第二種電工

消防設備士と電気工事士の関係甲種の受験資格・科目免除・工事範囲

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

消防設備士と電気工事士の関係を、消防法・施行令・施行規則と消防試験研究センターの公式資料で整理。電気工事士の免状で甲種の受験資格を満たせるか、電気に関する試験科目がどれだけ免除されるか、工事の範囲がどう分かれるかを、類別の表で確認できます。

目次
  1. 電気工事士の免状が消防設備士で使える場面(一覧表)
  2. 消防設備士とは:甲種・乙種と類別
  3. 受験資格:乙種は誰でも、甲種は電気工事士の免状で満たせる
  4. 試験科目の免除:電気に関する部分が類別に免除される
  5. 工事の範囲:消防設備士と電気工事士は別の法律で決まる
  6. 点検に関わる資格:消防設備点検資格者の講習
  7. 取得の順番を考えるときの事実(受験資格の条件だけ)
  8. 試験の日程・申込は消防試験研究センターで確認する
結論:電気工事士の免状は、消防設備士の資格取得で3つの使い道があります。① 甲種(特類を除く)の受験資格になる、② 電気に関する試験科目が免除される(第1〜4類・第7類)、③ 消防用設備等の点検に関わる資格の講習の対象になる。一方、乙種の受験資格は「誰でも受験できます」とされ、電気工事士の免状は要りません。工事の範囲は2つの法律で別々に決まっており、電気工事士の免状が消防設備士の免状の代わりになることはありません。当サイトに消防設備士の問題集はありません。この記事は、電気工事士の学習の次の資格を考える人向けに、法令と公式資料で確認できる接点だけを整理します。

合格ナビが収録する第二種電気工事士の問題382問のうち、「消防」を含む問題は0問、電気工事士法の従事できる作業・できない作業を問う問題は13問です(2026-10-04 集計)。消防設備士の試験対策そのものは提供していないため、ここでは受験の条件と工事の範囲という、電気工事士の免状との関係だけを扱います。

条文の出典は e-Gov 法令検索(2026-10-04 時点の現行条文):消防法・消防法施行令・消防法施行規則・電気工事士法。試験の案内は消防試験研究センターの消防設備士試験のページによります。

電気工事士の免状が消防設備士で使える場面(一覧表)

場面電気工事士の免状根拠
乙種(第1〜7類)の受験不要(誰でも受験できる)消防試験研究センター 受験資格
甲種(特類を除く)の受験受験資格になる消防法17条の8第4項3号・施行規則33条の8第1項5号
甲種特類の受験受験資格にならない施行規則33条の8第2項
試験科目の免除電気に関する部分が免除される(類による)施行規則33条の11第2項・センターの免除一覧表
消防設備点検資格者の講習受講の対象の資格に含まれる施行規則31条の6第7項2号
消防用設備等の工事・整備免状の代わりにならない消防法17条の5・施行令36条の2

消防設備士とは:甲種・乙種と類別

消防設備士は、消防用設備等または特殊消防用設備等の工事(設置に係るもの)や整備のうち政令で定めるものを行うための資格です。消防法17条の5は、「消防設備士免状の交付を受けていない者は、…工事(設置に係るものに限る。)又は整備のうち、政令で定めるものを行つてはならない。」と定めています。免状の種類は甲種と乙種で(17条の6)、都道府県知事が交付します(17条の7)。

甲種は工事と整備、乙種は整備ができます。対象は類別に決まっています(施行規則33条の3)。

類対象の設備甲種乙種
特類特殊消防用設備等ありなし
第1類屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備ありあり
第2類泡消火設備ありあり
第3類不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備ありあり
第4類自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備ありあり
第5類金属製避難はしご、救助袋、緩降機ありあり
第6類消火器なしあり
第7類漏電火災警報器なしあり

出典:消防試験研究センター 消防設備士試験 受験案内、消防法施行規則33条の3。センターの案内には、第4類などの設備の細かな種類(共同住宅用自動火災報知設備など)も書かれています。

消防設備士の免状の種類と類別:甲種は特類・第1〜5類、乙種は第1〜7類(第6類・第7類は乙種のみ)。最終確認日:2026-10-04。出典:消防試験研究センター 消防設備士試験 受験案内。

受験資格:乙種は誰でも、甲種は電気工事士の免状で満たせる

消防試験研究センターの試験案内(受験資格)には、乙種は「誰でも受験できます。」とあります。甲種(特類を除く)は、国家資格等によるものと学歴によるものに大別され、国家資格等の欄に電気工事士があります。甲種の受験資格の案内には次のように書かれています。

