電験三種の法規科目の出題範囲と問題数、直近2回(令和7年度下期・令和8年度上期)の全26問を分野別に数えた表、法規の科目別合格率をセンターの公表資料でまとめました。電気事業法・電技省令・電技解釈の条文と、漏えい電流・需要率・力率改善の計算を検算つきで解説します。
目次
結論:電験三種の法規は「電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理」が範囲で、電気事業法・電気設備技術基準(電技)・電技解釈と、需要率・力率改善などの施設管理から、A問題10題とB問題3題が出ます。直近2回の全26問を数えると、電技と電技解釈が16問で6割を占めました。法規の合格率は直近3回で21.1〜24.4%です。電技・解釈の数値を本試験問題で覚え、B問題の計算を落とさないことが合格の近道です。
| 分野 | 令和7年度下期 | 令和8年度上期 |
|---|---|---|
| 電気事業法・電気関係報告規則など | 2問 | 2問 |
| 技術基準(電技省令・風力の技術基準) | 3問 | 3問 |
| 電技解釈 | 6問 | 5問 |
| 電気施設管理(受電設備・試験・損失など) | 2問 | 3問 |
| 合計 | 13問 | 13問 |
令和7年度下期・令和8年度上期の列は、電気技術者試験センターが公表した法規の問題冊子(令和7年度下期・令和8年度上期)の全13問ずつを、各問の主題で合格ナビ編集部が分類して数えたものです。B種接地工事のように解釈の規定を使う計算問題は「電技解釈」に入れています。「技術基準」の行のうち、令和8年度上期の問5は「発電用風力設備に関する技術基準を定める省令」(電技省令とは別の省令)の問題です。結論の「電技と電技解釈で16問」は、この1問を除いた数です。合格ナビには、令和4年度上期〜令和7年度下期のうち7回分の法規の本試験問題を89問収録しています(令和6年度下期は未収録・2026-10-02 集計)。
電験三種 法規の出題範囲と問題数
第三種電気主任技術者の試験概要では、法規の範囲を「電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理」と定めています。令和8年度上期の受験案内による形式は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解答数 | A問題10題、B問題3題 |
| 試験時間 | 65分(理論・電力・機械は90分) |
| 解答方式 | 五肢択一(筆記方式はマークシート、CBT方式はパソコン) |
| 範囲に含まれるもの | 受験案内の備考に「法規科目には「電気設備の技術基準の解釈について」(経済産業省の定める省令の解釈)に関するものを含みます。」 |
| 配点(令和7年度下期の解答) | A問題1題6点、B問題は小問(a)(b)ごとに6点または7点 |
ほかの3科目はA問題1題5点ですが、法規はA問題の題数が10題と少ないぶん、1題6点です(令和7年度下期の解答の配点欄)。A問題を1題落とすと6点減るので、条文の数値の取りこぼしが響きます。
電験三種の法規は難しい?科目別合格率と合格基準
法規の合格率は、センターのプレス発表の科目別内訳(第3表)で確認できます。
| 試験 | 法規の受験者 | 法規の合格者 | 法規の合格率 | 筆記方式の法規の合格基準 |
|---|---|---|---|---|
| 令和6年度 下期 | 17,018人 | 4,144人 | 24.4% | 60点 |
| 令和7年度 上期 | 17,255人 | 3,990人 | 23.1% | 60点 |
| 令和7年度 下期 | 16,443人 | 3,472人 | 21.1% | 60点 |
出典:電気技術者試験センターのプレス発表 令和6年度下期・令和7年度上期・令和7年度下期(第3表と本文の合格基準)。
電験三種 法規の合格率:令和8年度上期の法規の合格率は22.7%(受験者17,497人・合格者3,980人。出典:電気技術者試験センター 令和8年度上期の結果、最終確認日:2026-10-29)。令和7年度下期の法規の合格率は21.1%(受験者16,443人・合格者3,472人)。最終確認日:2026-10-02。出典:電気技術者試験センター 令和7年度第三種電気主任技術者下期試験の結果について。
電験三種 法規の合格基準:令和8年度上期の筆記方式の法規の合格基準は60点以上(100点満点)。最終確認日:2026-10-02。出典:電気技術者試験センター お知らせ(2026年9月14日)。
