4科目を科目別に行い、解答方式は五肢択一です。試験で使える電卓は、四則演算と開平計算(√)ができるもので、関数電卓、数式が記憶できる電卓、印字機能を有する電卓は使えません。4科目のうち一部だけ合格した場合は「科目合格」となり、申請により、最大で連続して5回まで当該科目の試験が免除されます。最終確認日:2026-10-28。出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者の試験概要。
試験センター非提携:本サイトは一般財団法人 電気技術者試験センターと一切関係ありません。試験の出題・資料は、出典を示して内容を紹介しています。製品名やメーカーは扱いません。
ノートを作る前に決めること
ノートに書くのは、「問題を解いて間違えたもの」と「式や数値があるもの」に絞る方法を、この記事は勧めます(当サイトの提案で、効果を示す根拠はありません)。教科書を最初から写すと、書くだけで時間が過ぎます。問題で必要になった所だけを書く方が、量が抑えられます。
ノートを作らない方法もあります。次の3つは、どれも、ノートを新しく作らない進め方です(当サイトの提案)。
1. 出典の一覧だけを残す。 間違えた問題の「年度・期・科目・問番号」を、1行ずつ表に残し、日を空けて解き直す
2. 問題集の余白に、式を書き直す。 解説の式を読むだけで終えず、余白に自分で書き、数字を入れて検算する
3. 間違えた問題の記録を、問題集サイトに任せる。 当サイトの問題ページには、「まちがえた」「たまたま」「未着手」の問数を数える表示があります
科目ごとにノートを分けておくと、科目合格で免除になった科目の分を、ノートから外せます(科目合格の制度は、上の確認欄のとおりです)。
科目別に、何を書くか
センターが示す4科目の内容は、次のとおりです。ノートの型の対応は、当サイトの提案です。
| 科目 | 科目の内容(センター) | 向いている型 |
|---|---|---|
| 理論 | 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測 | 式ノート+図ノート。計測は、指示値と実効値の違いなど、定義の対応を1行で |
| 電力 | 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料 | 式ノート(単位つき)+数値。発電方式や機器は、違いを1行で |
| 機械 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 | 図ノート(等価回路・ベクトル図)+用語の対応表 |
| 法規 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理 | 条文カード(条・数値・条件・ただし書) |
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者の試験概要。
電験三種は、四則演算と開平計算(√)の電卓で解く試験です。式を暗記する範囲と覚え方は、電験三種の公式の記事で扱っているので、ここでは、ノートへの書き方に絞ります。
式ノートの作り方(式・単位・数字を入れた例・検算)
式ノートは、5段で書きます。単位の欄を作ると、式の意味と次元の誤りを見つけやすくなります。
見本:理論水力(電力)
令和7年度上期の電力の問1は、理論水力の式の単位を、穴埋めで確かめる問題です。
問1 水力発電所の理論水力 P は位置エネルギーの式から P=ρgQH と表される。ここで H[m]は有効落差,Q[m³/s]は流量,g は重力加速度=9.8 m/s²,ρ は水の密度=1 000 kg/m³ である。……上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
出典:令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力 問1(電気技術者試験センター)。問題文の一部を省略しています。センターの解答は(2)で、(ア) kg・m/s²、(イ) N、(ウ) J、(エ) W、(オ) kW です。
ノートには、次のように書きます。
| 段 | 内容 |
|---|---|
| 式 | P=ρgQH[W]。ρ=1 000 kg/m³、g=9.8 m/s² を入れると P=9.8 QH[kW](H:有効落差[m]、Q:流量[m³/s]) |
| 単位の確認 | kg/m³・m/s²・m³/s・m = (kg・m/s²)・m/s = N・m/s = J/s = W |
| 数字を入れた例(作例) | Q=10 m³/s、H=50 m なら、9.8×10×50 = 4 900 kW |
| 検算 | 9 800×10×50 = 4 900 000 W = 4 900 kW |
| 間違いやすい点 | 係数9.8を使うと、単位は[W]ではなく[kW]になる。(オ)に kJ(エネルギーの単位)が並ぶ選択肢は誤り |
数字を入れた例は、自分で数字を変えた問題を1つ作っておくと、式を覚えているかを確かめられます。たとえば Q=4 m³/s、H=25 m なら、9.8×4×25 = 980 kW です(当サイトの作例。検算:9 800×4×25 = 980 000 W)。
この論点の問題を解く
