電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和7年度下期 法規 問12(b)|電気関係法規

問題

電験三種 | 法規 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

「電気設備技術基準の解釈」に基づいて,最大使用電圧が6.9 kV の電路に接続する,導体断面積100 mm²,長さ800 m の高圧CVケーブル(単心)の絶縁耐力試験を交流で実施する場合について,次の(a)及び(b)に答えよ。 ただし,周波数は50 Hz,ケーブルの対地静電容量は1 km 当たり0.45 μF とする。なお,(a)で求めた充電電流は1.17 Aである。 (b) 図のような試験回路でケーブルの絶縁耐力試験を行う場合,試験用変圧器の容量を5 kV・Aとしたとき,補償リアクトルの必要最少の設置台数として,正しいのは次のうちどれか。ただし,試験電圧を印加したとき,1台の補償リアクトルに流すことができる電流(電流容量)は270 mAとする。 (図:交流電源から試験用変圧器(110/11 000 V,5 kV・A)で昇圧し,その高圧側に被試験ケーブルの導体と補償リアクトルを並列に接続し,ケーブルの金属遮へい層と補償リアクトルの他端を接地した試験回路)

問題の図(出典: 令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 法規 問12/電気技術者試験センター)

図の出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 法規 問12

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解説

高圧ケーブルの絶縁耐力試験で必要な補償リアクトルの最少台数を求める計算問題(令和7年度下期 問12(b))。正答は(3)「3 台」です。

(a)で求めたケーブルの充電電流1.17 Aのうち,試験用変圧器(容量5 kV・A)だけで供給できる電流は,容量を試験電圧で割った約0.48 Aにとどまります。不足分(約0.69 A)を補償リアクトルで肩代わりする必要があり,1台あたり270 mAまでしか流せないので,0.69 Aを270 mAずつでまかなうには3台必要です。

【論点】絶縁耐力試験で試験用変圧器の容量を超える充電電流を補償リアクトルで補う計算(令和7年度下期 問12(b))

【① 試験電圧を確認する】

最大使用電圧6.9 kVの電路の絶縁耐力試験電圧は,最大使用電圧の1.5倍(7,000 V以下の電路に適用される倍率)で,

6.9×1.5=10.35 kV

【② 試験用変圧器が供給できる電流を求める】

試験用変圧器の容量は5 kV・Aなので,供給できる電流の上限は

I_T=5,000/10,350≒0.483 A

【③ ケーブルが要求する充電電流との差を求める】

(a)で求めたケーブルの充電電流は1.17 A。補償リアクトル(インダクタンス分)はケーブルの進み電流(容量性)を打ち消す向きの遅れ電流を流し,試験用変圧器が負担する電流を減らす役割を持つ。変圧器の供給能力を超える分をリアクトルで負担させる必要があるので,

必要な補償電流=1.17-0.483≒0.687 A

【④ 必要台数を求める】

補償リアクトル1台の電流容量は270 mA(0.27 A)なので,必要台数nは

n≧0.687/0.27≒2.54

小数点以下を切り上げて,最少の設置台数は3台。

【核心論点】絶縁耐力試験では,ケーブルの対地静電容量による充電電流が大きく,試験用変圧器の容量だけでは供給しきれない場合,並列に接続した補償リアクトル(インダクタンス)でその一部を肩代わりさせるという試験回路の仕組み(令和7年度下期 問12(b))。正答は(3)です。

【なぜ充電電流が問題になるのか】

高圧ケーブルは,導体と遮へい層(大地電位)との間に対地静電容量を持つため,交流の絶縁耐力試験電圧(本問では10.35 kV)を印加すると,ケーブル長に比例した進み電流(充電電流)が流れる。ケーブルが長くなるほど,あるいは試験電圧が高くなるほどこの充電電流は大きくなり,試験用変圧器の容量だけでは供給しきれなくなることがある。

【補償リアクトルの役割】

補償リアクトルは,試験回路にケーブルと並列に接続されるインダクタンス(コイル)である。ケーブルの充電電流は進み(容量性)の電流であるのに対し,リアクトルに流れる電流は遅れ(誘導性)の電流であり,位相が180°近く異なる無効電流として打ち消し合う。これにより,試験用変圧器が実際に負担しなければならない電流は,ケーブルの充電電流からリアクトルが肩代わりした分を差し引いた残りだけで済み,変圧器の容量が小さくても大容量のケーブルの試験が可能になる。

【台数計算の考え方】

本問では,ケーブルの充電電流1.17 Aに対し,試験用変圧器が自身の容量(5 kV・A)の範囲で供給できるのは約0.483 Aにとどまる。残りの約0.687 Aを補償リアクトルで負担させる必要があるが,リアクトル1台あたりに流せる電流には270 mAという上限(電流容量)があるため,必要な電流を確保するには複数台を並列に接続しなければならない。0.687 Aを270 mAずつで分担すると2.54台分に相当するが,台数は整数でなければならず,かつ「必要最少の設置台数」を求めているため,2台では不足分が残り,3台で初めて必要な補償電流を確保できる。なお,試験用変圧器の定格電流(5 000/11 000≒0.455 A)で考えても,不足分は1.17-0.455≒0.715 A,0.715/0.27≒2.65で,やはり3台となる。

【(a)の充電電流の求め方】

試験電圧E=10.35 kV,静電容量C=0.45 μF/km×0.8 km=0.36 μFより,I=2πfCE=2π×50×0.36×10⁻⁶×10 350≒1.17 A。(b)はこの値を前提にしているので,試験電圧(最大使用電圧の1.5倍)と静電容量の長さ換算を正しく行えることが前提になる。

【実務上の意義】

長距離の高圧・特別高圧ケーブルの絶縁耐力試験では,ケーブルの静電容量が大きいために試験用変圧器の容量だけでは充電電流を賄いきれないことが多く,現場では補償リアクトルを複数台並列に接続して試験を行うのが一般的である。試験電圧・ケーブルの対地静電容量・周波数から充電電流を求め,試験用変圧器の容量との差分を補償リアクトルの台数に換算するという一連の計算手順は,実際の現場での試験計画立案にも直結する実務的な内容である。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 法規(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。