同じ3回の科目別合格率をほかの科目と比べると、令和6年度下期は法規が4科目でいちばん低く(24.4%)、令和7年度上期・下期は法規より低い科目がありました(上期は理論18.7%・機械19.1%、下期は機械19.8%・電力20.7%)。「法規だけが特に難しい」とは言えず、ほかの科目と同じ水準の合格率です。科目合格の期限(最大で連続5回)と4科目の組み合わせ方は電験三種の科目合格の記事にまとめています。
電気事業法:技術基準の維持・保安規程・主任技術者
法規の「電気法規」の柱は電気事業法です。事業用電気工作物を設置する者の義務として、試験でよく問われる3つの条文は次のとおりです(条文は e-Gov 法令検索で確認(2026-10-02 時点の現行条文):電気事業法)。
| 条文 | 内容(条文の要点) |
|---|---|
| 第39条第1項 | 「事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。」 |
| 第42条第1項 | 事業用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く)を設置する者は、保安規程を定め、使用の開始前に主務大臣に届け出る |
| 第43条第1項 | 保安の監督をさせるため、「主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。」 |
第39条第1項の「主務省令で定める技術基準」が、次の章の電技です。第43条には、自家用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く)について、主務大臣の許可を受けて免状のない者を主任技術者に選任できる例外(第2項)もあります。ほかに、電気関係報告規則による事故報告(速報・詳報の期限と、どの事故が報告の対象か)も毎回のように出ています。
この論点の問題を解く:
- 事業用電気工作物の技術基準への適合(令和6年度上期)
- 主任技術者の選任と職務の正誤(令和5年度上期)
- 自家用電気工作物の保安規程に定める事項(令和5年度下期)
- 一般用・自家用電気工作物の保安体系(令和4年度上期)
- 自家用電気工作物の感電死傷事故の報告(令和7年度下期)
- 電気関係報告規則で報告が必要な事故(令和7年度上期)
電気設備技術基準(電技):絶縁性能の数値(例題1)
電技(電気設備に関する技術基準を定める省令)は、電気設備が満たすべき性能を定めた省令です。法規では、条文の空欄に語句や数値を入れる問題と、その数値を使う計算が出ます。代表例が絶縁性能の2つの条文です(条文は e-Gov 法令検索で確認(2026-10-02 時点の現行条文):電気設備に関する技術基準を定める省令)。
- 第22条(低圧電線路の絶縁性能):「低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の二千分の一を超えないようにしなければならない。」
- 第58条(低圧の電路の絶縁性能):電気使用場所の低圧の電路の絶縁抵抗は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、次の表の値以上
| 電路の使用電圧の区分 | 絶縁抵抗値 |
|---|---|
| 300V以下で、対地電圧が150V以下の場合 | 0.1MΩ |
| 300V以下で、その他の場合 | 0.2MΩ |
| 300Vを超えるもの | 0.4MΩ |
第58条は3区分で、300V以下でも対地電圧150V以下なら0.1MΩです。第22条の計算を本試験問題で確かめます。
「電気設備技術基準」では,低圧電線路の絶縁性能として,「低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は,使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の (ア) を超えないようにしなければならない。」と規定している。
今,定格容量75 kV・A ,一次電圧6 600 V,二次電圧105 V の単相変圧器に接続された単相2 線式105 V 1 回線の低圧架空配電線路について,上記規定に基づく,この配電線路の電線1 線当たりの漏えい電流[A] の許容最大値を求めることとする。
上記の記述中の空白箇所(ア)に当てはまる語句と漏えい電流[A]の許容最大値との組合せとして,最も適切なのは次のうちどれか。
(1) 1 000 分の1・0.714 (2) 1 000 分の1・1.429 (3) 1 500 分の1・0.476 (4) 2 000 分の1・0.357 (5) 2 000 分の1・0.179
