第二種電気工事士に合格しても、免状の交付を受けるまでは電気工事の作業に従事できません。合格後の流れ(免状の申請先、免状が届いたあとの携帯義務・書換え・再交付)、合格後にできること・できないこと、実務経験が必要になる場面と次の資格を、条文と試験センターの案内で整理します。
目次
結論:第二種電気工事士の試験に合格しただけでは、電気工事の作業はできません。合格後に住所地の都道府県知事へ免状の交付を申請し、免状の交付を受けて初めて、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業に従事できます(電気工事士法3条2項・4条2項・4条4項1号)。免状が届いてからは、作業のときに免状を携帯し、技術基準に適合するように作業する義務が生じます(法5条)。
| 順番 | やること | 根拠・出典 |
|---|---|---|
| ① | 学科試験と技能試験の両方に合格する(免除の場合は免除申請が必要) | 電気技術者試験センターの受験案内 |
| ② | 住所地の都道府県知事へ免状の交付を申請する(手数料は都道府県条例で定める額) | 法4条4項1号、施行規則6条1項、受験案内「免状取得までの流れ」 |
| ③ | 免状の交付を受ける。ここから作業に従事できる | 法3条2項 |
| ④ | 作業のときは免状を携帯する。記載事項が変わったら書換え、失くしたら再交付 | 法5条2項、施行令4条・5条 |
| ⑤ | 必要に応じて、実務経験を積む・認定を受ける・第一種を目指す | 施行規則4条の2第2項、電気工事業法19条、法4条3項 |
合格ナビの第二種電気工事士の問題382問(センター公表の過去問326問と当サイトの作問56問)のうち、「電気工事士法」を問題文か選択肢に含む問題は13問、「免状」を含む問題は3問です(2026-10-04 集計)。合格後の手続きそのものは出題されませんが、免状と作業範囲の関係は学科試験の「検査・法令」で問われます。
この記事の条文は、e-Gov 法令検索の電気工事士法・電気工事士法施行令・電気工事士法施行規則・電気工事業の業務の適正化に関する法律の現行条文(2026-10-04 時点)です。試験センターの案内は令和8年度第二種電気工事士下期試験 受験案内と電気工事士の免状交付によります。
合格後に必要な手続き(免状の交付申請)
試験センターが交付するのは合格の結果で、免状ではありません。電気工事士免状は都道府県知事が交付します(法4条2項)。センターの受験案内も、合格者は「居住地(現在住民登録されている住所)の都道府県知事に申請することにより、第二種電気工事士免状の交付を受けることができます」と説明し、免状取得までの流れの図では「都道府県知事へ第二種電気工事士免状交付申請」のあとに「都道府県条例で定める手数料を納付」「免状の交付」と続けています。
免状の交付を受けられる人は、法4条4項が次の者に限っています。
「一 第二種電気工事士試験に合格した者/二 経済産業大臣が指定する養成施設において、経済産業省令で定める第二種電気工事士たるに必要な知識及び技能に関する課程を修了した者/三 …同等以上の知識及び技能を有していると都道府県知事が認定した者」
試験に合格した人は1号に当たります。実務経験は要件に入っていません。
申請の窓口は、施行規則6条1項1号が「その者の住所地を管轄する都道府県知事」と定めています。申請書に添えるものは、同項のとおり、免状の交付を受けられる者であることを証明する書類と写真です。合格者一覧の確認から申請書類・手数料の例までは、第二種電気工事士の合格者一覧の見方と免状申請で整理しています。
免状の交付を受ける人・申請先:第二種電気工事士試験の合格者などが対象で、申請先は住所地を管轄する都道府県知事(試験合格者の場合)。手数料は都道府県条例で定める額。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 電気工事士法施行規則、電気技術者試験センター 令和8年度第二種電気工事士下期試験 受験案内。
施行規則6条には、申請の期限の記載がありません。受付の方法、必要書類、手数料の額、窓口は都道府県によって違うため、センターは「電気工事士免状窓口(都道府県庁免状窓口)にお問合せください」と案内しています。この記事では金額や日数は書きません。
免状が届くまで、作業はできない
