テブナンの定理をわかりやすく解説。開放電圧Vthと内部抵抗Rthの求め方を4つの手順にまとめ、電験三種 理論の公表問題(令和7年度上期 問6・令和7年度下期 問16)をテブナンと別の方法の2通りで解いて答えが一致することを確かめます。重ね合わせの理との違いも例題で示します。
目次
結論:テブナンの定理は「電源と抵抗が入り組んだ回路でも、注目する2つの端子から見れば、1つの電圧源Vthと1つの抵抗Rthの直列に置き換えられる」という定理です。Vthは端子を開いたときの電圧(開放電圧)、Rthは回路の中の電圧源を短絡・電流源を開放して端子から見た合成抵抗です。端子に抵抗Rをつないだときの電流は I=Vth÷(Rth+R) で求まります。
| 求めるもの | 求め方 | 例題1(令和7年度上期 問6)での値 |
|---|---|---|
| Vth(開放電圧) | 注目する端子を開いたときの端子間の電圧 | 10V |
| Rth(内部抵抗) | 電圧源は短絡、電流源は開放して、端子から見た合成抵抗 | 22.5Ω |
| 端子に抵抗Rをつないだときの電流 | I=Vth÷(Rth+R) | 端子を短絡(R=0)して約0.44A |
合格ナビの電験三種「理論」の問題は、電気技術者試験センターが公表した令和4年度上期〜令和7年度下期のうち7回分の本試験問題87問です。そのうち当サイトで「直流回路」に分類している問題は9問で、問題文に「テブナンの定理」という言葉が書かれた問題は0問でした(2026-10-02 集計)。この記事の例題2問も、定理の名前は出てこず「端子間を短絡したときの電流」「抵抗をつなぎ替えたときの電流」を聞く形です。例題は公式の問題PDF(第三種電気主任技術者試験の問題と解答に掲載)で問題文と解答を確かめています。
テブナンの定理とは(公式と考え方)
電池を思い浮かべると分かりやすくなります。電池は「起電力Eの電圧源」と「内部抵抗r」が直列になったものとして扱い、負荷Rをつなぐと電流は E÷(r+R) になります。テブナンの定理は、どんなに複雑な回路でも、2つの端子から見ればこの電池と同じ形(電圧源Vthと抵抗Rthの直列)に置き換えられる、というものです。
I=Vth÷(Rth+R)(Vth:開放電圧、Rth:端子から見た内部抵抗、R:端子につなぐ抵抗)
置き換えた後の回路は1本の直列回路なので、つなぐ抵抗Rを何通りに変えても、そのたびに回路全体を解き直す必要がありません。Vth と Rth を一度求めれば、あとは割り算1回で電流が出ます。
同じ定理を「鳳-テブナンの定理」「鳳テブナンの定理」と呼ぶこともあります。呼び方が違うだけで、中身と使い方は同じです。
テブナンの定理の使い方(4つの手順)
- ① 電流を知りたい抵抗(または、これからつなぐ抵抗)を回路から外し、その2つの端子に名前をつける
- ② 端子を開いたまま、端子間の電圧Vthを求める(電源が1つなら分圧の式、2つ以上なら電流則や重ね合わせで)
- ③ 電圧源を導線に置き換え(短絡)、電流源を取り去って(開放)、端子から見た合成抵抗Rthを求める
- ④ 外した抵抗Rを戻し、I=Vth÷(Rth+R) で電流を求める。端子を短絡するならR=0
Vthの向き(どちらの端子が高い電位か)は、②の段階で確かめておきます。④で求めた電流は、電位の高い端子から抵抗Rを通って低い端子へ流れます。
例題1:端子間を短絡したときの電流(令和7年度上期 問6)
図1 の直流回路において,端子a-c 間に直流電圧100 V を加えたところ,端子b-c 間の電圧は10 V であった。また,図2 のように端子b-c 間に15 Ωの抵抗を並列に追加したとき,端子b-c 間の電圧は4 V であった。今,図3 のように端子b-c 間を短絡したとき,電流I の値[A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 0.0 (2) 0.44 (3) 0.32 (4) 0.40 (5) 0.10