法規の条文カードの作り方
法規は、条文の数値と条件を、セットで残します。数字だけのカードは、条件が抜けた覚え方になるからです。
見本:事故報告(電気関係報告規則第3条)
令和7年度下期の法規の問2は、感電死傷事故の報告の数字を、穴埋めで問う問題です。
問2 自家用電気工作物を(ア)する者は,自家用電気工作物において感電死傷事故が発生したときは,「電気関係報告規則」に基づき,事故の発生を知った時から(イ)時間以内可能な限り速やかに事故の発生の日時及び場所,事故が発生した電気工作物並びに事故の(ウ)について(速報),電話等の方法により行うとともに,事故の発生を知った日から起算して(エ)日以内に様式第13の報告書(詳報)を所轄産業保安監督部長へ提出して行わなければならない。
出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 法規 問2(電気技術者試験センター)。空欄の記号などの表記を、当サイトの書式に変えています。センターの解答は(3)で、(ア) 設置、(イ) 24、(ウ) 概要、(エ) 30 です。
ノートには、条文のカードとして、次のように書きます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出典(問題) | 令和7年度下期 法規 問2 |
| 法令・条 | 電気関係報告規則 第3条(事故報告) |
| 速報 | 事故の発生を知った時から24時間以内、可能な限り速やかに。電話等の方法で、日時・場所、事故が発生した電気工作物、事故の概要を報告する(第3条第2項) |
| 詳報 | 事故の発生を知った日から起算して30日以内に、様式第13の報告書を提出する(第3条第2項) |
| 対象になる条件 | 感電などで人が死傷した事故のうち、「死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る」(第3条第1項の表第一号) |
| 報告先 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長(同表第一号) |
| ただし書 | 同項の表第四号ハ、又は第八号〜第十三号のうち、事故の原因が自然現象のものは、報告書(詳報)の提出を要しない(第3条第2項ただし書) |
| 条文の版 | e-Gov法令検索の令和7年11月20日施行の版(確認日:2026-10-28) |
出典:電気関係報告規則(e-Gov法令検索)第3条、令和7年度下期 法規・解答。
条件とただし書の欄が、このカードの要点です。問題文は「感電死傷事故」と短く書かれていますが、条文の対象は「死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る」で、けがの程度に条件があります(当サイトの整理)。カードの最後に、条文の版を書くのも大切です。令和7年度下期の法規の問題冊子には、問題が「令和7年4月1日現在、効力のある法令に基づいて作成」されたと書かれています。
この論点の問題を解く
間違いノートの作り方
間違いノートは、「どの問題で」「何を」「なぜ間違えたか」を残すノートです。項目は次の5つにします。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 出典 | 年度・期・科目・問番号(例:令和7年度下期 理論 問14) |
| 論点 | 1行(例:整流形電圧計の指示値) |
| 自分の答えと正解 | 選んだ番号と正解の番号 |
| 誤りの型 | 知識不足/読み違い/計算ミス/単位の取り違え のどれか |
| 次に確かめること | 同じ誤りを防ぐ手順を1行 |
誤りの型は、当サイトの分け方です。型を決めて書くと、見直すときに「自分は単位の取り違えが多い」のように、傾向を見られます。
見本:整流形電圧計の指示値
令和7年度下期の理論の問14です。
問14 目盛が正弦波交流に対する実効値になる整流形の電圧計(全波整流形)がある。この電圧計で図のような周期20 msの繰り返し波形電圧を測定した。このとき,電圧計の指示の値[V]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。(図:0〜10 msは8 V、10〜20 msは0 Vの方形波の繰り返し)
(1) 5.66 (2) 5.14 (3) 4.62 (4) 4.44 (5) 4.00
出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論 問14(電気技術者試験センター)。図は当サイトが文章で説明したもので、問題の一部を省略・改変しています。センターの解答は(4)です。
正解は、次のように求まります(当サイトの整理)。全波整流しても、この波形は0以上なので、平均値は 8×10÷20 = 4.0 V です。目盛が「正弦波の実効値」になる整流形の電圧計は、平均値に、正弦波の波形率(実効値÷平均値=π÷(2√2)=約1.111)を掛けた値を示すので、4.0×1.111 = 約4.44 V です。
間違いノートでは、誤った選択肢の数字が、どの取り違えで出るかも書いておくと、同じ誤りを見分けやすくなります(当サイトで計算した結果です)。
| 選んだ選択肢 | その数字が出る計算 | 誤りの型 |