出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 法規 問5(一般財団法人電気技術者試験センター)
解き方1(最大供給電流から求める)
- (ア)は第22条のとおり「2 000分の1」
- 最大供給電流:変圧器の定格容量÷二次電圧=75,000÷105≒714.3 A
- 1線当たりの漏えい電流の許容最大値:714.3÷2,000≒0.357 A
答えは(4)です。公式の解答も(4)です(令和7年度下期 解答)。
解き方2(逆算で確かめる):0.357 Aが最大供給電流の2,000分の1なら、最大供給電流は0.357×2,000=714 A。これに105 Vを掛けると約74,970 V・A≒75 kV・Aで、問題文の変圧器容量に戻ります。同じ「2 000分の1」の(5)0.179 Aは、正しい値0.357 Aのちょうど半分です。
この論点の問題を解く:
- 低圧電線路の漏えい電流の許容値(令和7年度下期)
- 低圧電線路の絶縁性能の規定の空欄(令和7年度上期)
- 低圧の電路の絶縁抵抗値の表(令和6年度上期)
- 電路の絶縁の原則とただし書(令和5年度下期)
- 感電・火災等の防止の規定(令和7年度下期)
電技解釈:接地工事・絶縁耐力試験・分散型電源
電気設備の技術基準の解釈(経済産業省・最終改正は令和7年11月20日付け)は、前文で「省令に定める技術的要件を満たすものと認められる技術的内容をできるだけ具体的に示したもの」と位置づけられています。省令が「感電のおそれがないように」と性能で書くのに対し、解釈は数値と工事方法で書くため、計算問題の多くは解釈の数値を使います。
たとえば、第14条は低圧電路の絶縁性能について、第58条の絶縁抵抗に加えて「絶縁抵抗測定が困難な場合においては、当該電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が、1mA以下であること」を認めています。第17条のB種接地工事の接地抵抗値は、高圧側の1線地絡電流をIgとして、混触時に自動で遮断する装置の有無と遮断時間で3通りに分かれます。
| 混触時の自動遮断(低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合) | B種接地工事の接地抵抗値 |
|---|---|
| 下記以外の場合 | 150/Ig(Ω)以下 |
| 1秒を超え2秒以下で遮断する装置 | 300/Ig(Ω)以下 |
| 1秒以下で遮断する装置 | 600/Ig(Ω)以下 |
300/Ig と600/Ig の行は、高圧又は35,000V以下の特別高圧の電路と低圧電路を結合する変圧器の場合です(解釈 第17条第2項・17-1表)。解釈は第1章の総則から、電線路、電気使用場所、分散型電源の系統連系設備(第8章)まで章が分かれており、直近2回でも地中電線路・屋側電線路・系統連系・低圧屋内配線など、毎回違う章から出ています。省令と解釈の構成や、条番号の読み方は電気設備技術基準とは?省令と解釈の構成・条番号の読み方にまとめています。
この論点の問題を解く:
- 機械器具の鉄台の接地工事の正誤(令和7年度下期)
- B種接地抵抗値と金属製外箱のD種接地抵抗値(令和6年度上期)
- B種接地工事と対地静電容量の計算(令和5年度上期)
- 高圧CVケーブルの絶縁耐力試験と補償リアクトル(令和7年度下期)
- 分散型電源の高圧連系時の系統連系用保護装置(令和7年度上期)
電気施設管理の計算:需要率・不等率・負荷率(例題2)
電気施設管理は、受電設備の運用や負荷の管理を扱い、B問題で計算が出ます。基本の3つの率は次の式です。
- 需要率=最大需要電力÷設備容量×100[%]
- 不等率=各負荷の最大需要電力の合計÷合成最大需要電力(1以上になる)
- 負荷率=平均需要電力÷最大需要電力×100[%]
例題(合格ナビ編集部の作成):設備容量500 kWのA工場(最大需要電力300 kW、1日の使用電力量4,800 kWh)と、設備容量400 kWのB工場(最大需要電力240 kW、1日の使用電力量3,600 kWh)がある。両工場を合わせた最大需要電力は450 kWだった。各工場の需要率、不等率、合成の負荷率を求めよ。
解き方1(定義どおりに計算)
- 需要率:A=300÷500=60%、B=240÷400=60%
- 不等率:(300+240)÷450=1.2
- 合成の平均需要電力:(4,800+3,600)÷24=350 kW
- 合成の負荷率:350÷450≒77.8%