出典:令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論 問6(一般財団法人電気技術者試験センター)
図は公式の問題PDF(令和7年度上期 理論)の問6にあります。
| 図 | 内容 |
|---|---|
| 図1 | 100Vの電源が端子aと端子cにつながり、a-b間にR1、b-c間にR2が直列。b-c間の電圧が10V |
| 図2 | 図1のb-c間に15Ωを並列につないだら、b-c間の電圧が4V |
| 図3 | b-c間を導線で短絡し、その導線を流れる電流がI |
解き方1(テブナンの定理):端子b-cから見た回路を、電圧源Vthと抵抗Rthの直列に置き換えます。
- 図1はb-c間を開いた状態なので、そのときの10Vがそのまま開放電圧です。Vth=10V
- 図2は、この等価回路に15Ωをつないだのと同じです。15Ωの電圧は 10×15÷(Rth+15)=4 なので、Rth+15=37.5、Rth=22.5Ω
- 図3の短絡は、R=0の抵抗をつないだのと同じです。I=10÷(22.5+0)≒0.444A
答えは(2) 0.44です。公式の解答も(2)です。R1とR2の値を1つも求めずに答えが出るのが、テブナンの定理を使う利点です。
解き方2(抵抗の値を求めて直接解く):図1から R2÷(R1+R2)=10÷100 なので R1=9×R2。図2では、R2と15Ωの並列(15×R2÷(R2+15))が R1との分圧で4Vになるので、これを解くと R2=25Ω、R1=225Ω です。図3でb-c間を短絡するとR2の両端は0Vになり、電源の100Vがすべて R1 にかかります。I=100÷225≒0.444A で、解き方1と一致します。
検算(Rthを別の道で求める):電源(100V)を短絡すると、b-c間から見てR1とR2が並列になります。225×25÷(225+25)=22.5Ωで、解き方1の図2から求めたRthと同じ値です。
例題2:ブリッジの間に抵抗をつなぎ替えたときの電流(令和7年度下期 問16)
図の直流回路において,次の(a)及び(b)に答えよ。ただし,電源電圧E [V]の値は一定で変化しないものとする。
(a) 図1 のように抵抗R[Ω]を端子a,d 間に接続したとき,I1=4.5 A,I2=0.5 A の電流が流れた。抵抗R の値[Ω]として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 180 (2) 160 (3) 80 (4) 40 (5) 20
(b) 図1 の抵抗R [Ω]を図2 のように端子b,c 間に接続し直したとき,回路に流れる電流I3 の値[A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 5.5 (2) 4.8 (3) 4.5 (4) 4.2 (5) 4.0
出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論 問16(一般財団法人電気技術者試験センター)
図は公式の問題PDF(令和7年度下期 理論)の問16にあります。
| 部分 | 内容 |
|---|---|
| 電源 | 電圧E[V]。端子aと端子dにつながる。I1・I3は電源から端子aへ流れる電流 |
| 上の経路 | a-16Ω-b-4Ω-d |
| 下の経路 | a-4Ω-c-16Ω-d |
| 図1 | 抵抗Rをa-d間につなぐ(Rの電流がI2) |
| 図2 | 同じ抵抗Rをb-c間につなぎ直す |
(a) 電源電圧EとRを求める:図1では、上の経路(16+4=20Ω)、下の経路(4+16=20Ω)、Rの3つがすべて電源に並列です。I1=E÷20+E÷20+I2 より 4.5=E÷10+0.5、E=40V。R=40÷0.5=80Ω で、(a)の答えは(3) 80です。公式の解答も(3)です。