|---|---|---|
| (1) 5.66 | 8÷√2 = 約5.66(波形の実効値そのもの。電圧計の指示値ではない) | 読み違い(問われているのは、指示値) |
| (5) 4.00 | 平均値のまま(波形率の約1.111を掛け忘れ) | 知識不足 |
| (2) 5.14、(3) 4.62 | この記事では、数字が出る計算を特定していません | - |
このノートの「次に確かめること」は、「整流形の指示値は、平均値×1.111。実効値は別に求めて、混同しない」の1行で足ります。
この論点の問題を解く
直前期の見直し方
直前期は、ノートを新しく作るより、間違いノートを論点ごとに束ねて読む使い方に切り替えます。次の順は当サイトの提案です。
- ①間違いノートを「誤りの型」で分け、多い型から読む。
- ②式ノートは、式の欄を隠して、数字を入れた例から式を言えるか確かめる。
- ③法規の条文カードは、数値と条件の欄を隠して、条から言えるか確かめる。
- ④図ノートは、見ずに、最初の1枚だけ描き直す。
ノートを作らない場合は、出典の一覧の古い順に、問題を解き直します。
当サイトの問題を、ノートの材料にする
当サイトには、電気技術者試験センターが公表した電験三種の問題を、理論・電力・機械・法規の4科目で356問収録しています(2026-10-28 時点)。問題ページには3段階の解説があり、間違えた原因の確認に使えます。間違えた問題は、出典(年度・期・科目・問番号)をノートか一覧に控えておきます。
まとめ
1. ノートは、式ノート・図ノート・法規の条文カード・間違いノートの4つの型で書く。教科書の写しではなく、問題で必要になった所だけを書く。
2. 式は「式・単位・数字を入れた例・検算」で書く。計算は、四則と√の電卓で確かめられる形にする。
3. 法規は、数値と条件とただし書を、セットのカードにする。条文の版も書く。
4. 間違いノートは「出典・論点・答え・誤りの型・次に確かめること」の5項目で、型ごとに見直す。
5. ノートを作らず、解き直す問題の出典を一覧にする進め方もある。
一次ソース
- 電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験の問題と解答
- 電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者の試験概要
- 令和7年度上期 電力(問題)・解答
- 令和7年度下期 理論(問題)・法規(問題)・解答
- e-Gov法令検索 電気関係報告規則
(いずれも2026-10-28 時点)
よくある質問
Qノートに、問題文を書き写してもよいですか?
書き写す必要はありません。ノートには、問題の出典(年度・期・科目・問番号)と論点を1行、自分の誤りと正しい考え方を書けば足ります。電気技術者試験センターは、公表している過去の試験問題について、許諾や使用料は必要ないとしています。条件は、出典(年度、期、試験区分等)の明記で、問題の一部を改変した場合はその旨の明記も求めています(確認日:2026-10-28)。出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験の問題と解答。
Qノートを作らなくても、合格できますか?
合否は、4科目それぞれの試験で決まり、ノートの有無は条件に入っていません(試験は科目ごとに合否が決まり、4科目すべてに合格すると合格、というのがセンターの説明です)。ノートを作る方が合格しやすいという根拠は、この記事では示していません。作らない場合は、解いた問題の出典を一覧にして解き直す、式を問題集の余白に書き直す、という進め方があります(当サイトの提案)。出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者の試験概要。
Q法規のノートには、何を書けばよいですか?
法令名・条・数値・適用の条件・ただし書を、1枚のカードに書く方法があります。たとえば、電気関係報告規則第3条は、感電などで人が死亡又は入院した事故について、事故の発生を知った時から24時間以内に速報、知った日から起算して30日以内に様式第13の報告書(詳報)を求めています。数字だけを覚えると、「死亡又は入院した場合に限る」という条件が抜けるので、条件の欄を別に作ります(本文に見本があります)。出典:電気関係報告規則(e-Gov法令検索)第3条。
Qノートの計算は、試験で使える電卓の範囲で書けばよいですか?
センターの説明では、試験で使える電卓は、四則演算と開平計算(√)ができるものです。数式が記憶できる電卓、関数電卓、印字機能を有する電卓は使えません(確認日:2026-10-28)。ノートの数字を入れた例と検算は、四則と√だけで確かめられる形にしておくと、試験の条件に合わせた練習になります(当サイトの提案)。三角関数の値の扱いは公式の記事にまとめています。出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者の試験概要。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月28日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