法3条2項の条文は次のとおりです。
「第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第二種電気工事士」という。)でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(一般用電気工作物等の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。」
資格が使えるのは、免状の交付を受けた時点からです。合格発表の日でも、免状を申請した日でもありません。「合格したから働ける」とは読めない点に注意してください。免状を受け取る前に、電気工事(工事の定義は法2条3項)の作業に従事しないようにします。
免状の交付を受ける前の合格者が実際に何をしてよいか(軽微な作業にとどまるか)は、第二種電気工事士の資格が必要な工事・不要な工事で整理しています。
免状を受け取ったあとの義務(携帯・書換え・再交付・返納)
免状を受け取ってからは、次の義務や手続きが生じます。
| 場面 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 作業に従事するとき | 免状を携帯する | 法5条2項 |
| 作業の内容 | 技術基準に適合するように作業する | 法5条1項 |
| 氏名など記載事項が変わったとき | 変更を証明する書類を添えて、免状を交付した都道府県知事に書換えを申請する | 施行令5条 |
| 免状をよごした・損じた・失ったとき | 免状を交付した都道府県知事に再交付を申請できる。失った免状が見つかったら遅滞なく提出する | 施行令4条 |
| 法律違反があったとき | 都道府県知事が免状の返納を命ずることができる | 法4条6項 |
免状の記載事項は、施行令3条で、免状の種類、交付番号・交付年月日、氏名・生年月日と定められています。
返納命令を受けたり、この法律に違反して罰金以上の刑に処せられたりした場合は、その後の一定期間、交付を受けられないことがあります(法4条5項。返納を命ぜられた日から1年、刑の執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者には「交付を行わないことができる」)。
合格後にできること・できないこと
免状を受け取った第二種電気工事士が従事できるのは、一般用電気工作物等(住宅や小規模な店舗など、低圧で受電する一般用電気工作物と、小規模事業用電気工作物。範囲は電圧と設備区分で整理しています)に係る電気工事の作業です。センターの受験案内も、免状を取得すると「一般用電気工作物等の工事の作業に従事することができます」と説明しています。
| 工事の対象 | 第二種の免状のみ |
|---|---|
| 一般用電気工作物等 | できる(法3条2項) |
| 自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備など) | できない(第一種電気工事士。簡易電気工事は認定電気工事従事者) |
| ネオン工事・非常用予備発電装置工事(特殊電気工事) | できない(特種電気工事資格者) |
表の「できない」は、免状のいらない軽微な工事(施行令1条)や軽微な作業(施行規則2条)を除いた話です。
自家用電気工作物の電線相互の接続のように、第二種の免状では従事できない作業は、次の問題で確認できます。
できる工事の全体像と、住宅向けの具体的な作業は第二種電気工事士でできること・できないことにまとめています。
実務経験が必要になる場面(3年以上が基準)
免状を受けるのに実務経験は不要ですが、次の場面では3年以上の実務経験が基準になります。
| 目的 | 実務経験の基準 | 根拠 |
|---|---|---|
| 認定電気工事従事者の認定(簡易電気工事に従事する) | 第二種免状の交付を受けた後3年以上、または認定講習の修了 | 施行規則4条の2第2項2号 |
| 電気工事業の主任電気工事士(一般用電気工事の営業所に置く) | 第二種免状の交付を受けた後電気工事に関し3年以上(第一種電気工事士なら不要)。同法6条1項1号〜4号(罰金以上の刑の執行後2年を経過しない者など)に当たらないことも要件 | 電気工事業法19条1項 |
| 第一種電気工事士免状(第一種試験に合格したあと) | 3年以上 | 法4条3項1号、施行規則2条の4第2項 |