(b) 解き方1(テブナンの定理):Rを外し、端子b-cから見た等価回路を作ります。端子dを0Vとすると、端子aは40Vです。
- Vth:上の経路で b の電位は 40×4÷20=8V、下の経路で c の電位は 40×16÷20=32V。Vth=32-8=24V(cのほうが高い)
- Rth:電源を短絡するとaとdが同じ点になり、bから見ると16Ωと4Ωの並列(3.2Ω)、cから見ても4Ωと16Ωの並列(3.2Ω)。この2つが直列で Rth=6.4Ω
- Rの電流:IR=24÷(6.4+80)≒0.278A(cからbの向き)
聞かれているのは電源の電流I3なので、Rの電流が分かった後で、点b・点cの電位を求めます。点bには16Ωから流れ込む電流とRから流れ込む0.278Aがあり、4Ωへ流れ出ます。(40-Vb)÷16+0.278=Vb÷4 より Vb≒8.89V。点cには4Ωから流れ込み、Rと16Ωへ流れ出ます。(40-Vc)÷4=0.278+Vc÷16 より Vc≒31.11V。
I3=(40-8.89)÷16+(40-31.11)÷4≒1.944+2.222=4.17A
(b)の答えは(4) 4.2です。公式の解答も(4)です。
解き方2(点の電位で直接解く):テブナンの定理を使わず、点bと点cの電位Vb、Vcを未知数にして、それぞれの点で流れ込む電流=流れ出る電流の式を立てます。
- 点b:(40-Vb)÷16+(Vc-Vb)÷80=Vb÷4
- 点c:(40-Vc)÷4=(Vc-Vb)÷80+Vc÷16
この2本を解くと Vb≒8.89V、Vc≒31.11V となり、Rの電流(Vc-Vb)÷80≒0.278A、I3≒4.17A と、解き方1と一致します。
検算(極端な場合と比べる):Rをつながない(R→∞)とき、I3は上下の経路だけで 40÷20×2=4.0A。b-c間を導線で短絡(R=0)すると、aから見て3.2Ω、その先も3.2Ωの直列で I3=40÷6.4=6.25A。R=80Ωは大きな抵抗なので、I3はRをつながないときの4.0Aに近く、少しだけ大きい値になるはずで、4.17Aはその間に入っています。回路全体の抵抗は 40÷4.17≒9.6Ωです。
テブナンの定理はどういう時に使う?
テブナンの定理が効くのは、回路の大部分はそのままで、1か所の抵抗だけを変えたり、つなぎ替えたり、短絡したりする問題です。例題1(短絡)と例題2(つなぎ替え)はどちらもこの形でした。
| 問題の形 | 向いている解き方 |
|---|---|
| 1か所の抵抗を変える・つなぎ替える・短絡する | テブナンの定理(Vth・Rthを一度求めれば、あとは割り算) |
| 各枝の電流をすべて聞かれる | キルヒホッフの法則(枝電流法・網目電流法) |
| 電源が複数で、1か所の電圧・電流だけ聞かれる | テブナンの定理か重ね合わせの理 |
| ブリッジ回路の真ん中の抵抗の電流 | テブナンの定理(平衡していればVth=0で電流0) |
キルヒホッフの法則の式の立て方は、キルヒホッフの法則の例題|電源2つの回路を2通りで解くで4問を解いています。
当サイトの問題でも、テブナンの定理で解き直せるものがあります。例えば令和5年度上期 問6(4Vの電源と2Aの電流源)で3Ωから見ると、3Ωを外したとき2Aは5Ωだけを流れるので接続点は10V、電源側の端子は4Vで、Vth=4-10=-6V。4Vの電源を短絡し電流源を開放するとRth=5Ωなので、I=-6÷(5+3)=-0.75A。大きさ0.75Aで、公式の解答(5)と一致します。令和4年度下期 問5のブリッジは、4Ωと5Ω・8Ωと10Ωの分け方が同じ比(5÷9と10÷18)なので、12Ωから見たVthが0Vになり、12Ωに電流が流れません。
この論点の問題を解く:
重ね合わせの理との違いと例題
重ね合わせの理は「電源が複数あるとき、電源を1つずつ働かせた結果を足し合わせる」方法です(働かせない電圧源は短絡、電流源は開放)。テブナンの定理は「注目する端子から見た回路を1つの電圧源と抵抗にまとめる」方法なので、使う目的が違います。両方で同じ問題を解くと、答えが一致することを確かめられます。