解き方2(式を入れ替えて確かめる):不等率の式を変形すると、合成最大需要電力=最大需要電力の合計÷不等率=540÷1.2=450 kWで、問題の値に戻ります。負荷率から逆算すると、平均需要電力=0.778×450≒350 kW、1日分で350×24=8,400 kWhとなり、2工場の使用電力量の合計と一致します。
この論点の問題を解く:
力率改善:進相コンデンサの容量(例題3)
力率改善は、負荷と並列に進相コンデンサを入れて無効電力を打ち消す計算です。有効電力をP、改善前と改善後の力率角をθ1・θ2とすると、必要なコンデンサ容量は Qc=P(tanθ1-tanθ2) です。
例題(合格ナビ編集部の作成):有効電力400 kW、遅れ力率0.8の負荷の力率を0.95(遅れ)に改善するのに必要なコンデンサ容量[kvar]を求めよ。
解き方1(tanの差から求める)
- tanθ1=√(1-0.8²)÷0.8=0.6÷0.8=0.75
- tanθ2=√(1-0.95²)÷0.95≒0.3122÷0.95≒0.3287
- Qc=400×(0.75-0.3287)≒168.5 kvar
解き方2(改善後の力率を計算し直す):改善前の無効電力は400×0.75=300 kvar。コンデンサを入れた後は300-168.5=131.5 kvarで、改善後の力率は400÷√(400²+131.5²)≒400÷421.1≒0.95となり、目標の力率に戻ります。
本試験では、直列リアクトル付きのコンデンサ設備にしたときの端子電圧など、もう一段の計算が加わることがあります。
この論点の問題を解く:
電験三種 法規の勉強方法:5つの手順
法規の勉強方法は、「解く→条文で確かめる→数値と条件を表にする→計算は式で解く→別の回で確かめる」の順に進める方法が組み立てやすいです。出題の配分(電技・解釈で直近2回の26問中16問)と、B問題で計算が出ることをもとにした、当サイト編集部の学習手順の例です。
- ① 最新回の法規を、時間を計って1回解く:センターは第三種の問題と解答のページで、平成21年度から令和8年度上期までの22回分の問題と解答のPDFを無料で公開しています(2026-10-04 に当サイトがページ上の実施日と問題・解答のリンク数を数えた件数)。法規は13題65分で、1題あたり5分です
- ② 間違えた問題は、根拠の条文を原文で引く:電気事業法と電技省令は e-Gov 法令検索、電技解釈は経済産業省のPDFで確かめます。解釈は全8章で、目次の第1章は総則(第1条〜第37条の2)、接地工事は第1章第3節(第13条〜第19条)、第3章は電線路(第49条〜第133条)、第8章は分散型電源の系統連系設備(第220条〜第234条)と分かれています。章の見当をつければ、探す時間が短くなります
- ③ 数値と条件を、1枚の表にまとめる:下の「数値と条件の表」の形で、条文ごとに自分の表を作ります
- ④ 施設管理の計算は、暗記ではなく式で解く:需要率・不等率・負荷率と力率改善は、上の例題のように定義の式だけで解けます。確実な得点源にします
- ⑤ 別の年度の同じ論点で確かめる:同じ論点が別の年度で、空欄補充・正誤・計算と形を変えて出ているかを当サイトの問題で確かめます。直前期は最新回を通しで解き、解釈の最終改正日(現行は令和7年11月20日付け)が変わっていないかを経済産業省のページで確認します
法令の基準日について、センターの令和8年度上期の受験案内には、出題に使う法令の基準日を示す記載はありません(本文に「基準日」の語は0件、2026-10-04 時点)。基準日が示されていない以上、「この日の条文で出る」と決めつけずに、最新の現行条文で覚えておきます。
法規の計算には、理論で学ぶ交流回路や三相の計算が出てきます。理論の出題傾向は電験三種 理論のコツと出題傾向、4科目全体の勉強の順番は電験三種の勉強方法、科目ごとの勉強時間の計算方法は電験三種の科目別の勉強時間で扱っています。勉強時間の数字は公式には示されておらず、本記事では示しません。
法規の暗記の優先度:収録89問で、どの論点が多いか
何から暗記するかは、「押さえておきたい論点」から決めるのが基本です。ただし、公式に論点別の出題割合は公表されていません。そこで、当サイト収録の法規89問(令和4年度上期〜令和7年度下期のうち令和6年度下期を除く7回分)の問題文と選択肢に、各論点の語が入っている問題を数えました(2026-10-04 集計)。1問が複数の論点に数えられるため、合計は89になりません。
| 論点(問題文・選択肢にある語) | 収録89問のうちの問題数 | 暗記する中身 |
|---|---|---|
| 「…の解釈」に基づく問題 | 37問 | 条ごとの数値と施設の条件 |
| 接地 | 23問 | 接地工事の種類ごとの抵抗値と条件 |