実務経験の年数:認定電気工事従事者(第二種免状の取得後)3年以上、主任電気工事士(第二種免状の取得後)3年以上、第一種免状(試験合格ルート)3年以上。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 電気工事士法施行規則、e-Gov 法令検索 電気工事業の業務の適正化に関する法律。
主任電気工事士は、電気工事業を営む登録電気工事業者が、一般用電気工事の業務を行う営業所ごとに置くものです(電気工事業法19条1項)。電気工事業の登録は、営業所が複数の都道府県にまたがるときは経済産業大臣、一つの都道府県のみのときは営業所所在地の都道府県知事で、有効期間は5年です(同法3条1項・2項)。一般用電気工作物等の電気工事を事業として行うには、免状とは別に、この登録が必要になります(自家用電気工作物の工事のみを営む場合は登録ではなく通知。同法17条の2)。
どの経験が数えられるか(免状の取得前の経験を含むか)は、資格によって違います。数え方は第二種電気工事士は実務経験なしで受験できる?を確認してください。
次に目指す資格
合格後の進路は、目的で分けて考えます。
- 自家用電気工作物の600V以下の部分に携わりたい:認定電気工事従事者の認定を受ける(3年以上の実務経験または講習)。詳しくは認定電気工事従事者とは
- 自家用電気工作物の電気工事全般に携わりたい:第一種電気工事士。試験の受験は誰でもできますが、免状には3年以上の実務経験が必要です。第一種試験の合格者が免状を受けるまでの考え方は第一種電気工事士に進むロードマップで確認できます
- 電気工事を事業として行いたい:電気工事業の登録と、営業所ごとの主任電気工事士
- 消防用設備等の資格にも広げたい:電気工事士の免状は、消防設備士の甲種(特類を除く)の受験資格になり、電気に関する試験科目の免除にも使えます。範囲と条件は消防設備士と電気工事士の関係で確認できます
どれを選ぶかは、どの設備の工事に携わるかで決まります。第二種の免状でできる範囲を超える工事に携わる予定がなければ、免状の携帯と作業範囲を守って、一般用電気工作物等の工事を続けるのも一つの形です。
まとめ
- 試験に合格しただけでは作業はできない。住所地の都道府県知事から免状の交付を受けてから(法3条2項・4条)
- 免状の申請に、実務経験は要件に入っていない(法4条4項1号)
- 免状を受け取ったら、作業のときの携帯と技術基準への適合が義務(法5条)。記載事項の変更は書換え、失くしたら再交付(施行令4条・5条)
- 免状の期限・手数料・必要書類は都道府県の案内で確認する(施行規則6条に申請期限の記載はない)
- 実務経験が要るのは、認定従事者・主任電気工事士・第一種免状を目指す場面で、いずれも3年以上が基準
よくある質問
Q合格したら、すぐに電気工事の仕事ができますか?
できません。電気工事士法3条2項は、第一種または第二種の「免状の交付を受けている者」でなければ一般用電気工作物等に係る電気工事の作業に従事してはならない、と定めています。試験に合格しただけでは足りず、都道府県知事から免状の交付を受けて初めて作業ができます。
Q免状の申請に期限はありますか?
免状の交付申請について定めた電気工事士法施行規則6条には、申請の期限の記載がありません。ただし、受付の方法・必要書類・手数料は都道府県ごとの案内で決まっています。電気技術者試験センターも「各都道府県の電気工事士免状窓口にお問合せください」としているため、住所地の都道府県の案内で確認してください。
Q引っ越しや結婚で免状の記載が変わったときは?
電気工事士法施行令5条は、免状の記載事項(氏名・生年月日など)に変更を生じたときは、その変更を証明する書類を添えて、免状を交付した都道府県知事に書換えを申請しなければならない、と定めています。
Q資格を取ったあと、実務経験は必要ですか?
第二種の免状を受けること自体に実務経験は要りません(法4条4項1号)。実務経験が出てくるのは、認定電気工事従事者の認定、電気工事業の主任電気工事士、第一種電気工事士の免状を目指す場合などで、それぞれ3年以上が基準です(認定電気工事従事者は、認定講習の修了でも基準を満たします)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