例として、令和5年度下期 問6(左に21Vの電源と5Ω、右に14Vの電源と10Ω、中央に6Ω。電源はどちらも上側が正極)の6Ωの電圧Vを求めます。問題文と枝電流法・網目電流法での解き方はキルヒホッフの法則の例題の例題2にあります。
テブナンの定理で解く:6Ωを外すと、2つの電源は5Ωと10Ωを通る1つの輪になり、(21-14)÷(5+10)≒0.467Aが流れます。6Ωの両端(上下)の開放電圧は Vth=21-5×0.467≒18.67V(右側からも14+10×0.467≒18.67Vで同じ)。2つの電源を短絡すると Rth=5×10÷(5+10)≒3.33Ω。V=18.67×6÷(3.33+6)=12V。
重ね合わせの理で解く:21Vだけを働かせる(14Vは短絡)と、10Ωと6Ωの並列は3.75Ωなので、電流は21÷(5+3.75)=2.4A、6Ωの電圧は2.4×3.75=9V。14Vだけを働かせる(21Vは短絡)と、5Ωと6Ωの並列は約2.727Ωなので、電流は14÷(10+2.727)=1.1A、6Ωの電圧は1.1×2.727=3V。合計9+3=12Vで、テブナンの定理と一致します。公式の解答も(4) 12Vです。
よくある間違いと見直しの方法
- Rthを求めるときに電源の扱いを逆にする:電圧源は短絡、電流源は開放です。逆にすると別の回路になります
- 外した抵抗をRthに含めてしまう:Rthは「外した抵抗を除いた残りの回路」を端子から見た抵抗です。外した抵抗は最後の I=Vth÷(Rth+R) で戻します
- Vthの向きを確かめない:例題2のように電位の高い側(c)から低い側(b)へ電流が流れます。向きを逆にすると、点の電位を求める段階で符号を間違えます
- 電源の電流を聞かれているのに、Rの電流で止める:例題2(b)は、Rの電流を求めた後に点の電位を求め、電源から流れ出る電流I3まで計算して初めて答えになります
見直しは、別の方法でもう一度解くのが確実です。例題1は抵抗値を直接求める方法、例題2は点の電位の連立方程式で、どちらもテブナンの定理と同じ答えになりました。時間がなければ、抵抗を外した場合(R→∞)と短絡した場合(R=0)の値を出し、答えがその間に入っているかを確かめます。
テブナンの定理の問題を続けて解く
1か所の抵抗をつなぎ替える問題や、端子間を短絡する問題は、例題と同じ4つの手順で解けます。理論科目の直流回路の問題を続けて解き、テブナンの定理と別の方法で同じ答えが出るか確かめてみましょう。
よくある質問
Qテブナンの定理とノートンの定理は何が違いますか?
どちらも回路を端子から見た簡単な形に置き換える定理で、置き換え先の形が違います。テブナンの定理は「電圧源Vthと抵抗Rthの直列」、ノートンの定理は「電流源と抵抗Rthの並列」で、電流源の大きさはVth÷Rth(端子を短絡したときの電流)です。Rthはどちらも同じ値になるので、片方が分かればもう片方にすぐ書き換えられます。
Q回路に電流源があるときRthはどう求めますか?
電流源は取り去って開放し、電圧源は導線に置き換えて短絡してから、端子から見た合成抵抗を求めます。電流源を短絡してしまうと別の回路になり、Rthが正しく出ません。この記事の令和5年度上期 問6の例では、4Vの電源を短絡し2Aの電流源を開放すると、3Ωの両端から見た抵抗は5Ωだけになります。
Q交流回路でもテブナンの定理は使えますか?
抵抗の代わりにインピーダンス(複素数)を使えば、同じ手順で使えます。開放電圧と、電源を取り除いて端子から見たインピーダンスを求め、負荷のインピーダンスをつないで電流を計算します。ただし、計算は複素数で行う必要があります。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月2日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

