認定電気工事従事者は、第二種電気工事士の免状に加えて認定証を受けると、600V以下の自家用電気工作物の簡易電気工事に従事できる資格です。第二種との違い、認定の条件(3年の実務経験または講習)、申請先、携帯義務を条文と電気技術者試験センターの案内で整理します。
目次
結論:認定電気工事従事者は、主に第二種電気工事士が追加で受ける認定で、電圧600V以下で使う自家用電気工作物の「簡易電気工事」(電線路を除く)に従事できるようになります(電気工事士法3条4項、施行規則2条の3)。認定は試験ではなく、免状の取得後に3年以上の電気工事の実務経験を積むか、認定電気工事従事者認定講習を修了することが基準です(施行規則4条の2第2項2号)。認定証は免状とは別の書類で、経済産業大臣が交付します(法4条の2第1項)。
| 第二種電気工事士 | 認定電気工事従事者 | 第一種電気工事士 | |
|---|---|---|---|
| 根拠(電気工事士法) | 3条2項 | 3条4項 | 3条1項 |
| 従事できる電気工事 | 一般用電気工作物等 | 自家用電気工作物のうち簡易電気工事(600V以下・電線路を除く)。第二種の範囲に加えて | 自家用電気工作物(特殊電気工事を除く)と一般用電気工作物等 |
| 持つ書類 | 第二種電気工事士免状 | 認定電気工事従事者認定証(第二種電気工事士の場合は第二種免状に加えて) | 第一種電気工事士免状 |
| 交付する者 | 都道府県知事(法4条2項) | 経済産業大臣(法4条の2第1項) | 都道府県知事(法4条2項) |
| 取得の条件 | 試験合格など(法4条4項) | 第二種電気工事士は免状取得後3年以上の実務経験または認定講習の修了。ほかに第一種試験の合格など(施行規則4条の2第2項) | 試験合格+3年以上の実務経験など(法4条3項、施行規則2条の4第2項) |
合格ナビの第二種電気工事士の問題382問(センター公表の過去問326問と当サイトの作問56問)のうち、「認定電気工事従事者」を問題文か選択肢に含む問題は0問です(2026-10-04 集計)。「電気工事士法」を含む問題は13問あります。認定従事者は学科試験の出題範囲ではなく、試験に合格したあとの進路の話です。
この記事の条文は、e-Gov 法令検索の電気工事士法と電気工事士法施行規則の現行条文(2026-10-04 時点)です。試験センターの案内は令和8年度第二種電気工事士下期試験 受験案内の「資格の概要」によります。
認定電気工事従事者とは(法3条4項・施行規則2条の3)
電気工事士法3条は、電気工事の作業に従事できる人を工事の種類ごとに分けています。
- 1項:自家用電気工作物に係る電気工事(特殊電気工事を除く)は、第一種電気工事士
- 2項:一般用電気工作物等に係る電気工事は、第一種または第二種電気工事士
- 3項:特殊電気工事は、特種電気工事資格者
- 4項:簡易電気工事は、1項にかかわらず、認定電気工事従事者も従事できる
4項の条文は次のとおりです。
「自家用電気工作物に係る電気工事のうち経済産業省令で定める簡易なもの(以下「簡易電気工事」という。)については、第一項の規定にかかわらず、認定電気工事従事者認定証の交付を受けている者(以下「認定電気工事従事者」という。)は、その作業に従事することができる。」
「経済産業省令で定める簡易なもの」は、施行規則2条の3が次のように定めています。
「電圧六百ボルト以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事(電線路に係るものを除く。)とする。」
つまり、簡易電気工事は「自家用電気工作物」のうち、使用電圧が600V以下の部分で、電線路に係る工事ではないものです。ここでいう自家用電気工作物は、法2条2項により、発電所・変電所・最大電力500キロワット以上の需要設備などを除いたものです。センターの受験案内はこれを「最大電力500kW 未満の自家用電気工作物(需要設備) のうちの電圧600V以下で使用する配線や電気使用設備等の電気工作物(電線路を除く。)を設置し、又は変更する工事」と説明しています。
第二種電気工事士との違い(免状と認定証・できる工事)
第二種電気工事士の免状だけでできるのは、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業です(法3条2項)。自家用電気工作物の工事は、免状だけではできません(同条1項)。認定電気工事従事者は、この第二種の範囲に簡易電気工事を足す位置づけです。
| 工事の対象 | 第二種の免状のみ | 第二種の免状+認定証 |
|---|---|---|
| 一般用電気工作物等(住宅・小規模な店舗など) | できる | できる |
| 自家用電気工作物の600V以下の部分(電線路を除く) | できない | できる(簡易電気工事) |