| 電線路(架空・地中・屋側) | 22問 | 高さ・離隔・施設してよい場所の条件 |
| 絶縁(絶縁抵抗・絶縁耐力・絶縁性能) | 20問 | 絶縁抵抗値、試験電圧の倍率 |
| 系統連系・分散型電源(太陽電池・風力を含む) | 14問 | 連系の条件と保護装置 |
| 保安規程 | 5問 | 保安規程に定める事項 |
| 事故報告(電気関係報告規則) | 5問 | 報告の対象と期限 |
| 力率・コンデンサ | 5問 | 式と計算の手順 |
| 需要率・負荷率・不等率 | 3問 | 定義の式 |
| 主任技術者 | 2問 | 選任と職務 |
数えた方法は、問題文と選択肢の文字列に語(「接地」「絶縁」「保安規程」など)が含まれるかを機械で調べたものです。収録問題の数であり、試験全体の出題割合ではありません。なお、当サイトの問題一覧では法規89問のうち57問が「電気設備技術基準(電技解釈)」に分類されていますが、これは電技省令の問題も含む当サイト内の分類名です。本表の「…の解釈」の語がある問題は37問で、57問のうち34問を含みます(同じ2026-10-04の集計)。ここから言えるのは、当サイトの収録問題では、接地・電線路・絶縁の3つに解釈の数値を問う問題が集まっているという点までです。
この件数から、当サイト編集部は次の順に暗記の優先度を置くことを提案します。
- 優先度が高い:接地工事の種類と抵抗値、絶縁性能の数値(電技第22条・第58条、解釈の絶縁耐力試験)、電線路の高さ・離隔。複数の論点に顔を出し、計算問題の前提にもなります
- 次に覚える:系統連系の条件、保安規程・事故報告(主語と期限)。出る数は少なくても、毎回のように顔を出す形が決まっています
- 式で解くので、暗記しなくてよい:需要率・負荷率・不等率と力率改善は、定義の式から導けます
- 条番号は、後回しでよい:収録89問のうち、問題文や選択肢に「第○条」と条番号が書かれている問題は4問だけでした。条番号より、数値と条件の中身を優先します
この論点の問題を解く:
- 電気設備の接地の正誤(令和7年度下期)
- B種接地抵抗値と金属製外箱のD種接地抵抗値(令和6年度上期)
- 高圧架空電線路の機械器具等の接地工事の事例(令和4年度上期)
- 高圧屋内配線の施設とA種・C種接地(令和4年度下期)
数値と条件の表の作り方:接地工事と絶縁耐力試験(例題4)
暗記する内容は、「数値」と「その数値が使える条件」をセットにして表にします。解釈第17条の接地工事(A種〜D種)で作ってみます(条文は経済産業省の電気設備の技術基準の解釈の最終改正令和7年11月20日付けの版)。
| 種類 | 接地抵抗値 | 条件・例外 |
|---|---|---|
| A種接地工事 | 10Ω以下 | なし |
| B種接地工事 | 150/Ig、300/Ig、600/Ig(Ω)以下 | 高圧又は35,000V以下の特別高圧の電路と低圧電路を結合する変圧器では、混触時の自動遮断が1秒を超え2秒以下なら300/Ig、1秒以下なら600/Ig。それ以外は150/Ig(17-1表) |
| C種接地工事 | 10Ω以下 | 低圧電路で地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動で遮断する装置を施設するときは、500Ω以下 |
| D種接地工事 | 100Ω以下 | 低圧電路で地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動で遮断する装置を施設するときは、500Ω以下 |
覚える順は、「A種とC種は10Ω、D種は100Ω」の基本の数値を先にし、次に0.5秒以内の遮断装置があれば500Ωという例外の条件を足します。例外は、C種とD種が低圧電路の場合だけに付いています。B種のIgは、変圧器の高圧側の電路の1線地絡電流(単位A)で、実測値か、高圧電路では解釈の計算式で求めます。「2A未満となる場合は2A」という下限の条件は、Igを計算式で求める場合(第17条第2項第二号ロ)に付いています(実測値には付きません)。
数値を使う計算の例として、絶縁耐力試験を作ります。解釈第15条は、高圧の電路が10分間耐える試験電圧を、最大使用電圧が7,000V以下の交流の電路では最大使用電圧の1.5倍の交流電圧と定めています。また、電線にケーブルを使用する交流の電路では、その2倍の直流電圧を10分間加える方法も認めています。最大使用電圧は、解釈第1条の表(1-1表)で、使用電圧が1,000Vを超え500,000V未満の場合は使用電圧に1.15/1.1を乗じます。
