問題
図のように高圧架空電線と低圧架空電線を併架するA種鉄筋コンクリート柱がある。この電線路の引留箇所において下記の条件で支線を設けるものとする。 (ア) 高低圧電線間の離隔距離を2 m とし,高圧電線の取り付け高さを10 m,低圧電線と支線の取り付け高さをそれぞれ8 m とする。 (イ) 高圧電線の水平張力は9 kN,低圧電線の水平張力は4 kN とし,これらの全荷重を支線で支えるものとする。 このとき,次の(a)及び(b)に答えよ。なお,(a)で求めた支線に生じる引張荷重は25.4 kNである。 (b) 「電気設備技術基準の解釈」によれば,支線に亜鉛めっき鋼より線(素線の引張強さ1.23 kN/mm²)を使用し,素線本数を7 本とする場合,最も小さい素線直径[mm]として適切な値を,次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,支線の安全率を1.5 とし,素線のより合わせによる引張荷重の減少係数は無視するものとする。
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答え合わせ
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- 5
自信の3択
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解説
電技解釈に基づき,支線に使用する亜鉛めっき鋼より線の最小素線直径を求める計算問題(令和7年度下期 問13(b))。正答は(3)「2.6」です。
支線には(a)で求めた引張荷重25.4 kNの1.5倍(安全率)以上の強さが必要です。素線1本の引張強さは1.23 kN/mm²で,7本を束ねるので,必要な直径dは「7本分の断面積×1.23 ≧ 25.4×1.5」から逆算できます。計算するとd≒2.37 mmとなり,これ以上の太さが必要なので,選択肢の中で最小かつ条件を満たすのは2.6 mmです。
【論点】支線の安全率から素線の最小直径を求める計算(令和7年度下期 問13(b))
【① 必要な全体の破断強さを求める】
問題文の条件どおり,支線の安全率を1.5とする。(a)で求めた支線の引張荷重T=25.4 kN(高圧9 kN×10 m+低圧4 kN×8 m=122 kN·mのモーメントを,取付け高さ8 mで支線の水平分力T×6/10が支えるので,T×0.6×8=122より求まる)に対し,支線全体の破断強さは
T×1.5=25.4×1.5=38.1 kN
以上必要である。
【② 素線1本あたりの負担を求める】
素線本数は7本,より合わせによる引張荷重の減少係数は無視してよいので,7本の断面積の合計で38.1 kNを負担できればよい。素線の引張強さは1.23 kN/mm²なので,必要な総断面積Aは
A=38.1/1.23≒30.98 mm²
1本あたりの断面積は A/7≒4.43 mm²
【③ 直径に変換】
素線1本の断面積=(π/4)d²なので,
d=√(4×4.43/π)=√5.63≒2.37 mm
【④ 必要な太さを満たす最小の規格を選ぶ】
d≒2.37 mmを満たす(これ以上の太さを持つ)素線のうち,最小のものを選ぶ。2.3 mmでは断面積が不足し,2.6 mmで初めて条件を満たすため,正答は(3)「2.6」。
【核心論点】支線の設計では,想定される引張荷重に安全率を掛けた「必要な破断強さ」を,複数の素線の断面積の合計で負担させるという考え方(令和7年度下期 問13(b))。正答は(3)です。
【安全率1.5の意味】
支線は,電柱にかかる水平方向の荷重(本問では高圧電線9 kN・低圧電線4 kNの合成荷重)を支え,電柱の倒壊を防ぐ重要な部材である。経年劣化や想定外の荷重変動があっても破断しないよう,本問では実際にかかる荷重(25.4 kN)の1.5倍以上の破断強さを支線全体に持たせる。言い換えると,常時の荷重は破断強さの1/1.5≒67%以下に抑えられる。なお電技解釈は支線の素線について直径2 mm以上の金属線とすることも求めており,(1)の2.0 mmはこの下限ちょうどだが,本問の荷重に対しては強さが足りない。
【より線を使う理由と素線本数】
支線には通常,1本の太い線ではなく,複数の細い素線をより合わせた「亜鉛めっき鋼より線」が用いられる。これは,より線にすることで柔軟性が増し施工しやすくなること,また一部の素線に傷があっても残りの素線で強度を分担できることなど,実用上の利点があるためである。本問では7本の素線で構成されるより線を想定しており,より合わせによる強度低下(減少係数)は無視してよいとされているため,単純に「7本分の断面積の合計」で必要な強度を満たせばよい。
【計算の組み立て方】
必要な破断強さ38.1 kNを,素線の引張強さ1.23 kN/mm²で割ると,必要な総断面積が求まる(約30.98 mm²)。これを素線本数7で割ると素線1本あたりに必要な断面積(約4.43 mm²)が得られ,円の面積の公式から直径を逆算する(約2.37 mm)。この「必要強度→必要断面積→必要直径」という3段階の変換は,電線・支線・接地線など,断面積と強度が関係する電験三種の計算問題全般に共通する解法パターンである。
【「最も近い値」ではなく「最小かつ条件を満たす値」である点に注意】
本問は「最も近いもの」ではなく「適切な値」を問う形式であり,計算で得られた2.37 mmという値そのものは選択肢に存在しない。この場合,2.37 mmより細い素線(2.0 mm,2.3 mm)では必要な強度を満たせず支線として不適切であるため除外し,2.37 mm以上の太さを持つ選択肢の中で最小のもの(2.6 mm)を選ぶ必要がある。安全側に立った設計計算では「必要値ちょうど」ではなく「必要値以上で最小の規格品」を選ぶという考え方が重要になる。
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出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 法規(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