| 自家用電気工作物の600Vを超える部分 | できない | できない(第一種) |
| 自家用電気工作物の電線路に係る工事 | できない | できない(第一種) |
| ネオン工事・非常用予備発電装置工事(特殊電気工事) | できない | できない(特種電気工事資格者) |
表の「できない」は、免状のいらない軽微な工事(施行令1条)と、保安上支障がないとされる軽微な作業(自家用電気工作物は施行規則2条1項)を除いた話です。
免状と認定証は、交付する者も違います。免状は都道府県知事(法4条2項)、認定証は経済産業大臣(法4条の2第1項)です。センターの受験案内も、免状の問い合わせ先を「各都道府県の電気工事士担当窓口」、認定従事者の問い合わせ先を「経済産業省の各地域の産業保安監督部(署)電力安全課窓口」と分けています。
この論点の問題を解く
第二種の免状でどの作業まで従事できるかは、学科試験の「検査・法令」で繰り返し問われます。認定従事者そのものは出題されていませんが、「免状だけでは従事できない作業」を押さえる助けになります。
認定を受ける条件(施行規則4条の2第2項)
認定電気工事従事者認定証は、簡易電気工事について必要な知識と技能を有していると経済産業大臣が認定した者でなければ、交付を受けられません(法4条の2第4項)。その認定の基準は、施行規則4条の2第2項の4つの号です。
| 号 | 対象 | 基準(条文の要旨) |
|---|---|---|
| 1号 | 第一種電気工事士試験に合格した者 | 合格していれば基準を満たす |
| 2号 | 第二種電気工事士 | 第二種免状の交付を受けた後、電気に関する工事に関し3年以上の実務の経験を有する、または認定電気工事従事者認定講習の課程を修了した |
| 3号 | 電気主任技術者免状を受けている者・電気事業主任技術者 | 免状の交付を受けた後(電気事業主任技術者はその職に就いた後)、電気工作物の工事・維持・運用に関し3年以上の実務の経験を有する、または認定講習の課程を修了した |
| 4号 | 上記と同等以上の知識・技能があると経済産業大臣が認定した者 | 個別の認定 |
認定電気工事従事者の認定の基準:第二種電気工事士は、免状の交付を受けた後の3年以上の実務経験、または認定電気工事従事者認定講習の修了(施行規則4条の2第2項2号)。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 電気工事士法施行規則。
2号の読み方で注意したいのは、実務経験の起点です。条文は「第二種電気工事士免状の交付を受けた後」の経験と書いているため、2号の3年の実務経験には、第二種の免状を受ける前の経験は入りません。第一種の免状に必要な3年の実務経験は試験合格前の経験も対象になる(センターの電気工事士の免状交付)のとは扱いが違います。実務経験の数え方は第二種電気工事士は実務経験なしで受験できる?で、第一種免状の3年との違いと合わせて整理しています。
講習の受け方について、センターの資格概要は、第二種電気工事士は「免状取得後、指定講習機関の認定講習を受講すれば、工事資格(認定電気工事従事者認定証)を取得でき」ると案内しています。第一種電気工事士については「試験合格後、各地域の産業保安監督部長に申請すれば、工事資格(認定電気工事従事者認定証)を取得でき」ると書いています(施行規則4条の2第2項1号に対応します)。
「電気に関する工事」の範囲は、施行規則2条の4第1項が、軽微な工事・特殊電気工事・電圧5万ボルト以上の架空電線路に係る工事・保安通信設備に係る工事「以外のもの」と定めています。
講習の内容・時間・申込先・手数料は、条文には出てきません。2号が「経済産業大臣が定める簡易電気工事に関する講習」としているため、告示などで定められる事項です。この記事では金額や日程は書きません。
申請先と認定証(法4条の2・施行規則5条の2)
認定を受けたい人は、施行規則5条の2第2項により、次のものを産業保安監督部長に提出します。
「様式第一の五による申請書に第四条の二第二項各号のいずれかに該当する者であることを証明する書類を添えて、産業保安監督部長に提出しなければならない。」
- 申請書は様式第一の五
- 添付するのは、4条の2第2項の各号のいずれかに当たることを証明する書類(実務経験なら証明書類、講習なら修了を示すもの)
- 提出先は、経済産業大臣の認定を担当する各地域の産業保安監督部長
免状の申請は、住所地の都道府県知事に出すものでした(施行規則6条1項)。認定証の申請とは窓口が違うため、免状を受け取ったあとに別の手続きが必要です。免状の交付申請の手順は第二種電気工事士の合格者一覧の見方と免状申請で説明しています。免状と認定証の書類の違いは第二種電気工事士の正式名称|免状・免許・資格証の違いにあります。