例題(合格ナビ編集部の作成):使用電圧6,600Vの高圧ケーブルの電路について、最大使用電圧と、交流で試験する場合・直流で試験する場合の試験電圧を求めよ。
解き方1(条文の式に入れる)
- 最大使用電圧:6,600×1.15/1.1=6,900 V
- 交流の試験電圧:6,900×1.5=10,350 V(10分間)
- 直流の試験電圧:10,350×2=20,700 V(10分間)
解き方2(逆算で確かめる):交流の試験電圧10,350 Vを1.5で割ると6,900 Vで、最大使用電圧に戻ります。直流20,700 Vは交流10,350 Vのちょうど2倍で、第15条第二号の「15-1表に規定する試験電圧の2倍の直流電圧」と一致します。最大使用電圧6,900 Vは、使用電圧6,600 Vを約1.045倍した値で、係数1.15/1.1=約1.045と一致します。
この数値を使う本試験問題が、最大使用電圧6.9 kVの高圧CVケーブルの絶縁耐力試験です。
同じ要領で、第58条の絶縁抵抗値(0.1・0.2・0.4MΩ)や、解釈第14条の漏えい電流1mA以下の条件も、「数値と条件」の1行にしておきます。
条文を読むときの3つの落とし穴
数値を覚えるときに間違えやすい点を、条文から3つ挙げます。
- 条件の付いた数値:C種・D種の500Ωは、低圧電路で0.5秒以内の自動遮断装置がある場合だけです。条件を落として「D種は500Ω」と覚えると誤りになります
- 下限や例外の規定:B種接地工事のIgを計算式で求めたときは2A未満なら2A、絶縁耐力試験の試験電圧(15-1表)にも下限があります。たとえば最大使用電圧が7,000Vを超え60,000V以下の電路の「上記以外」の区分では、最大使用電圧の1.25倍が10,500V未満となる場合は10,500Vです。数値だけでなく「未満ならこの値」という但し書きまでが1セットです
- 省令と解釈の関係:解釈は、省令の要件を満たすと認められる技術的内容を具体的に示したもので、解釈に限定されるものではないと前文に書かれています。問題が「電気設備技術基準」と「電気設備技術基準の解釈」のどちらに基づくかを、問題文の冒頭で確認します
条文の但し書きと括弧書きは、どの部分にかかっているかを原文で確かめます。解釈の条文は、章の見当をつけてから、第15条のように表(15-1表)のある条は表の読み方まで確認します。
法規の本試験問題を分野別に解く
法規は暗記の比重が大きい科目ですが、覚えた数値は計算問題で使う形で問われます。例題で使った条文と式を、収録している法規の89問で続けて確かめてください。
よくある質問
Q法規の合格基準が60点より下がることはありますか?
受験案内では、合格基準は各科目とも原則60点で、試験の難易度等から調整する場合があるとしています。令和6年度下期・令和7年度上期・令和7年度下期の筆記方式では、法規の合格基準はいずれも60点以上でした(同じ期間に電力や機械が55点に調整された回があります)。
Q電技(省令)と電技解釈は、どう違うのですか?
電技は経済産業省令(電気設備に関する技術基準を定める省令)で、守るべき性能を定めています。電技解釈は、その性能を満たすと認められる具体的な方法(数値・工事方法)を経済産業省が示したものです。解釈の前文には、省令の要件を満たす技術的内容は「この解釈に限定されるものではなく」と書かれています。
Q法規のB問題では、どんな計算が出ますか?
直近2回では、接地抵抗の測定、高圧ケーブルの絶縁耐力試験、支線の強度(令和7年度下期)、トップランナー変圧器の損失、B種接地と対地静電容量、高圧進相コンデンサの劣化診断(令和8年度上期)が出ました。需要率・負荷率や力率改善も、ほかの回のB問題で出ています。
Q法規は暗記だけで合格できますか?
暗記だけで合格できるかどうかを示す公式のデータはありません。当サイト収録の法規89問では、電技解釈の数値を問う問題が多い一方、B問題には需要率や力率改善などの計算が出ています(本文の分類)。数値と条件を覚える勉強と、定義の式で解く計算の勉強を分けて進める方法を、本文で紹介しています。
Q法規の条文の番号は覚える必要がありますか?
当サイト収録の法規89問のうち、問題文や選択肢に「第○条」と条番号が書かれている問題は4問でした(2026-10-04 集計)。収録問題での件数なので試験全体の傾向とは言えませんが、条番号そのものより、条文の数値と条件の中身を優先して覚える方法が組み立てやすいです。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月29日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