「電気工事士(試験の一部免除有)」:「1.電気工事士法第2条第4項に規定する電気工事士免状の交付を受けている者」

法令では、消防法17条の8第4項が甲種の受験資格を定めています。1号が学歴(機械・電気・工業化学・土木・建築の学科・課程を修めて卒業した者など)、2号が乙種免状の交付を受けた後2年以上の整備の経験を有する者、3号が「前二号に掲げる者に準ずるものとして総務省令で定める者」です。電気工事士は、3号の総務省令にあたる施行規則33条の8第1項5号に「電気工事士法第二条第四項に規定する電気工事士」と書かれています。電気工事士法2条4項の電気工事士は、第一種電気工事士と第二種電気工事士の両方を指します。

受験する種類電気工事士の免状他の受験資格の例
乙種(第1〜7類)不要誰でも受験できる
甲種(特類を除く)満たす乙種免状交付後2年以上の整備の経験、機械・電気・工業化学・土木・建築の学歴 など(センター案内に一覧)
甲種特類満たさない第1〜3類のいずれか、第4類、第5類の3種類以上の免状が必要

甲種特類の資格は、施行規則33条の8第2項に「第一類から第三類までのいずれか、第四類及び第五類の指定区分に係る免状の交付を受けている者」とあります。

消防設備士試験の受験資格:乙種は「誰でも受験できます。」、甲種(特類を除く)は電気工事士免状の交付を受けている者などが受験資格を満たす(試験案内の記載)。最終確認日:2026-10-04。出典:消防試験研究センター 受験資格、甲種について。

試験科目の免除:電気に関する部分が類別に免除される

センターの試験科目の案内には、「消防設備士、電気工事士、電気主任技術者、技術士等の資格を有する方は、申請により試験科目の一部が免除になります。その場合の試験時間は短縮になります。」とあります。法令の根拠は施行規則33条の11第2項で、電気工事士に対しては、申請により、筆記試験の科目のうち「電気に関する部分」と、実技試験のうち「電気に関するもの」を免除すると定めています。

次の表は、センターの免除一覧表(甲種・乙種)から、電気工事士の免状だけで免除を申請する場合を抜き出したものです。この表の「電工」は第一種または第二種電気工事士免状の交付を受けている人です。

受験する類免除なしの試験時間電工の免状で免除される範囲免除後の試験時間
甲種 第1〜3類3時間15分基礎的知識の電気(4問)、構造・機能・工事・整備の電気(6問)3時間00分
甲種 第4類3時間15分基礎的知識の電気(10問)、構造・機能・工事・整備の電気(12問)、実技の鑑別等のうち1問2時間30分
甲種 第5類3時間15分免除なし3時間15分
乙種 第1〜3類1時間45分基礎的知識の電気(2問)、構造・機能・整備の電気(4問)1時間30分
乙種 第4類1時間45分基礎的知識の電気(5問)、構造・機能・整備の電気(9問)、実技の鑑別等のうち1問1時間00分
乙種 第5類1時間45分免除なし1時間45分
乙種 第6類1時間45分免除なし1時間45分
乙種 第7類1時間45分基礎的知識の電気(5問)、構造・機能・整備の電気(9問)、実技の鑑別等1時間00分

甲種特類は、センターの案内に「甲種特類試験には、科目免除はありません。」とあります。免除を受けるには、受験申請時に電気工事士免状のコピーを提出します(センターの一覧表の「試験の一部免除の申請に必要な証明書類」)。複数の資格を組み合わせた場合の試験時間や、電気主任技術者・技術士の免除は、一覧表を見てください。

読み取りの注意:表の問題数は一覧表に書かれた試験問題数です。免除は「電気に関する部分」が対象なので、第4類・第7類のように電気に関する出題が多い類ほど免除の幅が大きく、機械・規格・法令の出題は免除されません。

電気工事士の免状による消防設備士試験の科目免除:甲種第1〜4類・乙種第1〜4類・第7類で電気に関する部分が免除され、甲種第5類・乙種第5類・第6類は免除なし。試験時間は上の表のとおり。最終確認日:2026-10-04。出典:消防試験研究センター 試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(甲種)(PDF)、同(乙種)(PDF)。

工事の範囲:消防設備士と電気工事士は別の法律で決まる

消防設備士の免状が必要な工事・整備は、消防法施行令36条の2が列挙しています。電気工事士の免状が必要な作業は、電気工事士法3条が「電気工作物に係る電気工事の作業」として定めています。2つは対象も物差しも別です。

資格法律求められる範囲
消防設備士消防法17条の5・施行令36条の2列挙された消防用設備等の設置に係る工事(甲種)と整備(甲種・乙種)
電気工事士電気工事士法3条一般用電気工作物等・自家用電気工作物の電気工事の作業

施行令36条の2第1項は、工事の対象として屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、屋外消火栓設備、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、金属製避難はしご(固定式)、救助袋、緩降機を挙げています。

そのうえで条文は、一部の設備について「電源の部分」などを対象から除いています。

  • 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備:電源、水源及び配管の部分を除く
  • 泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備:電源の部分を除く