認定証を持つ人の義務(携帯・技術基準・返納命令)
認定電気工事従事者にも、電気工事士と同じ義務がかかります(法5条)。
- 作業は技術基準に適合するようにしなければならない(1項)
- 作業に従事するときは、認定電気工事従事者認定証を携帯していなければならない(2項)
- 法律または電気用品安全法28条1項に違反したときは、経済産業大臣が認定証の返納を命ずることができる(法4条の2第6項)
- 返納を命じられてから1年を経過しない人、この法律に違反して罰金以上の刑に処せられ、執行を終わってから2年を経過しない人には、認定証の交付を行わないことができる(法4条の2第5項、法4条5項各号)
第一種電気工事士との違い
認定電気工事従事者と第一種電気工事士は、どちらも自家用電気工作物の工事に関わりますが、範囲が違います。
- 第一種:自家用電気工作物に係る電気工事全般(特殊電気工事を除く)。電圧の上限や電線路の制限はありません(法3条1項)
- 認定従事者:簡易電気工事のみ。600V以下で、電線路に係る工事は含まれません(法3条4項、施行規則2条の3)
第一種の免状は、第一種試験に合格したうえで、経済産業省令の定める3年以上の実務経験が必要です(法4条3項1号、施行規則2条の4第2項)。センターの電気工事士の免状交付も、第一種免状に必要な実務経験を「3年以上」としています。
一方、第一種試験に合格した人は、認定の基準の1号に当たります。第一種試験に合格して実務経験がまだ足りない期間は、免状は受けられなくても、認定を受けて簡易電気工事に従事する道があります。第一種を目指す人の進め方は第一種電気工事士に進むロードマップで確認できます。
試験には出るか(当サイトの問題データ)
認定電気工事従事者は、当サイトの第二種電気工事士の問題382問に出てきません(2026-10-04 集計)。電気工事士法を問う問題13問は、作業の範囲、免状の携帯、法の目的、定義の所在が中心です。試験対策としては、まず次の点を押さえます。
- 第二種の免状で従事できるのは、一般用電気工作物等の作業(法3条2項)
- 自家用電気工作物の電線相互の接続などは、第二種でも従事できない(法3条1項、施行規則2条1項)
- 免状は携帯する(法5条2項)
法令分野の勉強の全体像は学科試験の対策にまとめています。
まとめ
- 認定電気工事従事者は、主に第二種電気工事士が追加で受ける認定で、600V以下の自家用電気工作物の簡易電気工事(電線路を除く)に従事できる
- 認定は試験ではなく、免状取得後3年以上の実務経験または認定講習の修了などが基準(施行規則4条の2第2項)
- 免状は都道府県知事、認定証は経済産業大臣(申請は産業保安監督部長へ)。窓口が違う
- 認定証にも携帯義務と返納命令がある(法5条、法4条の2第6項)
- 600Vを超える部分や電線路、特殊電気工事は、認定従事者でもできない
- 講習の内容・日程・費用は、この記事では扱わない。産業保安監督部の案内で確認する
よくある質問
Q認定電気工事従事者になるのに、試験はありますか?
施行規則4条の2第2項の認定の基準は、第二種電気工事士の場合、第二種電気工事士免状の交付を受けた後に電気に関する工事で3年以上の実務の経験を有するか、認定電気工事従事者認定講習の課程を修了していることです(2号)。ほかに、第一種電気工事士試験の合格者(1号)や電気主任技術者など(3号)も基準に当たります。基準の中に筆記試験や技能試験はありません。ただし、講習の内容・申込先・手数料は経済産業大臣が定めるもので、この記事では扱わないため、産業保安監督部の案内で確認してください。
Q第二種電気工事士の免状があれば、自家用電気工作物の工事もできますか?
できません。電気工事士法3条1項は、自家用電気工作物に係る電気工事の作業を第一種電気工事士に限っています(保安上支障がないとされる軽微な作業を除く)。第二種電気工事士が従事できる自家用電気工作物の工事は、3条4項と施行規則2条の3の「簡易電気工事」で、認定電気工事従事者認定証の交付を受けた場合に限られます。
Q認定電気工事従事者は、高圧の受電設備の工事もできますか?
できません。簡易電気工事は「電圧六百ボルト以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事(電線路に係るものを除く。)」です(施行規則2条の3)。600Vを超える部分の作業は、3条1項のとおり第一種電気工事士の範囲です。
Q免状と認定証は、同じところに申請しますか?
別です。電気工事士免状は都道府県知事が交付し(法4条2項)、認定電気工事従事者認定証は経済産業大臣が交付します(法4条の2第1項)。認定証の申請書は、施行規則5条の2第2項により産業保安監督部長に提出します。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

