電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和6年度上期 法規 問12(a)|電気設備技術基準(電技解釈)

問題

電験三種 | 法規 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

三相3 線式の高圧電路に300 kW,遅れ力率0.6 の三相負荷が接続されている。この負荷と並列に進相コンデンサ設備を接続して力率改善を行うものとする。進相コンデンサ設備は図に示すように直列リアクトル付三相コンデンサとし,直列リアクトルSR のリアクタンスX_L[Ω]は,三相コンデンサSC のリアクタンスX_C[Ω]の6 %とするとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし,高圧電路の線間電圧は6 600 V とし,無効電力によって電圧は変動しないものとする。 (a) 進相コンデンサ設備を高圧電路に接続したときに三相コンデンサSC の端子電圧の値[V]として,最も近いものを次の(1)〜(5)の中から選べ。

問題の図(出典: 令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験 法規 問12/電気技術者試験センター)

図の出典:令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験 法規 問12

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解説

直列リアクトル付き進相コンデンサ設備を高圧電路に接続したときの,三相コンデンサSCの端子電圧を求める計算問題(令和6年度上期 問12(a))。正答は(5)「7 021」です。

直列リアクトルSR(6 %)とコンデンサSCを直列に接続して回路電圧(6,600 V)に接続すると,リアクトルとコンデンサが打ち消し合う方向に働くため,コンデンサには回路電圧そのものより高い電圧がかかります(電圧拡大作用)。具体的には回路電圧を「1-0.06」で割った値がコンデンサの端子電圧になり,6,600÷0.94≒7,021 Vとなります。

【論点】直列リアクトル付き進相コンデンサ設備における電圧拡大作用(令和6年度上期 問12(a))

【① 直列リアクトルとコンデンサの電圧分担】

直列リアクトルSR(リアクタンスX_L)とコンデンサSC(リアクタンスX_C)を直列に接続した回路に電圧Vを加えると,誘導性のX_Lと容量性のX_Cは位相が180°逆(符号が逆)であるため,両者にかかる電圧はベクトル的に差し引かれる関係になる。回路全体のインピーダンスはX_C-X_L(=X_C(1-0.06))となり,SCの端子電圧V_SCは

V_SC=V×X_C/(X_C-X_L)=V/(1-0.06)=V/0.94

【② 数値を代入する】

高圧電路の線間電圧は6,600 Vなので,

V_SC=6,600/0.94≒7,021 V

【③ 結論】

この7,021 Vという値が,三相コンデンサSCの端子電圧(線間電圧換算)として最も近い選択肢は(5)「7 021」であり,これが正答となる。直列リアクトルの存在により回路電圧よりも高い電圧がコンデンサにかかる「電圧拡大作用」を理解していれば,6,600÷0.94≒7,021という計算から(5)を選べる。

【核心論点】進相コンデンサに直列リアクトルを接続すると,LC直列回路特有の「電圧拡大作用」により,コンデンサの端子電圧は回路電圧より高くなるという現象の理解(令和6年度上期 問12(a))。正答は(5)です。

【なぜ直列リアクトルを接続するのか】

進相コンデンサ設備には,高調波電流によるコンデンサの過熱・劣化を防ぐ目的で,コンデンサに直列にリアクトル(SR)を接続することが一般的である。リアクトルは高調波に対してインピーダンスが大きくなる性質を持つため,高調波電流がコンデンサに集中して流れ込むことを抑制する効果がある。

【電圧拡大作用のメカニズム】

直列リアクトルSRのリアクタンスX_Lを,コンデンサSCのリアクタンスX_Cの6 %とすると,SRとSCを直列に接続した回路に電源電圧Vを加えたとき,両者は互いに逆向き(容量性と誘導性)のリアクタンスであるため,回路全体としてのインピーダンスの大きさは X_C-X_L=X_C(1-0.06)=0.94X_C と,コンデンサ単体のリアクタンスよりも小さくなる。一方,コンデンサ自体にかかる電圧はV_SC=I×X_C(Iは回路を流れる電流)であり,電流IはV/(0.94X_C)で求まるため,結局V_SC=V×X_C/(0.94X_C)=V/0.94となり,回路電圧Vよりも約6.4 %(1/0.94-1)高い電圧がコンデンサにかかることになる。

【数値計算】

高圧電路の線間電圧6,600 Vに対し,V_SC=6,600/0.94≒7,021 Vとなり,これが選択肢(5)の数値に対応する。直列リアクトルの比率(6 %)が大きいほど,この電圧拡大率も大きくなるため,コンデンサの絶縁設計やリアクトルの比率選定において,この電圧上昇を見込んでおく必要がある。

【(b)問との関係】

続く(b)問では,この進相コンデンサ設備により力率を遅れ0.6から遅れ0.8に改善した場合のコンデンサ容量[kvar]が問われる(公式解答は(3)186 kvar)。力率改善に必要な設備全体の無効電力は 300×(0.8/0.6-0.6/0.8)=300×(1.333-0.75)≒175 kvar であり,コンデンサSCはその1/0.94倍の容量が必要になる(SCの無効電力の一部をSRが打ち消すため)。175/0.94≒186 kvar となり,(a)の拡大率1/0.94がそのまま(b)でも使われる。

【実務上の意義】

直列リアクトル付き進相コンデンサ設備は,高調波対策として広く採用されている一方,この電圧拡大作用を見落とすと,コンデンサに想定以上の電圧ストレスがかかり,絶縁破壊や寿命低下を招くおそれがある。設備設計・選定にあたっては,リアクトルの比率(6 %・13 %等)に応じた電圧拡大率を必ず確認する必要がある。

この問題の根拠出典:令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験 法規(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験 法規(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。