つまり、これらの設備の電源の部分の工事は、消防法の「消防設備士でなければ行ってはならない工事」には入っていません。その部分が電気工事士法の電気工事に当たるときは、電気工事士の免状が必要かどうかを電気工事士法3条で別に判断します(電気工事士2種で何ができる?に条文の読み方があります)。どちらの資格で足りるかは、設備全体ではなく、工事の部分ごとに、それぞれの法律で確認します。

整備(施行令36条の2第2項)は、上の設備のほかに消火器と漏電火災警報器が加わります。屋内消火栓設備の表示灯の交換その他総務省令で定める軽微な整備は、消防設備士でなくても行えます。

甲種消防設備士が工事をするときは、工事に着手しようとする日の10日前までに、消防長または消防署長に届け出ます(消防法17条の14)。消防設備士は業務に従事するときは免状を携帯します(同法17条の13)。電気工事士にも作業に従事するときの免状の携帯義務があり(電気工事士法5条2項)、法律が違っても似た義務が置かれています。

この論点の問題を解く:

点検に関わる資格:消防設備点検資格者の講習

消防用設備等の点検は、消防法17条の3の3により、防火対象物のうち政令で定めるものでは、消防設備士免状の交付を受けている人または総務省令で定める資格を有する人が行います。施行規則31条の6第7項は、総務省令で定める資格を有する人として、登録講習機関の講習の課程を修了した、次のいずれかに該当する人(消防設備点検資格者)を挙げています。

  • 消防設備士
  • 電気工事士(電気工事士法2条4項)
  • 管工事施工管理技士、建築士、一定の学歴と実務経験を有する人 など

電気工事士は、この「講習の対象となる資格」の2号に書かれています。点検できる設備の種類や講習の詳細は、消防庁長官が定める告示と登録講習機関の案内で決まるため、この記事では扱いません。

取得の順番を考えるときの事実(受験資格の条件だけ)

どちらを先に取るかは、人によって事情が違うため、ここでは優劣をつけず、条文と公式資料で決まる条件だけを並べます。

順番事実
電気工事士を先に取る甲種(特類を除く)の受験資格を満たす。電気に関する試験科目の免除を申請できる(第5類・第6類を除く)
乙種消防設備士を先に取る乙種は受験資格が不要。乙種免状の交付後2年以上の整備の経験を積むと、甲種の受験資格になる(消防法17条の8第4項2号)
どちらも持っていない乙種は誰でも受験できる。甲種は学歴や実務経験など、センター案内の受験資格のいずれかが必要

電気工事士の免状を受けるには、第二種なら学科と技能の試験に合格し、都道府県知事から免状の交付を受けます(電気工事士法4条)。受験の条件は第二種電気工事士に実務経験は必要?、合格後の免状の手続きは第二種電気工事士の合格発表と免状申請で確認できます。合格後に目指せる資格の全体像は第二種電気工事士の合格後にできることにまとめています。

試験の日程・申込は消防試験研究センターで確認する

消防設備士試験の日程、申込方法、受験票、免状の交付申請は、消防試験研究センターの消防設備士試験のページと、各道府県の支部のページが一次情報です。センターの案内では、願書の配布・受付・受験資格の審査・試験は各道府県支部(東京都は中央試験センター)で行っており、すべての試験で電子申請が可能と書かれています。受験する年度の日程と手続きは、受験する支部の案内で確認してください。

よくある質問

Q第二種電気工事士の免状だけで、消防設備士の甲種を受験できますか?

消防試験研究センターの試験案内では、電気工事士法2条4項の電気工事士免状の交付を受けている人は甲種(特類を除く)の受験資格を満たすと整理されています。電気工事士法2条4項の電気工事士は第一種と第二種の両方を指します。甲種特類は、第1類から第3類のいずれか、第4類、第5類の3種類以上の免状が必要で、電気工事士の免状では受験できません(消防法施行規則33条の8第2項)。

Q電気工事士の免状があると、消防設備士の試験は何が免除されますか?

消防法施行規則33条の11第2項は、電気工事士に対して、筆記試験の「基礎的知識」と「構造・機能・工事又は整備の方法」のうち電気に関する部分と、実技試験のうち電気に関するものを免除すると定めています。免除の実際の範囲と試験時間は類ごとに違い、第5類・第6類は免除がありません。類別の一覧は、この記事の表と消防試験研究センターの一覧表で確認してください。

Q消防設備士になった後に、受けなければならない講習はありますか?

消防法17条の10は、消防設備士は、総務省令で定めるところにより、都道府県知事(総務大臣が指定する市町村長その他の機関を含む)が行う工事整備対象設備等の工事又は整備に関する講習を受けなければならないと定めています。受講の時期や手続きは、この記事では扱っていません。免状を交付した都道府県の案内で確認してください。

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法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

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